2025年6月から運送業界では熱中症対策が法的義務となり、違反すると6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。
運送業は熱中症死傷者数が全業種第3位という深刻な状況にあり、企業は早急な対策が求められています。
本記事では義務化に対応した7つの必須対策、個人レベルの予防法、成功企業の実践事例まで、運送業界に特化した包括的な熱中症対策を解説します。
- 2025年6月義務化される熱中症対策の法的要求事項と企業が実施すべき7つの必須対策
- トラックドライバーや倉庫作業員が個人で実践できる効果的な熱中症予防法
- 予算別の対策グッズ選択方法と段階的な準備チェックリスト
1.運送業で熱中症対策が急務となる3つの理由

運送業界が熱中症対策を急務として取り組まなければならない背景には、法的義務化、業界特有の高いリスク、そして企業経営への深刻な影響という3つの重大な理由があります。
2025年6月から熱中症対策が法的義務となる
2025年6月1日より、労働安全衛生規則の改正により、企業における熱中症対策が罰則付きで義務化されます。
これまで努力義務とされてきた対応が、明確な法的義務へと変わる歴史的な転換点です。
義務化される具体的な対策内容
- 熱中症の自覚症状がある作業者や、熱中症のおそれがある作業者を見つけた者が報告するための体制整備
- 作業からの離脱や身体の冷却
- 医師の診察など症状悪化防止のための措置と実施手順の策定
- 関係作業者への周知徹底
対象となる作業は、WBGT値28℃以上または気温31℃以上の環境下で、継続して1時間以上、または1日当たり4時間を超える作業が見込まれる場合に適用されます。

違反時には労働安全衛生法第22条違反として6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
運送業は熱中症死傷者数第3位の高リスク業界

引用:厚生労働省│令和4年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)
厚生労働省の「令和4年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況」によると、2018年から2022年の熱中症による業種別死傷者数において、運送業は建設業、製造業に次いで第3位を占めており、全体の14%にあたる深刻な状況です。
2022年は熱中症による死傷者827人中、129人が運送業従事者でした。
運送業特有のリスク要因として、トラックドライバーは運転による緊張状態で汗をかきやすい一方で、トイレに行きにくいために水分補給を控える傾向があり、気付かぬうちに脱水状態になるケースが多発しています。
さらに、エアコンの効いた車内と夏の暑い屋外作業との温度差は体への負担が大きく、環境配慮によるアイドリングストップにより休憩中や待機中に車内の冷房が切れて急激に温度が上昇し、仮眠中の熱中症リスクが高まる特有の危険性もあります。
熱中症事故は重大な企業損失につながる
熱中症による労災は、企業にとって深刻な経営リスクをもたらします。
労災保険制度上、業務との関連性と因果関係が認められれば熱中症は労災として認定され、労災事故の増加は企業の労災保険料率に直接影響し、長期的なコスト増加要因となります。
損害賠償責任の面では、造園業での死亡事案において慰謝料2,500万円と逸失利益1,680万円を合わせて約3,600万円の賠償責任が認められた判例があり、運送業においても同様の高額賠償リスクが存在します。
さらに深刻なのは、企業の社会的信用失墜と人材確保への悪影響です。熱中症による事故は企業の安全管理体制への不信を招き、優秀な人材の確保と定着に深刻な影響を与えます。

特に運送業界では慢性的な人材不足が課題となっている中、労働環境の安全性は人材獲得の重要な要素となっています。
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2.運送業で熱中症が発生しやすい4つの危険シーン

運送業界では職種の特性上、特有の環境や作業形態により熱中症が発生しやすい危険なシーンが存在します。これらのリスクを正確に理解することが効果的な対策の第一歩となります。
長時間運転中の「かくれ脱水」
トラックの運転席は一見安全に思えますが、実は「かくれ脱水」の温床となる危険な環境です。エアコンの効いた車内は乾燥しているため、喉が渇いた実感がなくても気づかないうちに脱水状態に陥ってしまいます。
この状況が特に危険なのは、ドライバーが意図的に水分摂取を控える傾向があることです。長時間運転でトイレに行きにくいという事情から、水分補給を避けがちになり、気付かぬうちに深刻な脱水状態になってしまいます。
さらに、運転への集中により無意識のうちに汗をかいている状態が続くため、体内の水分と電解質バランスが徐々に崩れていきます。

