タクシー車種には、セダン、ミニバン、ユニバーサルデザイン(UD)タクシー、EV、そして2026年6月から導入が始まった軽自動車まで、さまざまな種類があります。乗客にとっては乗り心地や荷物の積みやすさの違いですが、ドライバーにとっては、1日200km以上走ることもある仕事の疲れやすさや、受けられる仕事の幅に関わる大切な要素です。
この記事では、タクシー車種の特徴を乗客目線とドライバー目線の両方から整理します。そのうえで、おすすめの5車種、最新の制度動向、転職や独立で車両を選ぶときに確認したいポイントを解説します。
- タクシー車種の種類と、乗客・ドライバーそれぞれから見た特徴の違い
- ドライバー目線で見たおすすめ5車種と、EV・軽自動車タクシーの最新動向
- 転職や個人タクシーの開業を見据えた、会社と車両の選び方
1.タクシー車種の種類とボディタイプ別の特徴

タクシーで使われる車両は、大きく「セダン」「ミニバン」「UDタクシー」「EV」「軽自動車」に分けられます。まずはボディタイプごとの基本的な特徴を押さえておきましょう。
セダン|安定した乗り心地と扱いやすさ
セダンは、長年にわたって日本のタクシーの定番とされてきたボディ形状です。重心が低いため揺れが少なく、落ち着いた乗り心地になりやすい点が特徴です。車体が大きすぎないため、市街地での取り回しもしやすい傾向があります。
ミニバン|乗車人数と荷物の多い移動に対応
ミニバンは車内が広く、複数人での移動や大きなスーツケースを伴う移動に対応しやすい車両です。空港送迎や観光、グループでの貸切など、予約を前提とした仕事で使われることが多くあります。
UDタクシー|誰もが乗り降りしやすい設計
UDタクシーは、車いすを使う方や高齢の方、ベビーカーを使う方などが乗り降りしやすいように設計された車両です。国はバリアフリー車両の普及を進めており、令和8年度の税制改正では、UDタクシーなどバリアフリー車両の自動車重量税の免税措置が、令和11年3月末まで3年間延長されました。
一方で、国土交通省の資料によると、総車両数の約25%をUDタクシーにするという目標を達成した都道府県は、令和5年度末時点で47のうち4にとどまります。UDタクシーは広がりつつありますが、地域によって導入の状況に差がある段階だといえます。
参考:国土交通省|令和8年度 物流・自動車局税制改正要望の概要・国土交通省|令和8年度物流・自動車局税制改正事項
EV|電気で走る静かな車両
EV(電気自動車)は、ガソリンやLPガスではなく、電気でモーターを動かして走る車両です。エンジン音がないため、車内が静かな点が乗客にとっての特徴です。タクシー業界では、環境対応車への切り替えの一環として導入が進められています。
軽自動車|小回りが利くコンパクトな車両
軽自動車は、普通車より車体が小さい車両です。車内はコンパクトですが、小回りが利き、道幅の狭い道でも走りやすい点が特徴です。タクシーでの利用はこれまで一部に限られていましたが、2026年6月から導入できる範囲が広がりました。
乗客目線とドライバー目線で見た比較
同じ車両でも、乗る側と運転する側では重視するポイントが異なります。代表的なボディタイプを、両方の視点から比べると次のようになります。
| タイプ | 乗客にとっての特徴 | ドライバーにとっての特徴 | 向いている仕事 |
|---|---|---|---|
| セダン | 揺れが少ない | 取り回しがしやすく、運転姿勢が安定しやすい | 市街地での流し営業、ビジネス利用 |
| ミニバン | 多人数や大きな荷物でも乗りやすい | 車体が大きく、狭い道や駐車では注意が必要 | 空港送迎、観光、グループの貸切 |
| UDタクシー | 乗り降りしやすく、車いすで乗れる | スロープの操作など、乗降のサポートが求められる | 日常の移動、通院、福祉輸送 |
| EV | 静か | LPGの補給が不要になる一方、充電計画が必要 | 都市部を中心とした営業 |
| 軽自動車 | 車内は普通車よりコンパクト | 小回りが利き、狭い生活道路でも運転しやすい | 地方の住宅地での送迎、近距離の移動 |
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UDタクシーのような車いす対応車両を担当する場合、乗降サポートに加えて接遇スキルも求められます。以下の記事では、タクシー運転手に向いている人の特徴や必要なスキルについて詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
2.タクシー車種がドライバーの働き方と収入に関わる理由

