トラックドライバーの仕事は、物流を支える重要な職業として知られています。
しかし、その具体的な収入や仕事内容、必要な資格などについては、詳細まで知らない方もいるのではないでしょうか。
本記事では、トラックドライバーの年収や仕事内容、求められる資格など、ご紹介していきます。
- トラック運転手の平均年収や傾向について(男女別、年齢別、地域別、サイズ別など)。
- トラック運転手に求められる資格や仕事内容について。
- トラック運送業界の課題と展望について。
1.トラックドライバーの平均年収は?
厚生労働省が運用している「自動車運転者のための長時間労働改善ポータルサイト」に掲載されている「トラック運転者の年間収入額の推移」によれば、2021年(令和3年)の大型トラックドライバーの平均年収は463万円、中小型トラックドライバーは431万円でした。
同年の全産業の平均年収は489万円ですので、大型トラックドライバーで5%ほど、中小型トラックドライバーで12%ほど、全産業平均より平均年収は低いという結果が出ています。
この数年におけるトラックドライバーの年収の傾向は?
上記の「トラックドライバーの年間収入額の推移」のデータを見ると、トラック運転手の平均年収の推移は、全産業平均の推移と大きく変わるところはなく、ほぼ似たような動きを示しています。
ただし、2020年から2021年の全産業の伸びが0.41%に過ぎなかったのに対して、大型トラック運転手では1.98%、中小型トラック運転手では2.89%と大きく伸びています。
2014年から2021年までのそれぞれの伸び率は以下の通りです。
- 全産業平均:2.30%(478万円 → 489万円)
- 大型トラック運転手:8.69%(426万円 → 463万円)
- 中小型トラック運転手:13.72%(379万円 → 431万円)
男女別で見るトラックドライバーの平均年収
公益社団法人全日本トラック協会が2023年8月に発表した「2022年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態」によれば、2022年(令和4年)度の男性トラックドライバーの平均賃金は月額342,500円、賞与分を加えて年収換算すると459万2,400円です。
一方、女性は月額277,600円、賞与分を加えた年収換算額は364万6,800円でした。女性ドライバーの平均月収は男性の81.05%という結果になります。
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」で全産業平均の男女別を見ると、2022年の男性の月収が342,000円、女性の月収が258,900円で、女性は男性の75.70%です。
全産業平均に比べれば、男女格差はわずかにドライバー業界の方が小さいといえます。
年代別で見るトラックドライバーの平均年収
こちらも同じく「2022年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態」のデータで見ると、年代別の平均賃金(年間賞与を12等分した金額を含む)では、男性トラックドライバーの場合、最低が20歳未満の249,200円、最高が40~49歳の399,200円です。
同じく女性の場合、最低が65歳以上の227,000円、最高が40~49歳の311,900円です。
男女ともに30~39歳、40~49歳、50~59歳の賃金が高く、そこをピークに若年層から右肩上がりで上昇し、老年層に向かって右肩下がりで下降しています。
地域別で見るトラックドライバーの平均年収
同じく「2022年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態」のデータで見ると、賞与を含まない男性トラックドライバーの2022年度の平均賃金は全国平均で342,500円です。
この金額を上回っているのは近畿の362,400円、中部の358,900円、関東の351,600円の3ブロックでした。最も低かったのは沖縄の255,700円です。
なお、女性トラックドライバーの全国平均は277,600円となっております。
【地域別】トラックドライバーの平均賃金(男性)
サイズ別(けん引・大型・中型・準中型・普通)で見るトラックドライバーの平均年収
同じく「2022年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態」のデータでトラックのサイズ別で比較すると、2022年度で最も給与が高いのは男性・女性ともに「けん引(特大車)」でした。
「けん引(特大車)」は、男性は月額391,000円(賞与を含まず、以下同)、女性は月額354,200円となっています。
それに続くのが「大型」で、男性364,500円、女性317,900円です。最も低いのは男女ともに「普通運転者」となっています。
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2.トラックドライバーの仕事内容とは?
