特定技能「自動車整備士」制度の概要から、1号・2号の違い、必要な試験、将来のキャリアパスまでを解説します。
日本の自動車整備工場で専門家として働くことに興味はありますか?
「特定技能」という言葉を聞いたことはあっても、具体的にどのような制度で、どうすれば資格を取れるのか、不安や疑問を感じているかもしれません。
また、「技能実習」とは何が違うのか、将来的に日本で長く働き続けることはできるのか、お給料や生活は法律で守られるのか、といった点も気になるところでしょう。
この記事では、特定技能「自動車整備士」制度の仕組みや法的な位置づけ、資格取得のステップ、そして将来のキャリアプランまで、詳しく解説します。
- 特定技能「自動車整備士」制度の基本的な仕組み
- 「技能実習」や他の在留資格との違い
- 資格取得の条件、1号と2号の違い、将来のキャリアパス
1.特定技能「自動車整備士」とは? 日本の整備工場で働くための在留資格

特定技能「自動車整備士」とは、日本の自動車整備工場で専門的な仕事をするために必要な「在留資格(ビザ)」の一つです。
この制度は、日本の会社で人手が足りていない分野(特定産業分野)において、専門的な技術や知識を持った外国人材に働いてもらうために作られました。自動車整備分野も、その重要な分野の一つとして認められています。
なぜ今「特定技能」が必要? 日本の自動車整備業界の背景
現在、日本では自動車整備士のなり手が少なく、多くの整備工場が人手不足に悩んでいます。
一方で、自動車の安全を守る整備の仕事は、社会にとって絶対に欠かせません。
そこで、高い技術を持つ外国人材に、日本の整備士と一緒に働いてもらい、日本の交通安全を支えてもらうために、この「特定技能」制度がスタートしました。
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最新データで見る「特定技能・自動車整備」の今
この制度は比較的新しいものですが、国土交通省や出入国在留管理庁の発表によると、特定技能「自動車整備」の資格で働く人の数は少しずつ増えています。
これは、多くの企業がこの制度に注目し、外国人整備士の受け入れを積極的に進めている証拠です。
同時に、日本で整備士としてキャリアを築きたいと考える外国人材にとっても、公式な道筋が整備されたことを意味します。
2.「技能実習」や「エンジニア(技術・人文知識・国際業務)」との違いは?

日本で働くための在留資格にはいくつか種類があり、特に「技能実習」や「エンジニア(技術・人文知識・国際業務)」と混同しやすいかもしれません。
それぞれの違いを解説します。
目的の違い:「技能実習」は技術移転、「特定技能」は仕事
・技能実習
主な目的は、日本で学んだ技術を母国に持ち帰り、母国の発展に役立てる「国際貢献」です。そのため、働くというよりも「実習(トレーニング)」という意味合いが強くなります。
・特定技能
主な目的は、日本の人手不足の分野で「労働力」として働くことです。技術を学ぶだけでなく、会社の戦力として、専門的な仕事を担当することが求められます。
資格の違い:「エンジニア」との学歴要件の違い
・エンジニア(技術・人文知識・国際業務)
この在留資格は、主に大学や専門学校で学んだ専門知識を活かす仕事(例:設計、開発、通訳など)が対象です。多くの場合、関連する分野の「学歴」が厳しく問われます。
・特定技能
学歴よりも、現場で即戦力として働ける「技術(スキル)」と「日本語能力」が重視されます。後述する試験に合格すれば、学歴に関わらず資格を取得できるチャンスがあります。
3.【ステップ解説】特定技能「自動車整備士」になるための2つの条件
特定技能「自動車整備士」の在留資格(特定技能1号)を得るためには、基本的に2つの試験に合格する必要があります。
条件1:技術を証明する「技能評価試験」
まずは、自動車整備士として必要な専門知識と技術を持っていることを証明しなければなりません。
そのための試験が「自動車整備分野特定技能評価試験」です。
この試験に合格することで、「自分は自動車整備の専門技術を有している」ということを客観的に証明できます。
条件2:生活に必要な「日本語能力試験」
次に、日本で仕事をし、安全に生活するために必要な日本語能力を証明する必要もあります。
具体的には、「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」または「日本語能力試験(JLPT)のN4以上」のどちらかに合格することが求められます。
仕事の指示を理解したり、同僚とコミュニケーションを取ったりするために不可欠なスキルです。
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特定技能資格の取得だけでなく、未経験から自動車整備士を目指す全体的なステップについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
(補足)「技能実習2号」を終えた人や「整備士2級」を持つ場合
すでに「技能実習2号」を良好に修了した人や、日本の「自動車整備士2級」以上の国家資格を持っている人は、上記の技能試験や日本語試験が免除される場合があります。
これは、すでに十分な技術と経験があると認められるためです。
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4.1号と2号の違いは? 将来のキャリアプランに関わる重要なポイント

