超高齢社会の日本では、移動が困難な高齢者や障がい者の外出ニーズに応える介護タクシーが注目を集めています。一般タクシーと異なり、利用者の特性に合わせた介助サービスを提供できるのが特徴です。
参入障壁が低く将来性も期待される一方で「脱サラで介護タクシーを開業しても、儲からないのでは?」と収益性確保や事業リスクへの不安を持つ方も多いでしょう。
結論から言うと、しっかりとした経営戦略を持てば、充分に稼げる仕事です。本記事では介護タクシー業界の現状と開業のポイントを解説します。
- 介護タクシーが「儲からない」と言われる理由と、その対策
- 開業に必要な資金や資格から、失敗を避けて黒字化するための具体的なステップ
- 保険適用と自費の違いや、多様なニーズに応える付加価値の作り方
1.介護タクシーは儲からない?収益性の現実

独立開業を検討する上で、「介護タクシーって儲かるの?」と気になる方も多いでしょう。結論からいうと、地域の需要や経営方法次第では会社員並み、あるいはそれ以上の収入を目指すことも可能です。
結論:介護タクシーの開業は戦略次第で「儲かる社長」になれる
介護タクシー業界は、二種免許などの条件を満たせば比較的参入しやすいため、競争が激しい業界です。また、介護タクシーは道路運送法上、流し営業が認められておらず、完全予約制で運営されています。
そのため、安定した収入を得るには、病院や介護事業所、ケアマネジャーとの連携を強化し、いかに新規顧客を獲得してリピーターにつなげるかが成功の鍵となります。
詳しくは、第2章「「儲からない」と言われる理由3つと解決策」で解説します。

【キャリアアドバイザーのワンポイン】
法人営業や自費サービスの展開といった「経営戦略」があれば、充分に安定した収益を上げることができます。
介護タクシーの収益性の目安
日本福祉タクシー協会によると、介護タクシー1台あたりの月間売上は、上限が40~60万円程度です。
主な経費としては、月間9~18万円程度で、具体的には車両費、保険料、燃料費、車両維持費、事務所関連費、メンテナンス費用などが含まれています。

このデータから、介護タクシー1台あたりの月間粗利益は、20万円~50万円程度と推定できます。ただし、内訳や売上・経費の変動などの可能性があるため、目安として考えましょう。
参考:日本福祉タクシー協会 西宮支部|介護タクシー・福祉タクシーの売上
行政書士法人・社労士事務所MOYORIC 介護タクシー開業サポートオフィス|介護タクシーの運営に必要な「支出」や「経費」とは?固定費と変動費を詳しく解説
2.「儲からない」と言われる理由3つと解決策

