玉掛け資格は、建設・運送業界で活躍するプロドライバーにとって、仕事の幅が大きく広がり、キャリアアップの武器となります。
本記事では、玉掛け資格の基本的な概要から取得方法、そしてキャリアにもたらすメリットまで解説していきます。
1.玉掛け資格とは?どんな仕事で必要とされるのか?
玉掛け資格は、クレーンを使用する現場で欠かせない重要な資格です。
この資格は、クレーンのフックに荷物をかけたり外したりする「玉掛け作業」を安全に行うための知識と技能を証明するものです。
建設現場や工場、倉庫、港湾施設など、重量物を扱う様々な職場で必要とされています。
玉掛け作業の概要と重要性
玉掛け作業は一見単純に見えますが、重量物を扱うため非常に高い安全性が求められます。
作業者の些細なミスが大事故につながる可能性があるため、訓練が不可欠なものです。
また、クレーン運転士との緊密な連携も必要となり、チームワークと的確なコミュニケーション能力もと資格の保有が求められます。
玉掛け作業の重要性は、労働安全衛生法でも認識されており、法律で定められた国家資格となっています。
これにより、作業の安全性を確保し、現場での事故リスクを大幅に軽減することができます。
玉掛け資格の種類と違い

玉掛け資格には主に2種類あります。
1つは「玉掛け技能講習」で、これは吊り上げ荷重が1トン以上の玉掛け作業に対応できます。
もう1つは「玉掛け特別教育」で、1トン未満の軽量な荷物を扱う作業に限定されます。
産業界での需要は非常に高く、物流、製造、建設など幅広い分野で玉掛け資格保有者が求められています。
特に、効率的で安全な作業環境の構築が求められる現代において、この資格の価値は今後さらに高まっていくでしょう。
2.玉掛け資格の取得方法を詳しく解説

玉掛け資格の取得は、多くの人のキャリアのプラスになります。
ここでは、資格取得の具体的な方法や流れについて詳しく解説していきます。
玉掛け資格の受講条件
玉掛け資格を取得するための基本的な条件は、18歳以上であることです。
学歴や職歴に関する特別な要件はありません。幅広い年齢層の方々が挑戦できます。
申込みに必要な書類と記入例
講習機関が決まったら、早速申し込みの手続きを。玉掛け技能講習の申込書類は以下の2点です。
- 受講申込書
受講希望日や氏名、連絡先などを記入します。事前に必ず本人確認書類で内容を確認し、記入漏れがないよう注意。 - 証明社員
顔写真申込書に貼り付けるための、タテ3cm×ヨコ2.4cmの証明写真。無背景で、受験時と同じ姿の写真を用意します。
記入済みの講習機関の窓口かWebサイトから提出。すると、受講票や案内書などが届くので、内容をよく確認しておきましょう。
玉掛け技能講習と特別教育の流れ
玉掛け資格には、「技能講習」と「特別教育」の2種類があります。
技能講習は1トン以上の重量物を扱う作業に対応し、特別教育は1トン未満の作業に限定されます。
技能講習の場合、通常3日間(15〜19時間)のカリキュラムで構成されています。
一方、特別教育は2日間(9時間)で完了します。
どちらを選択するかは、将来の業務内容やキャリアプランによって決めるとよいでしょう。
玉掛け資格の学科講習と実技講習の内容
玉掛け資格の講習は、学科と実技の2つのパートに分かれています。
学科講習では、関係法令や力学の基礎知識、玉掛けの方法論などを学びます。
これらの知識は、安全で効率的な作業を行う上で不可欠です。法令を理解することで、作業における責任と義務を明確に認識できます。
実技講習では、実際のクレーンと荷物を使用して玉掛け作業の練習を行います。
ここでは、荷物の吊り方や安全な取り扱い方、クレーン運転手との合図のやり取りなど、現場で即戦力となるスキルを身につけます。
玉掛け資格、修了試験の概要と合格のコツ
講習の最後には、学科試験と実技試験があります。
学科試験は講習で学んだ内容から出題され、60%以上の正解で合格となります。
実技試験は実際の玉掛け作業を行い、70%以上の評価で合格です。
特に実技では、繰り返し練習することで自信をつけることが大切です。また、他の受講者と協力して学ぶことで、より効果的に技能を習得できるでしょう。
