日本とアメリカのトラックドライバーの年収格差は「絶望的」といわれますが、その裏側にあるカラクリやリスクを知っていますか?
本記事では、米国のデータに基づき平均年収と日本の差を比較し、高収入の実現に必要な要素を解説します。アメリカで働くための具体的なステップも紹介します。
- アメリカの平均年収(BLSデータ)と、日本の年収との具体的な差、およびその背景にある日米の産業構造の違い。
- アメリカで高収入を実現する「オーナーオペレーター」という働き方の仕組みとともなう経営リスク。
- 日本人がアメリカでトラックドライバーになるためにクリアすべき最大の壁(就労ビザ・CDL免許)と具体的な3つのステップ。
1.アメリカのトラックドライバーのリアルな年収は?日本との比較

アメリカのトラックドライバーの年収は、州や働き方によって大きく異なりますが、日本と比較すると大きな賃金格差があるのが現状です。
ここでは、米国労働統計局(BLS)のデータをもとに、アメリカのトラックドライバーの平均年収や給与分布を詳しく解説します。
米国労働統計局(BLS)が示す平均年収と中央値
米国労働統計局(BLS)の公表データによると、2023年時点でアメリカの大型トラックおよびトレーラードライバーの平均年収は約55,990ドル、時給換算で26.92ドルとされています。
また、給与の中央値(中間値)が約54,320ドルとされています。
この数値は全米の労働者平均をやや下回るものの、地域差や経験年数による幅が大きく、実際の収入はドライバーの働き方によって大きく変動します。
年収分布で見るリアルな給与レンジ(下位10%~上位10%)
米国労働統計局(BLS)の統計によると、アメリカのトラックドライバーの年収は下位10%で約37,440ドル、上位10%では約76,780ドルと幅があります。
この分布は、経験年数や担当する輸送距離、運搬する貨物の種類によって大きく左右されるのが特徴です。
熟練ドライバーと新人ドライバーの間には約2倍近い収入差が生じており、スキルや実績が報酬に直結していることがわかります。
【比較表】日本のトラックドライバーの年収との「絶望的な差」
米国労働統計局(BLS)の公表データによるとアメリカの大型トラックおよびトレーラードライバーの平均年収は約55,990ドル(日本円換算で約860万円)です。(2025年11月現在の為替レート 1米ドル=153.64円)
全日本トラック協会のデータによると、トラック運送事業全体の平均年収は450万円です。日本とアメリカのトラックドライバーの年収は大きく差があることがわかります。
この格差は、単なる為替レートによるものではなく、日米の働き方や産業構造の違いに起因しています。
特にアメリカでは、個人事業主として働く「オーナーオペレーター」の割合が高く、成果に応じた報酬が一般的です。しかし、日本では多くのドライバーが会社員として固定給に近い形で働いている点が対照的だといえるでしょう。
参照:全国トラック協会「2022 年度版 トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態 (概要版抜粋)」
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2.なぜ高い?アメリカのトラック運転手の年収が日本を圧倒する3つの理由
アメリカのトラックドライバーの収入が高い理由は、産業構造や労働環境、そして社会的な評価の違いといった複数の要因が関係しています。
ここでは、その背景を3つの観点から詳しく見ていきましょう。
理由1:生産性の違い|大陸を横断する「大型トレーラー」が標準
アメリカでは、長距離輸送の主力として大型トレーラーを使用しており、一度に運べる貨物量は日本の数倍に達します。
広大な国土を横断する効率的な物流体制が整備されており、1人のドライバーが担う輸送価値が極めて高いのが特徴です。
その結果、労働時間あたりの生産性が高く、賃金にも直接反映されています。
日本のように中小型トラックで短距離配送を繰り返す構造とは根本的に異なる点が、賃金格差の大きな要因となっています。
理由2:深刻なドライバー不足による熾烈な人材獲得競争
アメリカでは、トラックドライバーの慢性的な人手不足が続いており、企業間での人材獲得競争が激化しています。
新型コロナウイルスの影響でオンラインショッピングの利用が急増したことにより、輸送需要が急拡大しました。その結果、各社はドライバー確保のために大幅な賃上げに踏み切りっています。
例えば、大手運送会社ロール・トランスポートでは2021年に年収が4万ドル~7万ドルに上昇した例もあり、他社も同様に賃金を引き上げています。
理由3:社会インフラを支える職業としての社会的地位の高さ
アメリカでは、トラックドライバーが生活とサプライチェーンを支える職業として多くの人から認知されており、賃金だけでなく福利厚生の面でも高く評価されています。
特にUPSなど大手企業では、医療保険料の全額会社負担や確定給付年金の会社拠出、長期の有給休暇などの手厚い福利厚生が整備されています。
日本とは異なり、社会的地位と待遇の両面で高い水準が確保されているのが特徴です。
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3.【要注意】年収1,000万円超えのカラクリ!「オーナーオペレーター」という働き方の実態

アメリカで「年収1,000万円超え」と聞くと、夢のように感じられる方も多いでしょう。しかし、高年収の裏には大きなリスクがともなうケースもあります。
ここからは、高年収の背景にある「オーナーオペレーター」という働き方について解説します。
会社員ドライバーと個人事業主(オーナーオペレーター)の違いとは?
