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車上渡しとは?運送ドライバー必読のトラブル対処法

運送業界で重要な役割を果たす「車上渡し」は、ドライバーと荷受人の責任範囲を明確に分ける配送方法です。しかし、契約内容の認識違いや法的知識不足により、現場では様々なトラブルが発生しています。

本記事では、車上渡しの基本的な仕組みから他の納品方法との違い、法的な注意点、実際のトラブル事例と対処法まで、プロドライバーが知っておくべき重要なポイントを詳しく解説します。

適切な知識を身につけることで、安全で効率的な配送業務を実現できるでしょう。

この記事を読んでわかること
  • 車上渡しの定義と軒下渡し・置き場渡しとの明確な違い
  • ドライバーが荷下ろしできない法的理由と下請法違反のリスク
  • 現場で頻発するトラブル事例と効果的な予防・対処方法

1.車上渡しとは?運送業界の基本知識

1.車上渡しとは?運送業界の基本知識

運送業界で頻繁に使用される「車上渡し」は、効率的で合理的な配送方法として多くの現場で採用されています。

ここでは車上渡しの基本的な仕組みから適用される荷物の特徴まで、ドライバーが押さえておくべき基礎知識を詳しく解説します。

車上渡しの定義と読み方

車上渡し(しゃじょうわたし)とは、トラックの荷台上で荷受人に商品や荷物を引き渡す納品方法です。

この配送方式では、運送会社とドライバーの責任範囲は「トラックの荷台上での引き渡しまで」と明確に定められています。

ドライバーは指定された配送先まで荷物を運ぶ責任を負いますが、荷台からの荷下ろしおよび屋内への横持ち作業については荷受人側が担当することになります。

つまり、ドライバーが行うのは荷物の積み込みと荷受人の住所まで荷物を運ぶのみとなり、運送サービスにおけるコストを抑えられるのが大きな特徴です。

特に重量物や大型荷物の配送において広く採用されており、物流業界の効率化に重要な役割を果たしています。

車上渡しが適用される荷物の特徴

車上渡しは主に人力では運べない大型の機械や産業装置などを輸送する際に用いられる法人向けの配送方式です。

具体的には、電化製品、金属部品、中身の入ったドラム缶、建設資材、工業製品など、重量があり専用の荷役機器が必要な荷物が対象となります。

これらの荷物は一般的に数100kgから数tの重量があり、フォークリフトやクレーンなどの専門機器なしでは安全な荷下ろしが困難です。

また、精密機器のように慎重な取り扱いが求められる荷物や、パレットにまとめられた大量の小型商品についても車上渡しが適用されることがあります。

荷受人側には適切な荷役設備と有資格者の準備が求められる配送方法となっています。

法人向け配送での位置づけ

車上渡しは法人間取引における標準的な配送方法として確立されており、特にBtoB物流では重要な役割を果たしています。

工場、倉庫、建設現場などの法人顧客は、通常フォークリフトやクレーンなどの荷役設備を保有しているため、車上渡しによる効率的な荷受けが可能です。

この方式により、運送会社は荷下ろし作業にかかる時間と人件費を削減でき、その結果として運送料金を抑えられます。

一方で、個人向け配送では荷下ろし設備がないため、車上渡しは基本的に適用されません。

法人向け配送における車上渡しは、物流コストの最適化と配送効率の向上を実現する重要な仕組みとして位置づけられています。

個人向けの小口配送や軽量な荷物については、通常は軒下渡しや宅配便サービスが利用されています。

2.車上渡しと他の納品方法の決定的な違い

2.車上渡しと他の納品方法の決定的な違い

運送業界には車上渡し以外にも様々な納品方法が存在し、それぞれ異なる責任範囲と作業内容を持っています。ここでは各納品方法の特徴を詳しく比較し、現場での適切な判断ができるよう解説します。

