「自動車整備士は男性の仕事」という固定観念は過去のものです。現在、全国で1万人以上の女性整備士が活躍しており、その細やかな感性とコミュニケーション能力が業界で高く評価されています。
体力面の不安も最新工具でカバーでき、育休・産休制度も整備されつつあります。
この記事では、女性整備士のリアルな現状から資格取得方法、キャリアパスまで徹底解説します。
- 女性整備士の現在の活躍状況と今後の展望
- 女性ならではの強みと体力面の課題解決方法
- 資格取得ルートと具体的なキャリアプラン
1.女性整備士はこんなにいる!現状と今後の展望

整備業界での女性の活躍状況について、具体的なデータをもとに現状を分析し、今後の展望を考えていきます。
自動車整備士における男女の割合は?
自動車整備士は男性の仕事というイメージが強いかもしれませんが、近年、多くの女性がこの分野で活躍しています。JASPAの調査(令和6年度)によると、国家資格を持つ女性整備士は1万567人に上ります。
全国の整備士は約33万3千人おり、女性が占める割合は全体の3.2%です。
この数字はまだ少ないと感じるかもしれませんが、整備士の資格を持たない「整備要員」として働く女性を含めると、その数は1万9,335人に達します。
これは、女性が何らかの形で整備業界に携わっているという事実を示しており、決して珍しい存在ではなくなっていると言えるでしょう。
参考:令和6年度 自動車特定整備業実態調査結果の概要について
ディーラーや一般の整備工場で働く女性整備士の割合は?
では、実際に女性整備士はどんな職場で働いているのでしょうか。
国土交通省のアンケートによると、女性整備士が活躍している工場はディーラーで約26%、ディーラー以外で約20%に達します。
これは、整備工場4社のうち1社以上で女性整備士が働いている計算になります。
特にディーラーでは、お客様との接客機会が多く、女性ならではのきめ細やかな対応が求められるため、女性整備士の採用に積極的な企業が増えています。
このように、働く場所は年々広がっており、あなたが目指すキャリアに合った職場を見つけやすくなっています。
女性整備士の数は今後ますます増えるのか?
女性整備士の数は、過去数年間でほぼ横ばいですが、整備要員の数はわずかに増加傾向にあります。
これは、業界全体が深刻な人材不足に直面しており、性別を問わず優秀な人材を求めているからです。また、国も女性の活躍を後押しするためのガイドラインを策定するなど、働きやすい環境づくりを支援しています。
労働環境の改善や待遇向上が進めば、技術の進歩による作業負担の軽減と合わせて、女性整備士の数は飛躍的に増加していく可能性を秘めていると言えるでしょう。

女性の整備士が働きやすい職場環境の整備がさらに進むことが期待されています。
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2.現場で輝く!女性整備士ならではの強みとリアルな弱み

女性整備士には男性とは異なる独自の強みがあり、それが現場で高く評価されています。一方で向き合うべき課題も。
コミュニケーション能力と細やかな気配りが、お客様の信頼を築く最大の武器に
女性整備士が現場で高く評価される最大の強みは、そのコミュニケーション能力と細やかな気配りです。
車の故障や不調を抱え、不安な気持ちで工場を訪れるお客様は少なくありません。特に車に詳しくないお客様にとっては、専門用語を多用する説明よりも、不安に寄り添い、分かりやすく丁寧に説明してくれる姿勢が安心感につながります。
女性整備士ならではの共感力や傾聴力は、お客様が「聞きづらい」と感じるような些細な疑問や不安も引き出し、解消する上で大きな武器となります。
さらに、お客様が気づかなかった小さな傷への気配りや、清潔に整えられた車内など、作業の丁寧さが伝わるサービスは顧客満足度を大きく向上させます。

このようなきめ細やかな対応により、「次もあなたにお願いしたい」という指名での依頼も増えていくでしょう。
体力的な不安は最新工具と工夫で乗り越える
自動車整備には、重いタイヤや部品を持ち上げるといった体力仕事も確かに存在します。
しかし、この点に関して過度に心配する必要はありません。近年、自動車整備の現場では女性の体力面をサポートするための最新工具がどんどん導入されています。
例えば、重たいタイヤを楽に持ち上げて脱着をサポートするタイヤリフターや、強力なトルクでボルトを緩める電動インパクトレンチなど、力仕事の負担を大幅に軽減するツールが普及しています。
これにより、女性でも効率的かつ安全に作業を進めることが可能になり、体力的な差を埋めることができています。