アメリカでは、トラックドライバーの働き方は大きく「会社員」と「オーナーオペレーター」に分かれます。
会社員ドライバーは企業に雇用され、会社所有の車両を使用して業務を行います。給与や保険、福利厚生が安定して支給されるのが特徴です。
一方、オーナーオペレーターは個人事業主として自らトラックを保有し、荷主と契約を結びます。
収入は「売上」。車両購入・維持費などの経費は自己負担
オーナーオペレーターの収入は、給与ではなく荷物を運んで得た「売上」として計上されます。
その売上からはトラックの購入費用を始め、燃料費・保険料・メンテナンス費用など、あらゆる経費をすべて自己負担しなければなりません。
運行中のトラブルや車両の修理が続けば収益が減少し、働いていない時間は無収入となります。高収入を得られる可能性がある一方で、経営リスクをともなう働き方といえます。
高収入の裏に潜むリスクと全責任を負う覚悟の必要性
オーナーオペレーターは、車両の故障や燃料価格の変動、事故による損害など、あらゆる費用とリスクを自ら負担しなければなりません。
さらに、荷主との契約不履行や運送トラブルによる損害賠償など、経営上の責任もすべて自己管理する必要があります。
そのため、コスト計算や契約内容の精査など、的確かつ迅速な経営判断が欠かせません。
4.全米No.1はどこだ?【州別・仕事別】トラックドライバー給与ランキング

アメリカでは、州や運ぶ貨物の種類によってトラックドライバーの給与水準が大きく異なります。
ここでは、米国労働統計局の最新データをもとに、州別・仕事別に見たトラックドライバーの年収ランキングを紹介します。
【州別】トラックドライバーの年収が高い州トップ5
米国労働統計局の統計によると、トラックドライバーの平均年収が高い上位5州は、アラスカ州(65,870ドル)、ニュージャージー州(64,270ドル)、ワシントンD.C.(63,630ドル)、ワシントン州(63,160ドル)、ニューヨーク州(60,910ドル)となっています。
これらの州は生活費が高く、ドライバー需要も強い地域です。こうした要因が賃金を押し上げています。
参考:トラック運転手の給与:2025年版 州別・職種別給与ガイド
【仕事別】専門性で給料が変わる!職種別年収の違い(長距離、危険物輸送など)
トラックドライバーの給与は、担当する業務の特性や専門性によって大きく異なります。
例えば、長距離ドライバーは長時間運転と不規則な生活をともなうため、平均で約55,000ドル~約70,000ドルと、全体平均の約55,990ドルを上回る水準の報酬を得ている状況です。
また、危険物輸送など高い専門性が必要とされるドライバーは、安全管理や資格要件が厳しく設定されており、平均で約62,000ドル~約85,000ドルと、ドライバー職のなかで最も高収入の部類に位置付けられています。
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5.アメリカで働くことの魅力と知っておくべき厳しい現実

アメリカでトラックドライバーとして働くことは、高収入を得られる可能性がある一方で、過酷な環境や強い責任がともないます。
ここからは、アメリカで働く際に感じるやりがいや、実際に直面する厳しい現実について詳しく解説します。
メリット:正当な評価と高い報酬、スケールの大きな仕事
アメリカでトラックドライバーとして働く魅力のひとつは、努力や成果が正当に評価される点にあります。
トラックドライバーの平均賃金は年々上昇しており、勤続年数や安全運転実績に応じて昇給やボーナスが支給される仕組みが整っています。
全米を舞台に働くスケールの大きさもこの職業の特徴であり、走るほどに報酬と経験を積み重ねられる環境が整っています。
デメリット:言語の壁、厳しい労働環境、日本とは異なる文化
