「2024年問題」の影響で人手不足への対応を迫られる中、ドライバー派遣という手段を検討する企業が増えています。しかし、「ドライバー派遣は違法ではないか」という不安から、活用を躊躇するケースも少なくありません。
結論から言えば、一般的なトラック運送における派遣は、法律で定められたルールを遵守すれば違法にはなりません。この記事では、法的根拠に基づいた「正しい活用法」と、避けるべき「違法なパターン」を整理して解説します。
- 一般貨物自動車運送事業でのドライバー派遣が適法とされる理由
- 「港湾運送」や「建設業務」など、法律で派遣が禁止されている業務との違い
- 偽装請負や二重派遣といった、重大なコンプライアンス違反を防ぐための対策
1.「ドライバー派遣は禁止」は誤解です

まずは、物流業界において「派遣は禁止」というイメージが先行している現状を整理しましょう。法律の基本構造を正しく理解することで、労働者派遣法上の不安を解消し、適切な判断を下せるようになります。
結論:一般貨物運送のドライバー派遣は「原則合法」です
法律上、一般的なトラックドライバー(一般貨物自動車運送事業)を派遣として活用することは認められています。
2024年4月から施行された働き方改革関連法により、労働力確保がより困難になる中で、派遣は物流を支える重要な選択肢の一つとなっています。

適切な手続きを踏んだ派遣会社からであれば、ドライバーを受け入れても問題ありません。
会社を守るための第一歩は「正しく知ること」
「トラックドライバーの派遣は禁止」という認識は誤解ですが、運送業界に関連する一部の業務が法律で禁止されているのも事実です。そのため、制度を正しく理解していないと、意図せず法令違反に該当してしまうリスクがあります。
「何が違法で、どこからは大丈夫なのか」という境界線を理解することは、「コンプライアンスを遵守した運営」をする上での基盤となります。まずは、正しい知識を身につけておきましょう。
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2.なぜ「禁止」と誤解されるのか?

なぜ「ドライバーの派遣は禁止されている」という誤解が根強く残っているのでしょうか。その背景には、過去の古い規制や特定の業務にのみ適用される特殊なルールが、一般的な運送業務の話と混同されたまま広まっていることが挙げられます。
混同の原因:港湾運送業務における派遣禁止のルール
「ドライバー派遣は禁止」という誤解の大きな原因は、港湾運送業務における派遣禁止のルールです。(港湾運送業務については第3章で詳しく解説しています。)
港湾での作業は、歴史的な背景や雇用安定の観点から、労働者派遣法によって「適用除外業務」に指定されています。しかし、名前に「運送」がつくなどの理由から、一般的なトラック輸送と混ざって伝わってしまったのが誤解の正体です。

もちろん、一般的な道路を走る運送業務は、この禁止ルールには該当しません。
参照:厚生労働省「労働者派遣事業を行うことができない業務は・・・」
過去の法改正の歴史が招いた情報の錯綜
日本の派遣法は、これまでに何度も改正が繰り返されてきました。その結果、古い知識や間違った認識から誤解が生まれる原因となっています。
「ドライバー派遣は禁止」という誤解の元となっている原因
原因①過去の法規制のイメージが残っている
「特定の26業務」のみが派遣対象とされていた時代があった
(ドライバーは派遣対象外で禁止されていた)
原因②派遣は制限が厳しいというイメージの定着
2012年の「日雇い派遣(30日以内)の原則禁止」から、派遣は制限が厳しいというイメージが強い
業界内での「なんとなく危ない」という誤情報のうわさ
運送業界は横のつながりが強く、他社が摘発されたといった話が噂として広まりやすい業界です。そのため、何が原因だったのかをきちんと確認しないまま、「派遣は全部違法らしい」といった話にすり替わって伝わってしまうことがあります。

