タンクローリー運転に必要な免許や資格は？取得費用など徹底解説

タンクローリーの運転には、大型自動車免許やけん引免許など、特殊な資格が必要不可欠です。

本記事では、タンクローリー運転手に必要な資格や免許についての費用など詳しく解説するとともに、キャリアアップや年収事情についてもご紹介します。

タンクローリーの運転手を目指す方は、ぜひ参考にしてください。

1．タンクローリーに関する基礎知識と種類

タンクローリーの定義と役割

タンクローリーとは、液体や気体の貨物を運ぶために特殊設計されたトラックのことです。

一般的なトラックとは異なり、タンク部分が荷台となっており、運搬物の性質に合わせて形状や材質が選ばれています。

主な役割は、ガソリンスタンドへの燃料輸送、工場への原料輸送、建設現場への資材輸送など多岐にわたります。

タンクローリーの主な種類（危険物ローリー、粉粒体運搬車ローリー、高圧ガスローリー）

タンクローリーは運搬物によって主に3種類に分けられます。

• 危険物ローリー
  ガソリンや軽油などの燃料、アルコールや薬品などの危険物を運搬
• 粉粒体運搬車ローリー
  小麦粉、セメント、砂糖などの粉状や粒状の貨物を運搬
• 高圧ガスローリー
  LPガスや液化酸素などの高圧ガスを運搬。特殊な構造と装置を備える

タンクローリー運転手の仕事内容と責任

タンクローリー運転手は、貨物の安全な輸送に責任を負います。

積み込みから運搬、荷下ろしまでの一連の作業をおこない、法令遵守と安全運転に努めます。また、車両の点検・整備、書類の管理なども重要な業務です。

運搬物の特性を理解し、事故防止と環境保全に配慮することが求められます。

2．タンクローリー運転に必要な資格と免許

大型自動車免許の取得条件と方法

大型自動車免許は、車両総重量11トン以上または最大積載量6.5トン以上の自動車を運転するために必要です。

取得には、21歳以上で普通免許取得後3年以上の経験が必要で、大型自動車学科試験と技能試験に合格する必要があります。教習所での教習が一般的ですが、試験のみの取得も可能です。

大型免許取得条件の変更｜2022年5月から19歳以上が受験可能に

大型免許の取得条件が2022年5月13日に改正され、従来の21歳以上から19歳以上に引き下げられました。深刻化するドライバー不足と高齢化問題に対応するためです。

21歳以上は普通免許等を3年以上保有していれば受験可能ですが、19〜20歳の場合、特定の教習修了と普通免許等の1年以上の保有が必要です。どちらの年齢でも、一定の視力基準を満たし、知覚検査に合格する必要があります。

この改正により、若年層のキャリア選択肢が広がり、運送業界の人材確保に貢献することが期待されています。

けん引免許の必要性と取得プロセス

けん引免許は、トレーラーなどの被けん引車を牽引する際に必要な免許で、普通自動車免許を取得していることが前提条件です。

けん引免許を取得すると、車両総重量750kg以上のトレーラー等を牽引できます。教習所での教習が一般的で、学科試験と技能試験に合格する必要があります。

危険物取扱者乙4類の資格の概要と取得方法

危険物取扱者乙4類は、ガソリンや軽油などの燃料、アルコールや薬品などの危険物の運搬に必要な資格です。

受験資格に制限はなく、危険物の性質や法令、安全管理などの知識を問う学科試験に合格する必要があります。危険物取扱者試験の日程は自治体ごとに異なります。

東京都は危険物乙4の試験回数が多く、毎月3〜5回程度おこなわれています。受験を希望する場合は各自治体のスケジュールを確認することが重要です。

高圧ガス移動監視者の資格の重要性と取得手順

高圧ガス移動監視者は、LPガスや液化酸素などの高圧ガスを運搬する際に必要な資格です。

高圧ガスの性質や法令、災害時の対応などの知識が求められ、2日間の講習を受講し、修了試験に合格する必要があります。年齢制限はなく、誰でも取得可能です。

毒物劇物取扱責任者の資格の必要性と取得方法

毒物劇物取扱責任者は、毒物や劇物を運搬する際に必要な資格です。

取扱責任者になるには、18歳以上であることや、都道府県が実施する毒物劇物取扱者試験に合格する必要があります。有害物質の性質や関連法規、安全管理などの知識が問われます。

3．タンクローリー関連資格の取得にかかる費用と期間

各資格・免許の取得費用の詳細

• 大型自動車免許
  教習所で30〜35万円程度、試験のみの場合は4万円程度
• けん引免許
  教習所で12〜15万円程度、一発試験の場合は6,100円程度
• 危険物取扱者乙4類
  受験料1万円程度、テキスト代5千円程度
• 高圧ガス移動監視者
  講習受講料2万円程度
• 毒物劇物取扱責任者
  受験料1万円程度、テキスト代5千円程度