タクシーの車種は、乗客の快適さだけでなく、ドライバーの体への負担や受けられる仕事にも関わります。ここでは、車種の違いが働き方と収入にどう関わるのかを、走行距離と仕事の幅という2つの視点から解説します。
1日200km以上走る仕事だから居住性が疲れやすさを左右する
国土交通省の調べでは、全国のタクシーの総車両数は令和7年3月末時点で19万2,413台(法人16万7,404台、個人2万5,009台)です。
そのうち、全国ハイヤー・タクシー連合会の資料に掲載された東京のタクシーの試算では、1台あたりの走行距離は1日約244km、年間約8.8万kmとされています。これだけの距離を毎日走るため、シートの座り心地、車内の静かさ、運転席まわりのゆとりは、体への負担に直接関わります。
疲れにくい車両で乗務できることは、集中力を保ち、安全運転を続けるうえでも大切です。求人を比べる際は、給与条件だけでなく、どの車両に乗務するのかも確認しておくと安心です。
参考:一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会|TAXI TODAY in Japan 2026(年間納税額/環境に優しいタクシー)・(事業者数と車両数)
車両の広さや格が受けられる仕事の幅を変える
車内が広い車両や高級感のある車両は、空港送迎、観光の貸切、役員送迎などの予約の仕事に対応しやすくなります。こうした仕事は、流し営業とは客層や1回あたりの売上が異なります。
目指す働き方がある場合は、それに合った車両を持つ会社を選ぶことが、キャリアを考えるうえでのひとつの判断材料になります。
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1日200km以上走る仕事だからこそ、給与体系や働き方が自分に合っているかどうかも重要な判断材料です。以下の記事では、タクシードライバーの4つの代表的な給与体系の特徴を解説していますので、あわせてご覧ください。
3.ドライバー目線で見るタクシー車種おすすめ5選
ここでは、多くのタクシー会社で使われている車両と、今後広がる可能性がある車両を、ドライバーにとっての特徴を中心に紹介します。
JPN TAXI(トヨタ)|多くの会社が導入するLPGハイブリッドのUD車

JPN TAXI(ジャパンタクシー)は、タクシー専用に開発されたUDタクシーで、多くのタクシー会社で導入されています。LPガスを燃料とするハイブリッドシステムを採用しており、燃料費を抑えやすい点が特徴です。全国ハイヤー・タクシー連合会の納税額試算でも、この車両が基準に使われています。
スライドドアと低い床で乗り降りしやすく、車いすのまま乗れる設計です。そのため、乗務する際はスロープの扱い方など、乗降サポートの手順を覚えておくことが求められます。
トヨタは2019年3月の一部改良でスロープを3つ折りから2つ折りに変更するなどして、スロープの設置から車いすの固定までの時間を3分程度に短縮したと発表しています。導入している会社が多い分、業務の中心として扱いに慣れておく意味は大きい車両です。
参考:一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会|TAXI TODAY in Japan 2026(年間納税額/環境に優しいタクシー)
参考:トヨタ自動車株式会社|TOYOTA、JPN TAXIを一部改良
アルファード(トヨタ)|予約業務や送迎に強い大型ミニバン

アルファードは、ゆとりのある車内と上質な内装を備えた大型のミニバンです。企業の役員送迎など、上質さが求められる予約の仕事に使われることが多い車両です。
車体が大きいため、狭い道での運転や乗降場所の選び方には注意が必要です。接遇の質も含めて評価される仕事が多く、予約業務やハイヤー業務に関心がある人に向いています。
クラウン(トヨタ)|静かで安定した走りのセダン