適切な道具の使い方を覚えることで、体力的なハンディキャップは十分に克服できるのです。
お客様からの信頼をどうやって勝ち取るのか?
「女性だから信頼されにくいのではないか?」という不安を感じる方もいるかもしれません。
確かに、長らく男性中心だった業界ゆえの先入観はまだ残っているかもしれません。しかし、重要なのは性別ではなく、プロとしての知識と技術、そして誠実な姿勢です。
お客様は、あなたの丁寧な説明や確かな技術力、そして何よりも車に対する情熱を感じ取ります。知識を日々アップデートし、スキルを磨くことで、お客様の信頼は自然と築かれていきます。
一度信頼を勝ち取れば、「ぜひあなたに頼みたい」と指名されることも増え、仕事のやりがいも格段に高まるでしょう。

性別を超えたプロフェッショナルとしての実力が何より大切なのです。
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3.ライフイベントも諦めない!女性整備士の働きやすさ

結婚や出産といったライフイベントと仕事の両立が可能かどうかは、女性にとって重要なポイントです。
育休・産休制度は取得できる?
女性整備士を雇用している会社の多くは、育児休業・産前産後休業制度を導入しています。国土交通省のデータによると、育休制度を整備している企業は94%、産休制度は84%に上ります。
これらの制度が法律で定められているとはいえ、実際に取得しやすく、職場全体で女性の働き方を支援する雰囲気があるかどうかが重要です。
女性整備士が活躍している職場では、こうした制度が形骸化することなく、適切に運用されているケースが多いようです。
制度があることと、実際に利用しやすい環境があることは別物のため、職場選びの際には実際の取得実績や職場の雰囲気も確認することが大切です。
急な子どもの病気でも休める柔軟な勤務体制
子育て中は、子どもの急な発熱や学校行事などで、どうしても早退や休暇が必要になることがあります。
整備業界は男性が中心だったため、以前はこうした事情への理解が十分でない職場もありました。しかし、現在では約6割の企業が柔軟な勤務体制を導入し、子育て中の女性が働きやすい環境を整えています。
急な休みでもチームで協力してカバーする文化が根付いている職場が増えており、ワークライフバランスを重視して働けるようになってきています。
時短勤務制度やフレックスタイム制度を導入している企業も増えており、家庭と仕事の両立をサポートする体制が充実してきました。

女性が長く働き続けられる環境が整いつつあります。
女性専用の更衣室やトイレは整備されている?
職場環境の整備は、女性が安心して働く上で非常に重要な点です。特に、作業着に着替えるための更衣室や清潔なトイレは、快適な職場生活に不可欠です。
女性整備士を雇用している会社では、男女別のトイレを設置している、もしくは設置予定の会社が合計で60%、男女別の更衣室は合計約50%に達しています。
職場を選ぶ際には、こうした設備が整っているかどうかも事前に確認することをおすすめします。設備面での配慮は、女性が安心して働けるかどうかの重要な指標となります。

まだ設備が不十分な職場でも、女性の採用を機に改善に取り組む企業が増えているため、職場見学の際には将来の改善計画についても聞いてみることが大切です。
工場内の空調設備
整備工場はシャッターを開けて作業することが多く、夏は暑く冬は寒いというイメージがあるかもしれません。
しかし、女性の働きやすさを重視する企業では、空調設備の整備も進んでいます。工場内の空調設備を整備している、または整備予定の会社は全体の約46%です。
空調が整った環境は、熱中症のリスクを減らし、冬の寒さから体を守るだけでなく、集中して作業に取り組むためにも重要です。
快適な作業環境は、作業効率の向上にもつながります。特に精密な作業が求められる現代の自動車整備において、適切な温度管理は品質向上にも直結しています。

空調設備の有無は、長時間の作業でも体調を維持しながら働けるかどうかを左右する重要な要素と言えるでしょう。
参考:国土交通省「自動車整備業における女性が働きやすい環境づくりのためのガイドライン」
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派遣なら様々な職場を経験でき、ライフスタイルに合わせた働き方も選択可能です。カラフルスタッフィング メカニックでは、育児との両立を考慮した勤務条件や、女性が安心して働ける環境を整えた企業をご紹介しています。
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4.自動車整備士になるには?資格取得からキャリアパスまで

自動車整備士として働くための具体的な資格取得方法や仕事内容、年収について詳しく解説していきます。
そもそも、自動車整備士の仕事内容は?
自動車整備士の主な仕事は、車の点検、整備、修理です。
具体的な仕事内容
車検や法定点検、エンジンの故障診断、タイヤ交換、オイル交換など
無資格でもできる仕事はありますが、専門的な作業を行うには国家資格が必須です。お客様の安全を預かる責任ある仕事であり、日々進化する自動車技術に対応するため、常に学び続ける姿勢が求められます。
近年では電気自動車やハイブリッド車の普及により、従来のエンジン整備だけでなく、電子制御システムの知識も重要になってきています。

