高校中退の経歴を持つ方が自動車整備士を目指す際、履歴書の書き方や面接での説明方法に悩むケースは少なくありません。
自動車整備士は学歴よりも技術力と熱意が重視される職業です。 この記事では、正しい履歴書の書き方から面接対策まで、高校中退から整備士として就職するための具体的な道筋を解説します。
- 高校中退を履歴書に正しく記載する7つのステップ
- 中退理由別の効果的な面接での答え方
- 無資格から自動車整備士になるキャリアパス
1.高校中退でも自動車整備士になれる!履歴書作成の基本知識

自動車整備士は技術力が重視される職業で、学歴よりも実践的なスキルと熱意が評価されます。
高校中退は隠さないで!学歴詐称のリスクを知っておこう
履歴書は企業に提出する正式な書類のため、高校中退の事実を隠すことは学歴詐称にあたります。
「高校中退だと選考に落ちてしまうのではないか」という不安から履歴書に書きたくないと考える方もいるかもしれませんが、学歴詐称が判明すると内定取り消しや解雇になる可能性があります。
たとえ内定をもらえたとしても、後々発覚すると信用を失い、減給や降格などの懲戒処分が下る恐れもあります。
悪質なケースでは詐欺罪などの法的な問題に発展する可能性も否定できないため、履歴書には事実を正直に記載することが大切です。
参考:須賀法律事務所|履歴書に嘘の情報を書くと罪に問われる?経歴詐称になる可能性が高い内容や嘘がバレたときの対処法を解説!
自動車整備士は学歴より技術力が重視される職業
自動車整備士の業界では、学歴よりも実際の技術力や車に対する熱意が評価される傾向があります。
整備士3級の資格取得には1年以上の実務経験が必要で、学歴に関係なく誰でも挑戦できます。多くの整備工場では人手不足が深刻で、やる気のある人材を積極的に採用しています。
高校中退という経歴よりも、車への情熱や学習意欲、責任感などの人間性が重視されるため、自信を持って就職活動に臨むことができます。
中退経験を強みに変える考え方
高校中退の経験は、見方を変えれば貴重な人生経験として活かすことができます。
困難な状況を乗り越えた経験や、早くから社会に出て働く意欲があることは、採用担当者に好印象を与える可能性があります。
中退により得た社会経験や、自分で人生を切り開く決断力は、自動車整備士として働く上でも重要な資質です。過去の経験を前向きに捉え、それを自分の強みとして伝える姿勢が大切です。
人手不足が求職者にとって追い風に
多くの整備工場では人手不足が深刻です。厚生労働省の職業情報提供サイトによると、自動車整備士の有効求人倍率は常に高い水準で推移しており、仕事を探す側にとって有利な「売り手市場」が続いています。
やる気のある人材を積極的に採用しているため、学歴以上に熱意が評価されやすい環境です。
「売り手市場」とは?
求人が多く求職者が少ない状態。転職者にとって有利で、企業を選びやすく、より良い条件で働ける環境のこと。
参考:厚生労働省 職業情報提供サイト「job tag」|自動車整備士 – 職業詳細
■経験を積める派遣求人をお探しの方へ
カラフルスタッフィング メカニックは車両整備士・メカニックに特化した人材派遣サービスです。専門のコーディネーターが希望に合ったお仕事をご提案、有名ディーラーでスキルや経験を積めるチャンスもあります!未経験からでも安心してスタートできる環境を整えています。
▼カラフルスタッフィング メカニックへのお問い合わせはこちら
2.履歴書に高校中退を正しく書く7つのステップ
正確で印象的な履歴書を作成するための具体的な手順を段階的に解説します。
ステップ1:中退年月を正確に記載する
履歴書には中退した正確な年月を記載する必要があります。
和暦・西暦のどちらを使用しても構いませんが、履歴書全体で統一することが重要です。
中退の年月を間違えて記載すると、内定後に退学証明書との相違が指摘される可能性があります。
記載ミスは学歴詐称の疑いを持たれる原因にもなるため、正確な情報を確認してから記入しましょう。
ステップ2:「中途退学」と正式表記で書く
履歴書では略語の「中退」ではなく、正式な表記である「中途退学」を使用します。これにより、ビジネスマナーを理解していることを示すことができます。
高校の場合は「○○高等学校 普通科 中途退学」のように、学科名も含めて記載するとより正確です。
