自動車整備士を目指す方が最初に検討するのが「3級自動車整備士」資格です。
この国家資格は整備業界への第一歩となりますが、具体的な仕事内容や試験難易度、取得後のキャリアパスについて疑問を持つ方も多いでしょう。
本記事では、3級自動車整備士の仕事内容から資格種類、試験対策、最短取得方法まで、皆様の疑問を解消する情報を網羅的に解説します。
- 3級自動車整備士の資格の種類と仕事内容
- 最短で資格を取得するためのルートや試験の概要
- 資格取得後の給料やキャリアパスの可能性について
1.3級自動車整備士は基本的な整備作業の専門家

3級自動車整備士は、自動車整備の基礎的な業務を担当する国家資格者として、整備業界でのキャリアスタートの第一歩となる重要な資格です。
3級整備士が担当できる業務範囲とは?
✔担当できる基本的な業務
定期点検
基本業務の柱
タイヤ交換
日常的な業務
オイル交換
基本的なメンテナンス
バッテリー交換
頻度の高い業務
3級自動車整備士の資格では、車両の定期点検やタイヤ交換、オイル交換、バッテリー交換といった基本的な整備業務を担当できます。
自動車整備工場では無資格でも働くことは可能ですが、法定点検や車検時の検査など、国家資格を持っていないと担当できない重要な業務がほとんどを占めているのが現状です。
ただし、エンジンの分解整備や足回りの複雑な修理など、より高度な技術と専門知識が求められる業務については2級以上の資格が必要になります。

このため、3級は整備士としての入門的な位置づけとなり、将来的により高度で専門的な業務を目指すための重要な基礎資格として位置づけられています。
2.3級資格は4つの専門分野に分かれている
4つの資格
-
🚗
3級自動車ガソリン・エンジン整備士
-
⛽
3級自動車ジーゼル・エンジン整備士
-
⚙️
3級シャシ整備士
-
🏍️
3級二輪自動車整備士
3級自動車整備士には、それぞれ異なる専門性を持つ4つの資格種類が存在し、担当できる整備範囲が明確に区分されています。
この中で最も受験者数が多いのは、ガソリンエンジンを搭載した乗用車やトラックの整備を行う「3級自動車ガソリン・エンジン整備士」で、次に多いのはブレーキやステアリング、足回りなどを担当する「3級自動車シャシ整備士」です。

各資格によって担当できる整備範囲や対象車両が明確に異なるため、将来働きたい職場環境や自分が目指したい専門分野、興味のある技術領域に合わせて適切な資格を選択することが重要になります。
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3.3級資格取得がもたらすキャリア上のメリット

3級自動車整備士の資格取得により、無資格では担当できない業務へのアクセスが可能になり、整備士としての正式なスタートラインに立てます。
資格取得による具体的なメリットとは?
最大のメリット
法定点検や車検業務など、無資格では法的に担当できない重要な仕事ができるようになることです。
これは、整備士としてのキャリアをスタートさせる上で欠かせない第一歩と言えるでしょう。
また、将来的に2級以上の資格取得を目指す際にも、3級で培った基礎的な知識と実務経験があることで、より高度な技術習得や試験対策がスムーズに進められる可能性があります。
ただし、3級で担当できる業務は基本的な整備作業に限定されているため、仕事の幅を広げて責任ある業務を担当したり、給与水準を大幅に向上させたりするには、さらに上位の資格取得を計画的に目指すことが重要になります。
4.最短で3級自動車整備士になるためのルート

3級自動車整備士の資格取得には、効率的なアプローチを選択することで、時間とコストを大幅に節約することが可能です。
受験資格を満たす最適な方法
3級自動車整備士の資格試験を受けるには、実務経験が求められます。
早く自動車整備士として活躍したいと考えている場合は、専門学校に通うことが近道になるかもしれません。実務経験を積みながら資格取得を目指す場合は、担当できる仕事が簡単なものに限定されることが多いです。
資格取得までの具体的な流れ
3級自動車整備士になるには、日本自動車整備振興会が実施する「自動車整備技能登録試験(登録試験)」を受験するのが一般的です。
登録試験に合格した後、2年以内に「全免申請」を行うことで、自動車整備士の国家資格を取得できます。
全免申請とは、国が実施する自動車整備士技能検定試験(検定試験)の免除申請のことで、登録試験に合格することでこの申請が可能になります。
試験は年に2回実施されており、同時に複数の資格を受験することも可能です。
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5.3級自動車整備士の試験内容と受験料の詳細

