女性の社会進出が進む中、タクシードライバーに挑戦する女性も増えています。
しかし、これまで男性社会のイメージが強かったタクシードライバー職。「女性には難しいのでは?」と二の足を踏む方も多いのが現状です。
本記事では、女性タクシードライバーの仕事の魅力や働き方・待遇、収入事情などを徹底的に解説。未経験からでも安心して働ける理由をお伝えします。
- 女性タクシードライバーの収入と働きやすさ
- キッズタクシーやハイヤードライバーなど、女性ならではの活躍の場
- 充実した研修制度と女性支援の取り組みで、未経験でも安心してチャレンジできる
1.女性タクシードライバーの仕事の魅力とは?

近年、タクシー業界では女性ドライバーの活躍が目覚ましくなっています。その背景として、タクシードライバー職には女性から見て魅力的な点が多くあることがあげられます。
女性タクシードライバーは高収入を目指せる
全国ハイヤー・タクシー連合会によると令和4年の女性タクシードライバーの平均月収は約26万円で年収は約320万円です。全国平均の300万円と、女性の平均年収と比べても遜色ない金額です。
企業にもよりますが、頑張り次第では、さらに稼ぐことも十分に可能です。
▼タクシー業界の給与体系や年収事情について知りたい方はこちら
シフトの融通が利く!女性に嬉しい働き方の自由度
タクシードライバーの勤務形態は実に多彩です。
昼の時間だけ働く「昼勤務」、二日に一回出勤する「隔日勤務」など、自分のライフスタイルに合わせて選べるのが嬉しいポイントです。
育児や家事や介護などと両立しながら働きたい女性にとって、良い仕事ではないでしょうか。
さらに、会社によっては女性専用の休憩室や更衣室、託児所との提携など、働きやすい環境を整えているところも増えています。
運転が好きな人にはぴったり!
「車の運転が好き」「人と話すのが好き」という方なら、仕事を通じてその楽しみを存分に味わうことができます。
タクシードライバーの仕事は、車を安全に運転することがメインですが、お客様とのコミュニケーションも欠かせません。
行き先を正確に把握したり、乗車中の会話を楽しんだりと、サービス面でも腕を振るう場面が多いのが特徴です。
二種免許取得のハードルは意外と低い?
「タクシードライバーになるには二種免許が必要で、取得が大変そう」と思っている方も多いかもしれません。
しかし実際には、多くの会社が免許取得の費用を全額または一部負担してくれるのです。
教習所の斡旋など、サポート体制も充実しているので、意外とハードルは低いと言えるでしょう。入社後の研修で、先輩のドライバーから運転のコツも学べるため、ペーパードライバーでも安心です。
2.タクシードライバーの様々な仕事内容を紹介
タクシードライバーの仕事は、お客様を目的地まで送り届けることだけだと思っていませんか?
実はそれだけではなく、女性ドライバーならではの活躍の場があります。
女性ドライバーに人気の仕事「キッズタクシー」とは?
キッズタクシーは文字通り、子供専用のタクシーサービスです。
学校や塾への送り迎えを請け負うのが主な仕事内容で、利用するのは主に小学生です。
子育て経験のある女性ドライバーが活躍しやすい分野と言えるでしょう。子供の安全を第一に考えられる点もポイントです。
ただし、長時間の拘束になることも多いため、子育てとの両立は難しいかもしれません。
VIPを送迎!ハイヤードライバーへのキャリアアップの道も
おもてなしの心を持って丁寧な対応ができるなら、ハイヤードライバーを目指すキャリアもあります。
ハイヤーは、企業の役員をはじめとした、いわゆるVIP層の送迎を担当します。
タクシーよりもワンランク上のサービスが求められるため、接客スキルが重要になります。その分、収入面では優遇される傾向もあるそうです。女性ならではの感性を生かせる仕事だと言えそうです。
このように、タクシードライバーの仕事は、乗客を目的地まで運ぶだけにとどまりません。自分の個性を生かせる仕事にチャレンジできるのも、魅力の一つと言えるでしょう。
3.タクシー業界の「女性活躍」への取り組み
タクシー業界は現在、女性ドライバーの積極的な採用に力を入れています。各社が行っている取り組みの背景には、どのような狙いがあるのでしょうか。
女性タクシードライバー募集増加の背景
近年、タクシー業界が女性ドライバーの確保に注力しているのには、いくつか理由があります。まず、深刻な人手不足の解消です。
国土交通省は2019年、業界に対して2020年までに女性ドライバーを倍増させるよう要請しました。(「女性ドライバー応援企業」制度)これは、人口減少社会を見据えた一手と言えるでしょう。
また、女性の活用は、接客サービスの向上にもつながります。女性ならではの細やかな心配りは、利用客の満足度アップに直結するでしょう。
タクシー業界のイメージアップにも効果的だと考えられているのです。
大手タクシー会社では、女性支援制度・待遇・設備を拡充している
大手タクシー会社では、女性ドライバーが安心して働けるよう、様々な支援制度と設備を整えています。
まず、安全面では24時間対応の無線センターが緊急時の対応を行うほか、車内の防犯対策も万全。
お客様のほとんどがタクシーアプリ『Go』や電話での予約客なので、女性ドライバーも安心して乗務できます。
また、働き方の面でも、昼間のみの勤務で家庭との両立が可能。妊娠中はデスクワークへの職種チェンジ制度があるなど、ライフステージに合わせた柔軟な働き方ができるのも大きな魅力です。
福利厚生も充実しており、保育園と提携している企業もあるので、子育て中の女性ドライバーも安心です。女性用の更衣室も完備されています。
さらに、収入面でも配属後1年は月額30万円の保障があるので、安定した収入を目指せます。
このように、さまざまな大手タクシー会社では女性ドライバーが長く働ける環境づくりに力を入れています。
男性中心のイメージが強かったタクシー業界も、今や女性にも魅力的な職場へと変わりつつあるのです。
参考:日の丸交通株式会社・日本交通グループ・つばめタクシーグループ
4.女性・男性ドライバーの雇用条件の違い
タクシードライバーの雇用条件において、賃金や昇給は完全な実力主義で男女差はありません。勤務時間や休暇取得も基本的に平等ですが、深夜勤務など一部で女性への配慮がみられます。
賃金で男女の違いはありません
タクシードライバーの賃金は、基本給プラス歩合給が一般的です。歩合給は売上に応じて支払われるため、男女の違いはありません。頑張った分だけ収入につながる、完全な実力主義の世界だと言えます。
昇給ペースについても、男女差はないのが普通です。新人や若手でも、ベテランと同じ土俵で売上を競うことになります。実際、は売上トップが40代の女性ドライバーの会社もあるそうです。「女性だから」といった考えは、まったくないようです。
勤務時間と休暇取得のしやすさ
勤務時間は、会社によって異なりますが、1日10~12時間勤務が平均的です。多くの会社では、男女で勤務時間に差を設けていません。ただし、深夜勤務については、女性ドライバーへの配慮があるところも多いです。
休暇の取得についても、基本的には男女平等。有給休暇の計画的付与などが徹底されている会社では、性別に関係なく、同じルールが適用されています。育児や介護との両立支援など、女性をサポートする制度の充実度合いは、会社によってまちまちと言えるでしょう。
5.女性で未経験者でも大丈夫?教育・研修制度を紹介