正式な表記を使用することで、採用担当者に対して誠実で丁寧な印象を与えることができます。
ステップ3:中退理由を書くか判断する
中退理由の記載は必須ではありませんが、やむを得ない事情やポジティブな理由がある場合は記載することを検討しましょう。
経済的事情、家庭の事情、進路変更などの理由がある場合は、「中途退学(経済的事情により)」のように括弧内に簡潔に記載します。
ただし、ネガティブな印象を与える可能性がある理由の場合は、面接で詳しく説明する準備をして、履歴書では理由を記載しないという選択肢もあります。
ステップ4:高卒認定試験合格の場合の記載方法
高等学校卒業程度認定試験に合格している場合は、学歴欄と資格欄の両方に記載することができます。
学歴欄では高校中退の次の行に「高等学校卒業程度認定試験 合格」と記載し、資格欄にも同様の内容を記入します。
ただし、高卒認定は高校卒業とは異なるため、履歴書上の最終学歴は「中学校卒業」となることを理解しておく必要があります。
高卒認定の取得は向学心の証明になるため、積極的にアピールしましょう。
ステップ5:職歴欄でアルバイト経験をアピール
高校中退後のアルバイト経験は、立派な職歴として記載できます。
特に自動車関連のアルバイト経験があれば、整備士への志望動機と関連付けてアピールできます。ガソリンスタンド、カー用品店、洗車場などでの経験は、車への関心の高さを示すことができます。
アルバイト先の正式名称と主な業務内容を記載し、責任感や継続性をアピールしましょう。
短期間のアルバイトであっても、学んだことや成長した点を面接で説明できるよう準備しておくことが大切です。
ステップ6:資格欄で整備関連資格をアピール
自動車に関連する資格を取得している場合は、積極的に記載しましょう。
普通自動車運転免許は基本的な資格ですが、大型免許や二輪免許なども車への関心の高さを示すことができます。
危険物取扱者、溶接技能者、フォークリフト運転技能講習修了証なども整備業務に関連する有用な資格です。
資格がない場合でも、取得予定や勉強中の資格があれば記載することで、向上心をアピールできます。
▼あわせて読みたい
整備士資格の種類や取得方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事で各級の概要から取得ルートまで詳しく解説しています。
ステップ7:志望動機で熱意と将来像を伝える
志望動機欄では、なぜ自動車整備士を目指すのか、その企業を選んだ理由、将来どのような整備士になりたいかを具体的に記載します。
車への興味を持ったきっかけや、整備士としての将来的な目標を明確に示すことで、採用担当者に熱意を伝えることができます。
高校中退の経験を通じて得た気づきや、それが整備士への道を選ぶ動機にどのように影響したかを含めることで、より説得力のある志望動機を作成できます。
3.自動車整備士を目指す高校中退者の履歴書見本

実際の記載例を参考に、自分の状況に応じた履歴書を作成しましょう。
基本的な学歴欄の書き方見本
記載例
学歴
平成○○年 4月 ○○県立△△高等学校 普通科 入学
平成○○年 3月 ○○県立△△高等学校 普通科 中途退学
- 学歴欄は中学校卒業から記載するのが基本です。
- 高校入学と中途退学の年月を正確に記載し、学校名は省略せずに正式名称を使用します。
- 私立の場合は「私立」を、県立の場合は「○○県立」を必ず含めて記載しましょう。
中退理由を書く場合の記載例
記載例(経済的事情)
平成○○年 3月 ○○県立△△高等学校 普通科 中途退学(家庭の経済的事情により)
記載例(進路変更)
平成○○年 3月 ○○県立△△高等学校 普通科 中途退学(自動車整備士を目指すため)
- 中退理由を記載する場合は、簡潔で前向きな表現を心がけましょう。
- やむを得ない事情の場合は素直に記載し、ポジティブな理由の場合は将来への意欲を示すことができます。
高卒認定取得者の記載例
記載例
学歴
平成○○年 4月 ○○県立△△高等学校 普通科 入学
平成○○年 3月 ○○県立△△高等学校 普通科 中途退学
平成○○年 11月 高等学校卒業程度認定試験 合格
高卒認定を取得している場合は、学歴欄に記載するとともに、資格欄にも「高等学校卒業程度認定試験合格」として記載することができます。これにより学習意欲の高さをアピールできます。
■派遣で実務経験を積みながら資格取得を目指そう
