10tダンプと呼ばれる車両でも、実際の最大積載量は8~10tと車両によって異なります。
わずか1kgでも積載量を超えると法令違反となり、重大事故のリスクが高まるだけでなく、ドライバーには免許停止や刑事罰、運送会社には事業停止処分が科される可能性があります。
本記事では10tダンプの積載量ルールから罰則内容、効果的な過積載防止策まで詳しく解説します。
- 10tダンプの実際の積載量と過積載の定義・基準
- 過積載違反時のドライバー・運送会社・荷主への具体的な罰則内容
- 積載量確認の徹底と組織的な過積載防止の実践方法
1.10tダンプの積載量について知っておきたい基礎知識

10tダンプの最大積載量や、増やす方法はあるのかという疑問に対して、以下で詳しく解説します。
①10tダンプとは?積載量はどれくらい?
10tダンプとは、最大積載量が10t前後のダンプトラックの総称です。
ただし、「10t」と言われていても車両によって実際の最大積載量は異なり、8〜10tほどの幅があることに注意が必要です。特に土砂用のダンプでは、最大積載量が10t未満の車両が多くなっています。乗車前には必ず車両の積載量を確認しましょう。
②10tダンプの最大積載量を増やす方法はあるの?
ダンプの最大積載量は、車検証に記載された値が上限であり、各自で変更することはできません。ただし、車両のフレームやサスペンションを強化するなどの改造を行い、運輸支局で構造等変更検査を受けて認可されれば、車両総重量を増やし、結果的に最大積載量を増やす「増トン」が可能です。
しかし、専門的な改造と正式な手続きが必要であり、簡単に行えるものではありません。
③10tダンプのその他の積載制限を解説
10tダンプには最大積載量のほかにも、荷台の大きさによる容積制限があります。
また、土砂・がれき類の場合は山積み・平積み状態での高さ制限も定められています。一定の長さを超える丸太や鋼材などの積載方法については、別途ルールがあるのでそちらも確認しておく必要があります。
④10tダンプの積載量が定められている理由
最大積載量が定められている主な理由は、車両や道路・橋梁への負荷を一定の範囲内に保ち、ブレーキ性能を担保して事故を防ぐためです。
積載量が大きくなるほど、車両の安定性は損なわれブレーキ距離も伸びてしまいます。10tダンプの積載量ルールは、こうした過積載による交通事故を防止するために設けられています。
2.10tダンプの過積載とは?違反となる基準を解説

10tダンプの最大積載量を超えると過積載になります。ここでは、その基準について解説します。
10tダンプの過積載の定義と違反の基準
10tダンプの過積載とは、車検証に記載されている車両の最大積載量を超えて荷物を積載することを指します。
法律上、最大積載量をわずかでも(1kgでも)超えた時点で違反となります。
なぜ10tダンプの過積載は多発するのか?
10tダンプで過積載が多発する理由としては、一回あたりの運搬量を増やすことで効率化とコスト削減を図るケースが挙げられます。
また、荷主からの無理な要求に応えようとして、ドライバーが積載量ルールを守れなくなるという状況もあります。現場の作業員やドライバーだけでなく、運送会社自体の積載量ルールに対する理解や意識の低さも要因の一つと言えます。
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3.10tダンプの過積載の罰則と責任

