自動車整備士に興味があるものの「未経験・無資格だから」と諦めている方へ。
見習いの仕事内容、給料、資格取得までの道筋など、未経験ならではの不安を解消し、最短で整備士になるための確実なルートを解説します。
- 自動車整備士の見習い(未経験・無資格)の具体的な仕事内容
- 見習い期間中の給料や将来性、学歴や年齢に関する不安への回答
- 働きながら実務経験を積み、最短で「3級自動車整備士」の資格を取る方法
1.自動車整備士の見習いは「未経験・無資格」でもなれる?

結論として、自動車整備士の見習いとして働き始めること自体は、未経験・無資格でも可能です。
多くの整備工場(特に人手不足が課題となっている中小企業)では、未経験者を採用し、見習いとして働きながら技術を学んでもらう「OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)」の体制を整えています。
ただし、「無資格でできる業務」と「資格がないと絶対にできない業務」には、法律で定められた明確な違いがあります。
無資格でもできる仕事内容(見習いの業務)
見習い期間中は、主に整備士の補助業務を担当します。これらは資格がなくても行える作業です。
- 洗車、車内清掃
- タイヤ交換、オイル交換、ワイパーゴムの交換
- 工具の準備、片付け、工場の清掃
- 先輩整備士の作業補助(部品の受け渡し、ライトでの照射など)
- (慣れてくれば)車検の完成検査の補助 など
まずはこうした補助的な業務を通じて、工具の名前や使い方、作業の基本的な流れを覚えていくことになります。
資格がないとできない仕事(分解整備)
自動車整備士の資格が必須となるのは、「分解整備」と呼ばれる作業です。
これは、エンジン、トランスミッション、ブレーキなど、車の走行や安全に直結する重要な装置を取り外して行う整備作業を指します。
これらの作業は、国から認証を受けた「認証工場」または「指定工場」において、有資格者(自動車整備士)でなければ行ってはならないと法律で定められています。

未経験・無資格の見習いとして入社した場合、まずは補助業務からスタートし、この「分解整備」を行える国家資格の取得を最初の目標とすることになります。
▼あわせて読みたい
自動車整備士の具体的な仕事内容や1日の流れについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
2.見習いになるための不安解消Q&A

未経験から新しい業界に挑戦する際は、様々な不安がつきものです。特に多く寄せられる疑問にお答えします。
学歴(中卒・高卒)や年齢は関係ある?
学歴や年齢を問わず、見習いとして採用している企業は多数存在します。特に中卒や高卒からスタートし、現場で技術を磨いて活躍している整備士は少なくありません。
ただし、後述する国家資格(3級)の受験資格には「義務教育を修了していること」が含まれます。
年齢については、若手を採用したい企業もあれば、社会人経験や責任感を重視して30代、40代の未経験者を採用する企業もあります。

重要なのは「技術を身につけたい」という意欲です。
見習い期間中の給料や年収は?
見習い期間中(無資格・未経験)の給与は、その地域の最低賃金に近い水準からスタートすることが一般的です。
年収としては250万円~300万円程度が目安となるでしょう。
決して高いスタートとは言えませんが、自動車整備士は「資格と技術」が収入に直結する仕事です。3級、2級と資格を取得し、できる作業が増えるにつれて、着実に給与は上昇していきます。
▼あわせて読みたい
自動車整備士の年収について、業種別・年代別の詳細データや年収アップの具体的な方法を知りたい方はこちらをご確認ください。
「きつい」「辞めたい」と聞くが将来性はある?
「きつい」と感じる理由には、オイルなどで汚れる作業環境、中腰など体を使う姿勢、夏の暑さ・冬の寒さなどが挙げられます。
しかし、自動車業界は「100年に一度の変革期」を迎えています。
ハイブリッド車(HV)、電気自動車(EV)、自動運転技術など、新しい技術が次々と導入されており、それに対応できる整備士の需要は非常に高まっています。
旧来の「油まみれのきつい仕事」というイメージから、最新技術を学ぶ「テクニカル・スペシャリスト」へと、整備士の役割は変化しています。

確かな技術を身につければ、将来性の明るい分野です。
■派遣という選択肢で、整備士のキャリアをスタート
未経験から整備士を目指すなら、派遣という働き方も選択肢の一つです。カラフルスタッフィング メカニックは、車両整備士・メカニックに特化した人材派遣サービスです。専門のコーディネーターが希望に合ったお仕事をご提案し、有名ディーラーでスキルや経験を積めるチャンスもあります。まずは派遣で経験を積みながら、資格取得を目指すことも可能です。
▼カラフルスタッフィング メカニックへのお問い合わせはこちら
3.【重要】働きながら資格を取る「実務経験ルート」とは

