普通免許でトラックは運転できるのか?
トラックの運転には普通免許があれば十分と思われがちですが、実際には車両の大きさや重量によって必要な免許が異なります。また、免許取得時期によっても運転できる車両の範囲が変わってきます。
この記事では、普通免許で運転可能なトラックの条件から、より大きな車両の運転に必要な免許、さらにはプロドライバーへのキャリアアップまで、詳しく解説していきます。
- 普通免許で運転できるトラックの制限と範囲
- 免許取得時期による運転可能な車両の違い
- プロドライバーになるためのキャリアアップステップ
1.普通免許で運転できるトラックの基礎知識

トラックの運転には様々な制限や規定があり、普通免許では全てのトラックを運転できるわけではありません。
ここでは、普通免許で運転できるトラックについての基本的な知識を解説していきます。
普通免許の定義と運転可能な車両
普通免許は、一般的な乗用車やライトバンに加えて、一定の条件を満たすトラックも運転することができる免許区分です。
具体的には、
- 車両総重量3.5トン未満
- 最大積載量2トン未満の車両
が運転可能です。
これは2007年以降に取得した免許の場合の基準となります。
普通免許では小型の商用車やトラックの運転が可能ですが、これは道路交通法において、一般的な車両の利用実態や安全性を考慮して定められた基準です。
例えば、引っ越しや小規模な配送業務で使用される1トントラックなどは、この基準内に収まるため運転が可能です。
ただし、これらの基準は免許取得時期によって異なる場合があり、注意が必要です。
車両重量総と最大積載量の違い
車両総重量と最大積載量は、トラックを運転する際の重要な指標となりますが、これらは異なる概念を示しています。
例えば、車両重量が1.5トンで最大積載量が1トンのトラックの場合、車両総重量は約2.6トン(乗車定員2名として計算)となります。
これらの数値は車検証に記載されており、運転前に必ず確認する必要があります。
この理解は、安全運転と法令順守の両面で重要な知識となります。
2.普通免許取得による運転可能な車両の違い

普通免許で運転できるトラックの範囲は、免許取得時期によって大きく異なります。
ここでは、法改正による変更点とそれぞれの時期における運転可能な車両について詳しく解説します。
2007年以前の免許所持者の場合
2007年以前に普通免許を取得した方は、最も広い範囲のトラックを運転することができます。
この時期の免許所持者は、先述したように
- 車両総重量5トン未満
- 最大積載量3トン未満
のトラックまで運転が可能です。
これは、当時の道路交通法では現在の準中型免許に相当する車両まで運転できる規定になっていたためです。
このため、2トントラックや3トントラックなど、現在では準中型免許が必要な車両でも運転することができます。
ただし、この特例は過去の経過措置によるものであり、新たに免許を取得する場合には適用されません。
2007年〜2017年の免許所持者の場合
2007年から2017年の間に普通免許を取得した方は、
- 車両総重量5トン未満
- 最大積載量3トン未満
という制限が設けられました。
この時期は中型免許制度が導入され、それまでの普通免許の範囲が見直された過渡期にあたります。
この期間の免許所持者は、車両総重量3.5トン以上5トン未満の車両を運転する場合、5トン限定準中型免許を取得することで運転が可能になります。
この制度変更は、大型車両の安全運転に対する社会的要請が高まったことが背景にあります。
2017年以降の免許所持者の場合
2017年3月12日以降に普通免許を取得した方は、最も制限が厳しく、
- 車両総重量3.5トン未満
- 最大積載量2トン未満
の車両のみ運転することができます。
この変更は、準中型免許制度の導入に伴うもので、より安全な道路交通環境の実現を目指して実施されました。
この制限により、一般的な1トントラックは運転できますが、それ以上の大きさのトラックを運転する場合は、準中型免許の取得が必要となります。
この制度改正により、車両の大きさに応じた適切な運転技能の確保が図られることとなりました。
3.普通免許だとトラックドライバーに転職できない?