クラウンは、静かさと走行の安定性に定評があるセダンです。路面からの振動が伝わりにくく、長時間の乗務でも疲れにくいとされる車両です。
ビジネス利用の乗客からの評価も得やすく、運転そのものの快適さを重視する人に向いています。
EVタクシー(日産リーフ、BYDなど)|静かでLPG補給が不要
EVタクシーは、走行音や振動が少なく静かな点が特徴です。LPGスタンドへ補給に行く必要がないため、燃料補給の手間から解放されます。
一方で、営業時間の中で充電のタイミングを計画する必要があります。
運用コストについては、後述する実証の試算で削減効果が報告されています。ただし、効果の大きさは比較する車両によって異なります。
軽自動車タクシー|小回りが利き地域の送迎に向く
軽自動車は、2026年6月から法人タクシーの車両に加わりました。車体が小さいため、道幅の狭い住宅地や山間部でも運転しやすく、通院や買い物など地域の送迎に向いています。
ただし、どの地域でも導入できるわけではありません。軽自動車を導入できる地域や台数には条件があります。詳しくは次の章で解説します。
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4.最新動向|EV化と軽自動車タクシーで車種はどう変わるか

タクシー車種は、環境への配慮や地域の交通を支える目的から、少しずつ変わり始めています。ここでは、環境対応車への切り替えの目標、EVのコストの考え方、2026年6月に始まった軽自動車タクシーの条件を順に整理します。
環境対応車への切り替えが業界の目標になっている
全国ハイヤー・タクシー連合会は、2030年度までにタクシー車両の40%をハイブリッド車やEVなどの環境対応車に切り替える目標を掲げています。同連合会の調べでは、法人タクシーのハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、EV、燃料電池車の合計は、令和6年度末時点で6万台を超えています。
参考:一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会|TAXI TODAY in Japan 2026(年間納税額/環境に優しいタクシー)
EVのコストメリットは比較する車両で変わる
GO株式会社のタクシー産業GXプロジェクトは、LPG車とEVの運用コストを比べる試算を公表しています。燃料費、メンテナンス費、燃料補給にかかる人件費を合わせた6年間の比較で、削減額はセダン車両に対して約370万円、スライドドア車両に対して約100万円でした。
このように、EVの経済的な効果は「どの車両から乗り換えるか」で大きく変わります。国土交通省もLPGスタンドの減少を業界の課題に挙げており、EVには補給先を探す負担を減らす利点もあります。一方で、ドライバーにとっては、充電の計画を業務の流れにうまく組み込めるかどうかが働きやすさを左右します。
参考:GO株式会社|「タクシー産業GXプロジェクト」開始1年・数字で振り返るGOのGX
参考:近畿運輸局|法人タクシー事業における軽自動車の活用について
軽自動車タクシーの要件と導入上限
軽自動車タクシーは、国土交通省が2026年6月1日付で出した通達「タクシー事業における軽自動車の活用について」に基づく制度です。それまで認められていたのは、EVの軽自動車や福祉輸送用の車両などに限られていました。この通達で、ガソリン車やハイブリッド車の軽自動車も使えるようになりました。主な条件は次のとおりです。
- 対象地域
都道府県のタクシー協会から申し出があり、地方運輸局長などが公示した営業区域に限られる - 車両の基準
セーフティ・サポートカーS(サポカーS)ベーシック以上の機能を持ち、前方と車内を記録できるドライブレコーダーを搭載していること - 導入できる台数
最低車両数が10両以上の地域では営業所に配置する台数の2割まで、それ以外の地域では5割まで
導入できる台数に上限があるため、軽自動車は主力の車両を置き換えるものではなく、補う役割が中心になると考えられます。軽自動車での乗務を希望する場合は、応募先の地域が公示の対象になっているか、その会社が導入しているかを確認しておくことが大切です。
なお、軽自動車であっても、タクシーとして乗客を乗せて運転するには第二種運転免許が必要です。
参考:近畿運輸局|法人タクシー事業における軽自動車の活用について
参考:大阪府警察|免許の種類と運転できる自動車など
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EV・軽自動車タクシーなど新しい制度が広がる中、これから転職する方は業界全体の最新動向も押さえておきたいところです。以下の記事では、2026年最新の年収データや会社選びのポイント、配車アプリで稼ぐコツまで詳しく解説しています。
5.転職や独立を見据えたタクシー会社と車両の選び方

