統括運行管理者は、運送会社の安全運行を支える重要な責任者です。複数の運行管理者を管理し、会社全体の安全体制を構築・維持する役割を担います。
運行管理者が車両点検やドライバーの勤怠管理などの個別業務を行うのに対し、統括運行管理者はそれらを俯瞰し、全体の適切性を確保します。
本記事では、統括運行管理者の役割や選任基準、仕事内容などついて解説します。
- 統括運行管理者と運行管理者の違いと、法律で定められた選任基準について
- 統括運行管理者の主な4つの仕事内容と日常業務の実態について
- 統括運行管理者になるための具体的な要件とキャリアパスについて
1.統括運行管理者とは?

統括運行管理者は運送会社の安全運行を担う要の存在です。事業規模に応じて選任が義務付けられ、複数の運行管理者をまとめる立場として、会社全体の安全管理体制を構築します。その重要な責務と特徴について見ていきましょう。
運行管理者を管理する責任者
統括運行管理者とは、国土交通省によると複数の運行管理者を置く営業所において、運行管理者たちの業務を統括する責任者です。運送会社の安全運行体制の最終責任者として、事業用自動車の運行に関する業務全体を俯瞰し、適切な運行管理を確保します。
また、貨物自動車運送事業輸送安全規則 第18条第2項でも定義されています。
一の営業所において複数の運呼応管理者を船員する一般貨物自動車運送事業者等は、それらの業務を統括する運行管理者(以下「統括運行管理者」という。)を選任しなければならない。
運行管理者が車両点検・整備管理やドライバーの勤怠管理などの個別業務を担当するのに対し、統括運行管理者はこれらの業務全体を確認し、把握そして法令順守と安全運行の徹底を図ります。
会社の安全運行体制の構築と維持において中心的な役割を果たす重要なポジションです。
大規模運送会社に求められる統括運行管理者の選任義務
運送会社を経営されている方や、運輸業界に関わる方なら知っておくべき重要な法的要件があります。それが「統括運行管理者」の選任義務です。
統括運行管理者の選任が必要となる車両台数
大規模な運送事業者には、法律によって統括運行管理者の設置が義務付けられています。下記に運行管理者が必要な営業所の条件を紹介します。
そこからもわかるように、運行管理者を数名選任する企業はかなりの車両を保有していることになります。
実際、統括運行管理者を選任する運送業者はそこまで多くありません。
業態区分 | 配置基準 |
---|---|
貸切 | 保有車両39両まで2名 以降20両ごとに1名追加 (保有車両100両以降は、30両ごとに1名追加) |
乗合・乗用 | 保有車両39両まで1名 以降40両ごとに1名追加 |
トラック | 保有車両29両まで1名 以降30両ごとに1名追加 |
なぜ統括運行管理者が必要なのか?
この制度が設けられた背景には、大規模事業者における安全管理体制の強化という明確な目的があります。
運送業界において安全はすべての基盤となるものです。多数の車両と運転手を抱える大規模事業者では、安全管理の統括者がいなければ、一貫した安全対策の実施が難しくなります。
統括運行管理者は、運行管理業務全体を監督し、事故防止と法令順守を徹底する要の存在です。乗客や貨物、そして道路を使用する他の人々の安全を確保するために不可欠な役割を担っています。
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2.統括運行管理者の4つの仕事内容

統括運行管理者の業務は多岐にわたります。日々の安全管理から教育、法令順守の徹底、事故対応まで、会社全体の安全を守るための様々な責任があります。主要な業務内容を具体的に解説していきます。
日々の安全運行管理業務
統括運行管理者の日常業務の中心は、運行管理者の業務管理です。各運行管理者から定期的に業務報告を受け、問題点や課題を把握します。そして改善に向けた具体的な指示を与え、PDCAサイクルを回していきます。
また、全社的な運行計画の策定や、ドライバーの勤務シフトの決定なども統括運行管理者の重要なタスクです。限られた人員を適材適所に配置し、効率的な運行を実現するためのマネジメントが求められます。
運転者の日々の健康状態のチェックや、アルコール検知器を使った飲酒運転防止の取り組みの徹底なども、統括運行管理者が主導します。安全運行の基盤となる施策を着実に実行に移すことが使命だと言えるでしょう。

PDCAサイクルとは、「計画→実行→確認→改善」の繰り返しで、継続的に物事を良くしていく方法です。
ドライバーの指導・教育
統括運行管理者にとって、ドライバー教育は極めて重要です。単発的・表面的な研修ではなく、体系的かつ実践的な教育プログラムを立案し、確実に実施していくことが求められます。
新人ドライバーへの基礎教育はもちろん、熟練のドライバーに対するフォローアップ研修や、事故防止のための特別講習など、ドライバーのスキルと安全意識を高めるための施策を複合的に組み合わせることが大切です。

