ユンボ（油圧シャベル）の資格取得方法とは？やリアパスも解説

建設現場で活躍するユンボ（油圧シャベル）を操縦するには法定資格が必要です。機体重量によって必要な資格が異なり、取得方法や費用も変わります。

本記事では資格の種類から取得手順、費用相場まで詳しく解説します。適切な資格を取得して安全に作業を行いましょう。

1．ユンボとは？

ユンボは、油圧を利用してアームやバケットを動かし、掘削、積込み、整地、解体といった多岐にわたる作業をパワフルにこなします。

建設現場はもちろん、土木工事、解体作業、さらには災害復旧現場など、ユンボが活躍する場面は非常に幅広く、まさに「現場の力持ち」として不可欠な存在です。

日本でよく使われる「ユンボ」という呼び名は、1950年代にフランスのシカム社が製造した建設機械の商品名「YUMBO」に由来します。

1961年に三菱重工業がこの技術を導入し「ユンボ」として販売、1964年の東京オリンピック建設現場での活躍により、油圧ショベルの代名詞として広く定着しました。

正式名称は「油圧ショベル」で、「ユンボ」「バックホー」「ショベルカー」はすべて同じ機械を指します。

なお「ユンボ」は現在も商標登録されており、株式会社レンタルのニッケンが商標権を保有しています。ユンボはどのような車？

2．ユンボ操縦に必要な資格と取得方法を解説

ユンボを操作するためには、法律で定められた資格が必要です。無資格での運転は重大な事故につながる可能性があり、絶対に許されません。

ユンボの操作に必要な資格は、主に操作する機械の大きさ（機体質量）によって、大きく2種類に分けられます。

ユンボ操縦に必要な2種類の資格

小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育

機体質量が3トン未満のユンボを操作する場合に必要な資格です。主な作業内容としては、「整地・運搬・積込・掘削」が挙げられます。

解体作業用の機械については、別途講習が必要となる場合があるため、受講する教習機関に確認が必要です。

特別教育の大きな特徴は、講習（学科講習と実技講習）を修了すれば、試験なしで修了証が交付される点です。そのため、比較的取得しやすい資格と言えるでしょう。講習期間は通常2日間程度です。

車両系建設機械運転技能講習

機体質量が3トン以上のユンボを操作する場合に必要となる、より本格的な資格です。この資格を取得することで、より大きな機械を操作でき、仕事の幅も大きく広がります。本格的にユンボ操縦士としてのキャリアを目指すのであれば、こちらの技能講習の受講が推奨されます。

技能講習には、「整地・運搬・積込み用及び掘削用」「解体用」「基礎工事用」といった種類があり、操作する機械や作業内容に応じて選択します。一般的にユンボ操作で主に関連するのは「整地等」や「解体用」です。

特別教育とは異なり、講習後に修了試験に合格する必要があります。講習期間は、所持している免許や業務経験によって免除される科目があるため変動しますが、最大で学科13時間、実技25時間の合計38時間、日数にして5～6日程度が目安です。

どちらの資格を選ぶべきか？

ユンボ操作を始めるなら、趣味や体験目的であれば「小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育」が手軽でおすすめです。費用も期間も少なく、試験もないため未経験者でも挑戦しやすいでしょう。

一方、プロのオペレーターとして本格的に活躍したい場合は「車両系建設機械運転技能講習」の取得が必要です。

段階的に資格が取得できる仕組みになっているので、個人の目標に合わせてステップアップできます。なお、公道運転の「免許」とは異なり、現場操作には「技能講習」または「特別教育」の修了証が必要な点にご注意ください。

資格区分	正式名称	対象機械	主な講習内容 (目安)	試験の有無	こんな人におすすめ
特別教育	小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育	機体質量3トン未満	学科7時間・実技6時間	なし	まずは試したい方、小規模な作業を考えている方
技能講習	車両系建設機械運転技能講習（整地・運搬・積込み用及び掘削用など）	機体質量3トン以上	学科13時間・実技25時間	あり	プロのオペレーターを目指す方、より大きな機械を扱いたい方

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3．【費用・期間・難易度】ユンボ資格取得の全貌

ユンボの資格取得を目指す上で、多くの方が気になるのが費用、期間、そして難易度でしょう。ここでは、それぞれの詳細について解説します。

費用

これらの費用はあくまで一般的な相場であり、教習所によって異なる場合があります。複数の教習所に問い合わせて比較検討することをおすすめします。また、既に何らかの建設機械関連の資格を所持している場合や、一定の業務経験がある場合には、講習科目の一部が免除され、費用が減額されることもあります。

