「送迎ドライバーはきつい」という声がありますが、実態はどうなのでしょうか。
送迎ドライバーは、利用者を目的地まで安全に送り届ける大切な仕事ですが、業務内容は単なる運転だけではありません。介護施設や学校、企業など、働く場所によって求められるスキルが異なります。
本記事では、送迎ドライバーの仕事内容や必要な資格、向いている人の特徴、そしてこの仕事を続けるポイントについて詳しく解説します。
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- 送迎ドライバーの仕事内容と求められるスキル
- 送迎ドライバーがきついと感じる理由と具体例
- 送迎ドライバーに向いている人の特徴と、仕事を続けるコツ
1.送迎ドライバーとは?

送迎ドライバーとは、利用者を指定の場所に迎えに行き、車両に乗せて目的地まで送り届ける職種です。
送迎ドライバーとひとくちに言っても、施設やスクール、企業などさまざまな場所での送迎があります。
送迎ドライバーの種類
介護施設の送迎
デイサービスやデイケアを利用する方、介護施設から医療施設への通院が必要な方などを送迎する業務です。
利用者は介助が必要な方が多いので、車両の乗り降りの手伝いをするために体力や腕力を要することもあります。
また、自宅の中に利用者を送り届ける場合などは、「介護職員初任者研修」や「介護福祉士」といった資格が必要です。
スクールバスの送迎
幼稚園や保育園、スイミングスクールなどを利用する子どもたちを送迎する業務です。
幼稚園や保育園では登園や降園のタイミングでの送迎となり、スイミングスクールなどでは決められた時間で同じルートを往復する必要があります。
いずれも保護者から大切な子どもを預かるため、運行時の安全性はもちろん、ドライバーの信頼性も求められます。
ホテルや旅館の送迎
マイクロバスなどで、ホテルや旅館などの宿泊先まで宿泊客を送り届ける業務です。
指定の交通機関から宿泊先までのルートを定期的に往復して送迎します。送迎時の評価が悪いとホテルや旅館の評判を落とすことになるため、丁寧な対応が必要です。
経営者の送迎
企業の社長や役員を勤務先、自宅、会合場所などに送り届ける業務です。
送迎する方の勤めている企業に所属することになり、スーツなどのフォーマルな格好をする場合があります。
地位が高い方の近くで働くためビジネスマナーが必要なだけでなく、企業の情報を知ることがあるので守秘義務も課せられます。
従業員の送迎
自社の従業員や派遣スタッフなどを送迎する業務です。
夜勤で働く従業員の勤務時間にあわせて、送迎時間が深夜になる場合もあります。
送迎ドライバーの仕事内容
送迎バスや送迎車の運転
送迎ドライバーのメイン業務は、送迎バスや送迎車を運転し、利用者を目的地まで送り届けることです。
前項でお伝えしたとおり、介護施設やスクール、企業などさまざまな場所への送迎を担当する場合があります。道路状況や天候に応じて、定められたルートを守りながら安全に運行することが必要です。
送迎バスや送迎車の管理や清掃
送迎に使う車両の管理も重要な仕事のひとつです。
日々の運行前に車両の点検を行い、故障や異常がないか確認します。定期的なメンテナンスや修理が必要な場合は適切な対応が必要です。
また、車内を清掃し、利用者が快適に過ごせる環境を維持することも欠かせません。
利用者の乗降対応
利用者の乗降対応も重要な仕事です。
送迎車両を安全な場所に停車させてドアを開閉するほかに、荷物の運搬を手伝うこともあります。また、利用者が安全に乗降できるようサポートする場合も少なくありません。
とくに小さな子どもや高齢の方、介助が必要な方など、特別な配慮が必要な場合は細心の注意が必要です。
送迎記録の作成
送迎が終わったあとに送迎記録を作成することも仕事のひとつです。
事業所によっては運行日報の作成が義務付けられている場合もあります。送迎記録には、送迎日時や走行距離、出発時刻・到着時刻といった情報を記載します。
これらの情報を正しく記載することで、事業所がドライバーの乗務状況や運行状況を適切に把握し、長時間の運転や過労などを防止できます。
また、万が一トラブルが起きた際にも記録にもとづき適切に対応することが可能です。
2.「送迎ドライバーはきつい」と言われる理由
送迎ドライバーの仕事はきついと言われることがありますが、それにはいくつかの理由があります。
まず、運転のほかに待ち時間などもあるため、長時間拘束されることがあります。