「女性でも大歓迎!」とは言うものの、未経験だと職場に馴染めるか心配ですよね。
でも、ご安心ください。タクシー会社の教育・研修制度は、未経験の女性ドライバーをしっかりサポートします。
充実した研修で運転が苦手な女性もスムーズに乗務開始
各社とも、未経験者を対象とした充実した研修制度を用意しています。中でも運転の実技指導は、プロの教官が担当します。
初心者や女性ドライバーも、安全運転のコツを基礎からじっくり学べるのが特徴です。
座学では、道路交通法規や地理知識、接客マナーなどを一から教えてもらえます。実際の乗務を想定した接客ロールプレイングも行うなど、イメージトレーニングを重ねられるのもポイントです。
運転に不安がある方も、少しずつ自信を付けていけるはずです。
先輩ドライバーが指導!女性教官も在籍
研修期間中は、ベテランドライバーが助手席に同乗し、マンツーマンで指導してくれる会社もあります。
エリアの特性や駐車場の位置、目的地までの最短ルートなど、経験に基づくアドバイスは心強い味方になるでしょう。
会社によっては、女性教官も在籍しています。同じ女性目線のアドバイスは、リラックスして受け止められるのではないでしょうか。
分からないことや不安なことは、何でも先輩ドライバーに相談してみましょう。
月収保証など、未経験者への手厚いサポート制度も
気になるのは、研修期間中の収入面ですが、未経験者のためのサポート制度が充実している会社も多くあります。
例えば、研修中の日当保証や入社祝い金の支給など。中には入社半年間の月収を保証する制度もあります。「いきなり歩合制で稼げるか不安」という方も、安心して働き始められそうですね。
6.女性タクシードライバーの懸念点