冷房により湿度が下がった車内では、皮膚や呼吸から失われる水分量が増加し、体感的な暑さを感じないまま脱水が進行するという非常に危険な状況が生まれます。
荷積み・荷下ろし作業での急激な温度変化
荷積み・荷下ろし作業は、運送業において最も熱中症リスクが高い作業の一つです。エアコンの効いた車内から炎天下の荷台への移動により、急激な温度変化が体温調節機能に大きな負担をかけます。
冷房の効いた車内(約25℃)から炎天下の荷台(40℃以上)への移動は、15℃以上の急激な温度差を体に与えます。この環境変化により、体温調節機能が追いつかず、短時間で体温が上昇してしまいます。
重量物の運搬による激しい発汗と体力消耗がこれに加わることで、熱中症のリスクがさらに高まります。
また、配送スケジュールの都合上、十分な休憩時間を確保できないケースも多く、体温を下げる機会がないまま次の作業に取り掛からざるを得ない状況が発生します。

特に金属製のトラック荷台は太陽光により高温になりやすく、輻射熱の影響で体感温度はさらに上昇します。
アイドリングストップ時の車内温度急上昇
環境配慮やコスト削減のため、多くの運送会社がアイドリングストップを義務付けていますが、これが新たな熱中症リスクを生み出しています。
休憩中や待機中にエンジンを切ることで車内の冷房が停止し、急激な温度上昇が発生します。特に危険なのは仮眠中の熱中症リスクです。
エンジンを切った車内では、睡眠中に体温調節能力が低下している状態で温度が上昇するため、気づかないうちに深刻な熱中症に陥る可能性があります。
夏季の車内温度は、エンジン停止後30分程度で外気温を大幅に上回り、密閉された空間では50℃を超えることもあります。
長時間待機が必要な荷主との調整や交通渋滞による待機時間の長期化は、この危険性をさらに高めます。

また、CO2削減要求と安全確保のジレンマにより、ドライバーが適切な判断を下しにくい状況も生まれています。
倉庫内作業での高温多湿環境
倉庫内での作業は、運送業において見落とされがちながら高い熱中症リスクを抱える危険な環境です。倉庫は施設面積が広大なため冷房効率が悪く、気温や湿度が高くなりやすい特性があります。
多くの倉庫では金属製の屋根を使用しているため、日射による放射熱の影響を受けやすく、倉庫内の気温を大幅に上昇させます。天井の高い広大な空間では冷房効果が限定的であり、作業エリア全体を適切な温度に保つことが困難です。
さらに、荷物の出入りによる外気の流入により湿気が蓄積され、高温多湿の密閉空間が形成されます。
この環境下でのフォークリフト作業や手作業による荷物の移動は、大量の発汗を伴う重労働となり、体温上昇と脱水を同時に引き起こします。

特に午後の時間帯では、屋根からの輻射熱により倉庫内温度が外気温を大幅に上回ることも珍しくありません。
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3.トラックドライバー向け個人でできる効果的な熱中症対策

企業レベルの対策と並行して、ドライバー個人が実践する熱中症対策も極めて重要です。日常的に実行可能な具体的な予防策により、自身の健康を守ることができます。
こまめな水分・塩分補給のコツ
トラックドライバーの熱中症対策において最も基本となるのが、計画的な水分・塩分補給です。エアコンの効いた車内は乾燥しているため、喉が渇いた実感がなくても「かくれ脱水状態」に陥る危険性があります。
効果的な補給スケジュール
- 運転開始時に200mlを摂取
- 運転中は20-30分ごとにコップ1杯(150-200ml)
- 荷積み・荷下ろし前後には各200mlの追加摂取を行う
- 1日総摂取量2.5-3リットルを目標とする
通常運転時は水や麦茶でカフェインを避け利尿作用を防ぎ、発汗量の多い時はスポーツドリンクで電解質を補給し、体調不良時は医学的に設計された経口補水液を選択します。

塩分補給では、1時間の運転につき塩飴1個を目安とし、塩分濃度1-3%の製品で過剰摂取を避けます。
車内環境を快適に保つ工夫
車内の温度上昇を効果的に抑制し、快適な運転環境を維持するための具体的な対策を実施します。
休憩中はトラックの窓を日よけやサンシェードで覆うことで車内の温度上昇を抑制できます。
フロントガラスには吸盤式大型サンシェード、サイドウィンドウにはカーテンレール設置による開閉可能な遮光、後部窓には遮光フィルム貼付による常時遮熱を行います。
アイドリングストップが必要な場合は、USBで充電できる小型の扇風機が重宝します。
首振り式USB扇風機をダッシュボードに設置し、12V電源対応のポータブル冷風機、冷却ファン付きシートクッションを運転席専用で活用します。

