運eコマースの急成長と人手不足により待遇が向上し、ドライバー業界は絶好の転職チャンスです。
本記事では、ドライバーに転職するために必要な免許取得から給与相場、成功する転職のポイントまで詳しく解説します。
- ドライバー職種別の平均年収と給与体系の仕組み
- 未経験からプロドライバーになるための具体的なステップ
- 転職成功に必要な職務経歴書の書き方と面接対策
1.ドライバーの仕事とは?給与相場と将来性

近年、eコマースの急成長と人手不足を背景に、運送業界は大きな転換期を迎えています。ドライバーの仕事は、安定性と将来性を兼ね備えた魅力的な職種として注目されています。
ドライバー職の平均年収と給与体系
平均年収
主なドライバーの平均年収は下記のとおりです。
トラックドライバー | 大型以外:437万円 大型:492万円 |
タクシードライバー | 415万円 |
バスドライバー | 423万円 |
トラック運転手は大型以外と大型で年収が異なり、大型ドライバーや長距離運転手の方が高収入傾向にあります。
タクシー運転手は地域や勤務体系などにより差があり、バス運転手は路線バスや観光バスなど種類により変動します。
いずれも労働時間の長さや責任の重さが収入に反映されており、経験や技能により昇給の可能性があります。
給与体系
ドライバーの給与体系は、基本給+各種手当+歩合を組み合わせた形が一般的です。
また、配達個数に応じた歩合給制度を導入している企業も多く、頑張り次第で収入アップを図ることができます。
運送業
基配送件数や走行距離、売上金額などの業績によって変動する給与制度
歩合率:48%
宅配・軽貨物の場合、1件あたり100円台~200円程度
タクシー
基本給に加えて売上に応じた歩合給が支払われる給与制度
歩合率:50~60%
給与の内訳としては、基本給のほか下記の手当てなどが設定されており、安定した収入を得られる仕組みが整っています。
- 時間外手当
- 深夜勤務手当
- 走行距離手当
- 無事故手当 など
参考:公益社団法人全日本トラック協会|2023年度版 トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態
2024年の法改正で変わる労働環境
働き方改革により、2024年4月から運送業界の労働環境は大きく変化します。
時間外労働の上限
原則月45時間、年360時間
臨時的な特別な事情がある場合でも年960時間 (休日労働を含まない)が限度
改善基準告示
拘束時間:1年 原則3,300時間 1ヶ月 原則284時間
1日の休息時間:継続11時間を基本とし、9時間を下回らない
トラックドライバーの時間外労働時間や拘束時間などが規制され、より健康的な労働環境が整備されることになります。
一方で、労働時間の制限に伴う収入減少を懸念する声もありますが、多くの企業が基本給の見直しや効率的な配送システムの導入により、収入の維持・向上を図る取り組みを進めています。
2.ドライバーの仕事でおすすめの業界と職種