特定技能「自動車整備」には「1号」と「2号」の2種類があります。この違いは、日本での将来のキャリアプランに大きく関わるため、非常に重要です。
業務内容の違い:1号(基本整備)と2号(監督・指導)
・特定技能1号
主な仕事は「自動車の基本的な整備や点検業務」です。まずは現場の即戦力として、基本的な整備作業を担当します。
・特定技能2号
1号の仕事に加えて、「他の整備士への指導や監督業務」も担当できるようになります。より高い技術と責任が求められる、リーダー的なポジションです。
在留期間の違い:1号(最長5年)と2号(更新可・長期滞在)
・特定技能1号
日本にいられる期間は、合計で「最長5年」です。
・特定技能2号
在留期間の「上限がありません」。試験に合格し、要件を満たし続ける限り、在留資格を更新して日本で長く働き続けることが可能です。
家族との生活:2号は「家族帯同」が可能になる
・特定技能1号
原則として、母国から家族(配偶者や子供)を呼んで一緒に住むことは認められていません。
・特定技能2号
要件を満たせば、家族を日本に呼んで一緒に生活する「家族帯同」が認められます。
1号で経験を積み、2号を目指すことは、日本で安定した生活基盤を築き、長期的なキャリアをデザインする上で価値のある選択肢と言えます。
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特定技能1号の試験は3級相当の知識が求められます。3級自動車整備士資格について、試験内容や合格率を詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
■派遣なら柔軟なキャリアプランが可能に
特定技能1号から2号へのステップアップを目指す方にとって、派遣という働き方は多様な現場経験を積める大きなメリットがあります。カラフルスタッフィング メカニックでは、あなたの技術レベルや目標に応じて、最適な派遣先をマッチング。大手ディーラーから専門整備工場まで、幅広い選択肢からキャリアを築けます。
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5.働く前に知っておきたい「法律上のルール」と「会社の義務」

特定技能制度は、外国人材が安心して働けるよう、法律で様々なルールが定められています。法律および労務管理の観点から、特に重要なポイントを解説します。
お給料は「日本人と同等以上」がルール
会社(受入れ機関)は、特定技能外国人に対して、同じ仕事をしている「日本人と同等か、それ以上のお給料」を支払わなければならないと、法律で義務付けられています。
これは、外国人だからという理由で不当に低い賃金で働かされることを防ぐための、非常に重要なルールです。
会社(受入れ機関)が満たすべき3つの条件
特定技能外国人を受け入れる会社は、誰でもなれるわけではありません。以下の3つの条件を満たす必要があります。
- 「地方運輸局長」の認証
国の基準を満たした、信頼できる整備工場であることの証明です。 - 「自動車整備分野特定技能協議会」への加入
制度のルールを守り、必要な情報を国と共有するための組織への加入が義務付けられています。 - 国土交通省が行う調査への協力
制度が正しく運用されているか、国のチェックに協力する義務があります。
会社には「支援計画」で生活をサポートする義務がある
会社(または会社が委託した登録支援機関)は、特定技能外国人が日本で仕事や生活をする上での不安をなくすため、「支援計画」を作成し、実行する義務があります。
例えば、日本に来る前の情報提供、空港への送迎、住む場所の確保の手伝い、銀行口座の開設、日本語学習のサポート、仕事や生活の相談など、様々な面でサポートを行うことが法律で決まっています。
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■安心して働ける環境をトータルサポート
カラフルスタッフィング メカニックは、特定技能外国人の方が日本で安心して働けるよう、法令に基づいた適正な労働条件と充実したサポート体制を整えています。日本人と同等以上の給与保障はもちろん、生活面でのサポートも万全。専門コーディネーターが就業後もしっかりフォローし、あなたのキャリア形成を長期的に支援します。
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6.特定技能「自動車整備士」は専門性を活かしたキャリアのスタートライン
特定技能「自動車整備士」の制度は、単に日本の人手不足を補うためだけのものではありません。
これは、自動車整備という専門技術を持ち、日本で働きたいという意欲のある方が、法律で守られた公正な環境で、専門家としてのキャリアを築くための「公式な道筋」です。
1号で経験を積み、2号や国家資格を目指すことは、日本での安定した生活と将来性を手に入れるための、価値あるキャリアデザインの第一歩となります。
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