タクシー業界への転職や個人タクシーでの独立を考えるときは、乗務する車両だけでなく、免許の取り方や会社の支援体制もあわせて確認することが大切です。ここでは、二種免許の受験資格、応募先で確認したい車両のポイント、個人タクシーの要件と車両選びを解説します。
二種免許の受験資格と取得支援制度
タクシーで乗客を乗せて運転するには、第二種運転免許が必要です。受験資格は、原則として21歳以上で、普通免許などを取得してから通算3年以上です。
警察庁によると、2022年5月からは、受験資格特例教習を修了すれば、19歳以上で普通免許などの保有期間が1年以上あれば受験できるようになりました。
未経験からタクシー業界に入る場合は、二種免許の取得費用を会社が負担する「資格取得支援制度」があるかを確認しておくと、入社前の負担を抑えやすくなります。
参考:警察庁|第二種免許等の受験資格の見直しについて
参考:警視庁|受験資格
応募先で確認したい車両のポイント
乗務する車両は、入社後の働きやすさに関わります。求人票や面接では、次の点を確認しておくと比較しやすくなります。
- 主に乗務する車種と、UDタクシーやEVの導入割合
- 車両を一人で担当するのか、複数人で共有するのか
- 空港送迎や観光などの予約業務と、それに使う車両があるか
- EVを導入している場合は、充電設備の場所と充電のルール
- 車両の整備体制や、車いす対応などの研修があるか
個人タクシーの開業を目指す場合の要件と車両選び
個人タクシーを開業するには、地方運輸局が定める審査基準を満たし、許可を受ける必要があります。例えば中部運輸局の審査基準(人口がおおむね30万人以上の都市を含む営業区域)では、主に次の要件が定められています。
- 申請日時点で65歳未満であること
- 年齢に応じたタクシーなどの運転経歴を満たしていること
- 運輸局が実施する法令の試験に合格していること
- 開業に必要な資金の全額以上を、自己資金として確保していること
- 事業用の車両に、電子地図の表示、現在地の表示、目的地までの経路案内の機能を持つ機器を備えていること
要件の細かな内容は運輸局や営業区域によって異なるため、開業を考える地域の最新の公示を確認してください。
個人タクシーでは、車両を自分で用意するため、経営者としての視点が必要です。購入時の費用だけでなく、燃料費、整備費、数年後の売却価格(リセールバリュー)まで含めて長い目で費用を試算し、無理のない車両計画を立てることが、安定した事業につながります。
車種を選ぶ際は、おすすめ5選で紹介したクラウンのように乗り心地を重視するセダンや、アルファードのように予約業務に向くミニバンなど、目指す営業スタイルに合わせて候補を絞ると比較しやすくなります。法人タクシーで経験を積む間に、さまざまな車種に乗って自分に合う車両を見極めておくことも役立ちます。
参考:中部運輸局|個人タクシー事業の申請に対する審査基準について
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二種免許の取得や研修体制など、未経験からタクシー業界に入る際に確認しておきたい基本情報をより詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。二種免許の取得方法から研修までの完全ガイドを解説しています。
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6.タクシーの車種に関するよくある質問

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タクシーを呼ぶときに車種は指定できますか?
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タクシー会社や配車アプリによっては、UDタクシーやミニバンなどの車種を指定して予約できる場合があります。対応できる車種や追加料金の有無は会社ごとに異なるため、予約する前に各社の案内を確認してください。
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軽自動車タクシーに乗務すると、売上は下がりますか?
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国土交通省の通達では、軽自動車タクシーには「普通車」の運賃を適用するとされています。そのため、軽自動車に乗務しても、1回の乗車あたりの運賃は普通車と変わりません。ただし、軽自動車を導入しているかどうかや導入台数は地域や会社によって異なるため、応募先で確認してください。
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タクシー会社に入社したら、車両は自分で用意するのですか?
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法人タクシーでは、一般的に会社が保有する車両に乗務するため、ドライバーが車両を用意する必要はありません。車両を自分で用意するのは、個人タクシーとして開業する場合です。担当する車両の決め方は会社によって異なるため、面接などで確認しておくと安心です。
7.タクシー車種は働き方に合わせて選び、乗務する車両と支援制度を事前に確認しよう
タクシー車種の違いは、ドライバーにとって、疲れやすさを左右する居住性、受けられる仕事の幅、燃料補給や充電の手間という3つの点で働き方に関わります。
EVの広がりや軽自動車タクシーの導入によって、タクシー車種の選択肢は増えています。ただし、導入の状況は地域や会社によって異なります。転職や独立を考える際は、乗務する車両や支援制度を事前に確認し、自分の目指す働き方に合った会社を選びましょう。
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