【介護タクシードライバー必須資格２種】追加でほしい資格4選

高齢者や障がい者の外出をサポートする介護タクシードライバー。一般のタクシーとは異なり、専門的な知識と技術を持ったドライバーが乗降介助や移動支援を行うサービスです。

福祉タクシーとの違いや介護保険の適用条件、ドライバーになるために必要な資格などについて解説します。移動が困難な方の社会参加を支える重要な役割を担う介護タクシードライバーの世界をご紹介します。

1．介護タクシーとは？

介護タクシーとは高齢者や障がい者など、移動が困難な方のために利用されるタクシーサービスのことです。 ここでは、似た存在である福祉タクシーと比較しながら、介護タクシーについて解説します。

介護タクシーは訪問介護サービスの1種

介護タクシーは、要介護者や要支援者の通院や外出時の移動を支援する訪問介護サービスの一種です。ただ送迎するだけではなく、乗降時の介助をしたり、必要に応じて自宅内や病院内での移動のサポートをしたりします。

利用者の方々が安心して外出できるよう、さまざまな面から支援することが介護タクシードライバーの重要な役割です。また、利用者の状態や希望に合わせて、柔軟に対応できる点も介護タクシーの大きな特徴といえるでしょう。

介護の知識を持ったドライバーが運転するため、安心して利用できるサービスとなっています。

福祉タクシーとは何が違うの？

介護タクシーと似た存在に福祉タクシーがありますが、サービス内容には大きな違いがあります。

比較項目	介護タクシー	福祉タクシー
利用対象者	要介護者、要支援者	障害者手帳所持者など
ドライバーによる介助	あり	なし
介護保険の適用	あり	なし
サービス内容	乗降介助、移動支援など	送迎のみ

介護タクシーと似た存在に福祉タクシーがあります。上の表で示した通り、それぞれには大きな違いがあります。介護タクシーのドライバーは介護職員初任者研修などの資格を持ち、介助を提供できます。一方、福祉タクシーのドライバーは介助を行いません。

介護タクシーでは乗車前の準備を手伝ったり、病院内での移動をサポートしたりと、幅広い介助が求められます。また、介護保険適用の有無も違い、介護タクシーを選ぶドライバーは介護保険制度についての知識も必要になります。次のセクションで介護保険制度について解説します。

介護保険の適用可否について

介護タクシーには介護保険適用の場合と適用外の2パターンがあります。それぞれについて詳しく解説します。

1.介護保険適用の介護タクシー

介護保険の適用を受けられる介護タクシーがあります。これは要介護認定を受けた方のみ保険適用になります。運賃の1割が自己負担、残りの9割は介護保険から支払われます。

ドライバーとして働く場合、介護保険制度の仕組みや請求方法を理解したり、ケアマネージャーと連携したりする必要があります。利用者の要介護度に応じたサービス提供や、介護保険の適用範囲を把握することも重要です。

介護保険請求の事務処理も求められる可能性もあるため、制度についての知識をしっかり身につけておくことがドライバーとして成功する鍵となります。

2.介護保険適用外の介護タクシー

介護保険非適用の介護タクシーもあり、こちらは要介護認定の有無に関わらず利用可能です。ただし運賃は全額自己負担で、料金は事業者ごとに異なります。ドライバーとして働く場合、適切な料金設定を理解したり、サービス内容を明確に説明したりする必要があります。

介護保険適用外のため比較的自由度が高く、多様なニーズに応えるサービスを提供できる一方、利用者の経済的負担に配慮することも求められます。事業の採算性と利用者の満足度のバランスを考慮したサービス提供がポイントです。

2．介護タクシードライバーに必要な資格

介護タクシードライバーの必須資格は2つあります。それぞれの資格について解説します。

普通自動車二種免許

介護タクシーのドライバーとして働くには、まず普通自動車第二種免許の取得が必須です。二種免許は、他人の命を預かる業務用の運転に必要な資格で、厳しい適性試験に合格しなければなりません。

一般のタクシーやバスの運転手と同じ免許であり、一種免許からの切り替えも可能です。取得には21歳以上で、普通免許取得後3年以上の経験が必要となります。

試験では路上での実技試験を受けたり、筆記試験で道路交通法をしっかり学んだりする必要があります。安全運転の技術だけでなく、乗客への配慮や緊急時の対応も求められるため、しっかりとした準備が必要です。

▼普通自動車第二種免許について詳しく

二種免許の取得には年齢、運転経験、視力などの条件があり、その方法や費用、期間について紹介しています。タクシー運転手に必要なスキルも解説しています。あわせて参考にしてください。

介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)

受講場所	各都道府県に認可された養成施設
標準カリキュラム時間数	約130時間
一般的な受講料	10万円前後

介護タクシードライバーには介護職員初任者研修の修了が義務付けられています。以前、この研修はホームヘルパー2級と呼ばれていたもので、介護の基礎知識と技術を学びます。

130時間程度のカリキュラムを修了することで、修了証が発行されます。研修では高齢者や障がい者の心理を理解したり、食事や入浴の介助方法を学んだりします。また、車いすの操作方法や移乗技術なども身につけることができます。

