タイヤ交換を自分で行う場合や、ガソリンスタンドで働く際に「特別な資格は必要なのか?」と疑問に思うことがあるかもしれません。
この記事では、タイヤ交換に関する法律上の扱いや、無資格でできる作業の範囲、さらには整備士としてのキャリアを築くために必要な資格について解説します。
- タイヤ交換の作業自体に国家資格が必要かどうか
- 法律で定められた「分解整備」と無資格でできる「軽整備」の境界線
- ガソリンスタンドなどでの業務と資格の関係
- 未経験から自動車整備士のキャリアを築くための具体的なステップ
1.タイヤ交換の作業自体に国家資格は不要

タイヤ交換は身近な作業ですが、法律上の位置づけを正しく理解している人は意外と少ないかもしれません。ここでは、資格の必要性について法的根拠とともに解説します。
なぜ「資格不要」と言えるのか?
結論から言えば、タイヤ交換(ホイールごと取り替える脱着作業)を行うこと自体に、特定の国家資格は必要ありません。
法律(道路運送車両法)では、自動車の安全上重要な部分の整備を「分解整備」と定めており、これを事業として行うには国の認証が必要です。
しかし、一般的なタイヤ交換(ホイールとタイヤが一体になったものを車両から取り外したり、取り付けたりする作業)は、この「分解整備」には該当しないとされています。
そのため、法律上は資格を持たない人でもタイヤ交換作業を行うことが可能です。
ただし「安全確保」の知識は必須(JAF統計)
資格が不要だからといって、誰でも安全に作業ができるわけではありません。タイヤは自動車の安全性を直接左右する非常に重要な部品です。
事実、JAF(日本自動車連盟)の統計によれば、2022年度の高速道路におけるロードサービス出動理由の第2位は「タイヤのパンク、バースト、エアー圧不足」(全体の20.35%)でした。
不適切な取り付けや空気圧の管理ミスは、重大な事故に直結する危険性があります。資格の有無にかかわらず、作業には正しい知識と技術が不可欠です。
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2.注意すべき法律の境界線|「分解整備」とは?

タイヤ交換が資格不要とはいえ、すべての整備作業が自由にできるわけではありません。ここでは、法律で定められた「分解整備」との違いを明確にしておきましょう。
資格が必要な「分解整備」の定義
自動車整備において、法律上の大きな境界線となるのが「分解整備」です。
これは「道路運送車両法施行規則第3条」で定められており、エンジンやブレーキ、サスペンションといった「重要保安部品」を取り外して行う整備や改造を指します。
これらの作業を事業として「他人の車を有償」で行うためには、地方運輸局長の認証を受けた整備工場(認証工場)である必要があり、有資格者(自動車整備士)の配置が義務付けられています。
参考|国土交通省地方運輸局:道路運送車両法施行規則第3 条「 特定整備の定義」の解釈、一般社団法人 東京都自動車整備振興会:分解整備の種類と作業の範囲
無資格でできる整備(軽整備)の具体例
一方、以下のような作業は「分解整備」にあたらない「軽整備」とされており、無資格でも行うことが法的に可能です。
メンテナンス・作業内容一覧
足回り
タイヤ・ホイール交換
油脂類
オイル・フルード交換
エンジン・電装
バッテリー・プラグ交換
消耗品
ワイパー・フィルター交換
電装品(取り付け)
ナビ・ETC・ドラレコ取付
ただし、ブレーキパッドの交換のように重要保安部品の機能に直接影響する作業は、明確に「分解整備」に該当するため注意が必要です。
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3.【業務シーン別】タイヤ交換と資格の関係

タイヤ交換の業務は、ガソリンスタンドや整備工場など働く場所によって、法的に許される作業範囲や役割が異なります。
ここでは、店舗ごとの作業区分の違いや、キャリア形成において重要な「認証工場」と「指定工場」の特徴について解説します。
ガソリンスタンドやカー用品店での作業
ガソリンスタンドやカー用品店のピット作業でタイヤ交換が行われることも多いですが、これらの店舗が「認証工場」でない場合、行えるのは上記の「軽整備」の範囲(ホイールごとの交換など)に限られます。
なお、タイヤをホイールから外し、新しいタイヤを組み付ける(タイヤチェンジャーなどを使う)作業自体は法律上の「分解整備」に該当しません。

