タンクローリーは、危険物から一般の液体まで、様々な物質を大量輸送できる特殊車両です。
その運転には専門の免許や資格が必要とされ、厳格な法規制のもとで運用されています。
この記事では、タンクローリーの基礎知識から運転に必要な資格、中古車購入時の注意点まで、実務で役立つ情報を詳しく解説します。
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- タンクローリーの種類別の特徴と法定容量制限、および各種液体の安全な積載・運搬方法
- タンクローリーの運転に必要な免許と資格の種類、およびその取得方法とキャリアパス
- 中古タンクローリー購入時の重要なチェックポイントと種類・年式による価格相場
1.タンクローリーの種類と特徴

タンクローリーには用途に応じて様々な種類があり、それぞれに独自の特徴や安全設計が施されています。
ここでは主要な種類とその特性について解説します。
粉粒体運搬車の構造と用途
中でも粉粒体運搬車は、セメントや穀物などの粉状・粒状の貨物輸送に用いられます。
タンク部は密閉性の高い構造で、貨物の吸湿や漏れを防止します。また荷台下部にはエアコンプレッサーを備え、圧送排出を可能にしています。
用途に合わせてタンク容量や室数を選択でき、効率的な運搬が可能です。
危険物用タンクローリーの安全設計

ガソリンや軽油などの危険物輸送に使われるタンクローリーには、特別な安全設計が施されています。
タンクの材質は、化学変化の起きにくい普通鋼や高張力鋼が使用されます。
また1室あたりのタンク容量は法律で4,000リットル以下に制限され、複数の小部屋に分かれた構造になっているのが特徴です。
各部屋にはそれぞれ底弁が設置され、事故時の流出を最小限に抑える働きがあります。さらに、緊急遮断装置や感電防止装置なども備わっており、高い安全性を確保しています。
参考:
有限会社山田ボデー工業所|タンクローリーとは?種類や特徴・運転に必要な免許について解説
総務省消防庁|危険物政令別表第3
株式会社ヒイラギ|消防法(危険物)の解説
高圧ガス用タンクローリーの仕様
LPガスなどの高圧ガス輸送では、専用のタンクローリーが用いられます。
高圧ガス用のタンクは、圧力に強い高張力鋼材で作られています。また球形や円筒形の形状をしており、ガスを安全に充填・排出できるよう設計されています。
可燃性ガスを運ぶ際は、防爆仕様の電気系統やアースの設置が義務づけられています。タンク容量は積載するガスの種類によって法令で定められており、基準に適合した仕様となっています。
参考:一般社団法人日本産業・医療ガス協会|産業ガスの運ばれ方
2.タンクローリーの容量と法律上の規定

タンクローリーの容量は法律で厳しく規制されており、積載物の種類によって基準が異なります。
安全性と効率性の両立が求められる運用ルールを説明します。
消防法で定められたタンクローリーの容量規制
タンクローリーの最大容量は、消防法により30,000リットル以下と定められています。
危険物に指定される石油類などを運搬する場合、1室の容量は4,000リットル以下に制限されます。これにより、事故発生時のリスクを最小限に抑えることができます。
一方、危険物に該当しない液体の場合は、容量制限が緩和されます。
ただし、安全性や車両の安定走行の面から、あまり大きな容量のタンクは望ましくないとされています。
参考:
ステアリンク|タンクローリーとは?容量や種類・運転に必要な資格/免許
総務省消防庁|危険物政令別表第3
株式会社ヒイラギ|消防法(危険物)の解説
種類ごとの容量の違いと積載効率
タンクローリーの種類 | 容量 |
---|---|
ガソリンや軽油用 | 8,000~20,000リットル(1室4,000リットル以下) |
LPガス用 | 5,000~10,000リットル |
高圧ガス用 | 300~3,000リットル |
食品や飲料水用 | 10,000~25,000リットル |
タンクローリーの容量は、運搬する液体の種類によって異なります。
ガソリンや軽油用のタンクローリーは、8,000〜20,000リットル程度の容量が一般的です。1室4,000リットル以下の規定を満たしつつ、できるだけ大量輸送できるよう設計されています。
一方、LPガス用のタンクは5,000〜10,000リットル、高圧ガス用は300〜3,000リットルと、ガス容器の大きさに合わせて容量が決められています。
食品や飲料用の場合は、10,000〜25,000リットル程度の大容量タンクが主流です。液体の比重を考慮しつつ、積載効率を高める工夫がなされています。
多室式タンクローリーのメリットと活用法
多室式のタンクローリーは、1台で複数種類の液体を同時に運搬できるのが最大の特長です。
例えば、ガソリンと軽油を別々の部屋に積載すれば、スタンドへの納入を1度で済ませられます。また、異なる品質規格の液体を混載したり、配送先ごとに振り分けたりといった使い方も可能です。
多室式のタンク設計により、輸送効率と郵送の柔軟性が大幅に向上します。近年は、石油輸送のみならず、食品や化学品の配送にも多室式車両の活用が進んでいます。
3.タンクローリーの積載と運搬のポイント