資格取得にかかる期間と学習方法

• 大型自動車免許
  教習所で4〜6週間程度、独学や合宿免許で短縮可能
• けん引免許
  教習所で1〜2週間程度
• 危険物取扱者乙4類
  独学で1〜2ヶ月程度、講習会や通信教育の利用も可能
• 高圧ガス移動監視者
  2日間の講習受講
• 毒物劇物取扱責任者
  独学で1〜2ヶ月程度、講習会や通信教育の利用も可能

資格取得の投資価値について

タンクローリー運転手として活躍するためには、複数の資格取得が必要不可欠です。

資格取得に一定の費用と時間を要しますが、それによりキャリアの選択肢が広がり、収入面でもメリットが期待できます。長期的なキャリア形成を見据えた投資と捉えることが重要です。

4．タンクローリー運転手としてのキャリアパス

タンクローリー運転手のキャリアは、初任者から始まり、経験を積んでベテランになります。初任者は過去3年以内に初任診断を受けていない新規雇用の運転手を指します。

ここでは最初のステップである初任者からベテランまでのキャリアステップの一例をご紹介します。

初任者〜ベテランと言われるまでのキャリアステップ

1. 初任者
   必要な免許などを取得し、初任者運転者研修を受け、先輩ドライバーの指導を受けながら業務を習得
2. 一人前
   数年の経験を積み、安全運転と効率的な配送を自己管理できるレベルに到達
3. リーダークラス
   後進の指導や配送ルートの選定など、現場の中核としての役割を担う
4. ベテラン
   豊富な経験を活かし、安全運転と確実な配送を実践、トラブル対応力も高い

タンクローリー運転手の給与体系と年収の実態

タンクローリー運転手の平均年収は450〜550万円程度となっています。

初任者は350万円程度からスタートし、経験を積むごとに給与は上昇します。

ベテランクラスになると、600万円以上の年収も可能です。運搬物の種類や勤務地、会社規模などによっても差があります。

キャリアアップの機会について

タンクローリー運転手としてのキャリアを積んだ後、管理職への昇進や専門性を高めることでさらなるキャリアアップが可能です。

• 運行管理者
  配車や運転手の労務管理、安全教育などを担当
• 危険物輸送のスペシャリスト
  高度な知識と経験を活かし、安全輸送のエキスパートとして活躍
• 営業職
  輸送サービスの提案や顧客との折衝を担当

こうした役割に挑戦することで、さらなる職域の拡大とキャリア形成が可能となるでしょう。

5．タンクローリー運転手が意識したい安全管理

安全運転の重要性と事故防止策

タンクローリーの運転では、安全運転が何より重要です。

事故を起こせば、人命や環境に深刻な影響を及ぼしかねません。日頃から交通ルールの遵守は大前提とし、車両特性を理解した上で、余裕を持った運転を心がけましょう。

また、出発前の点検や定期的なメンテナンスを欠かさず、万全の状態で運行に臨むことが肝要です。

危険物輸送時の注意点と緊急時の対応

危険物を運搬する際は、より一層の注意が必要です。

まず、法令で定められた輸送方法や安全基準を熟知し、厳格に遵守することが大切です。積み込みや荷下ろしの際は、慎重に作業をおこない、漏洩や火災のリスクを最小限に抑えましょう。

万が一の事故や緊急事態に備え、対応手順を確認し、冷静かつ迅速に行動できるよう備えておくことも重要です。

継続的なスキルアップと最新情報の収集方法

タンクローリー運転手として成長し続けるには、継続的なスキルアップが欠かせません。

運転技術の向上はもちろん、法令改正や新技術の動向など、業界の最新情報にもアンテナを張っておきましょう。

社内教育や外部セミナーへの参加、関連資格の取得など、自己研鑽の機会を積極的に活用することも大切です。また、同僚や先輩ドライバーとの情報交換を通じて、実践的なノウハウを吸収することも有効です。

6．タンクローリー運転手の仕事や資格を理解し、キャリアアップにつなげよう

タンクローリー運転手は、液体や気体の貨物を安全に輸送する重要な役割を担っています。

やりがいがある一方で、大型自動車免許やけん引免許、各種資格の取得が求められるなど、一定のハードルがあるのも事実です。しかし、必要な知識とスキルを身につけ、経験を積んでいけば、着実にキャリアを積み重ねていくことができるでしょう。

安全運転と法令順守遵守を大前提に、危険物輸送の専門性を高め、後進の指導にも力を発揮できるプロフェッショナルを目指しましょう。

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