長距離ドライバーは日本の物流を支える重要な仕事ですが、「実際の年収はいくら?」「きつい仕事に見合う給料はもらえる?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。
長距離ドライバーの年収は、一般的に400万円から750万円と非常に幅広く、個人の状況によって大きく変動するのが実情です 。平均値だけを見ていては、本当の姿は見えてきません。
本記事では、厚生労働省などの公的データを基に、長距離ドライバーのリアルな年収事情を徹底解説します。車両サイズや地域、企業規模といった収入を決める要因から、年収1,000万円の可能性、そして「2024年問題」が給与に与える影響まで、キャリア選択に役立つ情報をお届けします。
この記事を読めば、「自分の場合はいくら稼げるのか」「どうすればもっと収入を上げられるのか」が具体的にわかります。
- 長距離ドライバーの仕事内容と必要な条件
- 長距離ドライバーの給与事情と働き方改革の影響
- 長距離ドライバーの収入を上げる方法とこの職業の将来性
1.【結論】長距離ドライバーの年収は400万~750万円。収入を決める5つの要因とは?

多くの情報サイトが「平均年収〇〇万円」という数値を提示しますが、長距離ドライバーの収入を理解する上で最も重要なのは、その「幅」です 。年収400万円のドライバーもいれば、750万円以上を稼ぐドライバーもいます 。
なぜこれほどの差が生まれるのでしょうか?その答えは、収入を決定づける以下の5つの要因に隠されています。
| 項目 | 収入への影響 |
|---|---|
| 車両・免許 | サイズが大きいほど収入に直結 |
| 企業規模 | 大手:安定性重視 中小:実力主義 |
| 地域 | 需要が高い地域ほど給与も高い |
| 年齢・性別 | 経験が収入に反映 40代〜50代でピーク |
| 給与体系 | バランスが重要 歩合制は実績次第で高収入も可能 |
これらの要因を理解することで、全国平均という曖昧な数字ではなく、「自分はどのくらいの年収を目指せるのか」という具体的な目標設定が可能になります。次章から、それぞれの要因を詳しく見ていきましょう。
2.【要因1】車両・免許:大型・トレーラーで年収は大きく変わる
長距離ドライバーの年収を最も左右するのが、運転する車両のサイズと、それに必要な免許の種類です。これは、自身の努力で収入を上げるための最も確実なステップと言えるでしょう 。
普通・中型トラック(4tなど)の年収:300万円~450万円
普通免許や中型免許で運転できる4tトラックなどは、未経験者がキャリアをスタートさせるケースが多いクラスです。
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、大型車を除くトラックドライバーの平均年収は約437万円となっています。
参考文献: 厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」
大型トラック(10tなど)の年収:480万円~650万円
大型免許が必要な10tトラックになると、年収は大幅に上がります。
同調査では、大型トラックドライバーの平均年収は485万円から492万円と、中型に比べて50万円以上高い水準です。大型免許の取得は、収入を一段階引き上げるための重要なステップです。
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大型免許取得を検討している方は、取得までの流れや費用について詳しく解説した記事もご覧ください。
トレーラー(けん引)の年収:500万円以上も可能
けん引免許が必要なトレーラーは、最も高い収入が期待できるクラスです。
全日本トラック協会の調査では、トレーラー運転者の平均年収は約545万円に達します。さらに、危険物輸送を行うタンクローリーなど、専門資格を要する車両は、その専門性の高さからさらに高い給与水準が設定される傾向にあります。
参考: 公益社団法人 全日本トラック協会「2024年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態(概要版抜粋)」
3.【要因2】企業規模:大手の安定か、中小の実力主義か
勤務先の企業規模も年収に大きく影響しますが、単純に「大手=高収入」とは言えないのが実情です。大手と中小では、給与体系の考え方が異なり、どちらが自分に合っているかを見極める必要があります 。
厚生労働省のデータでは、従業員1,000人以上の大企業に勤務する大型ドライバーの平均年収が約530万円であるのに対し、10~99人の中小企業では約465万円と、65万円以上の差があります。これは大手企業の高い基本給や充実した福利厚生を反映しています。
