トラックドライバーは日本の物流を支える重要な職業ですが、その仕事内容は長距離輸送から地域密着型の配送まで多岐にわたります。
この仕事で成功するためには、自分の適性に合った働き方を選択することが重要です。
本記事では、トラックドライバーの種類別の特徴と、それぞれに求められる適性について詳しく解説します。
- トラックドライバーの職種別特徴と、それぞれに必要なスキルや心構え
- 長距離・地場・大型・小型など、各種ドライバーの仕事内容の違いと適性
- 自分に合ったトラックドライバーの職種を見極めるためのポイント
1.トラックドライバーの仕事の種類

トラックドライバーの仕事は、長距離輸送と地場配送の2つに大別されます。また、運転する車両の大きさによっても求められるスキルは異なります。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
長距離ドライバー
長距離ドライバーは、都市間をつなぐ大動脈とも言える存在です。片道300km以上の長距離を、1人で運転しなければなりません。
目的地までノンストップで運転するのはもちろん、時間指定のある配送では夜間の運転も避けられません。荷物を預かっているという責任感を持ち、眠気や疲労に負けない強い精神力が求められる仕事です。
また、長時間運転に耐えうる体力も必要不可欠。集中力を切らさずに、安全運転を続けられる忍耐強さがなくてはなりません。
地場ドライバー
地場ドライバーは、配送エリア内の顧客を相手に、集荷や配達を行うのが主な仕事です。配送ルートは決まっていることが多いですが、道路工事や交通規制などによって臨機応変にルートを変更する判断力が問われます。
また、配送エリアの地理や道路事情にも精通している必要があります。地場ドライバーは、長距離ドライバーと比べて、人とのコミュニケーションが多い仕事です。
毎日顔を合わせる取引先との良好な関係を築くことが、仕事をスムーズに進めるコツといえます。「挨拶ができない」「言葉遣いが悪い」といった印象を与えてしまうと、信頼を失いかねません。明るい対応と丁寧な物腰が求められる仕事だと言えるでしょう。
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大型・中型トラックドライバー
積載量が4トン以上ある大型・中型トラックは、小型トラックとは異なる運転技術が必要です。特に大型トラック(10トン以上)は全長12m、幅2.5m、高さ3.8mにもなる大きな車体を操るため、細心の注意を払った運転が求められます。運転席が高い位置にあるため、目線も一般車両とはかなり違います。左折時など、車体の巻き込みにも注意が必要です。
また、大型・中型トラックは、ブレーキの踏力や制動距離など、小型車とは運転特性が大きく異なります。車両重量が重いため、急ハンドルは横転の危険性もあり、慎重な運転操作が欠かせません。日頃から、定期的な車両点検と整備を行い、安全運行を心がける必要があるでしょう。
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2.トラックドライバーに向いている人の5つの特徴

前述のように、トラックドライバーと一口に言っても、仕事内容は多岐にわたります。しかし、どのような職種であっても、トラックドライバーに向いている人には、いくつかの共通する特徴があるようです。
特徴①体力に自信がある
トラックの運転は、長時間同じ姿勢を続けるため、腰や肩への負担が大きい仕事です。
座りっぱなしの状態が続くと、エコノミークラス症候群の危険性もあり、気力だけでなく、体力的にもハードな仕事であるため、自分の体に自信のある人が向いていると言えるでしょう。
特徴②運転が好きである
これは当然のことですが、トラックドライバーに向いているのは、そもそも「運転が好きな人」です。「好きこそ物の上手なれ」と言いますが、トラックの運転は、特に安全運転の徹底が求められる仕事です。
運転が好きであればあるほど、安全に対する意識も高くなります。「運転は苦手だけど、日当が良いから」といった理由で始めても、長続きはしないでしょう。
特徴③こまめに車両管理ができる
トラックは、何より「安全」が第一です。日々の運行前点検はもちろん、定期的な車両整備を怠らないよう、こまめな管理が欠かせません。
タイヤの空気圧や、ブレーキの利き具合など、些細な変化も見逃さない注意力が必要です。
特徴④臨機応変に対応できる
トラックドライバーの仕事は、常に「変化」が付きものです。配送先の道路が工事中で通れなくなっていたり、想定外の渋滞に巻き込まれたりと、当初の予定通りにいかないことも少なくありません。
そんなときに、臨機応変に対応できる柔軟性が求められます。「予定通りにいかないとイライラする」「想定外のことが起きると動揺する」といったタイプの人には、トラックドライバーは向いていないかもしれません。
特徴⑤良好な対人関係を築ける
特に地場ドライバーの仕事は、配送先の担当者と毎日のように顔を合わせます。挨拶ひとつで、仕事の印象は大きく変わってきます。
「言葉数が少ない」「愛想がない」と思われてしまうと、荷主から敬遠されるおそれもあります。明るい対応を心がけ、配送先や荷主と良好な関係を築ける人こそ、トラックドライバーに向いていると言えるでしょう。
3.トラックドライバーに向いていない人の5つの特徴

