バス運転手を目指すなら、まず必要な免許の種類を正しく理解することが重要です。
本記事ではバスの種類ごとに必要な免許の種類、免許取得の流れや費用、バス会社の制度や給付金などの情報を解説します。
- バスの種類別に必要な免許と取得条件
- 免許取得の費用と取得までの流れ
- 会社の支援制度や給付金を活用した費用の軽減方法
1.バスの運転に必要な免許の基本知識

バスの運転には、車両の大きさや用途によって異なる免許が必要になります。まずは基本的な免許の区分と、どのような場合にどの免許が必要なのかを理解しましょう。
第一種免許と第二種免許の違い
自動車の運転免許には、第一種免許と第二種免許の2つの区分があります。
第一種免許と第二種免許の違いとは?
第一種免許
自家用車両の運転を目的とした免許
第二種免許
旅客運送事業で乗客を運ぶ際に必要な免許
第一種免許は自家用車両の運転を目的とした免許で、営利目的での旅客運送はできません。
具体的には、路線バスや観光バス、高速バスなど、乗客から運賃を受け取って運行するバスには必ず第二種免許が必要になります。
また、条件はありますが、ホテルや企業の無料送迎バスなど、第一種免許でも運転可能な場合があります。
この区別は、ナンバープレートの色でも判断でき、営業用の緑ナンバーは第二種免許、自家用の白ナンバーは第一種免許が対応しています。
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二種免許はバス運転手だけでなく、タクシー運転手にも必須の資格です。タクシー業界での二種免許の詳細な取得条件や費用について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご参考ください。
バスの乗車定員によって変わる免許
大きさや乗車定員によって、バスの運転に必要な免許が変わります。

乗車定員30人以上の大型バスには大型免許、11人以上30人未満のマイクロバスには中型免許が必要です。
営業運転を行う場合は、それぞれの対応する第二種免許の取得が必要になります。
しかし、ホテルの無料送迎バスや幼稚園の送迎バスなど、有償で乗客を運んでいない場合であれば、一種免許でも運転することが可能です。
- 白ナンバーで自社の所有している車で送迎している
- 運転手がその施設や園などに所属している
現在普通免許を持っている方は、まず自分の免許でどの範囲のバスが運転できるかを確認し、目指すバス運転手の種類に応じて適切な免許を選択することが重要です。
2.二種免許の取得条件と受験資格

大型二種免許を取得するためには、厳格な条件をクリアする必要があります。年齢、経験、身体的条件など、詳細な要件を確認しましょう。
年齢・免許の取得年数
二種免許の取得には、まず以下のいずれかの条件が必要です。
- 21歳以上、普通免許以上の免許を3年以上受けている
- 一定の教習を修了した19歳以上、普通免許以上の免許を1年以上受けている
この計算では、免許停止処分を受けていた期間は除外されるため、無事故無違反での運転経験が重要視されています。
参考:警視庁|二種免許試験
身体的条件
身体的条件としては、以下の条件が必要です。
適性試験の合格基準
視力
両眼で0.8以上、かつ、一眼でそれぞれ0.5以上(眼鏡やコンタクトレンズの使用可)
色彩識別能力
赤色、青色及び黄色の識別ができること
深視力
三桿(かん)法の奥行知覚検査器により、2.5メートルの距離で3回検査し、平均誤差が2センチメートル以下
聴力
両耳の聴力が10メートルの距離で、90デシベルの警音器の音が聞こえる
(補聴器により補われた聴力を含む)
また、運動能力については、以下のような条件があります。
- 道路交通法施行令第38条の2第4項第1号又は第2号に掲げる身体の障害がないこと
- 自動車等の安全な運転に必要な認知又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなる四肢又は体幹の障害があるが、道路交通法91条の規定による条件を付すことにより、自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがないと認められること
身体の障害とは、四肢や体幹に関することです。障害がある場合でも、自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがないと認められた場合は除かれます。
適性試験の内容については、警視庁より詳細をご確認ください。
参考:茨城県警察|適性試験(視力・色彩識別能力・深視力・聴力・運動能力)
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3.大型二種免許の取得方法と費用

