F1マシンやシビックタイプRなど、ホンダの車に憧れて整備士を目指す人は少なくありません。しかし、進路を決めるにあたっては、学費や卒業後の就職先、将来の年収といった現実的な側面も重要です。
メーカー直営校であるホンダテクニカルカレッジ、通称ホンダ学園は、一般的な専門学校と何が違い、どのようなキャリアを描けるのでしょうか。
本記事では、キャリアと労務の観点からホンダ学園の実力を分析し、未来のエンジニアに役立つ情報を解説します。
- ホンダ学園独自の最新実習環境とメーカー直結の就職メリット
- 4年制(一級)と2年制(二級)のキャリアパスと生涯年収の違い
- 学費の目安とホンダならではの推薦制度・奨学金の活用法
1.なぜ「ホンダ学園」なのか?高い就職実績を支える3つの理由
現場直結の実習環境
パイプと推薦制度
「人間尊重」が育むプロ意識
自動車整備士を目指す学校は数多くありますが、メーカー直営校を選ぶことには一般的な専門学校とは異なるメリットがあります。
特にホンダ学園は、単に資格を取るだけでなく、ホンダという企業の文化や技術に直接触れられる環境が整っているのが特徴です。
ここでは、高い就職率と現場での評価を支えている3つの理由について解説します。
教材は常に「最新のHonda車」。現場直結の実習環境
技術革新が激しい自動車業界において、学ぶ教材の新しさは教育の質に直結します。ホンダ学園の強みは、市場に投入されたばかりの新型車や、F1で培われた技術が反映された車両を実習教材として使用できる点です。
一般的な専門学校では教材車が古いモデルであるケースもありますが、ここでは現場で使用されている最新の診断機(HDS)を用いた実習が行われています。

そのため、卒業してディーラーに配属された初日から、スムーズに業務に入ることが可能です。
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「Honda系企業」へのパイプと推薦制度
就職活動において、メーカー直営校のネットワークは有利に働きます。ホンダ学園は全国のHonda Cars(正規ディーラー)やメーカーの開発部門と強固なつながりを持っています。
卒業生はホンダの理念や車両構造を深く理解しているため、採用する企業側からも評価されやすい傾向にあります。

一般公募では入社が難しい人気企業や開発職への推薦枠が存在することも、直営校ならではの利点と言えます。
本田宗一郎の精神「人間尊重」が育むプロ意識
整備士は機械と向き合う仕事であると同時に、顧客の安全を預かる責任ある職種です。ホンダ学園では、創立者である本田宗一郎の「人間尊重」や「三つの喜び」といった精神を教育の根幹に据えています。
技術的なスキルだけでなく、挨拶、マナー、チームワークといった社会人基礎力を磨くカリキュラムが組まれているのも特徴の一つです。

この人間力教育こそが、長く第一線で活躍できるエンジニアの土台となります。
参考|ホンダの自動車大学校:ホンダ テクニカル カレッジ 関東 公式HP
■ホンダディーラーで経験を積むなら派遣という選択肢も
ホンダ学園卒業後、すぐに正社員としての就職だけでなく、派遣整備士として様々なディーラーで経験を積むという選択肢もあります。カラフルスタッフィング メカニックは、車両整備士・メカニックに特化した人材派遣サービスです。専門のコーディネーターが希望に合ったお仕事をご提案し、有名ディーラーでスキルや経験を積めるチャンスを提供しています。
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2.学科比較:4年制と2年制、目指す未来は?
研究開発学科
(2年制)
ホンダ学園には主に4年制の一級自動車研究開発学科と、2年制の自動車整備科が設置されています。
進路を決める際は、取得したい資格の種類だけでなく、卒業後にどのようなキャリアを歩みたいかを基準に選ぶ必要があります。
開発リーダーを目指すのか、現場のスペシャリストを目指すのか、それぞれの学科について解説します。
一級自動車研究開発学科(4年制):開発リーダーを目指す
4年制課程は、国家資格である一級自動車整備士の取得を目指すと同時に、次世代のリーダーや開発エンジニアを育成する学科です。
前半2年で基礎を固め、後半2年ではEV(電気自動車)、自動運転技術、水素燃料電池などの先端技術や、英語、マネジメントなどの学びを深めていきます。
なお、国土交通省の定義において一級整備士は、高度な電子制御装置の診断や環境保全に対応できる能力が求められる資格です。