軒下渡し(軒先渡し)との違い

軒下渡し(軒先渡し)は、ドライバーが荷物を目的地の玄関や工場・倉庫の入口(軒先)まで運び、可能な範囲で荷下ろしを行う方式です。

この方法では、ドライバーが一人で運搬できる宅配便のような小型かつ軽量な荷物に適用されるのが一般的です。

車上渡しとの最大の違いは、ドライバーの作業範囲が荷台上での引き渡しから軒先での引き渡しまで拡大される点です。

ただし、大型の荷物であっても、ドライバーは家や倉庫の中までは運び入れません。

軒下渡しでは運送会社側の作業負担が増加するため、車上渡しと比較して運送料金が高く設定されることが多く、小口配送や個人向け配送で主に利用されています。

また、荷受人が不在の場合は再配達が必要となるため、確実な受け取り体制の確保が重要となります。

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置き場渡しとの違い

置き場渡しは、運送会社と荷受人が事前に指定した場所(屋外や倉庫内など)までドライバーが荷物を運び、荷下ろしや横持ちも運送会社が行う方式です。

この方法では、荷受人は荷物を受け取る手間を省くことができますが、その分運送コストは最も高くなります。

車上渡しと比較すると、ドライバーの責任範囲が大幅に拡大され、指定された置き場所までの運搬、荷下ろし、場合によっては建物内への搬入まで含まれます。

置き場渡しでは、運送会社がフォークリフトなどの荷役機器を持参する場合もあり、荷受人側に専用設備がなくても対応可能です。

ただし、置き場所の確保や建物への進入路の確認など、事前の詳細な打ち合わせが必要になるかもしれません。

緊急配送や特殊な取り扱いが必要な荷物の配送において選択されることが多い方式です。

責任範囲の明確な分界点

各納品方法における責任範囲の分界点は、物流業界において極めて重要な要素です。

車上渡しでは「トラック荷台上での引き渡し完了時点」が責任の分界点となり、それ以降に発生した荷物の破損や事故については荷受人の責任となります。

軒下渡しでは「軒先での引き渡し完了時点」、置き場渡しでは「指定場所への設置完了時点」がそれぞれの分界点です。

これらの分界点を明確にすることで、万が一のトラブル発生時における責任の所在が明らかになり、紛争の防止につながります。

標準貨物自動車運送約款に基づいて責任分界点が定められており、運送人と荷主との間に特約がない場合はこの約款に従います。

解釈で紛争が生じることもあるため、契約書において具体的な責任を明確にすることが重要です。

3.ドライバーが車上渡しで荷下ろしできない法的理由

3.ドライバーが車上渡しで荷下ろしできない法的理由

車上渡しにおいてドライバーが荷下ろし作業を行わない背景には、法的根拠と労働環境改善の目的があります。ここでは関連する法律や規制について詳しく解説し、ドライバーが知っておくべき重要なポイントを説明します。

ドライバー負担軽減のための法的措置

車上渡しでドライバーが荷下ろしを行わない理由は、ドライバーの身体的負担軽減のために法的に定められた措置です。

トラックドライバーは長距離運転などにより身体的負担が大きく、運転に加えて重い荷物の荷下ろし作業は附帯作業にあたり、体への負担を著しく増大させます。

このため、労働安全衛生の観点から、大型・重量のある荷物の荷下ろしは原則として受取人の責任とされました。

また、2024年4月から施行された働き方改革関連法により、ドライバーの労働時間管理がより厳格になり、荷下ろし作業による待機時間の増加は労働時間の延長につながるため、運送業界全体でドライバーの作業範囲を明確化する動きが加速しています。

この法的枠組みにより、ドライバーは運送業務に専念でき、安全で持続可能な労働環境の実現が図られています。

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下請法違反のリスクと注意点

下請代金支払遅延等防止法(下請法)では、親事業者が下請事業者に対して不当な経済上の利益の提供を要請することを禁止しています。

具体的には「親事業者が貨物運送を委託している下請事業者に対し、当該下請事業者に委託した取引とは関係のない貨物の積み下ろし作業をさせた」場合が違反事例として明記されています。

車上渡しの契約であるにもかかわらず、荷受人がドライバーに荷下ろしや搬入作業を強要した場合、これは契約外の附帯作業を無償で提供させることになり、下請法違反に該当する可能性があります。

運送会社は元請けから是正勧告を受けたり、社名を公表されたりするリスクがあり、命令違反時には最大100万円の罰金が科せられる場合もあります。

ドライバーはこのような状況に遭遇した際、会社に報告し適切な対応を求めることが重要です。

附帯作業と運送業務の区別

運送業務と附帯作業の区別は、ドライバーの作業範囲を理解する上で極めて重要です。

運送業務とは、荷物を指定された場所まで安全に輸送することを指し、車上渡しではトラック荷台上での引き渡しまでが含まれます。

一方、附帯作業とは運送業務に付随する作業で、荷下ろし、搬入、設置、梱包の開梱などが該当します。

車上渡しの契約では、これらの附帯作業は荷受人の責任範囲とされており、ドライバーが行う義務はありません。

しかし現実には、顧客との関係性を重視してドライバーが自主的に手伝うケースも見受けられます。このような場合でも、契約上はあくまで車上渡しであり、作業中に荷物が破損した場合の責任は荷受人にあることを理解しておく必要があります。