資格取得後は更新の必要がないため、一度取得すれば生涯有効です。この点も、玉掛け資格の魅力の一つと言えるでしょう。
実技試験の課題と評価ポイント
実技試験は、実際にクレーンを使用しての玉掛け作業が課題となります。試験時間は30分程度。評価のポイントは以下の5項目です。
実技試験の課題と評価ポイント
- 吊り具の選定
- 吊り具の取り付け
- 玉掛け作業の手順
- クレーン運転者への合図
- 安全への配慮・日頃の実技講習で手順をしっかり身につけ、安全第一で作業ができれば合格は目前。実技は学科に比べて不合格になるケースも少ないようです。
3.気になる玉掛け技能講習の料金相場!都道府県別の比較も
玉掛け技能講習の料金は地域や講習機関によってさまざまです。全国平均の相場から都道府県別の比較、法人・個人申込の違い、そして活用できる助成金まで、気になる費用について詳しく解説します。
3-4万程度が相場、特別教育なら半分程度
玉掛け技能講習の料金は、講習機関や地域によって異なります。
全国平均では、およそ3~4万円程度が相場と言えそうです。とはいえ、中には2万円台で受講できる地域もあれば、5万円近くかかるところもあるのが実情です。
各都道府県の労働局のHPなどで、認定講習機関の料金一覧を確認してみるのが確実です。ちなみに、つり上げ荷重1トン未満の「特別教育」なら、技能講習の半額程度の費用で済むケースが多いようです。
法人申込の方が個人申込より1万円程度安い
企業からの法人申込の場合、料金が割引になる講習機関もあります。
個人申込との差額は、1万円程度がおおいようです。一方、個人でも複数人数でまとめて申し込めば、団体割引が適用されるケースもあります。
申込方法による価格差は、講習機関に直接問い合わせてみると良いでしょう。ただし、講習料に宿泊費や交通費は含まれていないのが通例で、個人申込の場合は、トータルの費用負担を踏まえて講習先を選ぶ必要がありそうです。
割引制度や助成金を活用してお得に受講しよう
料金を少しでも抑えたい方には、各種の割引制度や助成金の活用がおすすめです。
例えば、雇用保険の被保険者なら、「人材開発支援助成金」の対象になる可能性もあります。
条件を満たせば、講習料の最大7割までが助成されます。他にも、講習機関独自の割引を設けているところもあるので、HPなどの情報をこまめにチェックしてみると良いかもしれません。
受講費用の工面は大変かもしれませんが、料金の相場を押さえつつ賢く制度を利用すれば、お得に資格取得できるはずです。
4.玉掛け資格を取得するメリット

玉掛け資格の取得は、キャリアに多くのメリットをもたらします。
ここでは、その具体的なメリットについて詳しく見ていきましょう。
玉掛けができるドライバーが重宝される理由
玉掛け資格を持つドライバーは、通常の運転業務に加えて、荷物の積み下ろし作業も担当できるため、多くの現場で重宝されます。
建設現場では資材の運搬と設置、物流センターでは大型荷物の取り扱い、製造工場では製品の移動など、玉掛けスキルを活かせる場面は数多くあります。
この汎用性により、より多くの仕事の機会が生まれ、雇用の安定性が高まります。また、チームの中で重要な役割を担うことで、職場での存在感も増すでしょう。
玉掛け資格保有者の年収アップの可能性
玉掛け資格の取得は、年収アップにつながる可能性があります。
専門技能を持つ作業員として評価され、基本給の上昇や、残業、休日出勤などの機会が増えることで、収入増加が期待できます。
また、この資格をきっかけに、現場責任者や管理職へのキャリアアップの道が開かれることもあります。玉掛けの技能と安全管理の知識は、リーダーポジションでも高く評価されるスキルです。
玉掛け資格を活かせる求人・転職先の例
玉掛け資格は、多様な業界で需要があります。具体的な求人例としては、以下のようなものがあります:
- 建設現場の玉掛け作業員
大型建築物の建設や土木工事現場で、資材の運搬や設置を担当。 - 物流センターの荷役スタッフ
大型商品や重量物の入出荷作業を効率的に行う。 - 工場の製品運搬担当者