また、利用者を安全に送り届ける必要がある仕事なので責任が大きく、交通事故などの予期せぬ事態にも迅速に対応しなければなりません。
心理的なストレスを感じやすいでしょう。さらに、利用者にはさまざまなタイプの方がいるので、相手とのコミュニケーションには精神的な負担がともなうこともあります。
このような理由から送迎ドライバーの仕事はきついと認識されることが多く、仕事の選択において敬遠する方も少なくありません。
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3.送迎ドライバーがきついと感じる部分の具体例

送迎ドライバーの仕事のきつい部分をさらに詳しく知るために、日常業務の具体例を挙げながら解説します。
長時間労働や不規則なシフト
送迎業務では、送迎相手を待つ時間が発生することがあります。
たとえば、社長や役員の送迎では、出勤前に自宅の前に到着して、業務が終わる際には自宅まで送り届けなくてはいけません。
そのため、送迎相手よりも勤務が必然的に長くなります。相手が残業している場合はそれにあわせなければならず、長時間労働になることもあります。
また、送迎ドライバーは利用者のスケジュールやサービスの運行時間にあわせて働くことが求められ、早朝や深夜の勤務が発生することも少なくありません。勤務が不規則になりやすく、生活のリズムがくずれがちです。
ルートの管理や交通状況への対応
相手を送り届けるだけでなく、時間通りに到着しなければならないのも送迎ドライバーの役割のひとつです。
道路状況によっては渋滞が発生することもあるので、こうしたことも見込んでルートを確認しなければならず、遅延が発生すれば問題になる場合もあります。
また、送迎中には交通事故や車両の故障などの予期せぬ事態が発生することもあります。そのようなときでも迅速かつ冷静に対処しなければなりません。
責任と緊張感
送迎ドライバーは、利用者を安全に送り届けなくてはならない業務です。事故を起こしてしまうと利用者はもちろん第三者にも被害がおよんでしまうため、業務に責任と緊張感が生まれます。
とくにデイサービスや幼稚園などの送迎では、高齢の方や子どもの送迎をしなくてはなりません。
デイサービスを利用する方は介助が必要なので、健康的配慮も必要です。子どもの送迎の場合も、細かいことに気を配って運転をする必要があります。
事故だけでなく管理不足によっても問題が発生することもあるため、心理的ストレスがかかります。
利用者とのコミュニケーション
送迎する相手とのコミュニケーションにも難しさがあります。送迎する相手にはさまざまなタイプの方がいるため、接し方が難しく、ストレスに感じることがあります。
たとえば、従業員や派遣スタッフの送迎では仕事の愚痴を聞かされる、社長の送迎では業務で発生したストレスをぶつけられる、といった可能性もあるでしょう。
このような場合でも円滑にコミュニケーションをとり、その場をうまく収める必要があります。
4.送迎ドライバーに必要な免許と資格

送迎ドライバーになるには、運転に必要な免許の取得が不可欠です。また、お客様の安全を守るために、適性や経験も重要視されます。ここでは、送迎ドライバーに必要な免許と資格、あると有利な経験について解説します。
送迎ドライバーに必須の免許と条件
送迎ドライバーに必要な免許は、主に以下の2つです。
- 普通自動車第二種免許
乗用車やワゴン車での送迎に必要 - 大型自動車第二種免許
バスでの送迎に必要
これらの免許を取得するには、一定の運転経験と適性検査、試験に合格する必要があります。また、安全運転への意識の高さや、お客様との円滑なコミュニケーション能力も求められます。
あると有利な資格と経験
送迎ドライバーの仕事では、以下のような資格や経験があると有利になります。
- 介護職員初任者研修
高齢者の送迎時に介護の知識や技術が活用可能
乗降時の適切な介助に役立つ - 普通救命講習
緊急時の対応力が身につく
お客様の安全確保に必要な応急手当の知識を習得 - 接客業の経験
乗客とのスムーズなコミュニケーションが可能
適切な接客サービスの提供に活かせる - 運転歴
無事故・無違反の安全運転実績が重視される
採用時の重要な評価ポイントとなる
参考:
介護職員・介護支援専門員|厚生労働省
応急手当講習会 救命講習のご案内|東京消防庁
必要な免許・資格の取得方法と費用
普通自動車第二種免許や大型自動車第二種免許は、指定の自動車教習所で所定の教習を受け、試験に合格する必要があります。