普通免許しか持っていない場合、トラックドライバーへの転職は難しいと考えている方も多いかもしれません。しかし、運転する車両の種類によっては、普通免許でもトラックドライバーになることは可能です。
軽トラックや1トントラックなど、2トン未満のトラックを運転する仕事であれば、普通免許だけでも転職が可能です。宅配便やルート配送など、比較的小さな荷物を運ぶ仕事がこれに当てはまります。
ただし、2トン以上のトラックを運転する仕事には、準中型免許以上が必要となります。特に大手の運送会社では、4トン車以上の配送が主流となっているため、中型免許以上を求められることが多いです。
とはいえ、免許取得を支援してくれる企業も存在します。入社後に必要な免許を取得できる制度を設けている会社もあるので、普通免許しか持っていない方でも、トラックドライバーへの道は決して閉ざされているわけではありません。
3.より大きなトラックを運転するために必要な免許

普通免許の範囲を超えるトラックの運転には、上位の免許が必要となります。
キャリアアップを考える際の重要な選択肢として、準中型免許と中型・大型免許について詳しく見ていきましょう。
準中型免許で広がる仕事の可能性
準中型免許は、下記の基準内のトラックを運転することができる免許区分です。
車両総重量 | 最大積載量 |
3.5トン以上7.5トン未満 | 4.5トン未満 |
この免許を取得することで、2トントラックや3トントラックなど、より大型の車両を運転することが可能になります。
準中型免許は18歳から取得可能で、普通免許と同時に取得することもできます。
取得に必要な追加教習は技能7時間、学科1時間と比較的少なく、費用も他の上位免許と比べて抑えめです。
特に配送業や運送業での活躍の場が広がり、より安定した収入を得られる可能性が高まります。
中型・大型免許取得のメリットとキャリアアップ
中型免許と大型免許の取得は、プロドライバーとしてのキャリアを大きく広げる重要なステップとなります。
中型免許や大型免許は、下記の車両総重量を運転することができます。
中型免許 | 大型免許 | |
車両総重量 | 11トン未満 | 11トン以上 |
取得できる年齢 | 19歳 | 19歳 |
2024年の道路交通法改正により、これらの免許は19歳から取得可能となり、キャリアアップの機会が広がっています。
これらの免許を持つことで、大手運送会社での就職チャンスが増え、給与水準も向上する傾向にあります。
また、特に大型免許は、トレーラーやダンプカーなどの特殊な車両も運転できるようになるため、建設業や長距離輸送など、より専門的な仕事に就くことが可能になります。
ただし、取得には相応の時間と費用が必要となるため、将来のキャリアプランをしっかりと考えた上で挑戦することが重要です。
4.プロドライバーへのキャリアアップ方法

プロドライバーとして成長していくためには、計画的な免許取得とスキルアップが重要です。
ここでは、具体的な手順とキャリアプランについて解説します。
必要なライセンスの取得手順と費用
プロドライバーとして必要なライセンスは、目指す職種や扱う車両によって異なりますが、段階的な取得が推奨されます。
準中型免許・中型免許・大型免許の費用や教習期間は下記のとおりです。
準中型免許 | 中型免許 | 大型免許 | |
費用 | 30〜40万円程度 | 40〜50万円程度 | 50〜70万円程度 |
教習期間 | 1〜2ヶ月 | 1.5〜2ヶ月程度 | 2〜3ヶ月程度 |
普通免許から準中型免許を取得する場合、技能教習は7時間、学科教習は1時間の追加が必要です。
期間や費用は新規で取得する場合なので、普通免許から準中型免許、準中型免許から中型免許とステップアップする場合は、期間と費用はこれよりも抑えられます。
また、これらの免許に加えて、フォークリフトや危険物取扱者などの資格取得も、仕事の幅を広げる上で有効です。
なお、各種助成金制度や教習所のローンプランを利用することで、費用負担を軽減できる可能性もあります。
段階的なキャリアアップのロードマップ
プロドライバーとしてのキャリアアップは、経験と資格の段階的な積み重ねが基本となります。
まずは普通免許で1トントラックの運転経験を積み、配送の基本やお客様対応を学びます。
その後、準中型免許を取得して2〜3トンクラスの車両を扱えるようになり、より大きな案件や長距離配送にチャレンジします。
十分な経験を積んだ後、中型・大型免許の取得を目指すことで、特殊車両や大型トラックの運転手として、より専門性の高い業務に従事することが可能になります。
このプロセスには通常3〜5年程度かかりますが、各段階で着実にスキルを身につけることで、安全で信頼される運転手として成長することができます。
5.普通免許からドライバーへのステップアップ

トラックの運転には様々な制限や規定があり、特に普通免許では運転できる車両の範囲が明確に定められています。
また、2007年と2017年の法改正により、免許取得時期によって運転できる車両が異なることも重要なポイントです。
より大きな車両の運転を目指す場合は、準中型免許や中型免許、大型免許の取得が必要となりますが、これらは段階的なキャリアアップの重要なステップとなります。
計画的な免許取得と実務経験の積み重ねにより、プロドライバーとしての成長が可能となります。