大型二種免許の取得には複数の方法があり、それぞれ費用や期間が異なります。自分の状況に最適な取得方法を選択しましょう。
教習所通学と一発試験のメリット・デメリット
大型二種免許の取得方法は、主に教習所通学と一発試験の2つに分かれます。
教習所通学
教習所通学は最も一般的な方法で、学科・技能教習を経て試験に合格する必要があります。
メリット
- 段階的なカリキュラムに沿って学科と技能の両面から丁寧に指導を受けることができる
- 合格率が高く、初心者でも安心
デメリット
- 費用が高額になる
- 決められたスケジュールに合わせて通学する必要がある
教習所通学の場合、体系的な指導でスキルを習得しやすい環境や、教習所によっては充実した就職サポートを受けられる場合があります。
一方で、費用が高額になることと、教習スケジュールに制約があることがデメリットとなります。
一発試験
一発試験は運転免許試験場で直接受験する方法で、教習所を通さずに学科・技能試験を受けて免許を取得します。事前の独学や練習が必要です。
メリット
- 教習所の費用を大幅に削減できる
- 短期間での取得が可能
デメリット
- 合格率は非常に低い(約7%)
- 練習車両の確保が困難
一発試験の最大のメリットは、教習所の費用を大幅に削減できることです。受験料は約4円程度と教習所費用の10分の1以下程度で済みます。
ただし、合格率は約7%程度と非常に低く、相当な運転技術と知識がなければ合格は困難です。複数回受験すると結果的に費用がかさむ可能性もあり、既に大型車の運転経験が豊富な方や、他の二種免許を既に取得している方に適した方法といえるでしょう。
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大型二種免許の一発試験は合格率が低いですが、適切な準備により合格は可能です。一発試験の詳細な内容や合格のコツについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
取得にかかる費用
教習所通学
大型二種免許の取得費用は、現在保有している免許や取得方法によって大きく変わります。

これらの費用には、入校料、教習料、検定料、教材費などが含まれていますが、大型車以外は、仮免関係手数料2,850円(仮免許試験受験手数料1,700円・仮免許証交付手数料1,150円)の支払いが別途必要です。
合宿
費用を節約する方法として、合宿免許の活用があります。

合宿免許は教習所の宿泊施設に滞在しながら集中的に教習を受ける方法で、通常の通学教習よりも数万円程度安く取得できることが多いです。
通学同様、大型車以外は、仮免関係手数料2,850円の支払いが別途必要になります。また、教習所によっては分割払いが可能で、一括払いが困難な場合でも取得を目指すことができます。
参考:株式会社 I.S.コンサルティング|合宿免許ネクスト|大型二種免許の取得方法と流れ、費用について
学科教習と技能教習の内容・合格率
大型二種免許の学科教習と実技教習の内容は下記のとおりです。
教習内容
学科教習の内容
標識・標示・信号の意味、交通ルール・マナーを学習
悪天候時の運転、見通しの悪い道路、交通整理時の対応など実際の運転で起こりうる状況への対処法を習得。
旅客運転に必要な専門知識も含まれます。
実技試験の内容
第1段階
基本操作、クランク・S字コースで車幅感覚と内輪差を習得
大型車特有の2m離れた左ミラーの距離感覚が重要。
第2段階
路上運転で交通の流れに乗った運転を練習
卒業検定では路端停車(バス停での正確な停車・発進)が最重要課題で、ドア位置を所定位置に合わせ、路端から30cm以内に停車する技術が求められます。
すでに二種免許を取得している場合、学科教習は免除になります。
大型二種免許が難しいとされる理由は、大型車両の運転技術に加えて旅客運送の責任が重いためです。
車両感覚の習得、内輪差や死角への対応、乗客の安全確保、接客スキル、厳格な適性検査など、ドライバーとして求められる技能と知識が幅広く、合格基準も高く設定されているからです。
参考:那須高原合宿予約センター|大型二種免許の難易度と教習内容
合格率
警視庁の運転免許統計によると、大型二種免許の合格率は61.4%です。この合格率は他の免許区分と比較して決して高くはありません。
大型二種免許は路線バスやタクシーなどの旅客運送業務に必要な資格であり、高度な運転技術と安全意識が求められるため、厳格な試験が実施されています。
受験者は学科試験に加えて実技試験でも細かな技能をチェックされ、特に車両感覚や乗客の安全を最優先とした運転操作が評価されます。
4.免許取得の支援制度や給付金

