転職活動や各種申請書類の作成において、自動車整備士の方が必ず直面するのが職種や業種の記載です。同じ整備士でも勤務先によって業種が異なるため、正確な理解が欠かせません。
この記事では、自動車整備士の職種分類について、職種と業種の違いや履歴書への正しい記載方法、日本標準職業分類まで、実践的な知識を詳しく解説します。
- 自動車整備士の職種や業種の違いと表記の仕方
- カーディーラー・整備工場・ガソリンスタンドなど勤務先別の正確な業種分類
- 履歴書・職務経歴書への効果的な記載方法と転職活動で有利になる書き方のコツ
1.自動車整備士の職種とは?

自動車整備士として働く方が転職活動や各種申請で必ず直面するのが職種の記載です。ここでは職種の基本的な意味と、自動車整備士における職種の特徴について詳しく解説します。
職種の意味と自動車整備士における位置づけ
職種とは
実際の仕事内容による区分のこと
勤務する職場に関係なく、実際に行っている業務内容によって決まる分類です。
自動車整備士として働く方の職種は「自動車整備士」となり、履歴書や転職サイト、クレジットカード申込など、あらゆる場面で統一して使用できます。
職種は個人の専門性を表す重要な要素で、自動車整備士は国家資格に基づいた専門技術職として社会的に認知されています。
勤務先に関係なく職種は「自動車整備士」で統一
自動車整備士の職種は、勤務先に関係なく自動車整備士で統一されます。カーディーラー、整備工場、ガソリンスタンド、バス営業所など勤務先は多岐にわたりますが、自動車整備業務に従事していれば職種はすべて自動車整備士です。
派遣社員でも同様です。勤務先の規模や雇用形態に関係なく一貫して記載できるため、転職活動時にキャリアの連続性を示せます。
複数業務を兼任する場合の記載方法
自動車整備士が複数業務を兼任する場合、職種は本業で判断します。

整備業務がメインなら自動車整備士、事務作業がメインなら事務員となります。
業務比重が半々で判断困難な場合は、転職活動や申請の目的に応じて都合の良い方を選択可能です。重要なのは一貫性を保つことで、同じ書類内では必ず同じ職種を記載しましょう。
複数の専門性は強みのため、職務経歴書では具体的な業務内容を詳しく記載することをおすすめします。
2.自動車整備士の職種と業種の決定的な違い|6つの分類パターン

職種と業種は似ているようで全く異なる概念です。自動車整備士の場合、勤務先によって業種が大きく変わるため、正確な理解が必要不可欠です。
職種と業種の違い

職種と業種の違い
職種:個人の仕事内容
業種:会社の事業分野
職種は実際に行っている業務に基づいて決まりますが、業種は勤務先の会社が主にどのような事業を行っているかで決まります。
例えば、自動車整備士として同じ仕事をしていても、カーディーラーに勤務していれば業種は「小売業」、整備工場に勤務していれば「自動車整備業」となります。業種は勤務先の組織全体の分類であり、個人の業務内容とは直接関係しません。
整備工場勤務の場合
民間の自動車整備工場に勤務する場合、職種は自動車整備士、業種は自動車整備業または自動車サービス業となり、職種と業種が一致します。整備工場の主要事業は自動車の整備・修理のため、比較的わかりやすいです。
ただし、中古車販売も行っている場合は主要事業によって業種が決まり、整備がメインなら自動車整備業、中古車販売がメインなら小売業となります。
ガソリンスタンド・カー用品店の場合
ガソリンスタンドに勤務する自動車整備士の場合、職種は自動車整備士ですが、業種は小売業または燃料小売業となります。ガソリンスタンドの主要事業は燃料販売のため、整備サービスは付帯業務です。
カー用品店も同様で、職種は自動車整備士、業種は小売業となります。これらの職場では販売スタッフと整備士が混在しますが、職種は異なり業種は統一されています。
派遣会社経由の場合
派遣社員として自動車整備士の仕事をしている場合、職種は自動車整備士ですが、業種は人材派遣業となります。雇用契約が派遣会社と結ばれているためです。
派遣先がカーディーラーや整備工場でも、業種は派遣会社の事業分野で判断されます。クレジットカードやローン申請時には正確な記載が必要で、金融機関では詳細な勤務状況確認を行う場合があります。派遣期間や契約形態も説明できるよう準備が重要です。
3.日本標準職業分類における自動車整備士の位置