「介護タクシーはやめとけ」といったネガティブな意見が出る背景には、業界ならではの構造的な理由があります
理由①:どれだけ時間がかかっても介助費用は「1回970円程度」
介護タクシーは、「介助料+走った距離の運賃」で決まります。しかし、介護保険適用の「通院等乗降介助」の報酬は1回970円(97単位)程度に固定されています。その結果、回転率がわるい割に単価も伸びにくくなってしまうのです。
■例えば:2,000円の距離を送迎する場合
- タクシー
1時間あれば3〜4回送迎を回せる。1人2,000円ほどだったとしても6000~8000円ほど稼げる - 介護タクシー
1時間に1件程度が一般的。介助料970円+2,000円=2,970円しか稼げない
※介護タクシーは、部屋へのお迎え、車椅子への移譲、タクシーへの乗車サポートなど、車に乗せるまでに「20〜30分」かかることも珍しくなく、1時間に1件程度の送迎が一般的です。
解決策
以下のような自費(保険外)オプションを組み合わせることで、1回あたりの送迎客単価を引き上げることができます。
- 車椅子レンタル料(例:500円)
- 吸引などの医療的ケア(例:1,000円)
- 階段対応などの特殊介助料(例:1,000円)など
理由②:稼働時間の偏りと流し営業の不可
介護タクシーは、病院への送迎などで利用されることが多く、朝や夕方といった特定の時間帯に需要が集中する傾向にあります。また、一般タクシーのように街中でお客さんを乗せる「流し営業」は法律で禁止されているため、予約が入っていない時間は収入につながりません。
解決策
病院や介護施設に対して法人営業を行い、以下のような定期送迎の契約を獲得できれば、安定した収入につなげやすくなります。
- 透析患者の定期送迎
- 退院時の搬送サービス
- 介護施設からリハビリ施設や病院への送迎、など
理由③:利用対象者の限定と固定費の重さ
一般タクシーが幅広い人を対象としているのに対し、介護保険タクシーは利用できる人が「移動に支援が必要な方」に限られます。そのため、利用者の絶対数が少なく、新規の利用者を獲得しにくいのが実情です。
さらに、車いすリフト付き車両の導入・維持費や、自動車保険料などのコストも大きな負担となります。
解決策
以下のようなニッチな自費サービスで新たな客層を開拓し、対象者のパイを広げることが有効です。
- お墓参り・買い物の付き添い
- 美容・趣味活動の送迎
- 家族の介護負担軽減を目的とした外出支援、など
介護タクシーは誰でも利用できる?
介護保険適用の場合は「要介護1以上」などの条件がありますが、自費(保険外)サービスのみであれば、実質誰でも利用可能です。
買い物や趣味のための外出には介護保険を利用できないため、最近では、ヘルパー資格を持つドライバーが訪問介護や趣味の外出に寄り添う自費サービス「買い物同行タクシー」の需要も高まっています。
2026年最新|物価高・燃料費高騰による固定費アップで「儲からない」
2026年現在、ガソリン価格の高止まりや、車両メンテナンス部品の価格高騰により、数年前と比べて毎月のランニングコスト(固定費)は確実に上昇しています。
そのため、低い客単価で回数をこなす薄利多売モデルは限界を迎えています。付加価値の高いサービスを提供し、利益率を確保することが経営存続の必須条件となっています。

【キャリアアドバイザーのワンポイン】
令和8年7月現在、「タクシー事業者に対する燃料価格激変緩和対策事業」のように、物価高・ガソリン代高騰に対する支援制度が設けられています。
※最新の支援策の有無や対象要件については、国土交通省の公式発表をご確認ください。
参考:国土交通用|タクシー事業者に対する燃料価格激変緩和対策
3.介護タクシーのサービス内容と対象

移動が困難な方々の外出を支援する介護タクシー。一般のタクシーとは異なる特徴や、似て非なる福祉タクシーとの違いについて詳しく解説します。
介護タクシー
介護タクシーとは?
要介護者や要支援者の通院や外出時の移動を支援する移送サービス
一般のタクシーと異なり、車いすのまま乗車できる車両設備や介助技術を持つドライバーが配置され、乗降時の介助や、必要に応じて自宅内や病院内での移動のサポートも行います。
事前予約制が基本で、介護保険の適用により一部負担で利用できる場合もあります。高齢化社会において重要な社会インフラとして、利用者の生活の質向上と社会参加を支えています。
介護タクシーと福祉タクシーの違い
介護タクシーと福祉タクシーの違いは、対象者や制度適用が異なります。
| 項目 | 介護タクシー | 福祉タクシー |
|---|---|---|
| 利用対象者 | 要介護者、要支援者 | 障がい者や高齢者全般 |
| ドライバーによる介助 | あり | なし |
| 介護保険の適用 | あり | なし |
| サービス内容 | 乗降介助、移動支援など | 送迎のみ |
介護タクシーは介護保険適用の要介護・要支援認定者を対象とし、ヘルパー資格や介護職員初任者研修修了者が乗務します。介護保険で一部負担が可能で、主に通院など必要不可欠な移動に使われます。
一方、福祉タクシーは障がい者や高齢者全般を対象とし、特別な車両設備を持ちますが、介護保険は適用されません。自治体の助成制度の対象となることが多く、外出目的に制限がありません。
どちらも移動に困難を抱える方々の生活を支える重要なサービスです。
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介護タクシーとよく混同されるものに、「施設への送迎ドライバー」もあります。デイサービスドライバーの仕事内容や給与相場などについて詳しく解説しています。
4.介護タクシー業界の需要

