倉庫管理主任者は、物流業界の要となる重要な専門家です。倉庫の安全性確保から効率的な運営まで、幅広い責任を担っています。
本記事では、倉庫管理主任者の役割、資格取得の方法、配置基準などを詳しく解説します。
- 倉庫管理主任者の具体的な仕事内容と重要性
- 倉庫管理主任者になるための資格取得プロセス
- 倉庫業における倉庫管理主任者の法的配置基準
1.倉庫管理主任者の概要と重要性

倉庫管理主任者とは?
倉庫管理主任者は、倉庫を適切に管理するための知識と能力を有することを認定された専門家です。
この資格は、平成14年4月1日に施行された倉庫業法の改正に伴い設けられました。
倉庫業界において大切な役割を果たし、適切な倉庫運営と円滑な物流の確保に貢献しています。
倉庫管理主任者が重要な理由は?
倉庫管理主任者の重要性は、倉庫業特有の特徴が背景にあります。
倉庫業は、生産者と消費者を結びつける重要な産業であり、日常生活を支える重要なインフラの一部です。具体的には、以下の点で重要な存在となっています。
- 安全性の確保
適切な倉庫管理により、保管物の安全性を確保します。 - 倉庫の効率的な運営
専門知識を活かし、倉庫業務の効率化を図ります。 - 法令順守
倉庫業に関する法令や規制を理解し、適切に対応します。 - 品質管理
保管物の品質を維持するための適切な環境管理を行います。 - リスク管理
倉庫内での事故や災害のリスクを最小限に抑えます。
倉庫業における倉庫管理主任者の位置づけ
倉庫業法では、倉庫業を営むための要件として、倉庫管理主任者の選任を義務付けています。
- 倉庫業者は、倉庫管理主任者を選任しなければならない。
- 選任された倉庫管理主任者は、国土交通省令で定められた倉庫管理に関する業務を行う。
この規定により、倉庫管理主任者は倉庫業の運営において不可欠な存在となっています。
2.倉庫管理主任者の仕事内容

倉庫管理主任者の仕事は多岐にわたり、倉庫の安全性、効率性、そして法令順守を確保する重要な役割を担っています。
倉庫業法で定められた主な業務内容を詳しく見ていきましょう。
倉庫における火災の防止その他倉庫の施設の管理関係すること
最も重要な責務の一つが、倉庫施設の安全管理です。具体的には以下のような業務が含まれます。
- 防火設備の定期点検と維持管理
- 消火器や避難経路の確認と整備
- 電気設備や危険物の適切な管理
- 定期的な防災訓練の実施と指導
例えば、倉庫内の防火シャッターが正常に作動するか月1回の点検を行ったり、従業員に対して年2回の避難訓練を実施したりします。
これらの活動を通じて、火災などの緊急事態に備えた安全な倉庫環境を維持します。
倉庫管理業務の適正な運営の確保関係すること
倉庫の効率的かつ適正な運営を確保することも、重要な役割です。この業務には以下のような内容が含まれます。
- 在庫管理システムの適切な運用と管理
- 入出庫作業の効率化と品質管理
- 保管物の適切な配置と管理
- 倉庫のレイアウト最適化
例えば、倉庫管理システム(WMS)を導入し、リアルタイムでの在庫状況の把握や、ピッキング作業の効率化を図ります。
また、季節商品の配置を適宜変更するなど、倉庫スペースの有効活用にも取り組みます。
労働災害の防止関係すること
従業員の安全を確保し、労働災害を防止することも重要な仕事です。具体的には以下のような取り組みを行います。
- 安全衛生委員会の運営
- 作業環境の定期的な点検と改善
- 安全作業マニュアルの作成と更新
- 労働安全衛生法に基づく各種措置の実施
例えば、フォークリフトの安全運転講習を定期的に実施したり、倉庫内の危険箇所に警告表示を設置したりします。
また、熱中症対策として夏場の水分補給ルールを設けるなど、季節に応じた対策も講じます。
現場従業員の研修に関係すること
倉庫業務の品質向上と従業員のスキルアップを図るため、研修の計画と実施も担当します。
- 新入社員向けの基礎研修の実施
- 業務改善や新技術導入に伴う研修の企画
- 外部講師を招いての専門研修の手配
- OJTプログラムの策定と実施
例えば、月1回の安全衛生研修や、四半期ごとの業務効率化勉強会を開催します。また、新しい倉庫管理システムを導入する際には、使用方法の研修会を企画・実施します。
これらの業務内容は、国土交通省が発行する「倉庫管理主任者マニュアル」に詳しく記載されています。
このマニュアルを参考にしながら、自社の倉庫の特性に合わせて適切な業務遂行を行います。
3.倉庫管理主任者の選任条件