通気性の良いメッシュクッション、事前に冷蔵庫で冷やしたジェル冷却マット、竹製や麻製の天然素材カバーによるシートクッションやクールマットの使用も効果的です。
体調管理と暑熱順化の重要性
熱中症予防において、前日からの体調管理と体の暑さへの適応が重要となります。
睡眠不足や疲労の蓄積、体調不良の状態では熱中症のリスクが大幅に高まるため、業務前にはしっかりとした休息をとり、体調不良の場合には無理をせずに休むことが重要です。
睡眠の質向上対策として、7-8時間の十分な睡眠確保、就寝2時間前のスマートフォン使用停止、寝室温度26-28℃の適切な空調管理を実践します。
トラックに乗る前の日の飲酒は控えめにし、アルコールの利尿作用による脱水症状の発生を防ぎます。

暑熱順化では、厚生労働省推奨の7日間プログラムを実施し、1-2日目は軽いウォーキング15分、3-4日目はジョギング20分、5-6日目は階段昇降25分、7日目以降は通常作業レベル30分以上の段階的な体慣らしを行います。
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個人対策と併せて、働きやすい環境の運送会社への転職も効果的です。トラックドライバーの年収相場を把握して、より良い条件の企業を探してみませんか。
4.倉庫・物流センターでの実践的熱中症対策

倉庫や物流センターは広大な空間と特殊な環境条件により、独特の熱中症リスクを抱えています。施設の特性を考慮した包括的な対策により、安全な作業環境を実現する必要があります。
設備面での環境改善策
倉庫内の物理的環境を根本的に改善することで、熱中症リスクを大幅に軽減できます。
倉庫は施設面積が広大なため冷房効率が悪く、気温や湿度が高くなりやすい環境であるため、効率的な空調システムの導入が必要になるかもしれません。
大型シーリングファンを天井に設置することで空気循環を促進し、1台で直径7-10m範囲をカバーできます。
スポットクーラーによる作業エリア限定冷房は移動可能で柔軟な配置が可能であり、業務用除湿機により湿度60%以下を維持することで体感温度を低下させます。
金属製屋根を使用している倉庫では日射による放射熱の影響を受けやすいため、屋根散水システムの導入により表面温度を15-20℃低下させ、自動制御システムで外気温30℃以上時に作動させます。

節水型ミストノズル使用により水使用量を最小化し、運用コストを抑制します。
作業管理での工夫
作業の進め方や時間配分を工夫することで、人的資源を最大限活用しながら熱中症リスクを軽減します。
体調が悪くても我慢してしまう作業員への配慮として、業務中の体調不良に早期対応できるよう単独作業を避け、周囲の人が注意できる体制を整備します。
高温エリア30分、低温エリア30分の交代制により、年齢・体力を考慮したペア編成を行い、新人は必ずベテランとペアリングします。
作業強度に応じた時間管理では、フォークリフト作業は連続45分・休憩15分、手作業仕分けは連続60分・休憩20分、重量物運搬は連続30分・休憩20分のサイクルを基本とします。

最適な作業時間配分として、早朝シフト(5:00-13:00)では重労働を中心とし、日中シフト(9:00-17:00)では軽作業・管理業務、夜間シフト(17:00-1:00)では通常作業に復帰します。
従業員サポート体制
個々の従業員を支援する人的体制を構築し、相互監視と早期発見により安全を確保します。
各フロア・エリアに専任の熱中症対策リーダーを配置し、2時間ごとの作業員体調確認ラウンド、WBGT値測定と記録管理、体調不良者の早期発見と対応指示を担当させます。
リーダーは熱中症に関する専門知識を習得し、緊急時の判断力と対応力を身につけます。2人1組での作業実施を基本とするバディシステムにより、30分ごとの相互体調確認を義務化し、異変発見時の報告ルートを明確化します。
毎日の始業時・休憩時に記録する体調確認チェックシートでは、体温、睡眠時間、水分摂取量、疲労度を5段階で評価し、正常範囲を外れた場合は要注意または作業停止の判断を行います。