高齢化の進展に伴い拡大する介護タクシー市場。現状の規模と将来予測を数字で見ていくことで、業界の可能性が見えてきます。
高齢化と要介護者数の推移

全体的に、すべての区分で対象者数が年々増加しています。総数は、2019年の総数668.6万人から2023年には708.3万人へと約6%増加しました。
特に要介護3〜5の重度介護が必要な区分では、2019年の2,300人から2023年には2,412人と約5%増加しています。また要介護1〜2の中度介護区分も2,508人から2,655人へ、要支援1〜2の軽度区分も1,878人から2,016人へと、どの区分も増加傾向を示しています。
参考:公益財団法人 生命保険文化センター|介護や支援が必要な人はどれくらい?
介護タクシーの利用状況
介護タクシーと福祉タクシーの年齢別利用者と、程度別利用者の割合は下記のとおりです。

年齢別では75~84歳が46%と約半数を占め、85歳以上が18%で、合わせると65歳以上の高齢者が79%を占めています。
程度別では、要介護3~5の重度介護が必要な方が28%、要介護1~2が27%、要支援1~2が20%となっており、身体・知的障がい者も25%と一定の割合を占めています。
このデータから、介護サービスは主に後期高齢者向けであるものの、程度別ではそれぞれ一定の割合の利用があることが分かります。
参考:日本福祉タクシー協会 西宮支部|介護タクシー・福祉タクシーの市場規模
介護タクシー業界の現状と将来性
厚生労働省によると、2026年時点での全国の要介護認定者数は約735万人にのぼります。一方で、全国の介護タクシー(UDタクシー含む)の台数は約59,918台(令和6年度末/国土交通省調べ)にとどまっています。
国は令和7年度までに90,000台導入を目標と掲げていますが、現状では全国の要介護者数約735万人に対し、単純計算で1台あたり約123人を担っている計算になります。
これは圧倒的な供給不足を意味しており、移動難民となる高齢者を救うインフラとして、介護タクシーの需要は今後も右肩上がりで拡大していく将来性の高い市場だと言えます。
参照:厚生労働省|介護保険事業状況報告、国土交通省|福祉タクシー車両の導入状況について(令和7年3月末現在)
5.2026年最新|介護タクシー開業に必要な資金

介護タクシーの開業資金は主に300万~700万円程度で、内訳は下記のとおりです。
- 介護タクシー専用車両(ストレッチャー付き) 中古250~400万円、新車350~550万円
- 二種免許の取得費用 40万円程度
- 開業諸経費 50万円程度
「介護タクシー専用車両は割高になりそう」と感じるかもしれませんが、車両価格だけを見れば、一般タクシーの車両と大きな差はありません。
むしろ、個人タクシー開業と比べて「10年以上の経験」や「事業譲渡」が求められないので、介護タクシーは未経験・異業種からでも独立を目指しやすい選択肢だといえるでしょう。
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下記の記事では、個人タクシー開業に必要な資格、資金、年収の目安を解説。将来性や地方での開業事情まで、独立に向けた情報を網羅的に紹介しています。
■経験を積みながら開業資金をためる
二種免許や介護職員初任者研修は、一部のタクシー会社などで実施されている、資格取得支援制度を活用して取得するのがおすすめです。資金準備もでき、開業時のスタートダッシュをスムーズに切れます。
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6.介護タクシーの補助金制度