お客様との接客業務も重要な仕事の一部となっており、技術力だけでなくコミュニケーション能力も求められる職業です。
女性整備士の平均年収は?
日本自動車整備振興会連合会(JASPA)の調査(令和5年度)によると、自動車整備士の平均給与は年間約409万円です。これは男女を含めた全体の平均ですが、女性整備士の給与が男性より低いという明確なデータはありません。
比較として、国税庁の「民間給与実態統計調査(令和5年分)」によると、日本の女性給与所得者全体の平均給与は314万円です。このデータと比較すると、専門的なスキルが求められる自動車整備士は、経済的にも魅力的な選択肢の一つであると言えるでしょう。
もちろん、給与は経験年数や保有資格、勤務先の規模によって大きく異なります。専門的な資格を取得しスキルを磨くことで、さらに高い収入を目指すことは十分に可能です。

また、ディーラーでの勤務は一般整備工場と比較して給与水準が高い傾向にあります。
参考:令和5年度 自動車特定整備業実態調査結果の概要について・国税庁|令和5年分 民間給与実態統計調査
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自動車整備士の年収について業種別・年代別の詳細データや年収アップの具体的方法を知りたい方はこちら。
資格取得のルートは3つ
自動車整備士の国家資格を取得するには、主に3つのルートがあります。
- 専門学校ルート
自動車整備士養成施設として国に認定された専門学校で学ぶ方法です。卒業と同時に、実技試験が免除されるため、最も一般的なルートです。 - 実務経験ルート
整備工場などで働きながら、実務経験を積むことで受験資格を得る方法です。未経験から始める場合は、このルートを選ぶ人もいます。 - 高校の自動車科ルート
自動車科のある高校で学ぶことで、受験資格を得る方法です。
それぞれのルートには特徴があり、自分の状況や目標に合わせて選択することが重要です。専門学校ルートは確実性が高く、実務経験ルートは働きながら学べるメリットがあります。
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未経験から自動車整備士を目指す方向けの転職完全ガイドです。具体的なステップと成功のコツを解説しています。
1級・2級・3級、それぞれの資格の難易度と取得方法
3級自動車整備士
初級レベルの資格で、特定の分野(ガソリン、ディーゼル、シャシ、二輪自動車)の整備ができます。
- 受験資格
自動車整備の高校を卒業するか、国に認定された整備工場(認証工場または指定工場)で1年以上の実務経験を積むことで得られます。
まずはこの資格から取得し、実務経験を重ねながら上位資格を目指すのが一般的です。
3級資格でも基本的な整備作業は可能ですが、より専門的な作業を行うためには上位資格が必要になります。
2級自動車整備士
もっとも多くの方が持っている整備士資格が2級自動車整備士です。この資格を持っていれば、自動車整備の仕事でまず困ることはありません。
- 資格取得のためには
自動車整備の学校で2年間勉強し、卒業後、2級自動車整備士の国家試験を受験します。
なお、2級自動車整備士として3年間仕事をすると、1級自動車整備士にチャレンジすることができるようになります。
実際の整備現場では、この2級資格を持つ整備士が中心となって作業を行っており、就職においても最も重要視される資格です。
1級自動車整備士
最上位の資格で、自動車整備士全体の約4%しかいない難関資格です。
- 受験資格
2級資格取得後、3年以上の実務経験を積むか、専門学校で4年間学ぶこと。
最新の技術や診断能力が求められ、取得すれば工場長やマネージャーへのキャリアアップも視野に入ります。
1級資格を持つことで、より高度な故障診断や最新技術への対応が可能になり、キャリア面でも収入面でも大きなメリットがあります。
女性整備士にとっても、専門性を高めて活躍の場を広げる重要な資格と言えるでしょう。
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転職を検討している自動車整備士の方には、おすすめの転職サイト情報と転職成功のコツをまとめた記事が参考になります。
■資格取得をサポートする職場環境で成長を
カラフルスタッフィング メカニックでは、資格取得を支援する企業や、スキルアップを応援する職場環境を重視してご紹介しています。専門のコーディネーターがあなたのキャリア目標に合った最適な職場をご提案いたします。
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5.女性整備士という選択肢で、あなたの未来は大きく変わる
女性整備士を取り巻く環境は確実に改善されており、性別を理由に諦める必要はもうありません。
全国で1万人以上の女性が活躍し、その数は今後も増加が期待されています。最新工具の導入により体力面の不安は解消され、育休・産休制度も整備されつつあります。
重要なのは、あなたの車への情熱と学び続ける意欲です。3級から1級まで段階的に資格を取得し、専門性を高めることで、年収アップやキャリアアップも十分に可能です。
女性ならではの細やかな気配りとコミュニケーション能力は、お客様からの信頼獲得に大きく貢献し、指名での依頼も増えるでしょう。
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