記録は週次で傾向分析を実施し、リスクの高い作業員への個別指導、産業医との情報共有による健康管理強化を図ります。
5.費用対効果の高い熱中症対策グッズ15選

限られた予算の中で最大の効果を得るため、投資対効果の高い熱中症対策グッズを価格帯別に厳選しました。企業規模や予算に応じた適切な選択により、効率的な対策を実現できます。
個人用冷却グッズ(5,000円以下)
個人レベルで導入可能な低価格帯のグッズでも、適切な選択により高い効果を期待できます。
冷却タオル・ネッククーラー(500-2,000円)は、水に濡らすだけで冷却効果が持続し、首の動脈冷却により体感温度を3-5℃低下させます。
運転中・荷作業中の継続使用が可能で、洗濯により繰り返し使用できる経済性があります。
冷却ベスト・アンダーウェア(2,000-5,000円)には、保冷剤タイプ(4-6時間の冷却効果、洗濯可能)と水冷却タイプ(気化熱利用、軽量で動きやすい)があり、倉庫作業・荷積み作業での体温上昇抑制に効果的です。
ポータブル扇風機・送風機(1,000-3,000円)は、USB充電式で車内使用に適し、クリップ式は作業台・車内への取り付けが可能、ハンディ式は休憩時の個人使用に最適です。

塩分補給食品・経口補水液(100-500円/個)は、塩分タブレットが1日分個包装で携帯便利、経口補水液は医学的に設計された電解質バランスを提供します。
車両・倉庫用設備(50,000円以下)
中規模投資により、職場環境を大幅に改善できる設備を導入します。
遮熱フィルム・サンシェード(3,000-15,000円)では、車両用遮熱フィルムが赤外線カット率90%以上を実現し、大型サンシェードと組み合わせることで車内温度上昇を5-10℃抑制できます。
あらかじめ車内用の遮光カーテンを設置することも効果的です。
ポータブルクーラー・冷風機(15,000-45,000円)は、12V電源対応でトラック電源直結が可能、バッテリー内蔵型はアイドリングストップ時に対応し、3-6畳相当の冷房効果を提供します。
WBGT測定器・温湿度計(8,000-35,000円)では、黒球がないものは室内用のため、屋外では正しくWBGTが計測されないため黒球付きを選択します。
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6.【法令対応】企業が実施すべき7つの必須熱中症対策

2025年6月からの義務化に対応するため、運送企業が法的要求事項を満たしながら、実効性の高い熱中症対策を実施する必要があります。
以下の7つの対策は必須要件として確実な実行が求められます。
WBGT測定器の導入と記録管理
法令で定められたWBGT値28℃以上または気温31℃以上の環境での作業制限を適切に実施するため、正確な測定体制の構築が必要になるかもしれません。
- 測定器
屋外作業に対応した黒球付きのものを選択し、JIS規格(JIS B 7922:2023 CLASS1.5)に準拠した製品を導入 - 測定頻度
作業開始前および作業中2時間ごとの定期測定を基本とし、測定値、測定時刻、測定場所、気象条件を詳細に記録する
記録は労災調査への対応を考慮して3年間の保管が義務となるため、紙媒体とデジタルデータの両方で管理することが推奨されます。
測定担当者には適切な使用方法の教育を実施し、機器の保守管理も定期的に行います。

WBGT値が基準値を超えた場合の作業制限や休憩時間の延長などの対応手順も事前に策定し、現場の管理者や作業員に周知徹底を図ります。
緊急時対応体制の整備
熱中症の疑いがある作業者の早期発見と適切な対応を実現するため、明確な報告体制と緊急時対応手順の整備が法的に義務付けられています。
各事業所に熱中症対策責任者を配置し、日常的なWBGT値の監視、作業員の体調チェック、緊急時の判断と指揮権限を明確に定めます。
緊急連絡網は、作業現場から責任者、管理者、救急機関への明確な報告ルートを設定し、24時間対応可能な連絡体制を構築します。
連絡先は全作業員が確認できる場所に掲示し、緊急搬送先の医療機関の連絡先と所在地、アクセス方法も事前に確認しておきます。
救急搬送手順では、作業中止、身体冷却、医療機関への搬送など症状の重篤化を防ぐために必要な措置の内容とその実施手順を詳細に定め、関係者への周知を徹底します。

定期的な緊急時対応訓練を実施し、実際の場面で迅速かつ適切な対応ができるよう準備を整えます。
作業環境の改善対策
倉庫内や作業場の物理的環境を改善することで、熱中症のリスクを根本的に軽減します。
- 倉庫内換気システムの強化
大型産業用扇風機の設置による空気循環の促進、換気扇の増設と自動制御システムの導入、断熱材の追加施工による屋根からの輻射熱軽減を実施 - 遮熱・断熱対策
作業場所への日よけの屋根設置、車両への遮熱フィルム貼付、作業服の遮熱性向上を図る - 休憩所の冷房設備充実
作業場所の近くに簡易休憩場所を設置し、随時休憩できる環境を整備する
冷水器や製氷機の設置、体を冷やすためのタオルや保冷剤の常備も重要な対策です。