カラフルスタッフィング メカニックでは、働きながら資格取得を目指せる派遣求人を多数ご用意しています。専門のコーディネーターが資格取得をサポートし、有名ディーラーでの実務経験を通じてスキルアップが可能です。
▼カラフルスタッフィング メカニックへのお問い合わせはこちら
4.中退理由別の書き方と面接での答え方

中退理由に応じた適切な表現方法と面接での効果的な伝え方を解説します。
経済的事情による中退の場合
経済的な事情による中退は、やむを得ない理由として理解を得やすい傾向があります。
- 履歴書では「家庭の経済的事情により」と簡潔に記載します。
- 面接では具体的な状況と、その中でも学習意欲を失わなかった点をアピールしましょう。
「家計を支えるために働く必要があったが、将来的に安定した技術職に就きたいと考え、自動車整備士を目指すことにした」というような前向きな姿勢を示すことが重要です。
現在の状況が改善され、安定して働ける環境が整ったことも併せて伝えましょう。
家庭の事情による中退の場合
家族の介護や病気などの家庭の事情による中退も、理解を得やすい理由の一つです。
- 履歴書では「家庭の事情により」と記載します。
- 面接では詳細を説明する準備をしておきましょう。
経験を通じて得た責任感や、困難な状況に対処する能力をアピールポイントとして活用できます。
現在は状況が安定し、仕事に集中できる環境であることを明確に伝えることが大切です。家庭の事情を乗り越えた経験は、職場での責任感や協調性の証明にもなります。
進路変更による中退の場合
明確な目標を持って進路変更のために中退した場合は、その決断力と目標達成への意欲を強調しましょう。
「自動車整備士になりたいという明確な目標ができ、早く専門的な知識と技術を身につけたいと考えた」というような、前向きな理由として伝えることができます。
なぜその職業を選んだのか、どのような準備をしてきたのかを具体的に説明し、計画性と実行力をアピールしましょう。
ネガティブな理由の場合の対処法
学校生活への不適応や学習意欲の低下など、ネガティブな理由での中退の場合は、その経験から学んだことや成長した点を強調することが重要です。
- 履歴書では理由を記載しないようにします。
- 面接では「当時は目標が明確でなかったが、社会に出て働く中で自動車整備士という明確な目標を見つけることができた」というような成長のストーリーとして伝えましょう。
過去の失敗を認めつつ、現在は成熟した判断ができることを示すことが大切です。
▼あわせて読みたい
志望動機の具体的な書き方や面接での伝え方について、より詳しいテクニックを知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
5.自動車整備士の履歴書で差をつけるポイント

他の応募者との差別化を図るための効果的なアピール方法を紹介します。
整備関連の資格・経験をアピールする方法
自動車整備に関連する資格や経験は、たとえ小さなものでも積極的にアピールしましょう。
- 普通自動車運転免許
- 危険物取扱者乙種4類
- アーク溶接技能者
- フォークリフト運転技能講習修了証
これらは整備の現場で直接役立つ可能性のある資格です。
他にも、ガソリンスタンドでのアルバイト経験、自分の車やバイクの簡単な整備経験、カー用品の取り付け経験なども立派なアピールポイントになります。
資格取得に向けて勉強中であることも、向上心の証明として記載しましょう。
車への熱意を伝える自己PR作成法
自己PR欄では、車に対する情熱と整備士への適性を具体的なエピソードとともに伝えましょう。
- 子供の頃から車に興味があった
- 家族の車の手入れを手伝っていた
- 車雑誌を愛読している
- モータースポーツが好きなどの体験談を交える
これらにより、説得力のある自己PRを作成できます。
また、手先の器用さ、集中力、責任感、チームワークなど、整備士に求められる資質を具体的なエピソードとともにアピールすることが重要です。
志望動機で整備士としての将来性を示す
志望動機では、単に車が好きということだけでなく、整備士としてどのような将来を描いているかを具体的に示しましょう。
- 3級整備士から2級、1級を目指す明確なキャリアプランを示す
- 特定の分野(電子制御、ハイブリッド車、輸入車など)への専門性を深めたいという意欲を示す