ドライバー職は幅広い業界で需要があり、働き方や待遇も多様です。安定性と成長性を兼ね備えた業界を選ぶことで、ドライバーに転職した後の長期的なキャリア形成が可能になります。
軽貨物配送ドライバー
ドライバーの仕事が未経験の方には軽貨物ドライバーがおすすめです。普通免許で始められ、車両も軽自動車のため運転しやすく、初心者でも安心してスタートできます。
主な仕事内容
- 荷物の集荷・配達
- 配送ルートの計画・最適化
- 荷物の積み込み・荷降ろし
- 配達伝票・書類の管理
- 車両点検 など
宅配便の再配達や小口配送が主な業務で、重い荷物を扱うことも少なく体力的負担も軽減されます。Amazon FlexやUber Eatsなどのフリーランス型から、安定雇用の企業ドライバーまで働き方も選択可能。
経験を積んでから大型免許取得や他職種への転職も目指せる、キャリアの入口としておすすめの仕事です。
ルート配送ドライバー
ルート配送ドライバーは安定性と働きやすさでおすすめの職種です。決まったルートを回るため道を覚えやすく、顧客との関係も築きやすいのが特徴です。
主な仕事内容
- 定期配送ルートの運行
- 荷物の積み込み・荷降ろし
- 配達伝票・書類の管理
- 車両点検 など
宅配便、食品配送、医薬品配送など業界は多様で、eコマースの拡大により需要も安定しています。体力は必要ですが、一人で作業することが多く人間関係のストレスは少なめです。
普通免許があれば始められ、経験を積めば大型免許取得で収入アップも可能です。
セールスドライバー
セールスドライバーは配送と営業を兼務するドライバーの仕事で、将来性の高いおすすめ職種です。
主な仕事内容
- 営業活動・顧客開拓
- 荷物の積み込み・荷降ろし
- 配達伝票・書類の管理
- 車両点検 など
単純な配送業務だけでなく、顧客との関係構築や新規開拓なども担当するため、営業スキルも身につけられます。
収入面でも配送手当に加えて営業成績に応じたインセンティブが期待でき、一般的なドライバーより高収入が見込めます。将来的には営業職や管理職への転身も可能で、キャリアアップの選択肢が豊富な点が大きな魅力です。
長距離ドライバー
長距離ドライバーは高収入が期待できるおすすめのドライバー仕事ですが、労働時間や体力面での負担も考慮が必要です。月収40万円以上も可能で、一人の時間を有効活用できる特徴があります。
主な仕事内容
- 長距離輸送の運行
- 運行計画・ルート選択
- 荷物の積み込み・固定
- 運転時間・休憩時間の管理
- 配送伝票・書類管理
- 車両の日常点検・整備 など
ただし、家族との時間確保や健康管理が重要な課題となります。
最近では労働環境改善に取り組む企業も増えており、適切な休憩時間や仮眠設備を完備した会社を選ぶことが成功の鍵となります。
3.ドライバーの魅力と注意点

ドライバーという職業には、多くの魅力がある一方で、いくつかの課題もあります。ここでは、この仕事の両面を理解することで、より現実的な職業選択の判断材料としてご紹介します。
自由度の高い働き方
オフィス勤務とは異なり、運転席が職場となるため比較的自由な環境で働けます。決められたルートを走行しながらも、自分のペースで業務を進められる点が魅力です。
また、シフト制の職場が多く、ライフスタイルに合わせた働き方を選択できます。人間関係の煩わしさも少なく、一人の時間を大切にしたい方には適しています。
安定した需要と収入
物流業界や交通インフラは社会に不可欠なサービスのため、安定した需要があります。特に大型トラックやバスの運転手は専門技術が必要で、経験を積むことで収入アップも期待できます。
残業代や深夜手当、長距離手当など各種手当が充実している企業も多く、頑張り次第で高収入を得ることも可能です。
長時間労働と体力的負担
長距離運転や配送スケジュールにより、長時間の運転を強いられることがあります。同じ姿勢を続けることで腰痛や肩こりなどの職業病のリスクも高まります。
また、夜間や早朝の勤務も多く、不規則な生活リズムが健康に影響を与える可能性があります。体調管理と適度な休息が重要な職業です。
4.未経験からドライバーになる方法