介護タクシー事業の開業や運営をサポートする様々な補助金制度があります。事業規模や目的に応じて活用できる代表的な制度の内容や申請方法、ポイントを解説します。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、介護タクシー事業者を含む小規模事業者の販路開拓等の取り組みを支援する制度です。介護タクシー事業者は通常枠で最大50万円の補助が受けられます。
補助率は通常2/3で、車両購入、広告宣伝費、ホームページ制作、従業員研修費用などに活用できます。申請には商工会議所等の支援を受けながら経営計画書と補助事業計画書の作成が必要です。
地域の高齢者ニーズに応える事業計画を明確に示すことが採択のポイントとなります。
地域公共交通確保維持改善事業費補助金
地域公共交通確保維持改善事業費補助金は、国土交通省が管轄する補助金制度で、介護タクシーを含む地域の移動サービス向けに提供されています。
この補助金は地域の実情に応じた効率的・持続可能な地域交通ネットワークの構築を目的としており、介護タクシー事業者は車両購入費の一部助成などに活用できます。
申請には所定の書式の交付申請書、事業報告書や取組実績を証明する書類を国土交通大臣に提出する必要があります。補助率や上限額は事業の種類や地域によって異なるため、最新の要綱を確認し、国土交通省のホームページや地元自治体の担当窓口に相談することをお勧めします。
7.介護タクシー開業の流れ

介護タクシー事業を立ち上げるための実践的なステップを解説します。計画立案から許可取得まで、スムーズな開業を実現するポイントを紹介します。
介護タクシーに必要な資格の取得
介護タクシー事業を始める、または介護タクシーの運転手として働くためには、普通自動車二種免許と介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)が必要です。
普通自動車二種免許
介護タクシーの運転には普通自動車二種免許が必須です。
取得には満21歳以上で普通免許を3年以上保有していることが条件(19歳以上で、かつ、大型免許、中型免許、準中型免許、普通免許又は大型特殊免許のいずれかの運転免許を受けていた期間が1年(免停期間除く)以上あれば受験可能)です。
取得までの流れは、適性検査、学科教習、技能教習を受講した後、学科・技能試験に合格することで免許が交付されます。費用は教習所によって異なりますが、25万円程度で、教習所によって短期集中コースも用意されています。
参考:警視庁|大型二種・中型二種・普通二種免許試験(直接試験場で受験される方)
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下記の記事では、二種免許の取得には年齢、運転経験、視力などの条件があり、その方法や費用、期間について紹介しています。タクシー運転手に必要なスキルも解説しています。また、タクシー運転手に欠かせない健康診断についてまとめた記事もありますので、参考にしてください。
介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)
介護職員初任者研修は、介護の基本知識と技術を習得するための入門レベルの研修です。旧ホームヘルパー2級に相当し、介護タクシー運転手として働く際に必要な資格の一つです。
研修内容は講義と実技で構成され、全130時間程度のカリキュラムを修了後、修了評価試験に合格すると修了証が交付されます。
費用は5〜8万円程度で、短期集中コースから夜間・週末コースまで様々な受講形態があります。介護タクシー事業を展開する上で、利用者への適切な介助を行うために重要な資格となります。
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下記の記事では介護タクシードライバーに必要な資格と役割を解説しています。福祉タクシーとの違いや介護保険の適用条件も紹介します。ぜひ参考にしてください。
事業所の確保と整備
介護タクシー開業には事業所の確保と整備が必要です。予約受付・運行管理を行う事務所と車両駐車スペースを用意し、自宅の一部利用も可能ですが近隣への配慮が必要です。
事務所には電話やパソコン、予約システムを設置し、車両保管場所は風雨対策ができる環境が望ましいです。車椅子やストレッチャーの保管スペースも確保し、運輸局の基準を満たす環境整備を開業前に行いましょう。
運輸支局への許可申請
介護タクシー事業を開始するには、管轄の運輸支局への許可申請が必須です。一般乗用旅客自動車運送事業申請書を申請し、必要書類は下記のとおりです。
- 事業計画書
- 資金計画書
- 運行管理体制図
- 誓約書
- 運行管理者(補助者)就任承諾書
- 整備管理者(補助者)就任承諾書
- 運転者就任承諾書
事前に運輸支局への相談を行い、申請要件を確認することが重要です。不備があると差し戻しとなるため、行政書士などの専門家に依頼することも検討しましょう。
参考:国土交通省 中部運輸局|介護タクシーをはじめるには
株式会社マネーフォワード マネーフォワードクラウド|介護タクシーを開業するには?一人でもできる?必要資格や補助金も解説
法令試験と事情聴取を受ける
介護タクシー開業時の許可申請では、運輸支局による法令試験と事情聴取が実施されます。法令試験では道路運送法や関連法規の理解度をチェックされ、運行管理責任者として必要な知識が問われます。
試験対策には道路運送法関連の勉強と、明確な事業計画の準備が必要です。これらの審査を通過してはじめて営業許可が下りるため、事前準備を怠らないことが重要です。
運賃認可の申請
介護タクシーの開業には運輸支局への運賃認可申請が必要で、運賃の種類については下記のとおりです。
ケア運賃
介護タクシーによる要介護者等の輸送サービスについての運賃で、距離制運賃と時間制運賃があります。
介護運賃
訪問介護事業所や居宅介護事業所が提供する介護サービス「通院等乗降介助」を行う際の輸送の部分に適用する運賃
民間救急運賃
患者等搬送事業者(民間救急)が消防機関や消防機関と連携するコールセンターを介して患者の輸送を行う場合に適用となる運賃
一般タクシーと異なり、介護タクシーは独自の運賃体系が認められていますが、認可申請を経て国から認可を受ける必要があり、完全に自由な価格設定ができるわけではありません。そのため、地域の相場を考慮しつつ、適正な料金を設定して申請することが重要です。
参考:行政書士法人・社労士事務所MOYORIC 介護タクシー開業サポートオフィス|介護タクシーの運賃・運賃認可についてわかりやすく解説
福祉車両の入手
事業コンセプトが固まったら、具体的な運行車両の選定を進めます。また、選定する際、事業用の車としての条件をクリアする必要があります。
福祉車両とは、身体障害や高齢などの理由で移動に制約がある方のために特別に設計・改造された車両です。車内には、利用者の乗降をサポートする手すりや車いすの固定ベルトなどの備品が必要不可欠です。
また、ドライバーとの連絡手段となる無線機や、運行管理に必要なタブレット端末なども整える必要があります。クレジットカード決済の導入も検討すべきでしょう。
陸運支局へ運輸開始届を提出
介護タクシーの運輸開始届は、介護保険法に基づく訪問介護サービスの一環として介護タクシー事業を開始する際に必要な手続きです。
管轄の地方運輸局長に提出する必要があり、事業者名、営業所の所在地、使用する車両の情報、保険の加入状況などを記載します。
運輸開始届の提出後は、介護資格や適切な乗務員要件を満たす乗務員による、要介護者の通院や外出を支援するサービスを提供できます。
8.介護タクシー開業における失敗の原因と成功のコツ