将来的に工場長や経営幹部、メーカーの研究開発職を目指す場合に適しています。
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自動車整備科(2年制):現場のプロへ
2年制課程は、最短期間で国家資格である二級自動車整備士を取得し、現場のプロフェッショナルとして活躍することを目指す学科です。
実習を中心としたカリキュラムが組まれており、効率的に整備技術を習得できる環境です。学費や時間を抑えつつ、早く社会に出て経験を積みたいと考える場合に適したコースと言えます。

二級整備士資格があれば一般的な整備業務のほとんどを行えるため、現場での実務経験を重視するキャリアパスとなります。
参考|ホンダの自動車大学校:自動車整備科 2年制|ホンダ テクニカル カレッジ 関西
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3.「学費の真実」とホンダならではの経済的メリット

専門学校への進学において、保護者が気になるのは学費の問題です。4年制大学と比較すれば総額は抑えられる傾向にありますが、実習機材や施設への投資が必要なため、一定の費用がかかるのが一般的です。
しかし、ホンダ学園にはメーカー直系ならではの経済的支援制度があり、これらを活用することで負担を軽減できる可能性があります。
学費シミュレーション:他校と比較して
初年度納入金や教材費、実習服代などを含めた学費総額は、一般的な文系大学と比較しても大きな差はありません。
しかし、ホンダ学園では最新の実習車両やテストコースなどの設備環境が利用できるため、教育内容に対する費用対効果(ROI)は高いと言えます。
また、資格取得のための補習費用などが追加でかからないか、事前に募集要項で確認することも大切です。

自己投資としての学費が、将来の就職や年収にどう反映されるかを長期的な視点で考える必要があります。
入学金減免も。「Honda Cars推薦」「Honda Dream推薦」
ホンダ学園には独自の特待生制度や推薦制度があります。「Honda Cars推薦」や「Honda Dream推薦」を利用すれば、選考料の免除や入学金の減免といった経済的なメリットを受けることも可能です。

これらは、将来ホンダグループで働く意欲が高い学生を支援するための制度です。
最寄りのHonda Carsで推薦書をもらうなどの条件がある場合も多いため、早めにディーラーや学校の説明会で情報を収集し、条件を確認しておくことが求められます。
整備士の年収は? ホンダグループの安定性
整備士の給与が低いというイメージを持つ人もいますが、実態は企業規模や地域によって異なります。

厚生労働省の令和5年賃金構造基本統計調査によると、自動車整備士の平均年収は約486万円となっており、全産業平均と比較しても平均的な水準です。
特にホンダの正規ディーラーであれば、賞与、退職金制度、家族手当などの福利厚生が整備されており、中小の整備工場と比較して生涯年収や生活の安定性は高くなる傾向が見られます。
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■派遣整備士として年収アップを目指す方法
ホンダグループでの就職を目指す一方で、派遣整備士として複数のディーラーで経験を積み、スキルを磨くことで年収アップを実現する道もあります。カラフルスタッフィング メカニックでは、車両整備士・メカニック専門のコーディネーターが、あなたのキャリアプランに合わせた求人をご提案。未経験からでも有名ディーラーで働けるチャンスがあります。
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4.キャンパス選び:開発の「関東」か、伝統の「関西」か
ホンダ学園は埼玉県と大阪府にキャンパスを構えています。学ぶカリキュラムの根幹は共通しているものの、立地環境や学校の雰囲気にはそれぞれの違いも見られます。
自宅からの通いやすさだけでなく、どのような環境で学びたいか、どのような企業への就職を希望するかによってキャンパスを選択します。
ホンダテクニカルカレッジ関東(埼玉県)