未経験からドライバーに転職するのは決して難しくありません。ここでは具体的なステップと活用できる支援制度について詳しく解説します。
必要な免許と資格の取得方法
ドライバーとして働くには、業務に必要な運転免許を取得することが不可欠です。まずは自分が就きたい仕事に必須の免許を確認し、計画的に取得を目指しましょう。
- 大型自動車第一種免許(トレーラーなどの運転に必要)
- 中型自動車第一種免許(トラック、バスなどの運転に必要)
- 準中型自動車免許(4t車までの運転に必要)
- 第二種運転免許(タクシー、バスの旅客運送に必要)
タクシー運転手は普通第二種免許に加え、都市部などの場所によっては「タクシー事業に係る法令、安全及び接遇に関する内容の試験」に合格する必要があります。
第一種・第二種免許の違いとは?
第一種免許
自家用車や貨物運送(トラック、宅配便など)の運転に必要な免許
第二種免許
旅客運送業務(お客様を乗せて運転する仕事)に必要な免許
タクシー、バス、ハイヤーの運転手など
また、免許の取得には、教習所に通う時間とそれなりの費用が必要です。教育訓練給付制度(条件あり)や企業の資格取得支援制度を活用しましょう。
参考:栄泉交通株式会社|『地理試験』が2月をもって廃止になりました
免許や資格を取得するための給付金・支援制度
教育訓練給付制度
教育訓練給付制度は、働く人のスキルアップを支援する厚生労働省の制度です。
雇用保険の被保険者または被保険者だった方が対象で、指定された教育訓練講座を受講・修了した場合に受講費用の一部が支給されます。
教育訓練給付制度の概要
運送業における対象の主な資格や講習
各種免許(第一種・第二種)、フォークリフト運転技能講習、けん引免許 など
支給額(どちらかに該当)
特定一般教育訓練
教育訓練経費の40%(上限20万円)が訓練修了後に支給
一般教育訓練
教育訓練経費の20%(上限10万円)が訓練修了後に支給
雇用保険の被保険者を対象とした制度のため、下記の条件が必要です。
- 65歳未満
- 在職中の方は、雇用保険期間が通算3年以上
- 無職の方は、離職翌日から受講開始日までの期間が1年以内、かつ前職の雇用保険期間が通算3年以上
指定された教習所のみ利用が可能です。まずは管轄のハローワークに適用されるか確認し、卒業検定合格後1ヶ月以内に申請してください。
参考:クラウドローン株式会社|クラウドローン|大型免許の取得費用に補助金を使う方法|教育訓練給付制度の概要や受給までの流れ、企業向け補助金も解説
資格取得支援制度
ドライバー業界では深刻な人手不足を背景に、企業による資格取得支援制度が重要な役割を果たしています。
多くの運送会社やタクシー会社では、普通免許から大型免許や二種免許への取得費用を一部もしくは全額負担し、研修期間中の給与保障も行っています。
この制度により未経験者の参入障壁が下がり、企業は安定した人材確保が可能になります。また従業員にとっては初期投資なしでキャリアアップでき、双方にメリットがある制度として定着しています。
5.成功するドライバー転職のポイント

ドライバーに転職を成功させるためには、準備と戦略が重要です。ここでは、書類選考から面接、給与交渉まで、プロドライバーへの転職を成功に導くための具体的なポイントをご紹介します。
差がつく職務経歴書の書き方
ドライバー転職では運転技術だけでなく、安全運転への意識や責任感をアピールすることが重要です。
- 無事故・無違反の実績
- 荷物の取り扱い経験
- 顧客対応スキル など
上記について具体的な数字や期間とともに記載しましょう。
また、フォークリフトや危険物取扱者などの関連資格、GPS操作やデジタコ使用経験も付加価値として明記します。
前職での改善提案や効率化の取り組みがあれば積極的に書き、安全で信頼できるドライバーであることを印象づける職務経歴書を作成しましょう。
面接で好印象を与える志望動機の伝え方
ドライバー面接では「運転が好き」だけでなく、その会社を選んだ具体的な理由を述べることが重要です。会社の安全管理体制や教育制度、働き方への共感を示し、長期的に貢献したい意欲をアピールしましょう。
また、お客様や荷主への責任感、チームワークを大切にする姿勢を伝えることで信頼性を印象づけられます。
前職での経験を活かしてどのように貢献できるかを具体例とともに説明し、単なる転職ではなく成長意欲のある人材であることを伝えることが成功のポイントです。
給与交渉のコツと相場感
ドライバーの給与交渉では業界相場を事前に把握することが重要です。交渉時は保有資格や無事故年数、前職での実績を具体的に提示し、自身の価値を客観的にアピールしましょう。
また、基本給だけでなく各種手当や賞与、昇給制度についても確認が必要です。相場を大幅に上回る要求は避け、段階的な昇給の約束を取り付けるなど現実的な交渉を心がけることが成功のコツです。
6.ドライバー転職で新たなキャリアを築こう
ドライバー業界は人手不足と労働環境改善により、未経験者がドライバーに転職するには絶好のチャンスです。軽貨物から長距離まで多様な働き方があり、大型免許取得で年収400万円超も目指せます。
教育訓練給付制度や企業の資格取得支援を活用し、安全運転実績と責任感をアピールする職務経歴書で転職成功を掴みましょう。安定性と将来性を兼ね備えたドライバーへの道が開かれています。