これらの設備投資は初期コストがかかりますが、従業員の健康保護と生産性向上、労災リスクの軽減を考慮すると、中長期的には十分な投資効果が期待できます。
作業時間・スケジュールの調整
高温環境下での作業リスクを軽減するため、作業時間帯の調整と適切な休憩時間の確保が必要になるかもしれません。
午前10時から午後4時までの最も気温の高い時間帯の作業を可能な限り短縮し、早朝や夕方への作業シフト変更を実施します。
気温予報とWBGT予測値に基づく柔軟なスケジュール調整により、リスクの高い日の作業内容を事前に見直します。定期的な休憩の強制実施では、30分作業、15分休憩のサイクルを基本とし、WBGT値に応じて休憩時間をさらに延長します。
休憩取得は推奨ではなく義務化し、管理者による確認と記録を徹底します。作業ローテーションの導入により、高温作業と低温作業を組み合わせ、作業員の体力と年齢を考慮した適切な配置を行います。

単独作業は可能な限り回避し、バディシステムを採用して相互監視による安全確保を図ります。
健康管理体制の構築
従業員の健康状態を日常的に把握し、熱中症リスクの高い状況を事前に察知する体制を構築します。
- 始業前健康チェック
毎日の作業開始前に体温測定(37℃以上は作業禁止)、睡眠時間と前日の飲酒状況確認、体調に関する自己申告を義務付ける
チェック結果は記録として保管し、個人の健康傾向の把握に活用します。
体調不良者の作業制限では、体調が悪くても我慢してしまう作業員への配慮として、業務中の体調不良に早期対応できるよう単独作業を避け、周囲の人が注意できる体制を整備します。
管理者は作業員の様子を定期的に確認し、異常を察知した場合は即座に対応します。定期的な健康診断では、熱中症リスクの高い従業員を特定し、既往症や服薬状況を把握します。

産業医による個別指導も実施し、個人の健康状態に応じた作業配置や注意事項を決定します。
従業員教育・研修の実施
熱中症に関する正しい知識と対処法を全従業員が習得するため、体系的な教育プログラムを実施します。
月一回の安全衛生会議において熱中症予防対策に対する意識を高め、危機感を持つよう継続的な教育を行います。
教育内容には熱中症の段階別症状と危険性、初期症状の見極め方、応急処置の具体的手順を含めます。
管理者向けには、作業員が熱中症になった時の対応について3~7時間程度の専門教育を実施し、緊急時のリーダーシップと判断力を養成します。
水分・塩分補給の正しい知識として、1時間あたり200-300mlの水分補給目安、経口補水液とスポーツドリンクの使い分け、塩分濃度0.1-0.2%の推奨摂取量を具体的に指導します。

危険行動の防止指導では、「我慢は美徳」の意識を改革し、体調異変の早期報告を義務化し、同僚の異変への気づきと声かけを促進します。
熱中症対策グッズの配備
個人および職場レベルでの具体的な熱中症対策用品を計画的に配備し、即座に利用できる体制を整えます。
- 全作業員への個人用冷却ベストの支給、首・手首・足首の動脈冷却用ネッククーラー、保冷剤の定期交換システムを構築
- 各作業場への経口補水液の配置(1人1日2本以上)、塩分タブレットや塩飴の無料提供、冷蔵保管システムの整備を行う
- 体温測定器具として、各拠点への非接触型体温計の配置、管理監督者向けの救命救急講習受講促進、必要な応急キットの完備を実施
- 緊急時用の冷却スプレーや氷嚢も準備する
これらのグッズは消耗品として定期的な補充が必要であり、在庫管理と予算計画を適切に行います。

使用方法の指導も重要であり、効果的な活用のための教育も併せて実施します。
7.運送業界の熱中症対策で実現する安全な未来
運送業界における熱中症対策は、2025年6月の法制化により単なる努力義務から法的義務へと変わります。
WBGT測定器の導入、緊急時対応体制の整備、従業員教育の実施など7つの必須対策を確実に実行することで、法令遵守と従業員の安全確保を両立できます。
個人レベルでも、こまめな水分補給、車内環境の改善、体調管理により効果的な予防が可能です。重要なのは完璧を目指すことではなく、企業規模や予算に応じて今できることから確実に始めることです。
成功企業の事例が示すように、計画的な取り組みにより熱中症による労災ゼロは実現可能です。従業員の健康と生命を守ることは企業の社会的責任であり、同時に人材確保と企業競争力向上にもつながります。
今すぐ行動を開始し、安全で持続可能な運送業界の未来を築いていきましょう。
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