30代は、キャリア全体を考える上で非常に大切な時期です。
自動車整備士として働きながら、「今の給与は、自分のスキルや経験と見合っているのだろうか?」「周りと比べて低いのではないか?」と不安を感じることもあるかもしれません。
インターネットで調べると、「平均年収は約513万円」という高い数字もあれば、「300万円台」という低い数字も目に入り、一体どちらが本当なのか混乱してしまうこともあるでしょう。
この記事では、そうした30代の自動車整備士の方が抱える「年収の疑問」に焦点を当てます。
なぜ情報に「矛盾」が生まれるのかを解き明かし、その上で、30代から年収を上げていくための具体的な3つの道筋を分かりやすく解説します。
- 30代自動車整備士の最新の平均年収(公的データ)
- 年収データが「高いもの」と「低いもの」に分かれる本当の理由
- 30代から年収を上げるための具体的なキャリアパス3選
1.自動車整備士 30代の平均年収(2025年最新)|公的データ(jobtag)で見る全体像

まず、公的なデータから自動車整備士の年収を見てみましょう。
厚生労働省が提供する職業情報サイト「jobtag」によると、自動車整備士の全国平均年収は約513.1万円(2024年時点)とされています。
また、別の統計では、30代前半(30~34歳)で約463万円、30代後半(35~39歳)で約512万円というデータもあります。
これらの数字だけを見ると、日本の平均給与と比較しても決して低い水準ではなく、30代後半には500万円を超えることが期待できるように見えます。
参考|厚生労働省:職業情報提供サイト(jobtag)- 自動車整備士
2.なぜ?「年収513万」と「年収300万円台」データの矛盾を解明

公的データの「平均は500万円台」という数字を見ても、「自分の実感とはかなり違う」「自分の周りでは300万円台の人も多い」と感じる方も少なくないはずです。
なぜ、このような「平均データ」と「個人の実感」の間に大きな差(矛盾)が生まれるのでしょうか。それには、主に2つのハッキリとした理由があります。
年収差の最大の理由:ディーラー vs 民間整備工場の違い
最も大きな理由は、「どこで働くか」によって年収が大きく変わる点です。
自動車整備士の職場は、大きく「自動車ディーラー(メーカー系)」と「民間整備工場(独立系)」に分けられます。ある調査によれば、その平均年収には以下のような差があります。
自動車整備士の平均年収比較
※データは例示に基づき、550万円を基準に高さを算出
このように、勤務先によって平均で100万円以上の差が生まれることがあります。
公的データの「平均513万円」という数字は、給与水準が高いディーラーなども含めた「平均」です。そのため、もしご自身が民間整備工場にお勤めの場合、その平均値と実感に大きな差が生まれるのは、ある意味で当然のことと言えます。
参考:カーワク│【2025年最新・年齢別付き】自動車整備士の平均年収やキツイと言われる待遇の特徴を徹底解説!
データの「平均値」が実態とズレる理由
もう一つの理由は、「平均値」の特性にあります。平均年収は、一部の非常に給与が高い人(例えば、大手メーカーの管理職や、特殊な技術を持つベテランなど)の数字に大きく引き上げられる傾向があります。
そのため、最も多くの人が該当する「標準的な金額(中央値)」は、その「平均値」よりも低くなることが一般的です。
「平均513万円」というデータは事実ですが、ご自身の今の年収がそれより低いからといって、悲観する必要はありません。それは業界の構造やデータの特性が影響している可能性が高いのです。
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3.30代から年収を上げるための具体的なキャリアパス3選
30代は、これまでの経験を活かし、キャリアの方向性を戦略的に考える(キャリアデザイン)のに最適な時期です。年収を上げるためには、大きく分けて3つの具体的な道筋(キャリアパス)が考えられます。
- 狙い目:1級整備士・検査員
- メリット:資格手当・昇進条件
- 指定工場での需要が高く優遇されやすい
- 狙い目:工場長・マネージャー
- 役割:後輩指導・運営管理
- 役職手当で大幅な年収増が可能
- 理由:職場による年収格差
- 解決:構造的な低賃金からの脱却
- 「30代の即戦力」は高評価
1. 資格を取得する(1級・特殊整備士・検査員)
一つ目は、ご自身の専門性を高める「資格取得」です。
自動車整備士の資格は、3級・2級・1級・特殊整備士に分かれていますが、年収アップに直結しやすいのは「1級小型自動車整備士」や「自動車検査員」です。
これらの上位資格は、取得が難しい反面、資格手当が支給されたり、昇進・昇格の条件になったりすることが多いです。