一方で、中小企業には歩合給(運行手当など)の割合が高いという特徴があります。ある調査では、男性運転手の給与の42%が歩合給などの変動給で構成されているというデータもあります。
これは、自身の頑張りや走行距離が直接収入に反映されやすいことを意味します。
- 安定した基本給や福利厚生を求めるなら大手企業
- 自分の頑張り次第で上限なく稼ぎたいなら、歩合給の比率が高い中小企業
このように、企業規模の選択は「安定性」と「成果主義」のどちらを重視するかというキャリア戦略の選択と言えるでしょう。
参考: 厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」・公益社団法人 全日本トラック協会「2024年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態(概要版抜粋)」
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4.【要因3,4,5】地域・年齢・給与体系も年収を左右する
車両や企業規模以外にも、勤務地や年齢、給与体系の詳細が収入に影響します。
【要因3】地域別:関東・中部エリアの年収が高水準
長距離ドライバーの年収は、日本の経済活動が集中する地域ほど高くなる傾向があります 。
トップティア(高収入地域)
中部地方、関東地方
ミドルティア(中位地域)
近畿、四国、九州地方
ロワーティア(比較的低い地域)
東北、北海道、沖縄
この差は製造業集積や消費市場規模による物流需要の違いが主な理由で、高収入地域では輸送量が多く配送単価も高い一方、低収入地域では人口密度が低く効率的輸送が困難なため単価が下がる傾向にあります。
参考:DRIVE X コラム「長距離トラック運転手の年収はどれくらい?給料を上げる方法や実態を解説!」
【要因4】年齢別:40代~50代前半が収入のピーク
経験やスキルが重視されるため、年収は年齢と共に上昇し、40代から50代前半でピークを迎えます。
20代
40代(ピーク時)
65歳以上
40代で収入が最高点に達するのは、運転技術や荷扱い、顧客対応といった総合的なスキルが成熟するためと考えられます。
【要因5】給与体系:収入の4割が「歩合給」のケースも
多くの運送会社では、給与は「固定給+歩合給」で構成されています。特に長距離ドライバーの場合、走行距離や運んだ荷物の量に応じて支払われる歩合給(運行手当など)が収入の大きな部分を占めることがあります。
歩合給の割合が高い会社では、意欲的に働くことで固定給中心の会社よりも大幅に高い収入を得られる可能性があります。
一方で、荷物量が減ったり、体調不良で稼働できなかったりすると収入が不安定になるリスクもあります。求人票を見る際は、月給の総額だけでなく、固定給と歩合給の比率を必ず確認しましょう。
5.長距離ドライバーで年収1000万円は可能?トップ層への現実的な道筋

「年収1000万円」という言葉は魅力的ですが、結論から言えば、一般的な長距離ドライバーが安定的に達成するのは「基本的に難しい」のが現実です。国内トップクラスの大手運送会社でも、従業員の平均年収は700万~800万円台が上限とされています。
しかし、年収1000万円が非現実的だとしても、年収700万円を超えるトップクラスの収入を得ることは、明確な戦略と努力によって十分に可能です。
年収700万円以上を
目指すための5つの条件
上位免許の取得
(必須条件)
高収入を目指すなら、大型免許またはけん引免許の保有は絶対条件です。
専門性の高い貨物を扱う
危険物取扱者の資格が必要な化学薬品や、高度な技術が求められる精密機械の輸送など、参入障壁が高い分野は報酬も高くなります。
成果主義(歩合制)の会社を選ぶ
自分の頑張りが直接収入に反映される給与体系を選ぶことで、収入を最大化できます。
優良企業を戦略的に選ぶ
給与水準が高い大手だけでなく、特定の分野に特化して高い収益を上げ、利益を社員に還元する文化のある中小企業を見極めることが重要です。
高いプロ意識と労働意欲
安全運行を最優先しつつ、効率的な運行計画で高い稼働率を維持する専門性が、最終的に高収入へと繋がります。
▼あわせて読みたい
トラックドライバーの高収入を目指すなら、業界全体の年収事情も把握しておくことが重要です。
6.【重要】あなたの給与を左右する業界の2大トレンド
個人のスキルや選択だけでなく、業界全体の大きな変化も長距離ドライバーの給与に影響を与えます。特に以下の2つのトレンドは、今後の収入を考える上で非常に重要です。
2024年問題の影響:残業代は減るが、ドライバーの価値は上がる?