タンクローリーでの液体輸送には、細心の注意と正確な手順が求められます。
安全な積載から運搬、荷卸しまでの重要ポイントを紹介します。
積載前の安全確認と注意点
タンクローリーへの液体積載では、安全確認が何より重要です。
まず、タンクに亀裂や損傷がないかを目視点検します。コックやバルブの閉まり具合、ホースの接続状態もしっかりチェックします。
積み荷に見合ったタンク容量であることや、積載限度を超えていないことも確認が必要です。
可燃性液体の場合は、タンク室内を不活性ガスで置換するなどの準備作業が欠かせません。また、ローリー周辺は火気厳禁とし、静電気対策にも細心の注意を払います。
積載時の手順と専用設備の使い方
タンクローリーへの液体積載は、安全性を重視した所定の手順で実施します。
最初に、送液設備とローリーを専用ホースで接続し、ホースの材質・口径の適性や劣化状態を入念に確認します。
その後、バルブを開いて送液を開始し、計量計で積載量を監視します。目標量に達したらバルブを閉じ、送液を停止します。
ホース内の残液を完全に抜き取った後、全てのバルブの閉止を確認して片付けを行い、作業を完了します。
運搬中の安全運転と法定速度の順守
タンクローリーは液体積載により、通常のトラックとは異なる運転特性を持ちます。
カーブでは液体の遠心力の影響を考慮し、十分な減速と慎重な運転が必要です。急ブレーキによる液面揺動(スロッシング)を防ぐため、前方状況を見越した早めの減速を心がけます。
発進時は液体の重みに対応するため、エンジン回転を高めに保つことがポイントです。高速道路では時速80キロの制限があり、悪天候時などはさらなる減速が必要です。
荷卸し時の手順と事故防止策
目的地での荷卸し作業では、まず車両を水平な場所に停車し、タイヤ止めで確実に固定します。
作業場所では火気・電気系統の使用を禁止し、タンクと受入設備間のアース接続とホースの確実な取り付けを行います。
バルブ操作は慎重に行い、送液状態を常に確認しながら進めます。漏洩や流出事故に備え、防油堤の設置と消火器の準備は必須です。
また、複数人での作業立ち会いにより、早期のトラブル発見と事故防止を図ります。
4.タンクローリー運転に必要な免許と資格

