50代の自動車整備士の平均年収について、「560万円」というデータと「400万円」というデータの両方が存在します。
これは矛盾しているのではなく、50代という年代が持つ「キャリアの二重構造」を反映したものです。
この記事では、50代整備士のリアルな年収実態と、業界の人手不足を背景にした市場価値、そして60代以降も見据えたキャリア戦略について解説します。
- 50代自動車整備士の平均年収(キャリアピーク層とシニア再雇用層)の実態
- 年収が「ディーラー」と「民間整備工場」でどの程度異なるか
- 50代からでも年収を上げ、60代以降も安定して働くための具体的な3つの方法
1.50代自動車整備士の年収|キャリアピーク(約560万円)と再雇用(約400万円)の二重構造

50代の自動車整備士の年収には、大きく分けて2つの異なる数値が存在します。
1つは、継続して雇用されている従業員のキャリアピーク(最高潮)としての年収です。
公的な統計データに基づくと、50代の平均年収は「約560万円」(50~54歳: 559万900円、55~59歳: 564万1,400円)に達し、全年代の中で最も高くなります。
もう1つは、役職定年や定年後の再雇用、あるいはシニア向けの求人情報に基づいた年収です。
あるシニア向け求人サイトのデータでは、「平均400万円」(ボリュームゾーン 375万~450万円)という数値が示されています。

この160万円以上の差は、50代という年代が持つ「キャリアの集大成」としての側面と、「キャリアの後半戦(定年後)」を見据える側面の両方を持っていることを示しています。
自身の状況がどちらに近いかによって、年収の捉え方が大きく変わってきます。
参考:クロスワーク・マガジン│自動車整備士の平均年収を業種別・年代別・役職別に
参考:シニアジョブ│シニア 自動車整備士 再雇用年齢制限なしの求人・仕事情報
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自動車整備士の年収について、業種別・年代別の詳細データや年収アップの具体的な方法を知りたい方は、こちらの記事で全体像を把握できます。
2.年収の差はどこで生まれる?50代整備士の給与を決める3大要因
50代で年収がピークに達する人もいれば、平均を下回る人もいます。この差は、主に以下の3つの要因によって生まれます。
1. 勤務先:「ディーラー」か「民間整備工場」か
年収に最も大きな影響を与える要因の一つが、勤務先の種類です。
一般的に、メーカー(トヨタ、日産、ホンダなど)の正規販売店である「ディーラー」は、給与水準や福利厚生が民間整備工場よりも手厚い傾向にあります 。
ディーラーは基本給やボーナスが高水準であることに加え、メーカー独自の資格手当などが充実していることが多いため、民間整備工場と比較して年収に大きな差が生まれることがあります。
2. 役職:「管理職(工場長)」か「現場職」か
50代になると、現場のスペシャリストとして働き続けるか、管理職としてマネジメントを担うかで年収が変わってきます。
一般的に、整備士としてのキャリアパスの頂点の一つである「工場長」や、顧客対応と整備計画を担う「サービスフロント」といった管理職・監督職に就くことで、役職手当が加わり、現場職よりも高い年収が期待できます。
3. 保有資格:「一級整備士」などの上位資格
自動車整備士の資格は、技術力を証明し、年収に直結する重要な要素です。
特に「一級自動車整備士(一級大型・一級小型)」は、整備士資格の最上位であり、高度な診断技術や環境保全、安全管理に関する知識が求められます。
この資格を持っていると、資格手当が支給されるだけでなく、より責任のあるポジション(例:検査員、管理職)に就きやすくなるため、年収向上に大きく貢献します。
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3.50代からでも年収を上げる具体的な方法3選
現在の年収に満足していない場合でも、50代から年収を上げるための具体的な方法は存在します。
方法1:給与水準の高い「ディーラー」へ転職する
直接的な方法の一つが、現在の勤務先よりも給与水準や待遇の良い企業へ転職することです。
特に、民間整備工場で豊富な経験を積んできた50代のベテラン整備士は、その高い技術力と顧客対応力を求めて、好条件で「ディーラー」に迎え入れられるケースも少なくありません。
業界全体が人手不足であるため、経験豊富な人材の需要は非常に高い状態です。
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50代からの転職を成功させるには、適切な転職サイトやエージェントの活用が不可欠です。整備士に特化したサービスを比較検討しましょう。
方法2:「サービスフロント」や「工場長」など管理職を目指す
現場での経験を活かし、管理職やマネジメント層へキャリアアップすることも、年収を上げる王道です。
現場の整備士をまとめ、工場の運営責任者となる「工場長」や、顧客の窓口となり見積もりや整備提案を行う「サービスフロント」は、整備士の知識と経験が直接活かせるステップアップ先です。
こうした役職を目指すためには、現場の技術だけでなく、マネジメントスキルやコミュニケーション能力を磨くことが求められます。
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30代からのキャリア形成も重要です。早い段階から管理職を視野に入れた転職戦略を立てることで、50代でのキャリアピークをより高められます。
方法3:「一級自動車整備士」や関連資格を取得する
自身の市場価値を高めるために、上位資格の取得に挑戦するのも有効な手段です。
「一級自動車整備士」のほか、ドライバーの乗務管理や安全指導を行う「運行管理者」 という国家資格もキャリアアップに役立ちます。
運行管理者は、一定規模以上の事業所に必置の資格であるため需要が安定しており、整備士としての現場知識を持つ管理者は企業から高く評価されます。
企業によっては「資格取得支援制度」を設けている場合もあるため、こうした制度を活用してスキルアップを目指すことも可能です。
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一級自動車整備士資格の取得を検討している方へ。難易度や取得メリット、年収への影響など、資格取得の判断材料を詳しく解説しています。
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4.なぜ50代整備士の価値が高いのか?業界の「人手不足」と将来性