タクシードライバーの仕事に魅力を感じつつも、女性ならではの不安を抱く方もいるでしょう。
ここでは、よくある懸念点と対処法をいくつかご紹介します。
利用客とのトラブルに注意
タクシーの利用客の中には、酔っ払いや絡んでくる人もいるかもしれません。対応を誤ると、トラブルに発展する恐れもあります。
その対策として、最近の車両は防犯カメラを設置しているところが増えており、万が一の際の証拠としても役立ちます。
また、会社によっては通報システムを導入していたりと、ドライバーの安全対策にも力を入れています。
自身でしっかり体調管理をおこなう
タクシードライバーの勤務は不規則になりがちです。生活のリズムが乱れて体調を崩すことのないよう、自己管理が大切になってきます。
特に女性は、ホルモンバランスの関係で体調を崩しやすい面もあるだけに注意が必要です。
最近は健康相談窓口を設けた会社もあります。一人で抱え込まず、休養を取ることを優先させましょう。
道を覚えるのが難しい
地理に自信がないと、タクシードライバーは務まらないのでは?と思う方もいるかもしれません。
確かに地理感覚は必要ですが、今はカーナビも発達しているので、すぐにマスターできます。
入社後の研修でも道順の覚え方は徹底的に教えてもらえるので心配いりません。
タクシードライバーになる上での不安は多いかもしれませんが、会社側のサポート体制も年々充実してきています。
7.実際に働く女性タクシードライバーの声
実際に女性タクシードライバーとして働く方々は、どのようにこの仕事を捉えているのでしょうか。
ここでは、女性ドライバーの生の声をお届けします。

ペーパードライバーでしたが、タクシー会社の手厚い研修制度で着実に成長できました。「運転に不安がある状態なら、安心できるまで独り立ちさせない」という指導員の言葉に後押しされ、安全運転はもちろん、接客マナーなども一から学べる環境で一歩ずつ自信を付けていきました。未経験でも、プロのドライバーによる指導とサポートで着実にスキルアップできるのは、女性ドライバーにとって大きな魅力。「ペーパードライバーだから無理」と尻込みせず、チャレンジしてみる価値は十分にあります。

前職とは違う「タクシーならでは」のやりがいを感じています。お客様の要望や交通情報を踏まえ、自分の判断で最適なサービスを提供する。そこには、マニュアル通りの仕事が多かったIT業界にはない面白さがあると感じます。今まで気づかなかったタクシードライバーの魅力に、今は心躍らせています。
参考:km求人採用サイト
8.女性タクシードライバーで理想のワークライフバランスを
タクシードライバーは今や、女性が活躍できる職場の一つとなりました。
育児や家事と両立しやすい働き方、会社による充実した福利厚生。そして何より、お客様との交流を通じて得られるやりがい、女性ならではの視点を仕事に生かせる環境が、整ってきているのです。
未経験からでもチャレンジできる手厚い研修制度、先輩ドライバーのサポート体制、頑張り次第で目指せる高収入。タクシードライバーという仕事は、女性の活躍の可能性を大きく広げてくれるでしょう。