タンクローリーを運転して危険物を運ぶ仕事には、特殊な運転技術が欠かせません。高度なスキルと大きな責任を担う一方で、年収は450〜600万円と高待遇です。
また、インフラ整備は社会に不可欠な仕事なので、安定した仕事を得やすい分野です。資格取得とキャリアアップを重ねることで、収入も増えていく可能性が高いです。
- タンクローリードライバーの平均年収と給与に影響する要因について
- 必須となる資格と収入アップにつながる追加資格の種類について
- 経験年数や企業規模による給与の違いと将来性について
1.タンクローリードライバーの仕事内容と一日の流れ

タンクローリードライバーは危険物の運搬を担う専門職です。細心の注意が必要な仕事ですが、効率的な運行管理により、比較的規則正しい勤務が可能です。
タンクローリードライバーが運ぶ主な貨物
タンクローリードライバーは、ガソリンや軽油、灯油などの石油製品をはじめ、高圧ガスや化学薬品など、危険度の高い液体や気体を専門に輸送するドライバーです。運ぶ貨物の種類によって大きく以下の3つに分けられます。
- 石油系燃料(ガソリン、軽油、灯油など)
- 高圧ガス(酸素、窒素、LPGなど)
- 化学薬品(薬品、溶剤など)
タンクローリーの大きさは、小型から大型まで様々ですが、中型や大型の車両を運転することが多いでしょう。運転には細心の注意が求められ、事故を起こした際の被害も甚大です。高い安全意識と運転技術が求められる仕事だと言えます。
タンクローリードライバーの1日の仕事の流れ
タンクローリードライバーの1日の仕事は、以下のような時間の流れが一般的です。
【出社から積み込みまで】
- 7:00 出社、アルコールチェックと点呼
- 7:15 運行前の車両点検を実施、異常がないかチェック
- 7:30 運行管理者から1日のルートや納品先の説明を受ける
- 8:00 指定のタンクローリーに乗り込み、出発
- 8:30 給油所やタンク基地に到着、貨物の積み込み開始
【運行から納品まで】
- 9:00 積み込み完了、納品先に向けて出発
- 10:30 1件目の納品先に到着、荷下ろしと書類の受け渡し
- 11:00 次の納品先に向けて出発
- 12:00 昼食休憩
- 13:00 2件目の納品先に到着、荷下ろしと書類の受け渡し
- 13:30 給油所に向けて出発
- 14:30 給油所に到着、再度燃料の積み込み
- 15:00 3件目の納品先に向けて出発
【納品から帰社まで】
- 16:00 最終納品先に到着、荷下ろしと書類の受け渡し
- 16:30 会社に向けて出発
- 17:30 会社に到着、点呼を受ける
- 18:00 残務処理(日報の記入など)を行い、退勤
※上記はあくまで一例です。実際の勤務時間や納品件数は、会社や日によって大きく異なります。
朝は早めの出社が求められることが多く、夜の残業もある程度必要です。ただし、タンクローリーの運転は他のトラックと比べると拘束時間が短めという特徴があります。効率的なルート設定により、比較的定時に業務を終えられるケースが多いのも魅力です。
2.タンクローリードライバーの給料・必要資格
タンクローリードライバーの給与は経験と資格に応じて大きく変動します。大手企業では年収600万円以上も可能で、業界内でも高水準の待遇が特徴です。
タンクローリードライバーの平均的な給料・年収

タンクローリードライバーの平均年収は、450万円〜600万円程度と言われています。ただし、これはあくまで平均値であり、個人差が大きいのが実情です。以下年収を左右する主な要因になります。
一般的に、大型免許を持ち危険物取扱者や高圧ガス移動監視者などの資格を多く保有しているドライバーほど高い年収を望むことができます。
また、タンクローリーの中でも、ガソリンや軽油など引火性の高い貨物を運ぶ石油系ローリードライバーの給与が最も高い傾向にあります。
他のドライバー職との給与比較
タンクローリードライバーの年収は、他のドライバー職と比べてどのような位置づけにあるのでしょうか。
国土交通省の調査によると、大型貨物自動車運転者の平均年収は約480万円。これに対し、タンクローリードライバーの平均年収は500万円前後と、同じ大型車両を運転する職種の中では高い部類に入ります。特に、石油系や高圧ガスを運ぶタンクローリードライバーの場合、年収600万円以上の求人も珍しくありません。大型免許保有者の中でも、特に高い給与水準にあると言えるでしょう。
経験や資格による給与の違い
タンクローリードライバーの給与は、経験年数や保有資格によって大きく変動します。経験年数が長いほど給与は高くなる傾向があり、新人の場合は年収400万円程度からスタートし、キャリアを重ねるごとに昇給していくイメージです。10年以上のベテランになれば、大手企業の場合年収600万円以上も夢ではありません。
次に、保有資格による給与の違いについて見ていきましょう。
必要な運転免許(車両総重量による区分)
免許の種類 | 対象となる車両 | 主な用途 |
---|---|---|
中型免許 | 総重量7.5トン以上11トン未満 | 小型タンクローリー(4KL積みクラス) ミニローリー |
大型免許 | 総重量11トン以上 | 一般的なタンクローリー |
必要な資格(運搬する物質による区分)
危険物取扱者乙種第4類 | 必須 | ガソリン、灯油、軽油などの引火性液体 |
高圧ガス移動監視者 | 必須※ | 高圧ガス(※高圧ガス運搬時のみ) |
キャリアアップにおすすめな資格
危険物取扱者乙種第1〜6類 | 給与優遇、取扱可能物の拡大 |
毒物劇物取扱責任者 | 給与優遇、キャリア拡大 |
特定化学物質等作業主任者 | 給与優遇、管理職への道 |