●●運送、派遣のドライバー使って社長が捕まったらしいよ。

へぇ~…。(派遣でドライバー使うとヤバイんだ)
実際にトラブルになるケースの多くは、派遣という仕組み自体ではなく、後述する「偽装請負」や「二重派遣」といった運用側のミスが原因です。根拠のない噂話ではなく、最新の法律のルールに基づいて判断することが、会社を安全に運営していくうえで欠かせません。
3.適用除外業務|本当に禁止されている業務は何?
ドライバー派遣そのものは可能ですが、一部の業務については、労働者派遣法で「派遣を使ってはいけない」と明確に定められています。
派遣が禁止されている業務
港湾運送業務
建設業務
警備業務
医療関係業務
「士」業の業務
ここでは、運送業と関わりの深い「港湾運送業務」「建設業務」「警備業務」について詳しく解説します
港湾運送業務
前述の通り、港湾運送業務での派遣は一切認められていません。
■港湾運送業務とは
- 港湾において船舶への荷物の積み降ろし
- 港倉庫での荷物整理
- 港湾での荷運搬、など
違反すると、派遣元だけでなく派遣先である企業も厳しい罰則を受ける可能性があります。もし、港湾エリアでの作業を含む運送を行っている場合は、派遣ドライバーにどこまでの業務を任せるのか、慎重に確認してください。
建設業務
建設現場における作業も、原則として派遣が禁止されています。ここで注意が必要なのは、ダンプカーやミキサー車の運転です。現場内での運搬が「建設作業」の一部とみなされるか否かが判断の境界線となります。
運転のみ 単に現場まで資材を運ぶ「運転」だけ
建設業務 現場内での土砂ならし・建設作業を伴う操作
「どこまでが運転業務で、どこからが建設作業になるのか」という線引きは、実務上とても重要です。もし現場作業を任せる可能性があるのであれば、派遣ではなく別の形で人を確保することを検討してください。
参照:厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領(令和7年6月1日以降)」。
警備・医療業務
工事現場の交通誘導や施設の警備といった警備業務や、医療に関連する業務も派遣法によって禁止されています。
■例えば
ドライバーが荷物の積み下ろしを待っている間に、現場の交通整理を手伝わせる

前に警備のバイトしてたって言ってたよね?暇な時間、ちょっと手伝ってあげてよ。
⇒警備業務の無許可派遣とみなされる恐れがある
良かれと思って出した指示が、結果的に法律違反を招くケースは少なくありません。日頃から派遣ドライバーの業務範囲は、あくまで「運送およびそれに付随する付帯作業」に限定されることを周知し、現場で迷いが出ないようにしておく必要があります。
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4.本当に違反じゃない?一般ドライバー派遣が合法である法的根拠

ドライバー派遣が認められている根拠は、国が定めた法律や行政の公式な見解にあります。
労働者派遣法の該当条文
労働者派遣法第4条では、派遣が禁止されている「適用除外業務」を列挙していますが、そこには「貨物自動車の運転」は含まれていません。法律には「禁止されていない業務については、適切な要件を満たせば派遣が可能」という基本原則があります。
つまり、ドライバーの派遣は適法に行える業務として位置づけられていると言えます。
参照:e-Gov「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」。
厚生労働省の見解
物流業界の人手不足や社会的な重要性を考慮し、厚生労働省も適正な形でのドライバー派遣を認めています。以下のような条件のもと、行政もそれを必要な人材活用として認めているのです。
- 派遣元が厚生労働大臣の許可を得ていること
- 派遣元・派遣先・労働者の三者間で正しく契約を結んでいること
現在、ドライバー不足は深刻で、有効求人倍率は2.51倍に達しています。こうした状況を踏まえると、法律を守ったうえでの派遣活用は、物流を維持するための有効な手段と言えます。
参照:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年11月分)について」
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5.具体的な事例から見る「合法」と「違法」の境界線

