ドライバーへの転職を考える中で、バキュームカー(汲み取り屋)運転手の給料について、気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、バキュームカーの仕事内容から、年代別の給与相場、さらには仕事の特徴まで、詳しく解説していきます。
- 各年代(20代〜50代)の具体的な給与水準と昇給の可能性
- バキュームカーの仕事の実態(きつい面と魅力的な面)
- よりよい条件で就職・転職するためのアプローチ方法
1.バキュームカー(汲み取り屋)ってどんな仕事?

バキュームカー(汲み取り屋)の主な仕事は、浄化槽からのし尿の汲み取りと回収です。
浄化槽を利用している地域では今でも欠かせない存在です。また、工事現場の仮設トイレの汲み取りや、産業廃棄物処理業での活用など、活躍の場は意外と広がっています。
ここでは、バキュームカーの仕事内容について詳しく見ていきます。
浄化槽の汲み取り
浄化槽の汲み取りは、バキュームカー運転手の中心的な業務です。
作業の流れとしては、まずホースを浄化槽内に挿入し、ポンプでタンク内を真空状態にします。圧力差を利用して浄化槽内のし尿を吸い出し、タンクに貯めていきます。
浄化槽は定期的な汲み取り清掃が必要で、通常1年または半年に1度の頻度で作業を行います。
浄化槽の保守点検
浄化槽の保守点検も重要な業務の一つです。多くの会社では、社員に浄化槽管理士の資格取得を推奨しています。
具体的な作業としては、設備の異常や破損のチェック、害虫の発生確認、水質検査(水温、水素イオン濃度、透視度など)、消毒液の補充などを行います。
また、し尿の蓄積状況を確認し、清掃の必要性を判断することも重要な役割です。
バキュームカーの運転
バキュームカーの運転も重要な業務です。浄化槽は各家庭に設置されているため、現場への移動が必要不可欠です。
バキュームカーは「特殊用途自動車」に分類され、多くの場合、運転には中型免許が必要となります。安全運転はもちろんのこと、狭い道での操作技術も求められます。
2.バキュームカー運転手に必要な資格

バキュームカー運転手として働くためには、いくつかの資格が必要となります。必須のものから、あると有利なものまで、押さえておきたい資格について解説します。
必須免許と必要資格
バキュームカーを運転するためには、中型自動車免許(8t限定なし)が必須です。扱う車両の積載量によっては、大型自動車免許が必要になることもあります。
運転免許以外には、法令上の必須資格はありませんが、ほとんどの職場で「浄化槽管理士」の資格が求められます。浄化槽の構造や機能、メンテナンス方法などの専門知識を持つ国家資格です。
下記の記事でも詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
あると有利な資格
「第二種電気工事士」の資格を取得しておくと、浄化槽の電気系統の点検や簡単な修理にも対応できるため、幅広い仕事をこなせます。
危険物取扱者や下水道技術検定なども、業務に役立つ知識が身につく資格です。幅広いスキルを身につけることが、バキュームカー運転手としてのキャリアアップにつながります。
3.バキュームカー(汲み取り屋)運転手の給料・年収ってどれくらい?