日本標準職業分類は、総務省が定める公式な職業分類システムです。自動車整備士の正確な位置づけを理解することで、公的な場面での記載も適切に行えます。
職業分類コード「553」の詳細内容
日本標準職業分類において、自動車整備士は「自動車整備・修理従事者」として分類され、職業分類コード「553」が割り当てられています。
大分類 | H 生産工程従事者 |
中分類 | 55 機械整備・修理従事者 |
小分類 | 553 自動車整備・修理従事者 |
説明 | 自動車のエンジン・車体・シャシー・車体部品などの整備・修理の仕事に従事するもの |
大分類「H:生産工程従事者」、中分類「55:機械整備・修理従事者」に属し、技術系専門職として位置づけられています。
同じ中分類には航空機整備士や船舶機関整備士も含まれ、高度な技術と専門知識を要する職種群として認識されており、自動車整備士の社会的地位や専門性を示しています。
参考:政府統計の総合窓口|日本標準職業分類(平成21[2009]年12月統計基準設定)
「自動車整備・修理従事者」に含まれる職種一覧
日本標準職業分類では、自動車整備工、自動車整備士、自動車電気装置整備士、オートバイ修理工など多くの職種が含まれ、すべて同一の職業分類コード「553」に分類されます。整備士資格の有無や専門領域の違いに関係なく、一級整備士から無資格の整備工まで同じ分類です。
隣接職種との境界線と判断基準
「自動車整備・修理従事者」に該当しない隣接職種も明確に定められています。板金加工職、タイヤ修理工、内張修理工、自動車塗装工、自動車ガラスはめ込工は、自動車に関連する職種でも異なる分類コードが割り当てられています。
これは主要業務の内容によって分類が決まるためです。複数業務を兼任している場合は業務の比重が高い方を選択し、判断に迷う場合はメイン業務や保有資格、勤務先での役割を総合的に考慮して決定しましょう。
4.履歴書・職務経歴書への記載方法

転職活動で最も重要な書類である履歴書と職務経歴書。自動車整備士の職種と業種を正確に記載することで、採用担当者に適切なアピールができます。
職種欄への記載例とポイント
履歴書の職歴欄や職務経歴書の職種欄には、自動車整備士と明確に記載しましょう。勤務先に関係なく職種は統一します。より具体的にアピールする場合は、自動車整備士(二級ガソリン・ジーゼル)のように保有資格を併記することも効果的です。
職務経歴書では具体的な業務内容を箇条書きで示し、特に最新技術への対応経験があれば積極的に記載しましょう。職種の一貫性で専門性をアピールできます。
業種欄への記載例と注意点
業種欄の記載は勤務先の主要事業に基づいて行います。
勤務先と業種の種類
自動車整備工場 | カーディーラー ガソリンスタンド | バス会社 | タクシー会社 |
---|---|---|---|
自動車整備業 | 小売業 | 陸運業 | 旅客輸送業 |
同じ整備士でも勤務先により業種が大きく異なることを理解し、異なる業種での経験は幅広い知識と適応力のアピール材料として活用できます。正式名称を使用しわかりやすい記載を心がけましょう。
転職活動で有利になる書き方のコツ
転職活動を有利に進めるには、職種と業種の記載に加えて、具体的な実績や成果を数値で示すことが重要です。「月平均○台の車検整備を担当」「故障診断時間を○分短縮」などの数字による情報は、採用担当者に強い印象を与えます。
複数業種での経験がある場合は、それぞれの特徴を活かした業務内容をアピールしましょう。転職理由も職種と業種の違いを理解した上で説明すると説得力が増し、好印象を与えられます。
5.職種と業種の正しい理解で転職を成功させよう
自動車整備士の職種は勤務先に関係なく「自動車整備士」で統一され、業種は勤務先の主要事業によって決まります。カーディーラーなら「小売業」、整備工場なら「自動車整備業」となるなど、同じ整備士でも業種は大きく異なります。
履歴書や職務経歴書では職種と業種を正確に記載し、具体的な実績を数字で示すことで採用担当者に効果的なアピールが可能です。正しい理解で転職活動を有利に進めましょう。