トラックを運転し、荷物を安全・無事に荷受人へ受け渡すことが主な仕事です。そのほかにも、荷物を運ぶことなどに伴って、
- トラックの点検、メンテナンス(給油、油の交換、タイヤの点検、ブレーキのテストなど)
- 運行記録(運転日誌、乗務記録などとも呼ばれます)などの記入
- 荷物の積み込み、積み降ろし(荷積み・荷卸し)
- 荷物の内容や目的地の確認
- 顧客への対応(受領書の受け渡しなど)
といった業務もあります。
特に荷積み・荷卸しは、案件ごとに異なるものの、機械の力を借りずに、ドライバーが自分の手でおこなうことも少なくありません。バンボディの冷凍冷蔵車の場合は、氷点下の中で作業をすることもあります。
また、荷積み・荷卸しをするための順番待ち(業界用語で「荷待ち」)が数時間に及ぶことも珍しくありません。その間ドライバーは何も作業ができず、休憩を取ることもできないため、効率的とはいえません。
そういった状況を鑑みて、トラックドライバーの荷待ち時間などの解消は国土交通省を中心に取り組みが進められています。
例えば、乗務記録に荷積み・荷卸しの時間などの記載を義務付ける「貨物自動車運送事業輸送安全規則の一部を改正する省令」の公布などをおこなっています。
車両別で見る仕事内容
道路運送車両法の保安基準では、トラックは車両総重量と最大積載量(荷物を積める量)によって、大型・中型・小型に分けられます。
車両総重量は以下の計算式で求められます。
- 車両総重量=車両重量+乗車定員×55kg+最大積載量
なお、トラックメーカーでは以下で説明する道路運送車両法の保安基準とは異なり、10トン、4トン、2~3トンを基準に大型・中型・小型と呼ぶことがあります。
大型トラック(トラクター・トレーラー)
車両総重量11トン以上、最大積載量6.5トン以上のトラックで、仕事内容は、都市間など、長距離での大量輸送をおこないます。
運転時間は長く、休憩も不規則になりますが、積み降ろしが少ないため、肉体的な負担は思ったほど大きくはないようです。
中型トラック
車両総重量5トン以上、最大積載量6.5トン以上のトラックで、仕事内容は、中距離の輸送から近距離の配送まで幅広く対応します。
小型トラック
車両総重量5トン未満、最大積載量3トン未満のトラックです。車体が小さめで小回りがきくため、仕事内容は、街中のスーパーやコンビニ、個人宛への配送などが多くあります。
近距離の配送が多いため、1日の配達件数は多くなる傾向があります。
上記は車両総重量と最大積載量による分類ですが、そのほかにも運搬対象によって、
- 土砂を運ぶダンプトラック
- 石油やガスを運ぶタンクローリー
- 牛乳を運ぶミルクローリー
- 冷凍冷蔵車などの特殊トラック
- 小麦粉・家畜の飼料・セメントなどの粉粒体を運ぶバルク車
などに分類することもできます。
3.トラックドライバーに求められる資格
トラックドライバーとして活躍するために自動車運転免許が欠かせないことはいうまでもありません。
最も多くの人が保有している普通自動車免許(国家資格)でも、一部のトラックは運転することが可能です。ただし、取得した時期によって運転できるトラックの大きさが変わってきます。
たとえば、2007年6月1日以前に取得した普通自動車免許は、現在「8t限定中型免許」と呼ばれており、この免許で運転できる車両は、車両総重量8t未満、最大積載量5t未満、乗車定員10人以下に限定されています。
2007年6月2日から2017年3月12日の改正道路交通法の施行日より前(つまり3月11日まで)に普通自動車免許を取得した場合は、車両総重量5トン未満、最大積載量が3トン未満、乗車定員10人以下のトラックを運転できます(これを準中型5トン限定免許といいます)。
改正道路交通法の施行日以降に普通自動車免許を取得した場合には、車両総重量3.5トン未満、最大積載量2トン未満のトラックを運転できます。
これ以上のトラックを運転する場合には、準中型免許・中型免許・大型免許などの免許が必要です。
以下では、免許の種類と運転できるトラックについて解説します。
これらの免許は、トラック運送会社入社後に会社負担で取得できる場合もあるので、求人応募のタイミングで確認するとよいでしょう。
準中型自動車免許
2017年の改正道路交通法で新しく生まれた免許です。
- 運転できるトラック:車両総重量3.5以上7.5トン未満、最大積載量2トン以上4.5トン未満。
- 受験資格:18歳以上(ほかの免許を保有していなくても受験できます)。
中型自動車免許
いわゆる4トン車も運転できる免許です。トラック運送業界で4トン車はよく使われ車種であり、中型免許の保有者は重宝されます。
- 運転できるトラック:車両総重量5トン以上11トン未満、最大積載量6.5トン以上。
- 受験資格:20歳以上で、普通・大型特殊自動車免許のいずれかの保有期間が2年以上。
大型自動車免許
大型トラックをはじめ、ミキサー車やダンプカーなど、幅広いトラックを運転免許です。
- 運転できるトラック:車両総重量11トン以上、最大積載量6.5トン以上。
- 受験資格:21歳以上で、普通・中型・大型特殊いずれかの免許の保有期間が3年以上。
けん引自動車免許
車両総重量750kgを超える車、例えば貨物トレーラーなどをけん引するときに必要な免許です。逆に750kg以下の車両をけん引する場合には、この免許は不要です。
けん引免許といえば、一般的には貨物トレーラーなどをけん引できるけん引自動車第一種運転免許を指しますが、旅客車の場合には同第二種が必要です。また2トン以下の車両に限定されたけん引小型トレーラー限定免許もあります。