タンクローリー運転に必須の免許と条件
タンクローリーを運転するには、通常の運転免許に加えて特殊な条件を満たす必要があります。
まず、車両の大きさに対応した免許区分が必要です。中型車の場合は中型免許、大型車なら大型免許の取得が不可欠です。
トレーラータイプのタンクローリーを牽引するには、別途牽引免許も必要となります。
一定の型式の免許を取ったのち、事業用運転者の資格を取得するための講習を受講するのが一般的な流れです。
運転に必要な知識や技能、法令順守の姿勢などが問われます。
種類ごとに異なる必要資格と取得方法
運搬する液体の危険度によって、タンクローリー運転に必要な資格が異なります。
最も厳しいのが、ガソリンなどの危険物を運ぶケースです。危険物取扱者乙種4類の資格が必須で、免状取得が条件となります。
受験資格を満たしたのち、所定の講習を受け、国家試験に合格する必要があります。
高圧ガスの輸送には、高圧ガス移動監視者の資格が求められます。都道府県知事の登録を受けた機関が実施する移動監視者講習の修了が必要です。
一方、食品や水などの非危険物であれば、運転免許以外の資格は特に必要ありません。
参考:
一般財団法人消防試験研究センター|危険物取扱者試験 受験案内
高圧ガス保安協会|高圧ガス移動監視者講習
資格取得のメリットとキャリアアップ
タンクローリードライバーとしての資格取得は、キャリアの大きな転換点となります。
資格の数に応じて運搬可能な貨物の幅が広がり、フレキシブルな配車にも対応できるため、会社にとって重要な戦力となります。
また、資格取得過程で得られる専門知識や安全運転技術、事故防止への理解は、プロフェッショナルとしての成長に不可欠です。
安全で確実な運行を追求することで会社からの信頼も高まり、将来的なキャリアアップにもつながっていきます。
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5.中古タンクローリーの選び方と価格相場

タンクローリーの運転には、通常の運転免許に加えて特殊な資格が必要です。
積載物の種類に応じた必要資格と取得方法を解説します。
中古車選びで重視すべき積載容量と車両状態
タンクローリーの中古車を選ぶ際は、積載容量と車両状態を重視してチェックしましょう。
まず、使用目的にあった容量のタンクを備えているかを確認します。危険物用であれば、総量30,000リットル以下、1室4,000リットル以下の規定に適合しているかもポイントです。
次に車両の状態を見極めます。
目視でタンクやホースに損傷がないか、コックやバルブの作動は問題ないかを確かめます。近年の車検証と点検記録で、適切にメンテナンスされてきた車両かどうかもチェックします。
排ガス規制への適合性も大切なポイントです。エンジンや駆動系の状態は、実際に試運転して確かめるのがよいでしょう。
種類や年式・装備による価格の違い
中古タンクローリーの価格は、車種・仕様・年式によって大きく異なります。
車両 | 金額 |
---|---|
ガソリンや軽油用の大型車両(容量20,000リットル前後) | 1000万円前後 |
ガソリンや軽油用の大型車両(容量20,000リットル前後)多室式 | 1500万円 |
LPガスや高圧ガス用 | 300~500万円程度 |
食品・飲料輸送用(容量10,000リットル程度) | 数百万円 |
ガソリンや軽油用の大型車両(容量20,000リットル前後)は1,000万円前後が相場で、多室式の場合は1,500万円を超えることもあります。
一方、LPガスや高圧ガス用は容量が小さいため300~500万円程度と比較的安価です。
食品・飲料輸送用は容量10,000リットル程度で数百万円が中心ですが、ステンレスタンク仕様では価格が上昇します。
また、新しい年式で排ガス規制に適合した車両や、充実した装備を備えた車両は、全般的に高価格帯となる傾向にあります。
中古車購入時の注意点とメンテナンス
タンクローリーは高度な専門性を持つ特殊車両のため、中古車購入には慎重な判断が求められます。
信頼性の高い販売店選びが重要で、整備・修理実績が豊富でアフターサービスが充実した店舗を選択します。
現車確認では、タンク内部の清浄度やサビ・スケールの有無を入念にチェックし、各種検査証明書の確認も必須です。
高圧ガス用の場合は容器再検査の記録も重要なポイントとなります。購入後は使用前点検を徹底し、ホースやパッキンなどの消耗品は定期的に交換。
日常のメンテナンスと車検整備を確実に行うことで、長期的な安全使用が可能となります。
6.タンクローリーの基本と運用ガイド
タンクローリーは危険物から一般液体まで多様な物質を大量輸送できる特殊車両で、運転には専門の免許と資格が必要です。
粉粒体運搬車、危険物用、高圧ガス用など種類は多岐にわたり、それぞれに独自の安全設計が施されています。
消防法で最大容量は30,000リットル以下、危険物輸送時は1室4,000リットル以下と定められています。
積載・運搬時の安全確認や適切な運転技術が不可欠で、中古車選びでは積載容量、車両状態、価格相場の慎重な検討が重要です。