アメリカでのトラックドライバーの仕事は、高収入が魅力である一方で、現地の生活や働き方に適応するには多くの課題があります。
特に英語によるコミュニケーションは避けて通れず、日常会話や運送業務に関する専門用語を理解できなければ、業務上のトラブルに発展するケースもあるでしょう。
また、長時間運転や不規則な勤務が続くことで、心身への負担は日本よりも大きくなります。そのため、健康を維持する自己管理能力が求められるでしょう。
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6.日本人がアメリカでトラック運転手になるための具体的な3ステップ
アメリカでトラックドライバーとして働くには、資格やビザの取得など、いくつかの段階を踏む必要があります。
最後に、日本人が実際にドライバーとして働くまでの流れを3つのステップに分けて解説します。
ステップ1:就労ビザまたは永住権の取得という最大の壁
アメリカでトラックドライバーとして働く際、最初に立ちはだかるのが「就労資格の取得」です。
外国人が現地で労働するには、企業との雇用契約に基づく就労ビザを取得するか、永住権を保有していることが前提となります。
ビザ申請には英語での手続きや雇用主の協力が不可欠であり、審査に時間がかかるケースも少なくありません。
ステップ2:商用運転免許証(CDL)の取得プロセス
アメリカでトラックドライバーとして働くには、「商用運転免許証(Commercial Driver’s License:CDL)の取得」が不可欠です。
この免許は、一般的な運転免許とは異なり、一定の重量や貨物を積載する大型車両や商用車を運転するために必要な資格となります。
取得までの流れは、普通運転免許を取得したうえで、指定の教育プログラムを受講し、筆記および実技試験に合格したあとで登録を行うという手順になります。
ただし、要件や申請方法は州によって異なるため、希望する勤務先の州交通局(DMV)の規定を事前に確認しておくことが大切です。
ステップ3:求人情報の探し方と就職活動のポイント
アメリカでトラックドライバーとして就職するには、現地の求人情報を効率的に収集し、自身の条件に合った企業を見極める必要があります。
求人は、求職者向けの専門サイトのほか、日系コミュニティやSNSグループでも募集されることがあります。
応募時には、英語の履歴書や職務経歴書の作成、面接時のコミュニケーション力が問われるため、基礎的な英語力を磨いておくことが欠かせません。
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7.年収格差から見えた、プロアクティブなキャリア設計の重要性
米国労働統計局のデータが示すように、アメリカの大型トラックドライバーの平均年収は日本の平均年収を大きく上回ります。
この格差は、大型トレーラーによる生産性の高さや深刻なドライバー不足による賃金の上昇、社会的な地位の高さに起因しています。
特に高年収の裏には、個人事業主として全責任を負う「オーナーオペレーター」という働き方があり、高いリターンには大きなリスクがともなうことを理解しておく必要があります。
高収入に魅力を感じる一方で、現地で働くには就労ビザや商用運転免許証(CDL)の取得という、乗り越えるべき現実的な壁が存在します。
キャリアコンサルティングの視点から見ると、単に給与の額面だけでなく、自身のキャリアアンカー(譲れない価値観)と照らし合わせ、給与と安定性、リスクのバランスを総合的に評価するプロアクティブなキャリアデザインこそが、不確実な時代を生き抜くための鍵となります 。
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