「トラックドライバーになりたいけど、自分に務まるか不安」という人も多いのではないでしょうか。ここでは、トラックドライバーに向いていない人の特徴を見ていきましょう。
ストレスをコントロールできない
トラックの運転は、常に安全運転を心がける必要があります。
たとえ配送が遅れそうになっても、スピードを出し過ぎたり、無理な追い越しをしたりすれば、重大な事故につながりかねません。
「ストレスをコントロールできない」「イライラを抑えられない」といった短気な性格の人は、トラックドライバーには向いていないでしょう。
マニュアル通りの仕事しかできない
トラックドライバーの仕事には、想定外のトラブルが付き物です。
道路の渋滞や規制、天候の急変など、その日の状況によって臨機応変に対応しなければなりません。
「マニュアル通りの仕事しかできない」「状況の変化についていけない」といった柔軟性に欠ける人は、トラックドライバーを続けるのは難しいかもしれません。
長時間の座り仕事が苦手
トラックの運転は、基本的に座ったままの姿勢が続く仕事です。
長距離ドライバーの場合、1日の拘束時間の大半を運転に費やします。
「座り仕事は苦手」「すぐに体が疲れる」といった人は、トラックドライバーには不向きだと言えるでしょう。
チームワークを発揮できない
「トラックドライバーは1人で黙々と働けばいい」と思っている人もいるかもしれません。
しかし、実際は、同僚ドライバーとの情報共有や、荷主とのコミュニケーションが欠かせない仕事です。
「自分1人で完結する仕事がいい」「人と関わるのが苦手」といったタイプの人は、トラックドライバーを続けるのは難しいと言えます。
几帳面さに欠ける
トラックドライバーは、何よりも荷主から預かった大切な荷物を届ける仕事です。
荷物を雑に扱ったり、車内を散らかしたままにしていたりすれば、信用を失ってしまいます。
「細かいことは気にしない」「ある程度いいんじゃないの」と几帳面さに欠ける人は、トラックドライバーに向いていないでしょう。
4.自分に向いているトラックを見つける

ここまで、トラックドライバーの仕事の種類と、向いている人・向いていない人の特徴を見てきました。最後に、それぞれの職種について、どのような適性の人がマッチするのかを整理しておきましょう。
長距離ドライバー → 体力・忍耐力に自信のある人
長距離ドライバーは、1日の大半を運転に費やす過酷な仕事です。
座りっぱなしの状態が長時間続くため、体力と忍耐力が何より求められます。
「疲れ知らずの体力がある」「じっとしているのが得意」といった人は、長距離ドライバーに向いているかもしれません。
地場ドライバー → 柔軟にコミュニケーションできる人
地場ドライバーは、配送先の荷主や取引先と密にコミュニケーションを取る必要があります。
時には納期の調整を求められることもあるため、状況に合わせて柔軟に対応できるスキルが重要です。
「初対面の人とすぐ打ち解けられる」「相手の立場に立って考えられる」といったコミュニケーション上手な人は、地場ドライバーに適性があると言えるでしょう。
大型・中型トラックドライバー → 運転技術と車両管理が得意な人
大型・中型トラックの運転には、繊細な車両操作と高度な運転技術が欠かせません。
また、日頃から入念な車両管理を行い、故障やトラブルを未然に防ぐ必要があります。
「運転の腕に自信がある」「車のメンテナンスが得意」といった人は、大型・中型トラックドライバーに向いていると言えます。
小型トラックドライバー → 接客スキルを持ち合わせた人
小型トラックドライバーの仕事は、個人宅への配送が主体となります。
荷物を届ける際、受取人と直接応対する機会が多いため、明るい挨拶や丁寧な言葉遣いといった接客スキルが求められます。
「人と話すのが好き」「相手に好印象を与えられる」といったサービス精神旺盛な人は、小型トラックドライバーに適しているでしょう。
5.トラックドライバーの向き不向きだけで判断しない
トラックドライバーの仕事は、大きく分けて長距離輸送と地域配送の2つに分類できます。それぞれの職種で、必要とされるスキルや適性が大きく異なります。
自分の性格や能力を見極めて、それに合った仕事を選ぶことが何より大切です。
トラックドライバーは、日本の物流を支える縁の下の力持ち的存在。重大な責任を伴う仕事だからこそ、大変なこともたくさんあります。
それでも、「荷主から預かった荷物を無事に届けられた時の達成感」「トラックの運転そのものが楽しい」といった理由から、やりがいを感じているドライバーは数多くいます。