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なぜ50代整備士の価値が高いのか?
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「50代になるとキャリアも頭打ちだ」と感じるかもしれませんが、自動車整備業界においては、50代のベテラン人材は非常に価値の高い「戦略的な資産」として再評価されています。
その最大の背景は、業界全体の「深刻な担い手不足(人手不足)」です。
自動車整備の需要は安定している一方で、若手の入職者が減少し、整備士の高齢化が進んでいます。
このような状況下で、高い技術力、豊富な経験、そして顧客対応能力を兼ね備えた50代の整備士は、現場の品質を支え、若手を指導する中核的な人材として、業界から強く求められています。
50代であることは、キャリアの終わりではなく、その価値が最も高まる時期であるとも言えます。
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5.60代、70代でも働ける?定年後のキャリアパスと年収の現実

自動車整備士は、その専門性の高さから、60代や70代になっても働き続けることが可能な職種です。
前述の「シニア求人」のデータが示すように、多くの企業が60代以上の整備士を積極的に雇用しています。
人手不足対策として「シニア等多様な人材の活用」 は業界全体の課題となっており、働く意欲と健康な体さえあれば、活躍の場は十分にあります。
ただし、年収は現役時代(ピーク時)の約560万円からは下がり、400万円台 やそれ以下になることが一般的です。

定年後は、フルタイムではなく体力的な負担を考慮した勤務形態(例:契約社員、時短勤務、アルバイト)を選択したり、後進の指導役や簡単な点検業務(検査員)を専門に行ったりするなど、働き方も柔軟に変化していきます。
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6.50代はキャリアの集大成。自身の価値を再確認しよう
50代の自動車整備士の年収は、キャリアの頂点としての「約560万円」という側面と、定年後を見据えた「約400万円」という側面の、二重の現実を持っています。
重要なのは、業界の深刻な人手不足 を背景に、経験豊富な50代の市場価値が非常に高まっているという事実です。
勤務先(ディーラー)、役職(工場長)、資格(一級)という3つの軸でキャリアを見直し、適切な行動を起こすことで、50代からでも年収を上げ、60代以降も「求められる人材」として働き続けることが可能です。
50代をキャリアの集大成と捉え、自身の価値を再確認して、これから先のキャリアを形成していきましょう。