セールスドライバーは、単なる配送業務にとどまらない、多彩なスキルが求められる職種です。運転技術はもちろん、新規顧客の開拓や営業活動、集金業務まで幅広い仕事をこなしていきます。
本記事では、セールスドライバーの具体的な仕事内容から、必要な資格、年収の実態、そしてキャリアアップの方法まで、この職業の魅力と課題を徹底的に解説していきます。
- セールスドライバーの具体的な仕事内容と1日の流れ、年収の実態
- 必要な資格やスキル、向いている人の特徴と適性
- 将来性とキャリアアップの方法、関連職種への転職可能性
1.セールスドライバーとは?

セールスドライバーは配送と営業を組み合わせた職種です。具体的な仕事内容から、業務の時間配分、1日の流れまで、詳しく見ていきましょう。
セールスドライバーの仕事内容
セールスドライバーの主な仕事は、トラックなどの車両を運転して荷物の集配や配送を行うことですが、それだけにとどまりません。
顧客企業を訪問して新規の取引を開拓したり、既存のお客様との関係を深めたり、代金の回収や集金業務を行ったりと、多岐にわたる業務を担当します。
配送と営業の両方のスキルを持ち合わせ、お客様との信頼関係を築きながら、会社の売上向上に貢献する重要な存在なのです。
配送:営業=7:3の業務割合
セールスドライバーの業務において、配送と営業の時間配分は会社や個人の役割によって異なりますが、一般的には配送業務が7割、営業活動が3割程度となっています。
配送先で商品の提案をしたり、新規のお客様を開拓したり、代金を回収したりすることも、広い意味では営業活動の一環といえます。
限られた時間の中で、配送の質と顧客満足度の両方を高めていくためには、状況に応じた柔軟な判断力と行動力が不可欠となります。
セールスドライバーの1日の仕事の流れ

セールスドライバーの1日は早朝の出社から始まります。倉庫で荷物を積み込んでから配達に出発し、午前中は主に配達業務に専念します。昼食休憩を挟んで午後は配達と集荷を行い、夕方に営業所へ戻って集荷した荷物の取りまとめや仕分けをします。
その後は伝票整理などの事務作業を行い、1日の業務記録をつけて退社となります。繁忙期によって多少の変動はありますが、基本的にはこのような流れで毎日の業務をこなしています。
2.セールスドライバーの年収とは?

セールスドライバーの収入は、経験やスキル、会社規模によって大きく変わってきます。平均的な年収から、収入アップの方法まで解説します。
平均年収は300~400万程度
セールスドライバーの平均的な年収は、300万から400万円程度となっています。大手物流会社では400万円以上の安定した収入を得られるケースもありますが、中小企業では300万円を下回ることもあり、会社の規模や給与体系によってかなりの差があるのが実情です。
また、配送エリアや担当する顧客の規模によっても収入に違いが生じることがあり、同じ会社内でも条件によって年収に開きが出ることもあります。
経験年数、スキルによる年収の違い
セールスドライバーの年収を大きく左右するのが、経験年数とスキルです。ルート配送や集金など、より高度な業務を任されるようになれば、それに応じて収入もアップしていきます。
運転技術や接客スキル、トラブル対応力などが評価されて役職につくことができれば、年収600万円以上も視野に入ってきます。また、大手企業では固定給制が多い一方で、中小企業では歩合制を採用しているところも少なくありません。
3.セールスドライバーの3つのメリットとは?