座学だけでなく実技もあるため、介護タクシードライバーとして重要な乗降介助や移動中の安全確保の実践的なスキルが身につくのが特徴です。介護の現場で役立つコミュニケーション技術も学べるため、利用者との信頼関係を築く上でも重要な研修といえるでしょう。

スクーリング（通学）で取得する場合

• 一般的な期間
  1〜3ヶ月程度
• 集中コース
  3週間（平日連続5日間の通学と、約40時間の自宅学習時間が必要）
• 夜間・週末コース
  3〜4ヶ月程度（週に数回通学）
• 特徴
  1. 講師から直接指導を受けられる
  2. 実技指導がその場で受けられる
  3. 他の受講生と交流でき、モチベーション維持しやすい
  4. スケジュールが固定されている

通信講座で取得する場合

• 一般的な期間
  1〜3ヶ月程度
• 集中コース
  1ヶ月程度（集中して学習できる場合）
• 余裕を持ったコース
  最長6ヶ月程度
• 特徴
  1. 自分のペースで学習可能
  2. 教材を使って自宅学習
  3. スクーリング（対面授業）は実技習得のために数日間必要
  4. 仕事や家事と両立しやすい

※注意点※

通信だけで受講できるのは最大40.5時間と決められています。1ヶ月で受講修了したい場合は約1日1時間20分、2ヶ月で修了したい場合は約1日40分を目安にしましょう。

3．介護タクシーに役立つ資格・研修を4つご紹介

介護タクシードライバーとして働くために必須の資格を取得した後も、さらなるスキルアップを目指すことで、サービスの質を高めることができます。ここでは、必須資格に加えて取得しておくと役立つ4つの資格・研修を紹介します。

ユニバーサルドライバー研修

ユニバーサルドライバー研修は、高齢者や障害者の特性を理解し、それぞれに適した接し方を学ぶ研修です。座学だけでなく、車いすの取り扱い方なども実践的に学べるため、介護タクシードライバーのスキルアップにもってこいの内容となっています。

研修では高齢者や障がい者の心理を理解したり、適切な言葉遣いや接し方を学んだりします。また、様々な障がいの特性に応じた対応方法も習得できるため、多様な利用者のニーズに応えることが可能になります。

研修を受けることで、利用者に対する理解が深まり、より質の高いサービスを提供できるようになるでしょう。運転技術だけでなく、おもてなしの心も身につけられる貴重な研修です。

参考：ユニバーサルドライバー研修

ハートフルアドバイザー研修

ハートフルアドバイザー研修は、障害を持つ方に適切な接客を行なうための基本を身につけます。障害の種類や特性、コミュニケーションの取り方、介助技術など、幅広い知識とスキルが習得できます。介護タクシードライバーとして必要な知識を習得できます。

資格を取得すれば、利用者からの信頼にもつながるでしょう。視覚障がいのある方の誘導方法を学んだり、聴覚障がいのある方との意思疎通の方法を学べます。また、認知症の方への対応方法など、幅広い知識が身につくのが特徴です。

研修を受けることで、、介護タクシードライバーとしての価値を高められるでしょう。

参考：ハートフルアドバイザー養成研修｜公益財団法人 総合健康推進財団

サービス介助士（ケアフィッター）

サービス介助士は、公共交通機関や観光施設などで活躍する資格です。「おもてなしの心」と「介助技術」の両方を学べるのが特徴で、接客面と介護面のスキルを同時に高められます。介護タクシーのサービス品質向上に直結する資格と言えます。

サービス介助士の資格を持つことで、利用者に対して適切な声かけをしたり、状況に応じた介助を提供したりすることができるようになります。また、車いすの操作方法や移乗技術、視覚障がい者の誘導方法なども学べるため、幅広い利用者に対応できるようになります。

参考：公益財団法人日本ケアフィット共育機構｜サービス介助士

普通救命講習

介護タクシーのドライバーは、いざというときに利用者の命を守る立場にもあります。突然の体調変化が起こる可能性のためにも普通救命講習を受講し、心肺蘇生法やAEDの使用方法、止血法など、応急手当の技術を身につけておくことが大切です。

講習では実際にAEDを使用したり、人形を使って心肺蘇生法を練習したりするため、実践的なスキルが身につきます。消防庁のWEBページにオンラインで受講できる動画が公開されています。終了テストに合格すると、WEB講習受講証明書（普通救命講習編）が発行されます。

自宅で簡単に取得できるので、介護タクシードライバーを目指す方にとって一番最初に取得しやすい証明書といえるでしょう。

参考：総務省消防庁｜一般市民向け応急手当WEB講習

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4．さらなる資格取得で魅力ある介護タクシードライバーに

介護タクシードライバーになるには普通自動車第二種免許と介護職員初任者研修の修了が必須です。さらに、ユニバーサルドライバー研修やハートフルアドバイザー研修、サービス介助士、普通救命講習などの資格を取得することで、より質の高いサービスを提供できます。

介護タクシーは単なる移動手段ではなく、利用者の尊厳と自立を支える大切な役割を担っています。多様な資格とスキルを身につけ、利用者に寄り添うドライバーを目指しましょう。

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介護タクシードライバーの給料はどれくらいかご存じですか？下記の記事では介護タクシードライバーの給与・やりがい・適性・キャリアパスを詳しく解説しています。あわせて参考にしてください。