多くのバス会社では、ドライバー不足解消のため免許取得支援制度を設けています。この制度を上手に活用すれば、費用負担を大幅に軽減できます。
バス会社の運転士養成制度
バス会社によっては、運転手不足解消のため二種免許取得支援制度を導入しています。
養成制度とは?
大型二種免許を持たない人が、バス会社に入社後、会社負担で免許を取得できる制度
この制度では、会社が教習所費用を全額負担し、入社前に取得するケースが一般的ですが、会社によっては所定の給与が支払われる場合があります。
免許取得後は一定期間の勤務義務が課せられることが多く、早期退職時には費用返還を求められる場合もあります。
教育訓練給付金
教育訓練給付金とは?
厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した際に、教育訓練経費の一部が支給される制度
教育訓練給付金制度では、最大40%の費用補助を受けられる可能性があります。
給付金の種類と内容
特定一般教育訓練給付金
労働者の速やかな再就職及び早期のキャリア形成に資する教育訓練
受講費用の40%(上限20万円)が支給
一般教育訓練給付金
その他の雇用の安定・就職の促進に資する教育訓練
受講費用の20%(上限10万円)が支給される制度
教育訓練給付金の利用条件
65歳未満であることが前提です。
在職中:雇用保険期間が通算3年以上
無職の方:離職翌日から受講開始日までが1年以内で、かつ前職の雇用保険期間が通算3年以上あること
この制度は厚生労働省が指定した教習所のみで利用できるので、申請前に必ず確認しましょう。また、ハローワークでも支給対象者であるか確認します。
補助金の申請は、卒業検定合格後1ヶ月以内に、管轄のハローワークで支給申請書を提出します。
参考:厚生労働省|教育訓練給付制度/クラウドローン株式会社|大型免許の取得費用に補助金を使う方法|教育訓練給付制度の概要や受給までの流れ、企業向け補助金も解説
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バス運転手を目指す前段階として、準中型免許の取得を検討される方も多いでしょう。準中型免許の詳細な取得方法や費用について知りたい方は、こちらの記事も参考になります。
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5.バス運転手の種類と適性

バス運転手にはさまざまな種類があり、それぞれ異なるスキルと適性が求められます。自分に合った分野を見つけることが重要です。
路線バス
路線バス運転手は定められた路線を時刻表に従って運行し、乗客の安全輸送を担う職業です。
大型車両の運転技術に加え、乗客への接客対応、運賃収受、車内アナウンスなどの業務があります。
早朝・深夜勤務や交代制シフトが特徴で、天候や交通状況への対応力、高い責任感と集中力が求められます。地域の公共交通を支える社会的意義の大きな仕事です。
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路線バス運転手として活躍するためには、特定の適性やスキルが重要です。バス運転手に向いている人の特徴や必要なスキルについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご確認ください。
観光バス
観光バス運転手は、修学旅行、企業研修、団体旅行などの貸切バスを運転し、お客様の特別な時間をサポートする仕事です。
目的地までの安全な送迎はもちろん、観光地での案内やお客様とのコミュニケーションも重要な業務となります。
長距離運転が多いため、体力と集中力が求められますが、全国各地の観光地を訪れることができる魅力があります。
高速バス
高速バス運転手は都市間を結ぶ長距離路線を担当し、夜行バスの場合は乗客の睡眠時間を考慮した静かで安定した運転技術が重要です。
長時間運転のため体力と集中力が必要で、2人乗務制や休憩時間の厳格な管理が義務付けられています。路線バスと比べ運転距離が長く、高速道路での安全運転技術、乗客サービス、荷物管理なども重要な業務です。
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送迎バス運転手の仕事に興味がある一方で、「きつい」という声を耳にすることもあるでしょう。送迎ドライバーの実際の労働環境や対処法について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
6.バスの運転に必要な免許の種類を理解して計画的に取得しよう
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