バキュームカー運転手の給料は、年齢や経験によって大きく変動します。
特徴的なのは、年齢とともに着実に収入が上がっていく傾向にあることです。
また、管理職になることでさらなる収入アップも期待できます。ここでは、年代別の具体的な給与水準を見ていきましょう。
※参照|厚生労働省:職業情報提供サイト「jobtag」産業廃棄物収集運搬作業員ページ
バキュームカー運転手の初任給
初任給は18~25万円程度です。
未経験でも比較的高めの初任給が設定されているのは、仕事の特殊性が考慮されているためだと言えるでしょう。
バキュームカー運転手の20代の給料/年収
20代の月給は25~30万円程度です。年収に換算すると300~360万円となります。
20代後半の全産業平均年収が369万円であることを考えると、大きな差はなく同水準と言えます。
バキュームカー運転手の30代の給料/年収
30代になると月給は30~35万円程度まで上昇し、年収は360~420万円程度になります。ただし、20代からの上昇幅は比較的緩やかです。
この時期は経験を積み、より高度な技術や知識を身につけることで、将来の収入増加に向けた土台を作る期間と言えます。
バキュームカー運転手の40代の給料/年収
40代の月給は35~40万円程度で、年収は420~480万円程度です。
この年代から管理職への登用されるようになり、管理職になった際は、役職手当の支給が加わり給料が大きく上昇し、年収が500万円〜700万円になることもあります。
バキュームカー運転手の50代の給料/年収
50代の月給は35~40万円程度で、年収は420~480万円程度です。
50代前半は40代よりもさらに収入が増える傾向にありますが、大きな差はありません。また、50代後半から60代になるにつれて収入が減少傾向となっています。
引き続き、管理職に登用されれば役職手当等が加わるため、年収が800万円を超えるケースもあります。
バキュームカー運転手のボーナスと退職金
ボーナスは通常、給料1~2ヶ月分を年2回支給されます。
また、多くの会社で勤続年数に応じた退職金制度があります。中小企業の場合、高卒で入社し定年まで勤めた場合の退職金は、おおよそ1,000万円程度が相場となっています。
ただし、制度の有無や金額は会社により大きく異なるため、入社前の確認が重要です。
4.バキュームカー(汲み取り屋)の求人情報事例

全国各地でバキュームカーの求人が出ていますが、地域や企業によって待遇は大きく異なります。
ここでは、実際の求人例をいくつか紹介しながら、具体的な待遇を見ていきましょう。
バキュームカー(汲み取り屋)の求人例1|東京都内
東京都内の求人例では、年収440~640万円程度の好条件求人が見られます。深夜勤務が一部含まれるものの、その日数は限定的です。
都市部の求人は比較的高給与の傾向にありますが、その分、交通事情への対応など、技術面での要求も高くなります。
バキュームカー(汲み取り屋)の求人例2|地方都市
埼玉県の求人では、残業なし・日勤専門で約年収364万円以上という条件が提示されています。土日祝日休みが基本で、ワークライフバランスを重視した働き方が可能です。
地方都市の求人では、このように安定性を重視した条件設定が多く見られます。
バキュームカー(汲み取り屋)の求人例3|地方
山梨県の求人では、約年収308~322万円で、し尿の汲み取りは月10件未満と少なめです。主に浄化槽の点検・清掃が中心で、準中型免許があれば応募可能です。
地方の求人では、このように業務内容を特化させた案件も多く、未経験者でも挑戦しやすい傾向にあります。
5.バキュームカー(汲み取り屋)の仕事はきつい?
バキュームカーの仕事は、給与水準が低くなく魅力的な部分になりますですが、その分、身体的・精神的な負担も少なくありません。
ここでは、仕事の厳しい面について解説していきます。就職や転職を検討される際の参考にしてください。
臭いに耐えなくてはいけない
最も大きな課題は、し尿特有の臭いへの対応です。
現在は消臭技術が発達し、車両自体からの臭気は大幅に改善されていますが、作業中の臭いは避けられません。
作業着に臭いが付着することもあり、完全な対策は難しいのが現状です。この臭いへの耐性がない方には、かなりストレスフルな仕事となる可能性があります。
きつい肉体労働もある
見た目以上に体力を使う仕事でもあります。40kgほどあるマンホールの蓋の開閉や、重いホースの操作など、力仕事が日常的にあります。
また、しゃがんだり屈んだりする姿勢も多く、腰への負担も大きくなります。高齢になっても続けられる仕事ではありますが、ある程度の体力は必要不可欠です。
悪天候でも仕事をしなくてはいけない
屋外作業が中心のため、天候の影響を大きく受けます。雨天時はカッパを着用しての作業となり、動きづらさや不快感が増します。
夏場の暑さや冬場の寒さも、作業効率に大きく影響します。天候に関係なく定期的な汲み取りが必要なため、気象条件の厳しい日でも作業を行わなければなりません。
6.給料/年収が高いだけではない!バキュームカー(汲み取り屋)の仕事の魅力