倉庫管理主任者になるためには、特定の条件を満たす必要があります。
この章では、選任条件と資格取得のプロセスについて詳しく解説します。
実務経験の条件をクリアする
倉庫管理主任者の選任条件の一つは、十分な実務経験を有していることです。
倉庫業法施行規則では、以下の2つの条件のいずれかを満たすことが求められています。
- 倉庫管理業務に関して3年以上の実務経験がある
- 指導・監督役として2年以上の実務経験がある
実際の倉庫業務を通じて得られる実践的な知識と経験が、必要不可欠であるという考えに基づいています。
講習を受講する
実務経験の条件を満たさない場合でも、倉庫管理主任者になる道は開かれています。
それは、倉庫管理主任者講習を受講し、修了することです。倉庫管理に必要な知識と技能を学ぶ講習です。
講習は通常、数日間にわたって行われ、最後に修了試験があります。この試験に合格することで、講習修了の認定を受けることができます。
条件を満たしていても認定されない場合
一方で、実務経験や講習修了の条件を満たしていても、以下のいずれかに該当する場合は選任されません。
- 成年被後見人または被保佐人である場合
- 倉庫業法、貨物利用運送事業法等の規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から2年を経過していない場合
- 倉庫業の登録を取り消され、その取消しの日から2年を経過していない場合
これらの条件は、倉庫管理主任者としての責任を全うする能力や、法令順守の観点から設けられています。
4.倉庫管理主任者講習について

倉庫管理主任者を目指す上で、実務経験のない方にとって倉庫管理主任者講習の受講は重要なステップの一つです。
ここでは、講習の詳細について解説します。
倉庫管理主任者講習とは
倉庫管理主任者講習は、倉庫管理に必要な知識と技能を学ぶための公的な教育プログラムです。
この講習は、実務経験が不足している方や、より専門的な知識を得たい方にとって、資格取得への重要な道筋となります。
講習内容
倉庫管理主任者講習では、倉庫管理のあらゆる側面をカバーする総合的なカリキュラムが用意されています。
主な内容は以下の通りです。
- 倉庫業法と関連法規(1時間)
倉庫業法の概要と主要規定
関連する物流関係法令の解説 - 倉庫管理の実務(1時間)
在庫管理システムの運用
入出庫作業の効率化手法
保管物の適切な取り扱い方法 - 安全管理と防災対策(1時間)
倉庫における火災予防
労働安全衛生対策
災害時の対応計画 - 自主監査体制の整備(45分)
コンプライアンスへの意識
内部監査体制を学ぶ
講習に試験はありません。基本的には4時間45分の講習を最後までしっかり受講すれば、その日のうちに修了証を受け取れます。
とはいえ、実務経験として認定される重要な講習です。誠実な態度で、最後まで集中して講習に集中することが大切です。
これらの内容を通じて、受講者は必要な幅広い知識と技能を習得することができます。
受講料
倉庫管理主任者講習は、全国各地で実施されています。
開催頻度や具体的な開催場所については、一般社団法人日本倉庫協会のウェブサイトで最新の情報を確認することができます。
通常、大都市圏では年に複数回開催されていますが、地方では開催回数が限られる場合もあるので、計画的な受講を心がけましょう。
また、近年ではオンライン形式での講習も増えてきており、遠方からでも受講しやすくなっています。
講習の受講料は、講習会開催に係る諸費用(会場費、機器使用料、各種資料印刷費、講師謝金、事務経費等)の積算に基づき算定されています。
およそ14,000円程度です。(2024年)日本倉庫協会の会員は一般の受講者よりも受講料が安くなります。
5.倉庫管理主任者の年収
倉庫管理主任者の年収は、平均で460万円程度ですが、実際には390万円から490万円の幅があります。
この差は、個人の経験や勤務先の規模、業界によって生じます。大手運送会社では600万円を超える好条件の求人もありますが、中小企業や地方では400万円前後が一般的です。
給与は確かに大切な要素ですが、長期的なキャリア展望や生活の質とのバランスを考慮し、総合的に判断することをおすすめします。
出典:倉庫管理の仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)|求人ボックス給料ナビ
6.倉庫管理主任者のメリット

倉庫管理主任者の資格を取得することには、様々なメリットがあります。ここでは、主要なメリットについて詳しく解説します。
資格手当が貰える可能性がある
倉庫管理主任者は倉庫業において法的に必要不可欠な役割を担っています。そのため、多くの企業はこの資格保持者を確保し、維持するために様々な待遇面での工夫を行っています。
具体的には、有資格者向けの高給与設定や特別な手当の支給などが一般的です。
特に注目すべきは資格手当で、企業によって金額は異なりますが、月額2万円程度の追加収入が得られるケースもあります。
転職の味方になる
倉庫管理主任者の資格は、倉庫業界で高い価値を持っています。この資格を持っていることは、就職や転職の際に大きな強みとなります。
多くの倉庫業を営む企業では、採用プロセスにおいて有資格者を優遇する傾向があり、書類選考や面接で好印象を与える可能性が高くなります。
7.倉庫管理主任者の認定を取得するということ
倉庫管理主任者は、倉庫業界において不可欠な存在であり、資格取得は多くのメリットをもたらします。
高い年収や転職時の優位性だけでなく、キャリアアップの可能性も広がります。
また、この資格は倉庫業以外の分野でも評価される可能性があります。倉庫業界でのキャリアを考えている方や、専門性を高めたい方にとって、資格取得は価値ある選択肢となるでしょう。