例えば、「車両系建設機械（解体用）運転技能講習」を既に修了している人が「整地等」の資格を取得する場合、講習時間は大幅に短縮され、費用も抑えられます。

期間

難易度

講習当日の持ち物・準備

講習に参加する際には、筆記用具、作業に適した服装（作業服）、手袋、ヘルメットなどが必要です。ヘルメットは教習所で貸し出しがある場合も多いですが、事前に確認しておくと良いでしょう。

資格取得にかかる費用と時間は、他の専門職能訓練と比較しても、特に「特別教育」は非常にアクセスしやすい水準にあります。「技能講習」も、将来のキャリアを考えれば十分に合理的な投資と言えるでしょう。この手頃さが、未経験者にとって大きな魅力となります。

さらに、既存の資格や経験によって講習内容が免除される制度は、非常に効率的です。これは、既に有するスキルを評価し、時間と費用の両面で個人の負担を軽減するものです。このような制度は、継続的な学習やスキルの多角化を奨励するものであり、キャリアアップを目指す上で大きなメリットとなります。

資格名	費用目安	期間目安	講習時間 (合計/内訳目安)	免除制度の有無
小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育	約2万円	1～2日	13時間 (学科7時間・実技6時間)	基本的になし
車両系建設機械運転技能講習（整地・運搬・積込み用及び掘削用など）	約5万円	5～6日	38時間 (学科13時間・実技25時間)	あり (保有資格・業務経験による)

4．賢く資格取得！利用できる助成金・給付金制度ガイド

ユンボの資格取得には費用がかかりますが、条件を満たせば利用できる助成金や給付金制度が存在します。これらを活用することで、経済的な負担を軽減し、よりスムーズに資格取得を目指すことができます。

一般教育訓練給付金

これは、雇用保険の被保険者または被保険者であった方が、厚生労働大臣が指定する教育訓練講座を受講し修了した場合に、ハローワークから支給される給付金です。
ユンボの資格では、主に「車両系建設機械運転技能講習」が対象となり、「小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育」は対象外となるのが一般的です。

給付額は、教育訓練経費の20％（上限10万円）です。例えば、講習費用が5万円であれば、1万円が給付される計算になります。

利用するためには、まずご自身が支給対象者であるかをハローワークで確認（支給要件照会）する必要があります。その後、教習所に受講費用を全額支払い、講習を修了した後、1ヶ月以内にハローワークへ申請手続きを行います。

注意点として、教習所のキャンペーンなどで割引を受けた場合は、割引後の価格が教育訓練経費として計算されます。また、複数の資格をセットで受講するコース（例：車両系建設機械＋大型特殊免許）も給付金の対象となる場合があります。

参考：厚生労働省｜教育訓練給付制度

建設事業主等に対する助成金制度

こちらは、建設業に携わる中小企業の事業主が、従業員の技術向上のために技能講習などを受講させた場合に、費用の一部が事業主に助成される制度です。
助成率は、企業の規模（雇用保険被保険者数）や従業員の年齢、性別などによって異なります。

例えば、雇用保険被保険者数が20人以下の中小建設事業主の場合、受講料（消費税を除く）の75％が助成されるケースがあります。また、35歳未満の若年者や女性建設労働者に対する手厚い助成も設けられています。

この制度は事業主が申請するものですが、従業員にとっては自己負担なく資格取得ができるチャンスとなるため、勤務先にこのような制度の活用を相談してみる価値はあるでしょう。

参考：厚生労働省｜建設事業主等に対する助成金

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5．未経験から専門家へ！ユンボ操縦士の仕事内容とキャリア

晴れてユンボの資格を取得したら、いよいよ操縦士としてのキャリアがスタートします。ここでは、具体的な仕事内容や給与水準、キャリアパスについて見ていきましょう。

ユンボ操縦士の主な仕事内容

ユンボオペレーターの仕事は、建設現場や土木工事現場などで、ユンボを操作して様々な作業を行うことです。具体的には、地面の掘削、土砂や資材のトラックへの積込み、敷地の整地、建物の解体（ブレーカーなどのアタッチメントを使用）などが挙げられます。

単にレバーを操作するだけでなく、作業前には必ず機械の点検を行い、現場の状況や他の作業員との連携を密に取りながら、安全かつ効率的に作業を進めることが求められます。作業現場は、ビルや道路の建設現場、解体現場、採石場、時には災害復旧の最前線など、多岐にわたります。