介護タクシー事業は高齢化社会において需要が見込まれる業種ですが、参入障壁の低さゆえに競争も激しくなっています。ここでは、失敗の原因と成功に導くポイントを解説します。
1. 市場調査と戦略
介護タクシー業界は参入障壁が低く競争が激化しやすい環境です。市場調査不足や差別化戦略の欠如は、過当競争に巻き込まれ経営難に直面する主な原因となります。
成功するためには、綿密な事業計画が不可欠です。競合状況や人口動態などの客観的データに基づいて市場を分析し、自社の強みを活かした明確な差別化戦略を立てましょう。感覚的判断ではなく、データに基づく冷静な分析が成功への第一歩です。
2. 資金管理
介護タクシーの開業には、車両購入費だけでなく、介護タクシーならではの特殊装備費用も必要です。加えて、事務所の賃貸料、設備投資、人件費、広告宣伝費など、初期費用も少なくありません。開業後しばらくは思うような収益が見込めず、資金繰りに困ることも多いのが現実です。
成功するには、数百万円規模の初期投資に加え、開業後1〜2年分の運転資金を別途用意することが重要です。無理のない資金計画を立て、自己資金の範囲内で可能な投資規模を見定め、借り入れは慎重に判断することが賢明でしょう。
3. サービス品質と人材育成
介護タクシーは単なる輸送サービスではなく、高齢者や障がい者に「安全・安心・快適」な移動を提供する高度な接客業務です。介護知識や接遇スキルの不足は利用者の不信を招き、顧客離れの原因となります。
成功するには、思いやりの心と向上意欲を持った人材を採用し、介助技術や接遇マナーなど体系的な教育プログラムを実施することが重要です。サービス品質の定期的な評価と改善の仕組みを整えることで、顧客満足度の高いサービスを提供できます。
4. 法令順守
介護タクシーは道路運送法など各種法令の規制を受ける事業です。法令違反は事業停止や許可取り消しにつながる重大なリスクです。
成功するには、法令順守を徹底することが不可欠です。開業前の段階から関連法規を入念に把握し、必要な許認可手続きを滞りなく進める姿勢が何より大切です。定期的な車両点検の実施、ドライバーの適正な労働時間管理、運賃や料金の適切な設定など、具体的な対応を怠りなく実行する徹底ぶりが求められます。
5. 営業活動
営業力がなく顧客が増えないケースは少なくありません。「営業は苦手」「売り込むのは恥ずかしい」と尻込みして積極的な営業活動を怠ると、サービスの価値を十分に伝えることができません。「利用者を待つだけ」の受け身の姿勢では、事業の拡大は望めないでしょう。
成功するためには、営業力を強化することが重要です。病院、福祉施設、ケアマネジャーなど見込み客との接点を持つ関係機関に自社の強みをPRする地道な営業活動が必要です。営業する際には月の目標・週の目標・日の目標と落とし込み、数字管理を徹底していくことが非常に重要になります。
また提案資料や服装など細部にこだわり、相手の目線に立った時に「どんな事業者だったら関係を持ちたいのか」を常に考えながら行動し続けることが大切です。ウェブサイトなどを作って満足するのではなく、地域に密着した地盤づくりに力を入れることが、長期的な成功につながります。
■独立は自信がないと思ったら
「いきなり独立開業するのは不安」「まずは現場経験を積みたい」という方は、介護タクシー事業者などで働きながら経験を積むのがおすすめです。
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9.Q&A:介護タクシーの気になる疑問