未経験から整備士を目指す上で、現実的で重要なルートが、働きながら受験資格を得る「実務経験ルート」です。
専門学校ルートとの違い(メリット・デメリット)
整備士資格を取得するには、大きく分けて2つのルートがあります。
専門学校ルート
国土交通大臣が指定する専門学校や職業訓練校に通う。卒業すると3級の受験資格や、2級の(実技試験免除での)受験資格が得られる。
- メリット
集中的に学べる、同期の仲間ができる。 - デメリット
学費(2年間で200万円以上)がかかる、その期間は収入がない。
実務経験ルート
先に整備工場で見習いとして就職し、実務経験を積んで受験資格を得る。
- メリット
給料をもらいながら学べる、学費がかからない。 - デメリット
自分で勉強時間を確保する必要がある。
経済的な負担なくキャリアをスタートできるため、多くの方がこの「実務経験ルート」を選択しています。
▼あわせて読みたい
未経験から自動車整備士への転職を検討している方は、転職の具体的なステップや必要な準備についてこちらで詳しく解説しています。
ステップ1:実務経験が積める「認証工場」「指定工場」で働く
このルートで重要なのが、最初の職場選びです。
受験資格として認められる「実務経験」は、国から認められた「認証工場」または「指定工場」で働いた期間でなければなりません。(ガソリンスタンドやカー用品店での軽作業は、実務経験に含まれない場合があります)
求人を探す際は、その企業が「認証工場」または「指定工場」であるかを必ず確認してください。
ステップ2:「1年以上の実務経験」を積む
認証工場などで「1年以上の実務経験」を積むと、国家資格である「3級自動車整備士」の受験資格が得られます。
まずはこの「実務経験1年」と「3級合格」が、未経験から整備士になるための最初の大きな目標となります。
■派遣で認証工場・指定工場での実務経験を積む
実務経験を積める職場選びに悩んでいませんか?カラフルスタッフィング メカニックでは、認証工場や指定工場での派遣求人を多数ご用意しています。専門コーディネーターが、資格取得に必要な実務経験が積める職場をご紹介。派遣なら、複数の職場で経験を積むことで、幅広い技術を身につけることも可能です。
▼カラフルスタッフィング メカニックへのお問い合わせはこちら
4.最短で整備士になるための「3級自動車整備士」資格ガイド

「3級自動車整備士」は、自動車整備の基本的な知識と技能を持つことを証明する国家資格です。ここが整備士キャリアの正式な入り口となります。
試験の内容(学科と実技)
試験は「学科試験」と「実技試験」に分かれています。
- 学科試験
構造・機能・取扱方法、点検・修理・調整の方法、整備用機器や材料の知識、保安基準などの法律知識が問われます。(マークシート方式) - 実技試験
実際に工具を使って、基本的な測定や分解・組立、点検・調整などを行う試験です。
【ノウハウ】実技試験が免除される「自動車整備士技術講習」
働きながら勉強する方にとって、実技試験の対策は大きな負担となります。
そこでおすすめしたいのが、各都道府県の「自動車整備振興会」が実施している「自動車整備士技術講習」です。
この講習(3級の場合は約半年間、夜間や日曜日などに開催されることが多い)を受講し、修了試験に合格すると、国家試験の「実技試験」が免除されます。
多くの整備工場では、この講習の費用を負担してくれる「資格取得支援制度」を設けています。実務経験ルートを選ぶ際は、こうした制度が整っている企業を選ぶことも重要です。
自動車整備士技術講習とは
自動車整備技術講習は、国土交通大臣指定の講習所が整備工場等で働く方を対象に実施しています。年2回(4月~9月、10月~翌年3月)開催され、平日昼間・夜間や日曜昼間のコースがあり、働きながら学べます。修了すると2年間検定実技試験が免除され、学科試験に合格すれば整備士資格を取得できます。
▼あわせて読みたい
3級自動車整備士資格について、より詳しい試験内容や合格率、具体的な仕事内容を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
■資格取得支援が充実した派遣先をご紹介
働きながら資格を取得するには、職場のサポート体制が重要です。カラフルスタッフィング メカニックでは、自動車整備士技術講習の費用補助や、資格取得支援制度が整った派遣先を多数ご用意。有名ディーラーでの勤務機会もあり、充実した環境で学びながら働けます。あなたの資格取得をしっかりサポートします。
▼カラフルスタッフィング メカニックへのお問い合わせはこちら
5.見習いから始まるキャリアパス

3級資格はスタートラインです。その先には、作業できる内容がもっと濃くなります。
3級取得後のステップアップ(2級・1級・特殊整備士)
3級合格後、さらに実務経験を積むことで、より上位の資格に挑戦できます。
- 2級自動車整備士
分解整備全般を行える、整備士の「主力」となる資格。多くの整備士がこの資格を持っています。(3級合格後、さらに実務経験が必要) - 1級自動車整備士
整備士の最上位資格。環境保全や安全管理、他の整備士への指導も行う高度な資格です。 - 特殊整備士
「車体」「電気装置」「タイヤ」など、特定の分野に特化したスペシャリスト資格です。
管理職(運行管理者)や独立開業への道
現場での経験を積んだ後は、管理職への道もあります。
例えば、ドライバーの安全やスケジュールを管理する国家資格「運行管理者」は、整備の知識があると非常に有利な資格です。
整備管理者と運行管理者を兼務し、営業所の責任者として活躍する道も開けます。
▼あわせて読みたい
自動車整備士への転職活動を本格的に始める方は、おすすめの転職サイトや選び方のポイントをこちらでチェックしてください。
6.未経験からでも始められる!自動車整備士としての確かな第一歩を
自動車整備士は、未経験・無資格からでも「正しい手順」を踏めば、着実にキャリアを築いていける専門職です。
重要なのは、まず「認証工場」や「指定工場」で見習いとして働き始め、実務経験1年を積んで「3級整備士」の資格を取得すること。
そして、資格取得を支援してくれる制度が整った職場で、確かな第一歩を踏み出すことです。
技術革新が進む自動車業界で、社会を支える「専門職」としてのキャリアをスタートする。そのような選択肢もあるのでぜひ検討してみてください。