運送会社は今、大きな転換期を迎えています。デジタル化の波、環境規制の強化、新たな物流モデルの登場など、変化は加速しています。
このような状況下で、運送会社各社の売上ランキングはどのようになっているのでしょうか。
本記事では、2024年の運送業界の動向や、売上ランキングTOP10各社の状況をご紹介します。
- 2024年運送会社売上ランキングTOP10とその特徴
- 信頼できる運送会社を選ぶための5つの重要ポイント
- 運送業界の最新トレンドと将来展望
1.働き甲斐のある運送会社、5つのポイント
運送業界は安定した需要があり、社会にとって不可欠な産業です。しかし、すべての企業が同じ待遇ではありません。
キャリアを充実させ、長期的に働きやすい環境を見つけるためには、以下のポイントをチェックすることをおすすめします。
①安全性と信頼性への取り組み
安全性と信頼性は、運送業界において最も重要な要素の一つです。
チェックポイント
- 安全運転教育
定期的な研修や、最新の安全技術の導入状況をチェック - 事故対応と保険
万が一の際のサポート体制や補償内容を確認 - セキュリティ対策
GPS追跡システムや防犯カメラの導入など、あなたの安全を守る取り組みをチェック
安全性を重視する企業は、仕事に対するやりがいと安心感を高めてくれるでしょう。
②多様なキャリアパスと成長機会
運送業界でも、様々な仕事や役割の選択肢があります。
チェックポイント
- 取扱い貨物の多様性
一般貨物から特殊貨物まで、幅広い経験を積める可能性を確認 - 配送エリアの範囲
地域密着型か全国展開か、あなたの希望に合うか確認 - 特殊スキルの習得機会
危険物取扱いや大型車両の運転など、キャリアアップの可能性を確認
自分の興味や強みを活かせる分野があるか、将来のキャリアビジョンを描けるかをチェックしましょう。
③テクノロジー活用と効率化への姿勢
最新技術の導入は、あなたの仕事をより効率的で価値あるものにします。
チェックポイント
- 配送管理システム
使いやすさと効率性をチェック - AI・IoTの活用
最新技術に触れる機会があるか確認 - データ分析
科学的アプローチで仕事の質を高める取り組みをチェック
技術革新に積極的な企業は、あなたのスキルアップとキャリア発展の可能性を高めます。
④働き方改革と人材育成への取り組み
ワークライフバランスと継続的な成長機会は、長期的なキャリア満足度に直結します。
チェックポイント
- 労働時間管理
過度な長時間労働がないか確認 - 休暇制度
有給休暇の取得率や特別休暇の有無をチェック - 研修制度
スキルアップや資格取得支援の内容を確認
従業員を大切にする企業文化は、あなたの長期的な成長と幸福につながります。
⑤環境への配慮と社会的責任
環境問題への取り組みは、仕事への誇りとモチベーションにつながるでしょう。
チェックポイント
- エコ車両の導入
最新の低公害車やEV車が導入されているかチェック - エコドライブ
環境に配慮したシステムが採用されているか、エコドライブ技術を学べるか確認 - SDGsへの取り組み
社会貢献活動への参加機会があるか確認
社会的責任を果たす企業で働くことは、自己実現と社会貢献の両立につながります。
これら5つのポイントは相互に関連しており、総合的に評価することが重要です。
信頼できる運送会社を選ぶ際は、これらのポイントを考慮しながら、自身の価値観に適した企業を見つけることが重要です。
2.2024年注目の運送会社売上ランキングTOP10
2024年の運送業界は、デジタル化の進展や環境規制の強化、労働環境の改善など、様々な変化に直面しています。
ここでは、高い売上を維持している注目の運送会社TOP10をランキング形式で紹介します。
(※2024年のデータになります。)
参考:最新版!物流業界ランキング- 国内トップ企業はどこだ
1位 日本郵政:2兆7,314億円
売上高 | 2兆7,314億円 |
平均年収 | 867万円 |
平均年齢 | 45.3歳 |
平均勤続年数 | 18.3年 |
本社所在地 | 東京都千代田区 |
日本郵政は、郵便・物流事業を中心に、銀行業や保険業も展開する総合サービス企業です。全国約24,000局の郵便局ネットワークが最大の強みです。
近年は、デジタル化の推進や他企業との提携を通じて、サービスの多様化と効率化を図っています。
特に、楽天グループとの提携による物流プラットフォームの共同構築は、業界に大きなインパクトを与えています。
2位 日本郵船:2兆2,807億円
売上高 | 2兆2,807億円 |
平均年収 | 1,082万円 |
平均年齢 | 43.4歳 |
平均勤続年数 | 19.7年 |
本社所在地 | 東京都千代田区 |