ここでは、介護タクシーの独立開業を検討する際によく寄せられる疑問について解説します。
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一般タクシーと介護タクシー、独立開業費用はどっちが安い?
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車両費だけを見れば大きな差はありませんが、総額で比較すると介護タクシーの方が安く抑えられる傾向があります。
一般タクシー事業は「総量規制」により新規許可の取得が難しく、引退する個人タクシー事業者から営業権を引き継ぐ「譲渡譲受」が必要になるケースがほとんどです。
「譲渡譲受」は100万円以上かかることも少なくなく、開業費用は介護タクシーの方が抑えやすい傾向があります。
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介護タクシーで開業すれば年収1,000万円はめざせますか?
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車両1台の個人経営(ワンオペ)では、年収1,000万円は現実的ではありません。
しかし、法人や施設との継続的なBtoB契約を獲得し、車両と従業員を増やして事業を拡大させることができれば、年収1,000万円以上を稼ぐ経営者になることは十分に可能です。
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介護タクシーは誰でも開業できますか?
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「普通自動車二種免許」と「介護職員初任者研修」を取得し、要件を満たす車両と資金を用意すれば、誰でも開業手続きを進めることができます。
実務経験や参入規制もないため、開業のハードル自体は高くありません。しかし、参入障壁が低いからこそ競争が激化しやすく、無策で参入すると、あっという間に資金ショートを起こします。
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利用者から「介護タクシーの利用料が高い」と言われることはありますか?
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介護保険が適用されない部分は全額自己負担となるため、利用者やご家族から料金についてご質問をいただくことがあります。
利用者に安心して利用してもらうためにも、ドライバー自身が料金の仕組みを正しく理解しておくことが大切です。
10.介護タクシー事業の魅力と実践
超高齢社会の日本で需要が高まる介護タクシーは、移動困難な高齢者・障がい者向けの専門的移送サービスです。一般タクシーと異なり介助サービスを提供し、介護保険適用の場合もあります。
開業には普通二種免許と介護職員初任者研修が必須で、初期投資は300〜500万円程度です。収益面では月間売上40〜60万円、粗利益20〜50万円が目安です。
高齢化の進展に伴い市場は拡大傾向にあり、適切な事業計画と運営で安定した収益が期待できます。
▼介護タクシーについてもっと詳しく