これらにより長期的に働く意思があることを伝えられます。
また、その企業の特色や強みを理解し、なぜその会社を選んだのかを明確に説明することも重要です。
■スキルアップできる派遣先をご紹介
カラフルスタッフィング メカニックは車両整備士・メカニック専門の派遣サービスとして、スキルアップできる優良な派遣先をご紹介しています。専門のコーディネーターがあなたの経験レベルに合わせた最適な職場をご提案いたします。
▼カラフルスタッフィング メカニックへのお問い合わせはこちら
6.高校中退から整備士になるキャリアパス

自動車整備士への道筋と効率的な資格取得方法を詳しく解説します。
無資格から3級整備士を目指すルート
高校中退者が最も現実的に目指せるのが、無資格から実務経験を積んで3級整備士を取得するルートです。
整備工場で働きながら1年以上の実務経験を積むことで、3級自動車整備士の受験資格を得ることができます。
多くの整備工場では人手不足のため、未経験者でも積極的に採用しています。実務経験を積みながら基礎知識を学び、先輩整備士から直接技術を教わることができるため、実践的なスキルを効率的に身につけることができます。
3級取得後は2級、1級へのステップアップも可能です。
▼あわせて読みたい
3級自動車整備士の具体的な仕事内容や試験の詳細、合格率について知りたい方はこちらの記事で詳しく解説しています。
専門学校入学を検討する場合
より体系的に整備技術を学びたい場合は、自動車整備専門学校への入学も選択肢の一つです。
高卒認定を取得していれば専門学校への入学が可能で、2年間の課程を修了することで2級整備士の受験資格を得ることができます。
専門学校では最新の技術や理論を学ぶことができ、就職サポートも充実しています。ただし、学費の負担があるため、奨学金制度や働きながら通える夜間コースなどの選択肢も検討しましょう。
▼あわせて読みたい
自動車整備士の年収について業種別・年代別の詳細データや年収アップの具体的な方法を知りたい方はこちらをご覧ください。
実務経験を積みながら資格取得する方法
実務経験を積みながら段階的に資格を取得していく方法が、最も現実的で効率的なキャリアパスです。
- まず整備工場でアルバイトや正社員として働き始め、1年後に3級整備士を取得。
- 3級取得後、さらに実務経験を積んで2級整備士を目指し、将来的には1級整備士や検査員資格の取得も可能。
働きながら資格を取得することで、収入を得ながらキャリアアップできるメリットがあります。
▼あわせて読みたい
働きながら整備士資格を取得する具体的な方法や職場選びのコツについて、詳しい情報はこちらの記事で解説しています。
自動車整備士の将来性は?EV・自動運転時代も活躍できる
近年、電気自動車(EV)や自動運転技術が急速に普及しており、整備士に求められるスキルも変化しています。しかし、これは仕事がなくなることを意味するのではなく、新しい技術に対応できる整備士の需要がさらに高まることを意味します。
電子制御システムの診断や先進安全装置のメンテナンスなど、最先端の知識を身につけることで、将来にわたって活躍し続けることができる、将来性の高い職業です。
■派遣で着実にキャリアを築こう
カラフルスタッフィング メカニックでは、高校中退からでも着実にキャリアを築ける派遣求人をご用意しています。有名ディーラーでの経験を積みながら、3級から1級へのステップアップをサポート。専門のコーディネーターが長期的なキャリア形成をお手伝いします。
▼カラフルスタッフィング メカニックへのお問い合わせはこちら
7.高校中退から自動車整備士への道は必ず開ける
高校中退という経歴があっても、自動車整備士として成功する道は十分に用意されています。
履歴書には中退の事実を正直に記載し、その経験を前向きに捉えることが重要です。学歴詐称のリスクを避け、「中途退学」の正式表記で記載し、必要に応じて理由を簡潔に添えましょう。
面接では中退理由を成長のストーリーとして伝え、自動車整備士への熱意と将来への明確なビジョンを示すことが成功の鍵となります。
自動車整備士は技術力が評価される職業であり、実務経験を積みながら3級から1級へとステップアップできる明確なキャリアパスがあります。
過去の経験を糧として、自信を持って就職活動に臨み、技術者としての新たな人生を切り開いてください。