- 受験資格:18歳以上で、普通・準中型・中型・大型・大型特殊・第二種のいずれかの免許を保有。
▼けん引自動車免許について詳しく知りたい方はこちら
玉掛け(玉かけ)
クレーンのフックに荷物をかけたりする作業が「玉かけ」です。これも国家資格です。建設現場で荷積み・荷卸しをするときなどに使います。
- 受験資格:18歳以上(普通自動車免許なども不要です)。
▼玉掛け資格について詳しく知りたい方はこちら
フォークリフト運転技能者
玉かけと同じく、トラックドライバーが保有しておくと有利な国家資格です。
パレットを使用してフォークリフトで積み下ろしする場合に必要で、この資格があれば仕事の幅が広がります。トラックドライバーを辞めたあとも、倉庫業などで資格を活かせます。
- 受験資格:誰でも受験できますが、運転できるのは18歳以上(普通自動車免許なども不要です)。
危険物取扱者
タンクローリーなどで石油や高圧ガス、毒物・劇物などを運ぶ場合に必要な国家資格です。難易度によって甲種・乙種・丙種の3種類に分かれています。甲種が最も難しく、すべての危険物を取り扱えます。
- 受験資格:乙種・丙種の資格要件はありません(誰でも受験できます)。甲種は大学などで化学に関する学科などを修了・卒業した者などの一定の条件が必要です。
▼危険物取扱者の資格について詳細を知りたい方はこちら
高圧ガス移動監視者
特殊高圧ガス・一定以上の圧縮ガスなどを運ぶ場合に必要な国家資格です。
- 受験資格:資格要件なし。誰でも受験できます。
運行管理者
運送会社では資格保有者の設置が義務付けられている国家資格です。文字通り、トラックが安全に運行できるように管理します。貨物のほかに、一般乗合旅客、一般乗用旅客、特定旅客があります。
- 受験資格:貨物の場合は、貨物自動車運送事業の運行管理実務5年以上(かつ講習事項5回以上)
4.トラックドライバーとして働くメリット
倉庫や車庫などで最低限のコミュニケーションのやり取りはありますが、運転中などは基本的にひとりの場合がほとんどです。コミュニケーション面での負担は他業界よりも少なめです。
仕事の幅は非常に広く、ライフスタイルや希望に合わせた働き方を選べます。例えば「家に帰る日が少なくなっても、年収が高い方がよい」という場合は長距離の大型ドライバーなどが適しています。
同業他社への転職などの場合もハードルは低めといわれており、学歴や転職回数、休職期間などが問われることはほとんどありません。
5.トラックドライバーに向いている人の特徴
トラックドライバーに向いている人の特徴としては、まず安全面に気を配れるということが最も重要な条件であり、常に気を配れる方が向いています。
また、自分自身の体調などに関してきちんと管理できる人が向いています。
運転中は長時間にわたって同じ姿勢を取り続けなければなりません。
生活が不規則になることも多く、睡眠不足をはじめ、生活習慣病、エコノミークラス症候群や痔、膀胱炎など、さまざまな職業病を患う可能性があり、健康に注意する必要があります。
運転中はもちろんのこと、荷物の積み降ろし中でも、重たい荷物を落として大きなケガを負ったり、腰を痛めてしまったり、預かった荷物を破損させたりといったことが発生する可能性もあります。
6.トラックドライバーとして年収をあげるには
もちろん、どの企業に入社するのかによっても異なりますが、「サイズ別(けん引・大型・中型、準中型・普通)」でもあった通り、けん引と大型のトラックドライバーの平均賃金はほかのサイズに比べて高い傾向にあります。
さらに「年代別」の項目で見た通り、年収が最も高いのは40~49歳のトラックドライバーであり、やはり経験やスキルが重視されるものと思われます。
トラックドライバーとして少しでも良い待遇の会社への転職を検討されている方は、転職エージェントを活用して情報を得ることも効果的です。無料でサポートしてくれ、業界の最新トレンドや実情を教えてくれます。
特に『カラフルエージェント ドライバー』では、レアな求人を多数保持しており、その中から希望に沿った求人をプロのキャリアアドバイザーが提案・サポート。最短2週間でスピード転職が可能となります。
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7.運送業界は人手不足の傾向のため、需要は高い
運送業界は慢性的な人材不足を抱えています。
2019年4月から順次施行されている働き方改革関連法ですが、2024年4月からは、ドライバーの時間外労働が36協定を締結しても最大960時間までに制限される(2024年3月以前は制限なし、行政指導のみ)など、さまざまな規制が適用されるようになりました。
これが、トラックドライバーが含まれる物流業界の「2024年問題」ですが、これにより、
- (1)貨物自動車運送事業車(トラック運送会社)の収益が減少する
- (2)ドライバーの収入が減少する
- (3)ドライバーのなり手が減少する
という、トラック運送会社への悪影響が出るものと懸念されています。
業界では2024年問題の解決に向けて、例えば中継輸送、共同輸配送、モーダルシフトなどの取り組みを進めていますが、一方でトラックドライバーに対する需要は高まっています。
今後、人材確保のために、年収の引き上げや、働きやすい環境整備を打ち出す企業も増えてくると考えられており、将来の展望は明るい業界といえるかもしれません。
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