3級自動車整備士の登録試験は学科と実技の両方があり、それぞれ異なる試験項目と受験料が設定されています。
学科試験と実技試験の内容
3級自動車整備士試験の概要
項目 | 学科試験 | 実技試験 |
---|---|---|
時間 | 60分間 | 30分間 |
問題数 | 30問 | 3問 |
内容 | 構造・機能、保安基準など | 簡単な点検、分解・組み立てなど |
受験料 | 4,200円 | 12,000円 |
学科試験は60分間で30問出題され、構造・機能や保安基準などの初歩的な知識が問われます。
実技試験は30分間で3問出題され、簡単な点検や分解・組み立てなどが試験内容となります。受験料は学科が4,200円、実技が12,000円です。
試験は年に2回行われており、同時に複数の資格を受けることもできます。
学科試験では自動車の基本的な構造や法規について問われ、実技試験では実際の作業能力が評価されます。どちらの試験も基礎的な内容が中心となるため、しっかりと準備すれば合格は十分に可能です。
参考:3級自動車整備士の資格~種類・試験内容・難易度~│試験の概要
6.3級自動車整備士資格の合格率と立ち位置
3級自動車整備士の資格は国家資格の中では比較的取得しやすく、適切な準備をすれば高い確率で合格できる試験です。
各資格の合格率データ
3級自動車整備士 登録試験合格率
令和5年度 第2回試験結果
ガソリン
エンジン
65.6%
ジーゼル
エンジン
57.6%
自動車
シャシ
67.4%
二輪
自動車
83.0%
3級自動車整備士の登録試験は、比較的高い合格率を維持しており、適切な準備を行えば合格の可能性は十分にあります。
最も受験者数が多い3級自動車ガソリン・エンジン整備士の令和5年度(2回目)の合格率は65.6%という結果でした。
その他の資格についても、3級自動車ジーゼル・エンジン整備士が57.6%、3級自動車シャシ整備士が67.4%、3級二輪自動車整備士が83.0%と、いずれも半数以上の高い合格率を示しています。
これらの統計データから分かるように、しっかりとした学習計画を立て、基礎知識の習得と実技練習を継続的に行い、試験対策を怠らなければ、合格を勝ち取ることは決して困難ではありません。
適切な教材選択と効率的な学習方法で臨めば、確実に合格に近づけるでしょう。
3級はキャリアのスタート地点
3級自動車整備士の資格は、自動車整備士としてのキャリアのスタート地点です。
この資格だけでは担当できる仕事の範囲が限られているため、本格的にキャリアを築いていくには、より上位の資格を目指すことが重要になります。
特に、高度な分解整備や車検の完成検査など、仕事の幅を大きく広げるためには2級自動車整備士の資格が不可欠です。
3級は整備士として認められるための最初のステップであり、ここから着実にスキルアップを図ることが大切です。
2級資格がキャリア発展の重要な鍵
2級自動車整備士の資格は、整備士としてのキャリアを飛躍的に向上させるための重要なステップです。
2級資格を取得することで、3級では担当できなかった幅広い業務に携わることが可能になります。また、給料アップにも直結するケースが多く、安定した収入を得るための基盤となります。
さらに、2級ガソリン自動車整備士か2級ジーゼル自動車整備士の資格があれば、車検の完成検査ができる国家資格「自動車検査員」への道も開かれます。
2級資格は整備士としての専門性を証明し、キャリアの選択肢を大幅に広げる重要な資格となります。
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7.3級整備士の給料事情と年収アップ戦略

3級自動車整備士の給料は限定的ですが、適切なキャリアプランを立てることで着実な年収向上を目指すことができます。
業務範囲と給料の関係性
3級自動車整備士は、分解整備ができないため、主に基本的な点検や簡単な修理業務を担当します。
しかし、実務経験を積みながら着実に技術を磨くことで、職場での評価を高め、昇給を目指すことは十分に可能です。
また、経験を積む中で、自身のスキルや適性を見極め、今後のキャリアパスを具体的に描くことができるようになります。
3級の経験は、整備士としての基礎力を身につける重要な期間と捉えることが大切です。
年収アップのための具体的な戦略
給料アップを本格的に目指すなら、2級自動車整備士の資格取得は必要になるかもしれません。
2級資格は、仕事の幅を大きく広げ、より高度な業務を担当できるようになるため、企業からの評価も高まり、給料に反映されやすくなります。
また、2級資格は転職時にも有利に働き、より良い条件の求人を見つけやすくなります。長期的な視点で見れば、2級資格は安定したキャリアと収入を築くための最も確実な投資と言えるでしょう。

さらに、自動車検査員などの上位資格を目指すことで、管理職への道も開かれます。
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8.3級自動車整備士はキャリアのスタート地点!
3級自動車整備士の資格は、自動車整備士としてのキャリアを始めるための大切な第一歩です。
この資格は、基本的な整備業務に従事するための最低限の知識と技術を証明してくれます。
しかし、給料アップや仕事の幅を広げるためには、2級自動車整備士や自動車検査員など、さらなる上位資格の取得が必要になるかもしれません。
3級資格取得を目指す道は、専門学校に通うルートと、実務経験を積みながら目指すルートの二つがあります。専門学校は、短期間で効率的に学び、すぐに2級受験資格を得られるメリットがあります。
一方、実務経験を積むルートは働きながら収入を得られる利点がありますが、担当業務が限られるため知識習得に時間を要する可能性があります。
この記事で紹介した情報を参考に、自身の状況に合った最適なルートを見つけ、最短で自動車整備士としての夢を掴んでください。