2025年公開の最新データ(令和6年統計)に基づき、タクシー運転手の平均年収や手取り額を年齢別・都道府県別に徹底解説。
賞与が70%以上アップした背景や、東京・埼玉・愛知などの稼げるエリア、歩合制の仕組みまで、稼げるドライバーになるためのキャリア戦略を紐解きます。
タクシー運転手の仕事に対し、「稼げない」「不安定」といったイメージを持つ人は少なくありません。
しかし、直近の令和6年のデータを見ると、その実態は「月給は安定、ボーナスは大幅増」という新たなフェーズに入っています。 外国人観光客の増加や配車アプリの定着により、特に賞与(ボーナス)の水準が劇的に回復しており、働き方次第では全産業平均に迫る収入を得ることも現実的です。
この記事では、全国ハイヤー・タクシー連合会の最新統計に基づき、タクシー運転手のリアルな年収事情を解き明かします。
平均値の裏にあるカラクリや給与システムの法的仕組み、そして具体的な働き方別の年収シミュレーションを通して、キャリアの可能性を再評価できるはずです。
- 2025年最新(令和6年)の平均年収は約415万円。賞与が前年比72.7%増と劇的に回復
- 【年齢別】20代後半から450万円超えも。ピークは40代前半で約482万円
- 【地域別】東京・大阪に加え、埼玉・愛知が平均470万円超えの高水準エリアに
1.タクシー運転手の平均年収と最新推移【2025年/令和6年版】
タクシー運転手の年収は、景気や社会情勢の影響をダイレクトに受けやすい傾向にあります。最新の公的データに基づき、年収トレンドと「平均値」の読み解き方を解説します。
全国平均年収は約415万円・賞与は「72.7%増」の大幅回復
平均年収の推移 (令和2年〜6年)
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全国ハイヤー・タクシー連合会が公表した「令和6年タクシー運転者の賃金・労働時間の現況」によると、タクシー運転手の年間推計額(年収)は約414万8,500円となりました。
前年(令和5年)と比較すると年収ベースでは微減(-1.0%)となっていますが、特筆すべきは「年間賞与(ボーナス)」が前年比72.7%増(約22万円)と大幅に増加している点です。
コロナ禍で落ち込んでいた賞与水準が回復し、給与の質が向上していることがわかります。
出典:令和6年タクシー運転者の賃金・労働時間の現況(全国ハイヤー・タクシー連合会)
全産業との比較と「平均値」のカラクリ
全産業との年収比較
統計上、タクシー運転手の平均年収(約415万円)は、全産業の平均年収(約527万円)と比較すると約112万円の差があります。しかし、この数字を額面通りに受け取る際には注意が必要です。
タクシー業界は、他産業に比べて平均年齢が高く(約60.2歳)、定年退職後の再雇用者や、年金受給のためにあえて労働時間を抑えているパートタイム勤務のドライバーが多く含まれています。これらが統計上の「平均値」を押し下げる要因となっています。
フルタイムで勤務する現役世代(特に都市部のドライバー)に限れば、この差はもっと縮まり、全産業平均以上の水準で稼いでいるケースも珍しくありません。
実際の手取りはいくら?
年収(額面)から、税金や社会保険料を差し引いた「手取り額」は、生活設計において最も重要な数字です。
一般的に手取り額は額面の75%〜80%程度となります。年収415万円の場合、手取り年収は約310万円〜330万円、月収換算(ボーナス込み)で約26万円〜27万円程度が目安となります。
ただし、タクシー会社によっては、制服代やクリーニング代などが給与から天引きされる慣行が残っている場合もあります。
入社前に「法定外控除」の有無を確認することが推奨されます。
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2.【年齢別】タクシー運転手の年収カーブとキャリア戦略
令和6年のデータでは、若い世代ほど高い年収を得ている興味深い傾向が出ています。年齢や経験年数よりも、その時点での「稼ぐスキル」が収入に直結する実力主義の世界です。
20代・30代:アプリ活用でベテランを凌駕する高収入
ドライバー
※イメージによる比較表現です
令和6年の統計では、25歳〜29歳の推計年収は約456万円となっており、全体の平均を大きく上回っています。
若手ドライバーの最大の武器は、デジタルツールへの適応能力です。
配車アプリ(GO、Uberなど)の操作や、需要予測AIの活用に長けているため、地理に詳しいベテラン勢を売上で上回るケースも多々見られます。
体力があり、夜勤(深夜割増)を含むシフトをこなせることも高収入につながる要因です。
40代前半が「年収のピーク」:約482万円
※令和6年賃金・労働時間の現況より作成
年齢階級別データを見ると、タクシー運転手の年収のピークは40歳〜44歳で、約482万2,700円となっています。次いで35歳〜39歳も約476万円と高水準です。
この世代は、体力と経験のバランスが最も良く、効率的に稼働できる時期です。
他産業では40代での転職は年収ダウンのリスクが伴いますが、タクシー業界ではこの年代が最も稼げる「働き盛り」として活躍しており、セカンドキャリアとしての再起を図るには適したタイミングと言えます。
60代以降:年金受給と両立する賢い働き方
60代以降は、収入が緩やかに減少しますが(60〜64歳で約438万円)、これは体力に合わせて働き方を調整できるタクシー業界の利点でもあります。
「隔日勤務」や「定時制」など、自身の健康状態に合わせて勤務日数を減らすことが可能です。
年金の受給額に合わせて給与を調整しながら働くドライバーも多く、定年後の安定した収入源として機能しています。
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3.【都道府県別】年収が高い地域・低い地域と格差の理由
【令和6年】都道府県別
タクシー運転手の平均年収
地域によって大きな差!都市部は450〜500万円台も
タクシー運転手の年収を決定づける最大の要因は「働く場所」です。令和6年のデータでは、東京一極集中から、周辺都市への分散傾向も見られます。
年収ランキングTOP5:埼玉・愛知が躍進
令和6年のデータによると、年収が高い都道府県の上位は以下の通りです。
東京都は依然としてトップクラスですが、前年よりも落ち着きを見せました。
一方で、埼玉県(前年比+92万円)や愛知県(前年比+116万円)が大幅に数値を伸ばしており、東京以外の都市圏でも稼げる環境が整ってきていることがわかります。
地方都市(仙台・福岡など)の年収事情
地方の中核都市でも、都市部と地方部で事情が異なります。
例えば宮城(仙台)は東京と比較すると約200万円の差がありますが、これは「流し営業」が成立しにくい環境であることが主な要因です。
地方都市では、駅やホテルでの「付け待ち」や、無線・アプリ配車が営業の中心となるため、待機時間のロスを減らすために配車アプリに強い会社を選ぶ戦略がより重要になります。
地方でも稼ぐための戦略(観光・介護タクシー)
人口が少ない地域(青森県:約211万円など)では、移動手段としてのタクシー需要は限定的です。そのため、付加価値をつける戦略が必要になります。
観光地であれば「観光タクシー」としてガイドを行う、高齢化が進む地域では「介護タクシー」や「通院サポート」に特化するなど、地域のニーズに合わせた専門性を持つことで、平均以上の収入を確保することが可能です。
4.タクシーの給料が決まる「歩合制」の仕組みと最低年収の保証
タクシー業界の給与システムは、一般的な「固定給」とは大きく異なります。この仕組みを理解していないと、入社後に「思っていた給料と違う」というミスマッチが起こりかねません。
A型・B型・AB型賃金の違いを解説
タクシーの賃金体系は主に3つのパターンに分類されます。