日本郵船は、海運業を中心に、物流事業も手掛ける総合物流企業です。世界中にネットワークを持ち、海上・航空・陸上の複合一貫輸送サービスを提供しています。
近年は、環境負荷低減に向けた取り組みに力を入れており、LNG燃料船の導入や風力推進システムの開発など、革新的な技術の導入を進めています。
3位 日本通運:2兆791億円
売上高 | 2兆791億円 |
平均年収 | 938万円 |
平均年齢 | 47.7歳 |
平均勤続年数 | 22.5年 |
本社所在地 | 東京都千代田区 |
日本通運は、陸海空すべての輸送モードを有する総合物流企業です。
国内では195社のグループ企業、海外では49か国に739拠点を持つ、グローバルな物流ネットワークが強みです。
最近では、製薬業界や半導体業界など、特定の産業に特化したロジスティクスサービスの開発に注力しており、高付加価値のサービス提供を目指しています。
4位 ヤマトHD:1兆7,936億円
売上高 | 1兆7,936億円 |
平均年収 | 1,192万円 |
平均年齢 | 51.3歳 |
平均勤続年数 | 24.1年 |
本社所在地 | 東京都中央区 |
ヤマトホールディングスは、宅急便サービスで知られる「クロネコヤマト」のブランドを持つ企業です。
国内最大の宅配便ネットワークを有し、近年はEC市場の成長に合わせたサービスの拡充を行っています。
また、デジタル技術を活用した配送の効率化や、環境負荷低減の取り組みも積極的に進めています。
5位 SGホールディングス:1兆5,883億円
売上高 | 1兆5,883億円 |
平均年収 | 739万円 |
平均年齢 | 37.6歳 |
平均勤続年数 | 8.6年 |
本社所在地 | 京都府京都市 |
SGホールディングス傘下の佐川急便は、宅配便や企業向け物流サービスを提供しています。
近年は、ラストワンマイル配送の効率化や、自動運転技術の活用など、次世代の物流サービスの開発に注力しています。
また、日本郵政との業務提携により、両社の強みを活かした新たなサービス展開も期待されています。
6位 商船三井:1兆2,693億円
売上高 | 1兆2,693億円 |
平均年収 | 1,202万円 |
平均年齢 | 42.6歳 |
平均勤続年数 | 19.4年 |
本社所在地 | 東京都港区 |
商船三井は、海運業を中心に事業を展開するグローバル企業です。
多様な船種を運航し、エネルギー資源や自動車、コンテナなど幅広い貨物の輸送を行っています。
環境への取り組みにも積極的で、LNG燃料船の導入や風力発電船の開発など、革新的な技術の実用化を進めています。
7位 近鉄エクスプレス:9,804億円
売上高 | 9,804億円 |
平均年収 | 780万円 |
平均年齢 | 45.1歳 |
平均勤続年数 | 16.2年 |
本社所在地 | 東京都港区 |
近鉄エクスプレスは、航空・海上貨物輸送を中心とする国際総合物流企業です。
グローバルなネットワークを活かし、特に電機・エレクトロニクス業界向けのサービスに強みを持っています。
最近では、デジタル技術を活用した物流可視化サービスの拡充や、環境負荷低減に向けた取り組みを強化しています。
8位 川崎汽船:7,569億円
売上高 | 7,569億円 |
平均年収 | 1,087万円 |
平均年齢 | 41.2歳 |
平均勤続年数 | 17.3年 |
本社所在地 | 東京都千代田区 |
川崎汽船は、海運業を中心とする総合物流企業です。自動車専用船やLNG運搬船など、特殊な船舶による輸送に強みを持っています。
近年は、自動運航船の開発や、水素・アンモニアなどの次世代燃料の活用に向けた取り組みを積極的に進めています。
9位 ロジスティード(日立物流):7,436億円
売上高 | 7,436億円 |
平均年収 | 826万円 |
平均年齢 | 42.6歳 |
平均勤続年数 | 19.4年 |
本社所在地 | 東京都中央区 |
日立物流は、3PL(サードパーティーロジスティクス)のリーディングカンパニーです。
ITを活用した高度な物流ソリューションの提供や、グローバルな物流ネットワークの構築に強みを持っています。
最近では、ロボティクスやAIを活用した物流の自動化・効率化にも力を入れており、次世代の物流サービスの開発を進めています。また、環境負荷低減に向けた取り組みも積極的に行っています。
10位日本水産(ニッスイ):6,936億円
売上高 | 6,936億円 |
平均年収 | 739万円 |
平均年齢 | 41.7歳 |
平均勤続年数 | 18.2年 |
本社所在地 | 東京都港区 |
日本水産(ニッスイ)は、水産・食品事業を中心に、物流事業も展開しています。特に、冷凍・冷蔵食品の物流に強みを持ち、全国に冷凍・冷蔵倉庫ネットワークを構築しています。