附帯作業を行う場合は、事前に運送契約の内容を変更し、適切な対価を設定することが望ましいとされています。

4.車上渡しで頻発するトラブル事例と対処法

4.車上渡しで頻発するトラブル事例と対処法

車上渡しの現場では、契約内容の認識違いや準備不足により様々なトラブルが発生しています。ここでは実際によく起こる問題とその適切な対処方法について、ドライバーが知っておくべきポイントを解説します。

契約認識の相違によるクレーム

車上渡し、軒下渡し、置き場渡しの各納品方法について、ドライバーと荷受人の認識に相違があると深刻なトラブルに発展する恐れがあります。

最も多いのは「配送会社のA社とは軒下渡しの契約だったのに、車上渡しをさせられた」といったクレームです。この背景には、契約書面の記載内容と現場での慣習的な対応が異なることがあります。

運送契約が車上渡しとなっていても、過去の取引でドライバーが好意で軒下渡しを行っていた場合、荷受人がそれを標準的なサービスと誤解するケースがあります。

このようなトラブルを防ぐためには、配送前に契約内容を荷受人と再確認し、車上渡しである旨を明確に伝達することが重要です。

過去の慣例にとらわれず、契約書に記載された条件に従って業務を遂行することが基本原則となります。

荷受人の準備不足で発生する問題

車上渡しでは荷受人側が荷下ろしに必要な設備と人員を準備する責任がありますが、これらが不足している場合に深刻な問題が発生します。

フォークリフトの運転資格を持つ作業員が不在必要な荷役機器の台数が確保されていない作業スペースが確保されていないといった状況では、荷物が到着しても荷下ろしができず配送スケジュールに大きな支障をきたします。

特に重量物の場合、適切な機材なしでは荷下ろしが物理的に不可能であり、ドライバーが長時間待機を強いられることがあります。

このような状況に遭遇した場合、ドライバーは安全を最優先とし、無理な荷下ろしを強要されても断固として拒否する必要があります。

荷受人の準備が整わない場合は、運送会社に連絡して指示を仰ぎ、必要に応じて配送日時の変更や追加料金の請求などの措置を検討することが適切な対応となります。

荷下ろし中の破損事故と責任の所在

車上渡しにおける荷下ろし作業中の破損事故は、責任の所在が明確に荷受人側にあることを理解しておくことが重要です。

荷受人が荷下ろし作業を行う過程で荷物を落下させた、フォークリフトで損傷させた、不適切な取り扱いにより破損させたといった場合、これらは全て荷受人の責任範囲内での事故となります。

ただし、荷物を受け取る前には必ず荷台上で外観をチェックし、既存の損傷がないかを確認する必要があります。

受取前に発見された破損については運送会社の責任となるため、荷受人立会いのもとで損傷状況を記録し、双方で確認書類にサインすることが重要です。

一方、ドライバーが契約外のサービスとして荷下ろしを手伝った際に発生した破損については、善意で行った行為であっても責任は荷受人にあることが法的に定められています。

このため、トラブルを避けるためにも契約内容を厳守することが効果的な対応方法となります。

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5.車上渡しの現場で役立つ実践ノウハウ

5.車上渡しの現場で役立つ実践ノウハウ

円滑な車上渡しを実現するためには、事前準備から荷物の引き渡しまで一連の流れを適切に管理することが重要です。ここでは現場で即活用できる実践的なノウハウを、ベテランドライバーの知見を交えて詳しく解説します。

事前確認すべき荷受人の準備状況

車上渡しを成功させるためには、配送前の事前確認が極めて重要です。まず荷受人側の荷役設備の状況を確認し、フォークリフトやクレーンなどの必要機器が適切に稼働状態にあるかを把握する必要があります。

機器の故障や点検中の場合は配送日時の調整が必要になるかもしれませんので、前日までに確認することが望ましいとされています。

また、荷下ろし作業を担当する作業員の確保状況も重要な確認項目です。フォークリフト運転技能講習修了者や玉掛技能講習修了者など、必要な資格を持つ作業員が配送時間に確実に配置されているかを事前に確認します。