生産ラインから倉庫への製品移動や、出荷準備作業を担当。 - 港湾施設の荷役作業員
船舶への貨物の積み降ろし作業を行う。
これらの職種では、玉掛け資格が必須条件や歓迎条件として設定されていることが多く、資格保有者は採用時に有利になるでしょう。
5.玉掛け技能講習がおすすめの人の特徴
玉掛け作業には体力と安全意識、そして地道な努力が欠かせません。この仕事に向いている人の特徴や適性について、実際の現場での要件を踏まえながら詳しく解説します。
体力に自信がある人は玉掛けの仕事に適性あり
玉掛け作業には、それなりの体力が求められます。重量物を扱うため、力仕事が多いのが特徴です。例えば、鋼材や鉄筋の束を吊り上げる際は、ワイヤーロープの掛け外しだけでも大変な重労働になります。
現場の作業環境も、炎天下だったり、雨風にさらされたりとハードなことが少なくありません。力に自信があり、バイタリティ溢れる方にはうってつけの仕事と言えるでしょう。
安全管理意識の高い人は資格取得後に活躍できる
玉掛けの仕事では、何より安全管理意識の高さが重視されます。ちょっとしたミスが、重大な事故につながりかねないからです。
吊り荷の落下や作業者の挟まれなど、怖い災害事例は枚挙にいとまがありません。危険予知を怠らず、慎重に作業を進められる几帳面さが求められます。
また、クレーン運転士など周囲の作業者とのコミュニケーションも大切。安全最優先の価値観を全員で共有し、息の合ったチームワークを発揮することが理想です。
社会人としての責任感が強く、安全意識の徹底にこだわりを持てる人。そんな資質を併せ持つあなたなら、玉掛けのプロへの適性は十分と言えそうです。
コツコツ努力できる人
忘れてはならないのが、玉掛け技能講習の勉強を地道に続ける忍耐力です。座学も実技も、正直に言って覚えることは多岐にわたります。
特に実技試験は、一連の手順を何度も反復練習するしんどさが伴うもの。そこを投げ出さずに励み続けられる持続力が、合格への分かれ道になるはずです。
加えて、現場での経験を積み重ねながら、スキルを向上させ続ける向上心も必要不可欠です。
6.玉掛け資格と一緒に取得したい関連資格

玉掛け資格を取得した後、さらにキャリアの可能性を広げるためには、関連する資格の取得も検討する価値があります。
ここでは、玉掛け資格と相性の良い資格とそのメリットについて解説します。
玉掛け資格とクレーン運転士免許との組み合わせ
玉掛け資格とクレーン運転士免許の組み合わせは、現場での活躍の幅を大きく広げます。
クレーン運転士免許には主に以下の種類があります。
- クレーン・デリック運転士(吊り上げ荷重5トン以上)
- 移動式クレーン運転士(吊り上げ荷重5トン以上)
- 小型移動式クレーン運転技能講習(吊り上げ荷重5トン未満)
これらの資格を取得することで、玉掛け作業だけでなくクレーンの運転も担当できるようになります。
結果として、より高度な責任を任されるチャンスが増え、キャリアアップや収入増加につながる可能性が高まります。
玉掛け資格とフォークリフト運転技能講習で運搬作業もカバー
フォークリフトの運転技能講習は、倉庫や工場内での荷物の運搬に欠かせない資格です。
玉掛け資格と組み合わせることで、クレーンでの荷役作業からフォークリフトでの細かな移動まで、幅広い荷役業務をカバーできるようになります。
これにより、物流センターや製造工場などでの汎用性が高まり、様々な職場で重宝される人材となれます。また、効率的な荷役作業が可能となるため、生産性向上にも貢献できるでしょう。
7.玉掛け資格で運送・建設業界でのキャリアアップを目指そう!
玉掛け資格は、運送・建設業界で働くドライバーのキャリアを広げる資格です。
この資格があれば、運転だけでなくクレーン作業や荷役作業もできるようになります。18歳以上なら誰でも取得可能で、3日間の講習と試験で資格が得られるうえ、費用は2〜4万円程度です。
将来の収入増加を考えれば価値ある投資です。資格取得により就職の機会が増え、年収アップの可能性も高まります。
キャリアアップを目指すために、検討してみてはいかがでしょうか。