給与水準（年収・月収）

ユンボオペレーターの給与は、経験、スキル、勤務地域、企業規模などによって異なりますが、専門技能職として安定した収入が期待できます。

求人情報を見ると、月給で29万円～48万円 、年俸で450万円～650万円といった例があります。経験豊富なオペレーターや需要の高い特定のスキル（例：ハサミ付きバケットの操作）を持つ場合は、日給2万5千円～3万円で月収75万円以上も可能というケースも見られます。

ある企業では、経験者に対して年収560万円～700万円を提示し、前職の給与を保証する制度を設けている例もあります。

一般的に、経験を積むほど、また、より複雑な作業をこなせるようになったり、現場のリーダー（職長など）としての役割を担うようになると、給与も上昇する傾向にあります。

参考：重機オペレーター ユンボ の求人 ｜インディード・ユンボオペレーター・未経験OK 寮 昇給随時 | 株式会社藤野興業 | 採用サイト

求人状況と需要

熟練したユンボ操縦士の需要は安定しており、多くの企業が積極的に採用を行っています。特に注目すべきは、「未経験者歓迎」の求人多い点です。

多くの企業が、資格取得支援制度を設けたり、入社後のOJT（On-the-Job Training）を通じてオペレーターを育成する体制を整えています。これは、これからユンボ操縦士を目指す人にとって、大きなチャンスと言えるでしょう。

キャリアパス

未経験からスタートした場合、まずはオペレーターとして経験を積むことから始まります。様々な現場で多様な作業を経験する中でスキルを磨き、徐々に扱える機械の種類を増やしたり、特定の作業分野（例：精密な掘削、法面整形、解体など）の専門性を高めていくことができます。

将来的には、現場の作業チームをまとめる職長や、施工管理といった監督的な立場へステップアップする道も考えられます。また、十分な経験と実績を積めば、独立して自身の事業を立ち上げることも夢ではありません。

意外な必須条件？普通自動車免許の重要性

ユンボの操作資格とは別に、多くの求人で「普通自動車免許」や「準中型免許」が必須または歓迎条件とされている点も見逃せません。これは、ユンボを公道で運転するため（この場合は大型特殊免許が必要）ではなく、現場への移動や、現場で使用する軽トラック・ダンプなどの社用車を運転するために求められることが多いです。

資格取得と並行して、これらの運転免許の有無も確認しておくと良いでしょう。

6．あなたは向いてる？ユンボ操縦士に求められる適性とやりがい

ユンボ操縦士という仕事は、誰にでもできる簡単な仕事ではありませんが、特定の適性を持つ人にとっては、大きなやりがいと充実感を得られる魅力的な職業です。

ユンボ操縦士に向いている人の特徴

ユンボオペレーターに向いているのは、手に職をつけたい人や建設・土木作業に興味がある人です。

チームワークを大切にでき、体力と忍耐力があることも重要ですが、操作自体はレバーによる繊細なコントロールが中心となります。機械操作が好きで、大型機械を自在に操ることが好きな方には天職かもしれません。

また、重機を扱う仕事のため強い責任感が必要で、自分だけでなく周囲の安全も守る意識が求められます。ミリ単位の精度が要求される作業もあるため、優れた空間認識能力と巧みなレバー操作スキルも欠かせません。

ユンボオペレーターのやりがい

ユンボオペレーターの仕事には多くのやりがいがあります。最大の魅力は、自分が掘削した場所に基礎が作られ、やがて建物が完成していく過程を見られることです。

自分の仕事が具体的な形として残り、社会に貢献していることを実感できます。また、複雑な機械を正確かつ効率的に操作できるようになった時の達成感は格別で、専門技術習得の喜びも味わえます。

道路や橋、建物など人々の生活に欠かせないインフラ整備に直接関わることで、社会を支える誇りも感じられるでしょう。建設業界は常に人材を必要としており、専門技術を持つオペレーターは安定した収入を得やすく、多くの専門家とチームで大きなプロジェクトを成し遂げる達成感も共有できます。

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7．ユンボの資格を手に、新しい未来を掴もう

ユンボオペレーターは、一度身につければ長く活かせる専門性の高いスキルです。建設・土木業界では常に需要があり、安定した収入と自分の仕事が形になる大きなやりがいを得られる魅力的な職業といえます。

未経験者なら「小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育」から始めることで、比較的短期間・低コストで資格取得が可能です。さらにステップアップを目指すなら「車両系建設機械運転技能講習」を取得し、より大きな機械を扱えるようになります。

教育訓練給付金などの制度活用で費用負担の軽減も可能です。近年は多くの「重機女子」が活躍し、業界全体で女性が働きやすい環境づくりも進んでいます。