最近では、食品安全性の向上や、環境に配慮した物流システムの構築に注力しています。
3.【運送業界】最新の動向と将来展望
運送業界は、テクノロジーの進化、環境規制の強化、消費者行動の変化など、様々な要因により大きな転換期を迎えています。
これらの変化に対応し、持続可能な成長を実現するため、業界全体が新たな取り組みを加速させています。
ここでは、運送業界の最新動向と将来展望について、3つのトレンドに焦点を当てて解説します。
デジタル化とAI活用による効率化の波
運送業界では現在、配送ルートの最適化や需要予測の精度向上、人手不足対策としての自動化技術導入、データ活用による業務効率化が主な課題となっています。
これらに対応するため、各社がAIやビッグデータを活用した取り組みを進めています。
例えば、ヤマト運輸のAI配車システムによる効率向上や、大手各社による自動運転トラックの実証実験、アマゾンジャパンのAI需要予測システムなどが挙げられます。
今後は5G通信の普及やブロックチェーン技術の活用、AIとロボティクスの融合により、リアルタイムでの車両管理や物流の透明性向上、倉庫作業の完全自動化などが実現すると予想されます。
これらの革新により、運送業界の生産性向上や人手不足問題の緩和などが期待されています。
環境負荷低減への取り組みと規制対応
運送業界では気候変動対策の重要性が高まり、環境負荷低減への取り組みが加速しています。
CO2排出量削減目標の達成や環境規制への対応が急務となる中、各社は様々な対策を講じています。
ヤマト運輸の低公害車導入目標、日本通運のモーダルシフト推進、SGHDの再生可能エネルギー活用など、具体的な取り組みが進んでいます。
今後は水素燃料電池車の普及やカーボンニュートラルな物流サービスの需要増加が予想され、環境パフォーマンスが企業評価の重要指標となるでしょう。
環境対策はコスト増加要因となる一方で、企業の社会的責任や競争力強化につながる重要な取り組みです。
新たな物流モデルの登場と業界構造の変化
eコマースの急成長とシェアリングエコノミーの台頭により、物流業界は大きな変革期を迎えています。
ラストワンマイル配送の効率化や多頻度小口配送への対応が喫緊の課題となる中、新たな配送手段や物流拠点の開発が進んでいます。
クラウドソーシング型配送サービスの拡大、無人配送ロボットやドローンの実用化、都市型物流施設の増加など、革新的な取り組みが見られます。
今後は、シェアリングプラットフォームを活用した新サービスの登場や自動配送ロボットによる「人間不在の物流」の実現が予想されます。
これらの変化により、物流企業の役割が変わり、テクノロジー企業や小売業者との競合・協業が進むでしょう。
4.運送会社についてよくある質問
ここでは、運送会社に関するよくある質問や悩みを2つ紹介します。
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運送会社はブラックなのでしょうか?
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運送会社は、給料の未払いや労働時間の長さ、業務内容の過酷さ度々取り上げられ、ブラックと言われるイメージがついていますが、近年ではそういった待遇は改善傾向にあります。
例えば、2024年問題により運送業界では大きな変化が予想されます。労働時間管理が厳格化され、長時間労働の是正が進むでしょう。また、人材確保のため、給与や福利厚生の改善が加速すると考えられます。労働力不足に対応するため、AIやIoTなどの技術導入が進み、業務効率化が推進されるでしょう。
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入社してはいけない運送会社の特徴・傾向は?
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転職口コミサイト「Openwork」やX(旧Twitter)などで情報収集をして、賃金の未払いや休日出勤があるような会社は避けましょう。特にOpenworkには、かなり詳しい内情を話している口コミもあるので、参考にしてください。
5.運送会社選びは自身と企業成長のカギ
本記事では、2024年の運送業界動向と信頼できる運送会社の選び方を解説しました。
転職の際の運送会社選びは、、ランキングの活用、多角的な信頼性評価、業界動向の理解などが重要です。
今後もAIや自動運転などの新技術導入、環境規制強化、消費者行動の変化により、物流サービスは大きく変わる可能性があります。
自身の希望とスキルを存分に生かせる会社選びの参考になれば幸いです。