さらに、トラックの進入経路や荷下ろし場所の状況についても詳細な確認が必要になるかもしれません。

道路幅、高さ制限、重量制限などの物理的な制約に加え、他の車両や作業との競合がないかも事前に調整しておくことで、当日のスムーズな作業が実現できます。

トラック到着時の適切な対応手順

トラック到着時の対応手順を標準化することで、効率的で安全な車上渡しが実現できます。

まず到着時には荷受人の担当者に連絡し、荷下ろし準備が整っているかを確認します。

この際、荷物の内容、個数、重量などの基本情報を改めて伝達し、使用する荷役機器の種類と台数が適切かを最終確認します。

荷台への安全なアクセスを確保するため、トラックの駐車位置は荷受人と協議して決定し、周囲の安全確認も徹底的に行います。

荷下ろし作業開始前には、荷受人の作業責任者と作業手順、安全確認事項、緊急時の連絡方法などを確認し、双方で安全な作業環境を構築します。

また、荷物の引き渡し時には必ず荷受人の責任者立会いのもとで行い、荷物の状態について相互に確認することが重要です。

この一連の手順を確実に実行することで、トラブルの発生を最小限に抑えることができます。

荷物状態の確認と記録方法

車上渡しにおける荷物状態の確認と記録は、後のトラブル防止において重要な作業です。

荷下ろし前には荷受人立会いのもとで荷物の外観を詳細にチェックし、傷、凹み、汚れ、梱包の破損などがないかを確認します。

確認項目は事前にチェックリストとして整理しておき、見落としがないよう系統的に実施することが重要です。

確認結果は配送伝票や受領書に記載し、荷受人と双方でサインすることで記録として残します。デジタルカメラやスマートフォンを活用して荷物の状態を写真撮影することも、後の証拠資料として有効です。

特に高価な荷物や精密機器の場合は、複数の角度から撮影し、日時が記録される設定で保存することが推奨されます。

万が一、荷下ろし後に破損が発見された場合でも、事前の記録があることで責任の所在を明確にでき、円滑な問題解決につながります。

記録類は一定期間保管し、必要に応じて運送会社の管理部門と情報共有することも重要な実務となります。

6.車上渡しのメリット・デメリット完全解説

車上渡しには運送会社と荷受人双方にとって明確なメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。

ここでは各立場からの利点と課題を詳細に分析し、車上渡しを効果的に活用するためのポイントを解説します。

運送会社側のメリット

運送会社にとって車上渡しの最大のメリットは、作業効率の向上とコスト削減効果です。

ドライバーは荷台での引き渡しまでを担当し、それ以降の荷役作業は荷受人が行うため、運送会社は人件費と時間コストを大幅に削減できます。

特に重量物配送では専門的な荷役作業に多くの時間と人員が必要となるため、この部分を荷受人側で担当することで運送料金を抑制し、競争力のある価格設定が可能になります。

また、荷下ろし作業時間の短縮により、一日あたりの配送件数を増加させることができ、車両稼働率の向上につながります。

さらに、ドライバーの身体的負担が軽減されることで、労働環境の改善と人材の確保・定着にも寄与します。荷役作業中の事故リスクも軽減されるため、労災保険料の削減効果も期待できます。

これらの複合的なメリットにより、運送会社の収益性向上と持続可能な経営基盤の構築が実現できます。

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荷受人側のメリット・デメリット

メリット

  • 自社のタイミングと方法で荷物を荷下ろしできる
    商品や建物への損傷リスクを最小限に抑えることが可能で、荷受人が自らの裁量で作業を進められるため。
  • 運送費が荷下ろし込みの配送と比較して安価に設定されているため、物流コストの削減効果が期待できる
    特に定期的に大量の荷物を受け入れる企業では、年間を通じて相当な経費削減につながる。

デメリット

  • 荷下ろしに必要な設備と人員を自社で確保する必要がある
    フォークリフトなどの荷役機器の購入・維持費用、有資格者の雇用コスト、作業スペースの確保などが発生するため。
  • 荷下ろし作業中の事故や破損については荷受人が責任を負うため、適切な安全管理体制の構築が必要になる可能性がある。