2024年4月から、トラックドライバーの時間外労働が年間960時間に制限されました(「2024年問題」)。これにより、従来のように長時間労働で残業代を稼ぐという働き方が難しくなり、一部ドライバーの収入減が懸念されています 。
しかし、これはマイナス面だけではありません。ドライバー1人あたりの労働時間が減ることで、ただでさえ深刻な人手不足がさらに加速し、ドライバーという労働力の希少価値が劇的に高まります 。
その結果、運送会社は人材を確保するために基本給の引き上げや待遇改善を進めざるを得なくなり、長期的にはドライバーの給与水準が向上する可能性があります 。
参考文献: 国土交通省「物流を取り巻く動向と物流施策の現状・課題」
■働き方改革の時代に最適な職場選び
2024年問題により業界は変革期を迎えています。労働環境の改善が進む今こそ、長距離ドライバーとして活躍するチャンスです。業界に精通した専門アドバイザーが最新の求人情報をご紹介します。
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深刻な人手不足がもたらす「ドライバーの価値向上」
現在、トラックドライバーの有効求人倍率は全産業平均の約2倍という極めて高い水準で推移しており、完全な「売り手市場」です 。企業側が求人を出しても、応募者が集まらない状況が続いています 。
この状況は、現役ドライバーやこれから転職を考えている方にとっては強力な追い風です。企業は人材を確保するために、より良い給与や労働条件を提示せざるを得ません。
自分のスキルや経験を武器に、より待遇の良い企業を選んだり、現在の職場で待遇改善を交渉したりしやすい環境にあると言えるでしょう。
参考文献: 経済産業省「物流を取り巻く現状と取組状況について」
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2024年問題がドライバーに与える具体的な影響について、より詳しく知りたい方はこちらの記事をご確認ください。
7.長距離ドライバーの仕事内容ときつい点・メリット
仕事内容:定期便とチャーター便
長距離ドライバーの仕事は、荷物を目的地まで安全に運ぶことです。主な業務形態は2つあります。
- 定期便
決まったルートと時間に、決まった荷物を運びます。例:工場から店舗への部品輸送など。 - チャーター便
特定の荷主の荷物だけを、契約内容に応じて運びます。
業務の大半は運転ですが、荷物の積み下ろし作業(荷役)をドライバー自身がおこなうこともあります。
メリットとデメリット(きつい点)
長距離ドライバーの仕事には、次のようなメリットとデメリットがあります。
メリット
- 人間関係のストレスが少ない
- 自分のペースで仕事を進めやすい
デメリット(きつい点)
- 身体的な負担
- 拘束時間が長い
長距離トラック運転手のメリットとして、業務の大部分を一人で行うため人間関係のストレスが少なく、人付き合いが苦手な方でも働きやすい環境です。
また休憩タイミングなど、ある程度自分のペースで仕事を進められる自由度もあります。
一方デメリットでは、長時間同じ姿勢を保つことによる腰痛や不規則な生活リズムといった身体的負担が挙げられます。
さらに片道300km以上の長距離運行では拘束時間が必然的に長くなるため、プライベート時間の確保が困難になる傾向があります。
厚生労働省はドライバーの健康を守るため、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」を設け、1日の拘束時間の上限などを定めています。
参考文献: 厚生労働省「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)」
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長距離ドライバーに向いている人の特徴や必要なスキルについて、より具体的に知りたい方におすすめの記事です。
8.長距離ドライバーとして賢いキャリア選択で高年収を目指そう
長距離ドライバーの年収は400万~750万円と幅広く、車両種類・企業規模・地域・年齢・給与体系の5つの要因で決まります。大型・けん引免許の取得が年収向上の最も確実な方法で、戦略次第で700万円以上は十分に実現可能です。
年収1000万円は困難ですが、2024年問題や人手不足によりドライバーの価値は今後さらに高まる見込みです。
日本経済を支える責任ある仕事として、業界は変革期を迎え労働環境も改善されています。「きつい」というイメージを超えて、将来性と努力が収入に反映される魅力的な職業といえるでしょう。
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