10tダンプで過積載をした場合の、罰則について詳しく解説します。
ドライバーへの罰則の内容
10tダンプの過積載で最も厳しい罰則が科せられるのが、運転者本人です。違反の程度に応じて、以下のような行政処分や刑事罰が課されます。
過積載の割合 | 違反点数 | 処分内容 |
---|---|---|
5割未満 | 2点 | 反則金3万円 |
5割以上10割未満 | 3点 | 反則金4万円 |
10割以上 | 6点 | 免許停止・刑事罰 (6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金) |
特に10割増し以上の過積載は、懲役刑や罰金刑の対象となる犯罪行為です。実際に有罪判決を受ければ、前科者となってしまいます。
違反点数の累積によっては、免許停止処分を受けることもあります。累積期間は3年間で、一定の点数に達すると30日~180日の免許停止となります。
事故を起こした場合は、前歴者となるだけでなく、多額の損害賠償を請求されるおそれもあります。会社の信用失墜は免れず、ドライバー人生に大きな傷がつくことになります。
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ダンプ車の過積載による具体的な危険性や、より詳細な対策方法について知りたい方は、こちらの記事で包括的に解説していますのでご参考ください。
運送会社への罰則の内容
過積載が発覚した場合、運送会社も貨物自動車運送事業法に基づき行政処分の対象となります。
初回の違反では警告や、違反した車両に対して30日程度の車両使用停止処分が下されるのが一般的です。違反を繰り返したり、会社として改善の努力が見られない悪質な場合には、事業停止や許可の取り消しといった、さらに重い処分が科される可能性があります。
荷主企業への罰則の内容
10tダンプの過積載を引き起こした荷主企業にも、法的責任が問われます。荷主がドライバーや運送会社に過積載を強要したり、容認したりしていた場合は、以下のような罰則が科されます。
違反の内容 | 罰則の内容 |
---|---|
過積載を認識しながら運送を依頼 | 6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金 |
過積載を強要するなどの悪質行為 | 1年以下の懲役または100万円以下の罰金 |
荷主企業への罰則適用は、2018年の「貨物自動車運送事業法」改正で強化されました。違反荷主への監査も強化され、警告や勧告だけでなく、事業所への立ち入り調査なども行われるようになっています。
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4.10tダンプの過積載を防ぐためにできること3選
積載量の事前確認を徹底する
運送会社の体制を整える
ドライバー教育を強化する
10tダンプの過積載を防ぐためにはどうしたらよいのでしょうか。具体的な方法をご紹介します。
1.積載量の事前確認を徹底する
10tダンプの過積載を防ぐためにまず重要なのは、運行管理者とドライバーが協力して積載量を必ず事前確認することです。
目視だけでは不十分なので、自重計を活用して正確な数値を把握し、データに基づいて判断することが求められます。確認を行った記録は必ず残し、会社でもチェックできる体制を整備しましょう。日常的な確認の積み重ねが、過積載防止の第一歩となります。
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過積載防止において運行管理者の役割は非常に重要です。運行管理者の業務内容や資格取得方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事で解説しています。
2.運送会社の体制を整える
10tダンプの過積載防止は、ドライバー任せでは限界があります。運送会社が組織として体制を整え、全社的に過積載防止の方針を徹底することが欠かせません。
管理者が主体的に積載量の管理を行い、ルール順守の意識を現場に浸透させていく必要があるでしょう。荷主企業の理解を得ながら、過積載につながるような無理な要求は断る判断力も求められます。
3.ドライバー教育を強化する
10tダンプのドライバー一人ひとりが、過積載のリスクと罰則について正しい知識を持つことが何より大切です。運送会社は、具体的な事故事例やトラブル事例を交えながら指導を強化し、ドライバーの意識改革を促していきましょう。
確実に積載量をチェックするための手順を身につけさせるとともに、常に安全運転を最優先する意識を徹底することが重要です。過積載を許容しない意識を根付かせる継続的な教育が、事故防止のカギを握っています。
5.10tダンプの積載量ルールは必ず守りましょう
10tダンプの積載量については、車両ごとの上限値を正確に把握し、それを超えることがないよう細心の注意を払う必要があります。
過積載は重大事故のリスクを高めるだけでなく、ドライバーや運送会社・荷主企業に厳しい罰則をもたらします。日常的な積載量の確認を徹底し、会社全体で過積載防止に取り組む体制を整えることが求められるでしょう。
10tダンプの積載量ルールを守ることは、ドライバーの安全と会社の信頼を守ることに繋がります。一人ひとりが高い意識を持ち、ルールを遵守する姿勢を貫いていきましょう。