きつい面がある一方で、バキュームカーの仕事には、給与面以外にも多くの魅力があります。
ここでは、実際に働く方々から高く評価されている仕事の特徴を詳しく解説していきます。
基本的には清潔に仕事ができる
一般的なイメージと異なり、実際の作業環境は比較的清潔です。し尿を扱う仕事とはいえ、作業者自身が不衛生な状態になることはほとんどありません。
現代の設備や技術により、汲み取り作業は衛生的に行うことができ、車両自体からの臭気も最小限に抑えられています。
残業が少なく勤務時間が短め
し尿処理施設の受け入れ時間が決まっているため、必然的に残業は少なくなります。
施設への搬入を営業時間内に済ませる必要があるため、極端な長時間労働になりにくい仕事環境です。そのため、プライベートの時間を確保しやすく、ワークライフバランスを重視した働き方が可能です。
休暇もしっかりとれる
年間を通じて仕事量が安定しているため、計画的な休暇取得が可能です。
特定の時期に業務が集中することが少なく、また処理施設の休業日に合わせて休日が設定されることも多いため、安定した休暇を確保できます。
学歴は関係ない
多くの求人で学歴不問となっており、実務能力重視の評価がなされます。入社後も、学歴ではなく、経験とスキルが評価の基準となるため、努力次第でキャリアアップが可能です。
実力主義の職場環境であり、やる気のある方にとっては、チャンスの多い仕事と言えます。
就職志望者が少なく仕事に就きやすい
仕事の性質上、志望者が比較的少ないため、良い条件の求人でも競争率は低めです。
特に、転職活動中の方にとっては、素早く就職を決められる可能性が高いことは大きなメリットです。未経験者の採用にも積極的な企業が多く、チャレンジしやすい環境があります。
やりがいがある
浄化槽の維持管理は、地域の生活環境を支える重要な仕事です。また、産業廃棄物の処理など、環境保全にも貢献しています。
顧客から直接感謝の言葉をいただけることも多く、社会的な価値の高い仕事であることを実感できます。
7.給料/年収が良いバキュームカー(汲み取り屋)ドライバーの求人の探し方

より良い条件のバキュームカードライバーの求人を見つけるには、効果的な求人探しの方法を知ることが重要です。
ここでは、実践的な求人探しの方法を紹介していきます。
転職サイトで探す
転職サイトは、バキュームカーの求人を探す最も一般的な方法です。
多くのサイトでは会員登録なしでも求人検索が可能で、給与、勤務地、必要資格などの条件で絞り込みができます。
また、複数の求人を比較することで、給与や福利厚生の相場を把握することもできます。特に大手転職サイトでは、定期的に新しい求人が掲載されるため、こまめにチェックすることをお勧めします。
知人に紹介してもらう
バキュームカー業界で働く知人や、関連企業との取引がある知人からの紹介は、非常に効果的な求人探しの方法です。
求人情報だけでなく、職場の雰囲気や実際の労働条件など、より詳しい情報を得ることができます。また、紹介経由の応募は企業側からの信頼も高く、採用される可能性も高くなります。
人材紹介サービスを利用する
人材紹介サービスを利用すると、専門のキャリアアドバイザーが希望条件に合った求人を紹介してくれます。求職者の費用負担はなく、非公開求人の紹介を受けられることもあります。
また、履歴書の書き方や面接対策などのサポートも受けられ、より効率的な転職活動が可能です。特にドライバー専門の人材紹介サービスを利用すれば、業界に特化したアドバイスを得ることができます。
8.バキュームカーは安定して長く働き続けられる職種である
バキュームカーの仕事は、確かにきつい面もありますが、安定した収入と働きやすい環境が魅力です。
特に、学歴不問で実力重視の評価や、計画的な休暇取得が可能な点は、長く働き続けられる理由となっています。
安定収入と働きやすさを両立させたい方にとっては、十分に検討する価値のある職種と言えるでしょう。