ドライバー個人の成長を支援し、会社全体の安全レベルを高めることが統括運行管理者の重要な役割です。
社内全体のコンプライアンスの徹底
運送業界は様々な法規制の下で事業を行っており、コンプライアンスの徹底は重要です。統括運行管理者は、関連法令の知識を自ら深めると同時に、社内の理解度向上にも努めなければなりません。
運転者に対する法令順守の指導はもちろん、社内のコンプライアンス研修の企画・実施なども統括運行管理者の重要な役割です。会社としての法令順守姿勢を明確に示し、全従業員に浸透させていく必要があります。
また、行政機関による監査の立ち会いや、行政処分を受けた際の改善報告書の作成なども、統括運行管理者の職務に含まれます。会社の安全運行体制の適切性を行政にアピールし、信頼を得ることも大切な使命の一つだと言えるでしょう。
事故発生時の対応
万が一事故が発生した場合、統括運行管理者は迅速かつ的確な対応を取る必要があります。被害の拡大防止と二次事故の防止を最優先しつつ、事故の全容を把握することが求められます。
警察や保険会社などの関係機関との連絡・調整、社内の情報共有と対応方針の決定など、統括運行管理者の指揮の下で組織的に動くことが重要です。
また、事故の原因究明に対して再発防止策を立案・実行に移すことも統括運行管理者の大きな役割だと言えます。
事故を個別の出来事で終わらせるのではなく、会社の安全運行体制を見直すきっかけと捉えることが肝心です。事故の教訓を安全マネジメントにしっかりと活かしていく姿勢が、統括運行管理者には強く求められています。
3.統括運行管理者になる必要な資格と要件

統括運行管理者になるには特定の資格と経験が必要です。運行管理者としての実務経験を積み、必要な要件を満たすことで選任される道が開けます。具体的な資格要件と選任までの道のりを見ていきましょう。
必要な資格と要件
統括運行管理者になるためには、以下の全ての要件を満たす必要があります。
このうち運行管理者資格は、国土交通大臣認定の講習を受講し、筆記試験の合格で取得できます。受験資格は21歳以上で、2年以上の実務経験か基礎講習の修了が必要です。
▼運行管理者資格について詳しく
運行管理者資格の取得は難しい?以下の記事では、運行管理者の給与、仕事内容から資格取得方法まで教えます。未経験転職のポイントまで解説しています。ぜひ参考にしてください。
選任までの過程

統括運行管理者への道のりは、まず運行管理者としてのキャリアをスタートさせるところから始まります。
地道な実務経験の積み重ねが、統括運行管理者への近道だと言えます。日々の業務の中で、リーダーシップを発揮する機会を自ら見つけ、積極的に挑戦していくことが大切です。
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4.統括運行管理者のやりがい

統括運行管理者は責任の重さとともに大きなやりがいがある職種です。会社の安全運行を支える誇りとドライバーの成長を支援する喜びが、日々の業務を支える原動力となります。その魅力について詳しく解説します。
会社の安全運行を支える誇り
統括運行管理者は、会社の安全運行を支える重要な役割を担っています。自社のドライバーと車両を適切に管理し、重大事故の発生を未然に防ぐことに成功したとき、大きなやりがいを感じられるはずです。
日々の地道な業務の積み重ねが、会社の安全実績につながっていると実感できたとき、統括運行管理者冥利に尽きると言えるでしょう。「安全はサービスの基盤」という考えの下、会社の安全文化を醸成していくことに誇りを持てるはずです。
ドライバーの成長を支援する喜び
統括運行管理者のもう一つの大きなやりがいは、ドライバーの成長を支援できることです。安全運転の指導はもちろん、ドライバーのキャリア形成をサポートすることも重要な役割だからです。
新人ドライバーが一人前に成長する過程を見守り、時には厳しく指導することで、プロのドライバーへと育てていく。そうしたドライバー一人ひとりの成長の過程に関われることは、統括運行管理者ならではの喜びだと言えます。
自らの知識と経験を、次の世代のドライバーに伝えていくことで、会社の安全運行体制をより強固なものにしていく。そんな長期的な視点に立って、人材育成に取り組めるのも、統括運行管理者の大きなやりがいの一つです。
5.統括運行管理者とは?運送会社の安全を守るキーパーソン
運送会社の安全運行を最前線で支える「統括運行管理者」。一般の運行管理者が個別業務を担当する一方、統括運行管理者は会社全体の安全マネジメントを指揮します。
ドライバー教育から事故対応、法令順守の徹底まで、その責務は多岐にわたります。このポジションに就くには運行管理者資格と豊富な実務経験が必須です。高度な専門知識とマネジメント力が求められる重要ポストです。
大きな責任を伴いますが、会社の安全文化を築き、ドライバーの成長を見守る喜びというやりがいもあります。物流業界の安全の要として、その重要性は今後さらに高まるでしょう。