ただし、安全な作業には専門的な知識と技術が求められるため、多くの事業所では「自動車タイヤ整備士」などの資格保有者が作業を担当します。
「認証工場」と「指定工場」の違い
整備工場には「認証工場」と「指定工場」の2種類があります。
認証工場
分解整備を行うことを国から許可された工場です。車検のための整備はできますが、車検の検査ラインは持っていません。
指定工場(民間車検場)
認証工場のうち、さらに厳しい基準(人員、設備、技術)を満たし、自社で車検の検査(ライン)まで行える工場です。

キャリアを考える上では、どちらも自動車整備士としての実務経験を積むことができる場所となります。
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4.タイヤ交換を「仕事」にするための国家資格

タイヤ交換を含む整備を本格的な「仕事」として、キャリアアップを目指す場合には、国家資格である「自動車整備士」の資格が実質的に必要となります。
キャリアの第一歩「3級自動車整備士」とは
自動車整備士資格は1級・2級・3級・特殊整備士に分かれています。
その中で「3級自動車整備士」は、基本的な整備作業(軽整備や、分解整備の一部)を行うことができる資格で、整備士キャリアの登竜門とされています。
ガソリン・シャシ・ジーゼルの種類があり、3級を取得することが、その後の2級(整備全般のリーダー的役割)を目指すための第一歩となります。
専門資格「自動車タイヤ整備士」とは
自動車整備士の資格の中には、特定の分野に特化した「特殊整備士」という区分もあります。
その一つが「自動車タイヤ整備士」です。これは、タイヤに関する専門的な知識と技術(タイヤの点検、組付け、バランス調整、修理など)を持つことを証明する国家資格です。
3級整備士よりもさらにタイヤに特化した専門家としての証明になります。
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■派遣で働きながら整備士資格を取得するメリット
カラフルスタッフィング メカニックでは、派遣スタッフとして働きながら3級自動車整備士やタイヤ整備士の資格取得を目指せます。専門コーディネーターが資格取得支援制度のある職場をご紹介し、キャリアアップをしっかりサポートします。
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5.未経験から整備士キャリアを築く方法

未経験から整備士を目指す場合、段階的にステップアップする戦略が有効です。
- 1)無資格OKの職場で「実務経験」を積む
- 自動車整備士の受験資格を得るための一つのルートは「実務経験」です。
まずは無資格でも応募可能なガソリンスタンド、カー用品店、または整備助手として認証工場などに就職し、タイヤ交換やオイル交換などの「軽整備」を担当しながら実務経験を積みます。
一定期間(1年以上など)の実務経験を積むことで、3級自動車整備士の受験資格を得ることができます。

- 2)企業の「資格取得支援制度」を活用する
- 整備業界は人手不足の傾向があり、多くの企業が未経験者の採用と育成に積極的です。
注目すべきは、企業の「資格取得支援制度」。これは、働きながら整備士資格(3級など)を取得するための費用(学費や受験料)を会社が負担または補助してくれる制度です。
経済的な負担を抑えながら国家資格を取得できるため、未経験からキャリアを築く上で有効な手段です。

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■未経験から整備士を目指すなら派遣という選択肢
カラフルスタッフィング メカニックなら、未経験・無資格からでも整備助手として有名ディーラーや認証工場で働けます。実務経験を積みながら、受験資格取得に必要な経験年数をクリアできるため、効率的にキャリアをスタートできます。
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持っていると有利な関連資格(フォークリフト等)
自動車整備の現場では、重量物であるタイヤや部品を運搬するためにフォークリフトを使用する機会も多くあります。
そのため、「フォークリフト運転技能者」の資格を持っていると、応募できる求人の幅が広がり、選考でも有利に働く可能性があります。

数日の講習で取得できるため、整備士資格と合わせて検討する価値があります。
■資格取得支援制度が充実した派遣先をご紹介
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6.「タイヤ交換」から「整備士」へ。キャリアを築くためのステップ
タイヤ交換の作業自体に国家資格は不要ですが、安全に行うための知識は必須です。
また、事業として行う場合は「分解整備」との法的な境界線を理解しておく必要があります。
もしタイヤ交換や自動車整備を「仕事」としてキャリアを築きたいのであれば、無資格でできる作業から実務経験を積みましょう。
その後、企業の「資格取得支援制度」などを活用して「3級自動車整備士」の資格取得を目指すことが、現実的かつ堅実な第一歩となります。
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