運搬する物質や保有資格によって待遇は大きく変わります。一般貨物(水・食用油)の場合は中型免許のみでスタート可能ですが、複数の危険物資格取得で年収800万円以上も視野に入ります。
ただし、季節による需要変動が収入に影響するため、安定性を重視する場合は大手企業がお勧めです。なお、多くの企業で資格取得支援制度を設けています。
3.タンクローリードライバーの仕事の魅力

高度な運転技術が身につく上、社会インフラを支える重要な仕事としてやりがいも十分です。給与水準も高く、長期的なキャリア形成が可能です。
高度な運転技術が身につく
タンクローリーの運転には、繊細な車両コントロールが求められます。ブレーキや車間距離の調整など、ハイレベルな運転テクニックが必要とされるため、ドライバーとしての腕を磨くことができるでしょう。
社会インフラを支える重要な仕事
ガソリンや灯油など、私たちの生活に欠かせない燃料を運ぶタンクローリードライバー。まさに、社会を支えるインフラの一端を担う重要な仕事だと言えます。自分の仕事が社会に貢献していると実感できるはずです。
給与水準が高い
タンクローリードライバーの給与は他のドライバー職と比較しても高水準と言えます。危険な貨物を運ぶ以上、それ相応の報酬が得られるというメリットがあります。モチベーションを保つ意味でも、魅力的な点だと言えるでしょう。
定年後も活躍できる
ドライバー不足が続いてる運送業界では、タンクローリードライバーの需要は高く経験者優遇の求人も多数あります。定年後に経験を活かして働くことも可能です。体力に自信があるなら、セカンドキャリアの選択肢としてアリだと言えます。
4.タンクローリードライバーがきつい5つの理由

タンクローリードライバーは高い報酬の一方で、危険物運搬に伴うストレスや身体的負担が大きい職種です。安全管理と健康管理の両立が求められます。
タンクローリードライバーがきつい理由①危険物の運搬に伴うプレッシャー
ガソリンや高圧ガスなど、危険度の高い貨物を運ぶタンクローリードライバー。常に緊張感を持って運転する必要があり、精神的なプレッシャーは相当なものです。ストレス耐性が求められる仕事だと言えます。
タンクローリードライバーがきつい理由②事故のリスクが高い
万が一事故を起こしてしまった場合、取り返しのつかない事態を招きかねません。危険物による火災や爆発のリスクもあるため、事故は絶対に避けなければならないのです。その重圧は、他のドライバー以上と言えるでしょう。
タンクローリードライバーがきつい理由③体力的な負担が大きい
タンクローリーの運転は、長時間同じ姿勢を取り続けることが多く、腰や肩への負担が大きい。また、荷下ろしの際にはホースを扱う重労働もあり、体力的にかなり大変な部類の仕事だと言えます。
タンクローリードライバーがきつい理由④不規則な勤務体系
タンクローリードライバーの勤務は、シフト制であることが多く、夜勤や早朝勤務もあります。不規則な生活リズムは、心身の健康を損なうリスクがあるため、体調管理が欠かせません。
タンクローリードライバーがきつい理由⑤長時間の拘束時間
1日の拘束時間が長いのも、タンクローリードライバーの悩みの種です。運転時間以外にも、荷役作業や書類の処理などで時間を取られるため、家族との時間が取りづらいというデメリットがあります。

タンクローリードライバーの仕事はやりがいもありますが、同時に大変さの覚悟が必要と言えます。
プレッシャーの中で高い集中力の維持・体力を保ち続けなければならないので、ストレスとの付き合い方を身につけることが大切だと言えるでしょう。
5.タンクローリードライバーのキャリアパス

タンクローリードライバーのキャリアパスは、新人から管理職までステップアップできる道が用意されています。
経験を積むと主任ドライバーとして後輩の指導を担当したり、運行管理者の資格を取得すれば管理職への道も開かれます。
また、独立して個人事業主になる選択肢もあります。どのキャリアを選ぶにしても、運転技術に加えてビジネスマナーやコミュニケーション力の向上が欠かせません。
6.タンクローリードライバー希望者におすすめ転職エージェント2選
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引用:プレックスジョブ
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下記の記事では、プレックスジョブの利用者の声を紹介しています。他サービスとの比較も解説しますので、ぜひ参考にしてください。
7.タンクローリードライバーの給料は努力次第で上げられる!
タンクローリードライバーは、物流業界において社会インフラを支える重要な職種です。ネット通販の普及や製造業の需要により、安定した雇用が見込まれています。給与面では、危険物取扱の専門性が評価され、平均年収450〜600万円と比較的高水準です。
一方で、業界全体で若手ドライバーの不足と高齢化が課題となっています。また、将来的には自動運転技術の進歩により、ドライバーの役割が変化する可能性も考慮が必要です。
キャリアアップのためには、計画的な資格取得と企業選びが重要です。大手企業では充実した待遇が期待できますが、中小企業では給与の頭打ちなども考慮すべき点となります。