セールスドライバーには、高収入の可能性やアクティブな働き方など、魅力的な特徴がたくさんあります。具体的なメリットを詳しく紹介していきます。
高い収入を得られる可能性
セールスドライバーの仕事では、多くの会社が歩合制を採用しています。配送や営業の成果に応じてインセンティブが支給される仕組みがあるため、自分の努力次第で固定給以上の収入を目指すことができます。
営業成績や配送効率の向上に取り組んだり、新規顧客を開拓したり、既存顧客との関係を深めたりすることで、着実に収入を増やしていける点は大きな魅力といえるでしょう。
アクティブな仕事でストレス発散
セールスドライバーは、トラックの運転や荷物の積み下ろしなど、身体を動かす機会が多い仕事です。デスクワークとは異なり適度な運動になるため、健康的な働き方ができます。
また、外を駆け回ることでストレス発散にもなり、メリハリをつけて仕事に取り組むことができます。さらに、配送ルートを工夫したり、効率的な荷物の積み方を考えたりと、創意工夫を凝らせる面白さもあります。
人との出会いが多く刺激的
セールスドライバーの業務では、配送先での接客や新規開拓の営業活動を通じて、多くの人々と出会うことができます。コミュニケーション力が自然と身についていき、配送先の方から感謝されることも多いため、大きなやりがいを感じられます。
また、配送中や移動中は一人で仕事をすることが多いため、自分のペースで働ける自由さがあります。ただし、怠けると成果に響くため、適度な緊張感を持って仕事に臨む必要があります。
4.セールスドライバーの3つのデメリットとは?

どんな仕事にも課題はつきもの。セールスドライバーの仕事における身体的・精神的な負担や、働き方の特徴から生じる課題について説明します。
肉体的な疲労がたまりやすい
セールスドライバーの仕事は体を動かすことが多く、それがメリットにもなりますが、同時に肉体的な疲労は避けられません。特に重たい荷物の積み下ろしは重労働で、腰痛に悩まされる方も少なくありません。
また、長時間の運転による疲労や、天候に左右される屋外作業のストレスも大きな課題となっています。そのため、日頃からの体調管理や適切な休息を取ることが極めて重要になってきます。
不規則な労働時間
セールスドライバーは、配送先の営業時間に合わせた勤務形態となるため、労働時間が不規則になりがちです。早朝から夜遅くまでの勤務があったり、泊まり込みの運行が発生したり、休日出勤を求められたりすることも少なくありません。
このような不規則な勤務時間は、生活リズムを乱す原因となり、家族との時間や趣味の時間を確保することが難しくなる場合もあります。
運転に伴うリスクもある
セールスドライバーは、一日中トラックの運転をするため、事故のリスクと常に隣り合わせです。安全運転を心がけていても、他のドライバーの動向まではコントロールできません。
また、納期に間に合わせるためにスケジュール管理に神経を使ったり、配送先でのクレーム対応に追われたりと、精神的なストレスも大きいです。これらのリスクや課題は、経験を重ねながら少しずつ克服していく必要があります。
5.セールスドライバーに向いている人の特徴とは?