荷受人の準備が整わない場合、配送スケジュールの遅延や追加費用の発生といった問題も生じる可能性があります。

配送コスト削減効果

車上渡しによる配送コスト削減効果は、物流業界全体の効率化に大きく貢献しています。

運送会社側での効果

  • 荷役作業の人件費、作業時間、専用機器の使用料などが削減され、これらのコスト減少分が運送料金の低減として荷主に還元される

一般的に車上渡しの運送料金は、軒下渡しと比較して10~20%程度安く設定されることが多く、大型荷物や重量物ほどその差額は顕著になります。

荷受人側での効果

  • 複数の配送業者から車上渡しサービスを選択することで、年間の物流費を大幅に圧縮することが可能

特に製造業や建設業などで定期的に重量物を受け入れる企業では、車上渡しの採用により数百万円規模のコスト削減を実現している場合もあります。

ただし、荷受人側で必要となる設備投資や人員確保のコストを含めた総合的な評価が重要です。

長期的な視点で荷受け頻度と荷役設備の償却を検討し、最適な配送方法を選択することで、真の意味でのコスト削減効果を最大化できます。

7.車上渡しトラブルを未然に防ぐチェックポイント

車上渡しを安全かつ円滑に実施するためには、事前の準備と明確な取り決めが重要です。ここでは長年の現場経験から導き出された、トラブル防止に効果的なチェックポイントを体系的に解説します。

契約書面での責任範囲明文化

車上渡しにおけるトラブルの多くは、責任範囲の曖昧さに起因するため、契約書面での明文化が重要です。

標準貨物自動車運送約款に基づく一般的な取り決めだけでなく、具体的な責任分界点を契約書に明記する必要があります。

例えば「トラック荷台から荷物を下ろした瞬間」「荷台上での点検完了時点」など、具体的なタイミングを明文化することで解釈の違いを防げます。

また、荷下ろし作業に使用する機材費、クレーンなどの使用料、追加作業が発生した場合の費用負担者についても事前に決定し、書面で確認することが重要です。

口約束では後日の紛争原因となる可能性があるため、全ての取り決めを文書化し、双方が署名した契約書として保管します。

さらに、荷物の種類や特性に応じて特別な取り扱い条件がある場合は、それらも詳細に記載し、現場作業者が参照できるよう配送伝票にも要点を記入することが推奨されます。

事前打ち合わせで確認すべき項目

効果的な事前打ち合わせは、車上渡しの成功を左右する重要な要素です。

  • 荷物の詳細情報
    重量、寸法、個数、特殊取り扱い事項を正確に把握し、必要な荷役機器の種類と能力を決定
  • 荷受人側の設備状況
    フォークリフトの積載能力、クレーンの吊り上げ能力、作業可能時間帯などを詳細に確認
  • 配送当日の作業体制
    有資格者の配置人数、作業責任者の連絡先、代替要員の準備状況なども事前に調整
  • 配送車両のアクセス条件
    進入路の幅員・高さ制限、路面状況、駐車可能位置、近隣への騒音対策なども重要な確認項目

その他、天候不良時の対応方針、緊急時の連絡体制、作業中止の判断基準なども事前に合意しておくことで、当日の不測の事態にも適切に対応できます。

これらの情報は全て書面やデジタルデータとして記録し、関係者間で共有することが重要です。

緊急時の連絡体制構築

車上渡しにおける緊急時の連絡体制は、迅速な問題解決と安全確保のために重要な仕組みです。

  • 基本的な連絡体制
    運送会社の配車担当者、荷受人の作業責任者、現場のドライバーの三者が常時連絡可能な状態を維持
  • 緊急連絡先
    各担当者の携帯電話番号、会社代表電話、休日・夜間の緊急連絡先を事前に交換し、配送伝票や作業指示書に明記しておく
  • トラブル発生時の対応手順
    現場の安全確保を最優先とし、必要に応じて作業を中断することを基本原則とし、その上で関係者への速やかな連絡と状況報告を行い、問題解決に向けた指示を仰ぐ

なお、重大な事故や荷物の大幅な破損が発生した場合は、写真撮影による現場記録、警察や消防への通報、保険会社への連絡など、法的手続きも含めた対応が必要になるかもしれません。

また、定期的に連絡体制の見直しを行い、担当者の変更や連絡先の更新を適切に管理することで、常に有効な緊急時対応体制を維持できます。

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8.車上渡しを正しく理解してトラブルのない配送業務を実現しよう

車上渡しは運送業界において効率的で合理的な配送方法として広く採用されていますが、その仕組みと法的背景を正しく理解することが円滑な業務遂行の鍵となります。

ドライバーの責任範囲はトラック荷台上での引き渡しまでと明確に定められており、荷下ろし作業は荷受人の責任です。

下請法違反のリスクを避けるためにも、契約外の附帯作業は断固として拒否する必要があります。トラブルを未然に防ぐには、事前の契約内容確認、荷受人の準備状況把握、適切な記録管理が重要です。

また、緊急時の連絡体制を整備し、安全を最優先とした対応を心がけることで、プロドライバーとして信頼される業務が実現できるでしょう。

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