特に「自動車検査員」は、指定工場(民間車検場)には必ず配置が必要なため、職場での重要性が高く、待遇面で優遇される傾向にあります。
2. 現職でキャリアアップする(役職・管理職)
二つ目は、今お勤めの職場で「管理職(マネジメント)への道」を目指すことです。
30代は、現場の主力であると同時に、後輩の指導やチーム全体をまとめる役割も期待され始める時期です。
現場のリーダーから、工場の運営全体を見る「工場長」や「サービスマネージャー」といった役職に就くことで、責任は増えますが、それに伴い役職手当などが付与され、年収は大きく上がります。
3. 年収・待遇の良い職場へ転職する
三つ目は、より待遇の良い環境を求めて「転職」することです。
先ほど見たように、職場(特にディーラーか民間か)によって平均年収には大きな差が存在します。
もし、今の職場で上位資格を取得しても、昇進のポストが空いていなくても、給与が上がりにくい構造的な問題がある場合は、環境そのものを変える転職が最も現実的で効果的な解決策になることがあります。

30代で培った経験とスキルは、他の企業にとっても魅力的です。特に人手不足が続く業界では、即戦力となる30代の整備士は高く評価される可能性があります。
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30代の自動車整備士が転職を成功させるための具体的な戦略やノウハウについて、以下の記事で詳しく解説しています。
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4.資格は30代の年収にどれだけ影響するか?

3つの道筋の中でも、特に「資格」は、ご自身の市場価値を客観的に証明する武器となります。
2級整備士の資格は、多くの方がお持ちだと思いますが、30代からのキャリアを考えると「自動車検査員」や「1級整備士」の取得は大きな意味を持ちます。
例えば、自動車検査員の資格がなければ、民間車検場の「検査ライン」を法的に担当できません。
工場長などの管理職になるための前提条件としている企業も多く、この資格があるかないかで、将来の年収の上限が制限されてしまう可能性すらあります。

資格取得は、目先の手当(月数千円~数万円)のためだけでなく、将来の「昇進・昇格の権利」を得るための投資と考えることが重要です。
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2級自動車整備士の資格取得が年収にどのように影響するか、具体的なデータと収入アップの方法について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
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5.将来性は?EV化と人手不足が整備士の年収に与える影響

「将来、EV(電気自動車)が普及したら整備士の仕事はなくなるのでは?」と不安に思うかもしれません。
確かに、EV化によってエンジンのような複雑な部品は減るかもしれません。しかし、代わりに「電子制御システム」「高度なセンサー」「バッテリー管理」といった新しい技術の知識が不可欠になります。
これは仕事が「なくなる」のではなく、仕事の「中身が変わる」ことを意味します。こうした新しい技術を積極的に学んだ整備士は、今後さらに専門性が高い人材として重宝され、価値が上がる可能性が高いです。

また、業界の慢性的な「人手不足」も、待遇改善の追い風になっています。ある調査では現役整備士の約8割が「転職を考えたことがある」と回答しており、企業側も人材確保のために給与や労働条件を見直す動きを強めています。
高い技術を持つ整備士を確保するために、給与や労働条件を見直す企業は増えています。
参考|PRTIMES:株式会社レソリューション – 現役自動車整備士1,105人への実態調査
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6.30代はキャリアプランを見直す絶好のタイミング
自動車整備士の30代は、経験と体力が充実し、次のステップに進むための重要な「岐路」に立っています。
単に年収が「平均」と比べて高いか低いかだけで一喜一憂するのではなく、まずは「なぜ今の年収なのか」を冷静に分析することがスタートです。それは、勤務先(ディーラーか民間か)の構造によるものか、ご自身の資格や役職によるものかを切り分けて考えてみましょう。
その上で、「資格取得を目指す」「管理職を目指す」「転職で環境を変える」という3つの道筋から、ご自身が納得できるキャリアプラン(職業人生の設計図)を描いてみてはいかがでしょうか。
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