引用:ホンダの自動車大学校 ホンダ テクニカル カレッジ 関東 公式HP
埼玉県ふじみ野市に位置する関東校は、本田技術研究所などのR&D(研究開発)拠点が近隣に多く存在します。
この立地環境から、開発現場の空気感を肌で感じやすく、メーカー開発職への意識が高い学生が集まりやすいのが特徴です。

池袋から電車で約30分というアクセスの良さも魅力の一つです。
関東エリアのディーラーや関連企業への就職ネットワークが強く、首都圏での就職を希望する場合に適しています。
参考|ホンダの自動車大学校:ホンダ テクニカル カレッジ 関東 公式HP
ホンダテクニカルカレッジ関西(大阪府)

引用:ホンダの自動車大学校 ホンダ テクニカル カレッジ 関西 公式HP
大阪府大阪狭山市にある関西校は、西日本唯一のホンダ直営校として知られています。広大な敷地を有しており、キャンパス内で充実した実習やクラブ活動が行われているのが特徴です。
関西校独自の一級自動車研究開発学科のコース設定や、地域密着型のイベントなど、活気ある校風も魅力です。

関西エリアはもちろん、西日本全域のホンダ系企業への就職に強みを持っています。
参考|ホンダの自動車大学校:ホンダ テクニカル カレッジ 関西 公式HP
5.合格へのロードマップ:入試とオープンキャンパス

入学を希望する場合、早期の情報収集と対策が合格への一歩となります。ホンダ学園の入試で重視されるのは学力だけではありません。整備士になりたいという熱意や適性もまた、合否に関わる重要な要素です。
また、学校とのミスマッチを防ぐためには、実際にキャンパスに足を運び、自身の目で環境を確かめるプロセスが不可欠です。
AO・推薦・一般。自分に合った入試方式は
入試には主にAO入試、推薦入試、一般入試の3つの区分があります。AO入試を選べば、早期に進路を決定でき、入学前のプレスクールに参加できるといったメリットが得られる点がポイントです。
筆記試験では数学や国語の基礎学力が問われますが、面接試験では「なぜホンダなのか」「どのような整備士になりたいか」という意欲が深く問われます。

自身の得意なアピール方法に合わせて入試区分を選定し、面接対策を行っておくことが重要です。
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オープンキャンパスで「Hondaの熱量」を体感しよう
パンフレットやWebサイトの情報だけでは、学校の本当の雰囲気は分かりません。
オープンキャンパスでは、NSXやCIVIC TYPE Rの同乗体験、エンジンの分解組立実習などを通じて、ホンダ学園の教育レベルや先輩たちの様子を直接確認できます。

実際に教員や在校生と話をすることで、入学後の生活を具体的にイメージできるようになります。
高校1・2年生向けのイベントも開催されているため、早い段階で参加することで、余裕を持った進路選択が可能になります。
■ホンダ学園卒業後のキャリア選択に派遣も視野に
ホンダ学園で学んだ技術を活かして、まずは派遣整備士として様々な職場を経験してみるのも賢い選択です。カラフルスタッフィング メカニックは、車両整備士・メカニックに特化した人材派遣サービスとして、専門コーディネーターがあなたの希望に合った職場をマッチング。有名ディーラーでの実務経験を通じて、さらなるスキルアップが可能です。
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6.夢を叶えるための第一歩を踏み出そう
ホンダテクニカルカレッジは、単なる技術習得の場ではなく、ホンダのDNAを受け継ぐプロフェッショナルとしての第一歩を踏み出す場所です。
就職率の高さや充実した設備は、将来への不安を払拭し、夢に向かって専念できる環境を提供しています。
まずは資料請求を行い、オープンキャンパスに参加して、その雰囲気を確認してください。自身のキャリア形成のための選択を進めていくことが推奨されます。