この仕事で活躍するには、いくつかの重要な資質が求められます。体力面から性格特性まで、向いている人の特徴を具体的に解説していきます。
体力に自信がある
セールスドライバーの仕事では、重労働も多く体力勝負の面は否めません。荷物の積み下ろしや長時間の運転など、体力を必要とする作業が日常的にあるため、自分の体力に自信のある人に向いています。
また、過酷な環境下でも集中力を切らさず安全運転ができる体力と忍耐力も必要不可欠です。天候や交通状況に左右されながらも、確実に配送を完了させる強い意志と体力が求められます。
コミュニケーション能力が高い
セールスドライバーは接客業の要素が強く、コミュニケーション能力の高い人に向いています。配達先では笑顔で挨拶を交わしたり、世間話をしたり、時には商品の提案や説明をしたりする機会が多くあります。
また、新規のお客様を開拓する際には、商品やサービスの魅力を分かりやすく伝える提案力も必要です。物怖じせずに明るく振る舞える人なら、この仕事で活躍できる可能性が高いでしょう。
臨機応変な対応ができる
セールスドライバーは1日の大半を一人で行動するため、配送中のトラブルやクレーム対応など、その場その場で柔軟に対処する必要があります。マニュアル通りにはいかない事態に遭遇しても、臨機応変に切り抜ける判断力と行動力が重要です。
また、スケジュール管理が得意な人も歓迎されます。どんな状況でも明るく前向きに仕事に取り組める性格も大切で、交通ルールや社内規定をしっかり順守する真面目さも欠かせません。
6.セールスドライバーに必要な資格とスキルとは?
セールスドライバーに必要な資格は、担当する車種によって異なります。基本となる運転免許から、キャリアアップに役立つ資格までを紹介します。
車種によって必要免許が変わる
セールスドライバーには運転免許が不可欠で、担当する車種によって必要な免許が異なります。軽貨物車なら普通免許で十分ですが、2トン車以上の場合は中型免許が必要となり、4トン車なら準中型免許、大型トラックを運転するには大型免許の取得が求められます。
また、AT限定の免許では採用されにくい傾向があるため、できればMT免許を取得しておくことをお勧めします。
▼関連記事
以下の記事では、さまざまな免許について解説しています。ご自身が担当される・したいサイズの免許についてしるためにぜひ参考にしてください。
あると望ましい資格
セールスドライバーの仕事では、運転免許以外にもいくつかの資格があると有利です。例えば、フォークリフト運転技能者の資格があれば、配送先や倉庫内での荷役作業がスムーズに行えます。
また、デジタル式運行記録計の管理者講習を修了していたり、危険物取扱者の資格を持っていたりすると、輸送品の幅が広がり、採用や昇進に有利に働く可能性が高まります。
求められるビジネススキル
セールスドライバーには、確かな運転技術はもちろんのこと、さまざまなビジネススキルも求められます。得意先への集金を確実に行う能力や効率的な配送ルートを選定する力が必要不可欠です。
また、商品知識を身につけたり、ヒアリング力や提案力を磨いたり、クロージング力などの接客ノウハウを習得したりすることも重要です。さらに、輸送コストを意識した効率的な配車や、車両管理・運行管理に関する知識も必須となっています。
7.セールスドライバーのキャリアステップとは?

セールスドライバーには、明確なキャリアアップの道筋があります。経験を積みながら着実にステップアップできる方法を詳しく解説します。
まずは現場に慣れる
セールスドライバーのキャリアは、先輩ドライバーに同行して仕事の基本を学ぶところから始まります。業務の流れを覚えたら徐々に一人で配送ルートを任されるようになり、慣れてくれば集金や営業活動も担当するようになります。
数年の経験を積んで一人前になると、より難易度の高い配送を任されたり、大口顧客を担当したりする機会が増えていきます。さらに、後輩ドライバーの指導役や、マネージャー、運行管理者へと昇進していくケースもあります。
免許や資格を取得してスキルアップ
セールスドライバーのスキルアップ方法として、さまざまな免許や資格の取得がお勧めです。準中型や大型免許を取得して運転できる車両の幅を広げたり、フォークリフト運転技能者の資格で荷役作業の効率を上げたり、危険物取扱者免許で輸送品の種類を増やしたりすることができます。
これらの資格取得は、現場での即戦力となり、将来の昇進や昇給にもつながっていきます。
関連職種への転職
セールスドライバーのスキルは、物流業界の中でも幅広く活用できます。例えば、倉庫内のフォークリフトオペレーターや現場の作業スタッフとして活躍したり、配車担当や運行管理の事務職に就いたりすることができます。
また、独立して個人事業主となってオーナードライバーとして働いたり、物流コンサルタントとしてアドバイスを行ったりすることも可能です。まずは目の前の仕事に全力で取り組み、着実に経験を積んでいくことが大切です。
8.セールスドライバーとはやりがいの多い仕事
セールスドライバーは、荷物の集配・配送を中心としながら、営業活動から集金まで幅広い業務を担う職種です。体力と運転スキル、コミュニケーション力が求められる大変な仕事ですが、その分やりがいも大きいといえます。
特に歩合制を採用している企業では、成果次第で高収入を目指すことができ、スキル次第ではキャリアアップの可能性も広がっています。重労働や不規則な勤務などのデメリットはありますが、それを上回る魅力がセールスドライバーにはあります。体力に自信があり、コツコツと努力を積み重ねられる方には、非常に適した仕事といえるでしょう。