派遣そのものは適法であっても、運用の仕方を誤れば違法状態に陥ります。どのような要件を満たせば適切といえるのか、現場で起こりうる具体的な事例を通じて確認します。
次のケースが「違法」か「適法」か、考えて選んでみましょう。
また、契約期間も重要です。31日以上の雇用見込みがある通常の派遣契約なら問題ありませんが、1日単位の「日雇い派遣」として受け入れると、法律の例外要件を満たさない限り違法となるリスクがあります。
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派遣の活用を検討する際は、信頼できる派遣会社選びが重要です。大手から専門特化型まで、ドライバー派遣に強い会社の特徴や選定ポイント、実際の時給相場などを詳しく紹介しています。適切な派遣会社を選ぶことで、安心して働くことができます。
6.違法となる3つのパターン
運送業界において特に摘発されやすい、注意すべき「3つのNGパターン」を解説します。現場の「いつものやり方」が、実は重大なリスクを孕んでいる可能性があるため、再点検が必要です。
偽装請負
偽装請負とは
契約書の上では「業務委託」となっているのに、実態は派遣のように注文主が労働者に直接指示を出している状態。
請負の場合、作業の進め方やルートの指示は、その作業を請け負った会社の責任者が行わなければなりません。ドライバーに対して「次にどこへ行くか」「どの荷物を先に降ろすか」といった直接命令を下すのであれば、それは派遣契約である必要があります。
この区分が曖昧なままだと、労働基準監督署の調査が入った際に「偽装請負」として厳しい是正指導を受ける可能性があります。
二重派遣
二重派遣とは
派遣会社から自社に派遣されたスタッフを、そのまま別の会社へ「さらに派遣」すること。
これは、責任の所在を不明確にし、労働者の権利を損なう恐れがあるため、法律で固く禁じられています。
「労働契約申込みみなし制度」の対象となり、派遣先が禁止業務への受け入れや期間制限違反を行った際、自動的に直接雇用の申し込みがなされたとみなされる強力なペナルティが発生します。

協力会社の人手不足を助けようとして、「自社に来ている派遣ドライバーを1日だけ行かせる」といった行為も、二重派遣に該当します。
日雇い派遣
日雇い派遣とは
派遣期間が30日以内の働き方。学生や60歳以上といった例外を除き、原則として法律で禁止されいる。
2012年の法改正により、雇用期間が30日以内の「日雇い派遣」は原則として禁止されました。ただし、60歳以上の人や、特定の年収要件を満たす人などの「例外規定」に該当する場合は認められます。
繁忙期に1日だけスポットでドライバーを呼びたい場合、そのドライバーが法律の例外に当てはまるかどうかを、派遣会社を通じて厳密に確認しなければなりません。
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ドライバー派遣には違法リスクがともなうため、信頼できる派遣会社選びが不可欠です。こちらの記事では、安全な派遣会社を選ぶためのチェックリストを公開しているので、ぜひ参考にしてください。
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7.【チェックリスト】現場の運用は適切ですか?

自社の派遣運用が適正かどうか、以下の項目でセルフチェックを行ってください。1つでも該当しない項目があれば、早急な改善が必要です。
厚生労働大臣の許可を得ているか?
(許可番号の確認が必要です)
事前面接や履歴書による選別を行っていないか?
(派遣先による特定行為は禁止されています)
契約期間は31日以上か?
(スポットの場合は例外要件を確認しているか?)
ドライバーを他社へ再派遣していないか?
(二重派遣は法律で禁止されています)
契約内容は「労働者派遣契約」か?
(請負契約なのに直接指示を出していませんか?)
港湾運送や建設現場内での作業を指示していないか?
(派遣禁止業務に該当しないか確認)
このチェックリストは、適切な運営を維持するための基準となります。不安がある場合は、法務担当者や社会保険労務士などの専門家、または派遣会社のコンプライアンス担当に相談することをお勧めします。
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8.ドライバー派遣を不安なく活用するために
ドライバー派遣は、正しく活用すれば、人手不足を補う有効な選択肢となります。重要なのは、法令という明確な基準を守り、正しい知識に基づいて運用することです。
「2024年問題」を背景に、物流業界はいま大きな転換期を迎えています。今後、輸送力の不足が見込まれる中で、適切な人員をどう確保するかは、事業を継続していくうえで欠かせない課題です。
今回整理した業務範囲の境界線を守ることで、法的リスクを避けながら、運行管理者としての責任を果たすことができます。最新の情報を常に確認し、健全な派遣活用を通じて、物流の現場とその未来を支えていきましょう。
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