費用は、教習所によって異なりますが、普通自動車第二種免許で20~30万円程度、大型自動車第二種免許で30~50万円程度が目安です。
介護職員初任者研修や普通救命講習は、各地の養成機関や消防署などで受講できます。
費用は、数万円程度です。送迎ドライバーを目指す際は、必要な免許や資格の取得方法と費用を確認し、計画的に準備を進めることが大切です。
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5.送迎ドライバーに向いている人、向いていない人

自身に向いていない業務を選ぶと、ストレスがかかってしまいます。とくに送迎は人の命に関わるため、向いていない人だと就くのが難しい業務です。
自身の特性と送迎ドライバーが向いている人の特徴を照らし合わせて、求人に応募するかを決めましょう。
向いている人
人と関わるのが好きな人
送迎ドライバーはさまざまな人と接する仕事なので、人と関わるのが好きな人に向いているでしょう。
たとえば通園バスや企業の役員送迎などでは、毎日同じ利用者を乗せ、業務の中でコミュニケーションをとる機会が多くあります。
人とコミュニケーションをとるのが得意で、笑顔で対応できる人は、利用者との信頼関係を築けるでしょう。
体力を使いたくない人
体力的な負担が気になる人にも向いています。
たとえば「運転は好きだけど、配送ドライバーのような重い荷物の積み下ろしをする自信はない」といった方の場合、送迎ドライバーなら重い荷物の積み下ろしは基本的にありません。
また、接客や工場内業務のように長時間の立ち仕事をすることもないため、体力的な負担が比較的少ない仕事です。
向いていない人
慎重に運転できない人
車やバスを使用して送迎するので、車の運転がうまくなければいけません。
ここでいう「うまい」とは、安全運転かつ乗客を不快にさせない運転ができる人のことを指します。たとえば、急停車や急発進が多い方は、送迎ドライバーには向いていません。
高齢の方や子どもの場合は怪我をしてしまうこともあるため、慎重な発進や停車が必須です。
また、運転業務にあたってはメンタルのコントロールも重要です。運転は操縦者のメンタルが出やすく、感情がたかぶって危険な運転になってしまうと問題になります。
メンタルをうまく調整する能力がない人には向いていません。
道を覚えるのが苦手な人
送迎ドライバーは、目的地への最適なルートを選び、時間通りに到着することが求められる仕事です。そのため、道を覚えるのが苦手な人には、この仕事は難しい可能性があります。
とくに新しいルートや細かい道順を覚えることが苦手な場合、時間に遅れたり誤ったルートを選んでしまったりするリスクが高まります。
カーナビや地図アプリがあっても、交通渋滞や工事などの突発的な状況に対応するためには、地理的な知識が重要です。
適切なルート選びができないと利用者に迷惑をかけることになり、サービスの質も低下します。
6.送迎ドライバーを続けるコツ
送迎ドライバーの仕事がきついと感じている場合でも、以下の視点をもつことで長く続けられる可能性があります。
目の前のことをひとつずつ解決する
送迎ドライバーの仕事は、スケジュール管理や長時間の運転など、日々さまざまな課題に直面します。そのため、すべての問題を一度に解決しようとせず、目の前の課題に集中することが重要です。
たとえば日々の業務で目的地までの到着がぎりぎりになって焦りがちな人は、ルート上での交通状況を事前に調べ、代替ルートを考えておくことが挙げられます。
目の前の課題をひとつずつ解決していくことで、状況改善ができ、仕事を続けるモチベーションを保てます。
周りに相談する
送迎ドライバーは一人での作業が多く、孤独を感じやすい職業です。しかし、同じような環境で働く同僚や上司に相談することで、問題解決の糸口が見つかることがあります。
たとえば、特定のルートで頻繁に交通渋滞が発生する場合、同僚のドライバーによりスムーズなルートがないか質問してみるのもひとつの方法です。
また、運行スケジュールの調整の難しさや業務の負担を感じている場合には、上司へ相談することで解決できる可能性があります。
目標を設定する
送迎ドライバーとしてのキャリアを続けるためには、明確な目標設定が必要です。
たとえば、「毎年、運転技術を向上させる」や「利用者からの評価を向上させる」といった目標を設定することで、日々の業務に対するモチベーションが維持できます。
目標は過度に難しいものではなく、自分で達成できそうな現実的な目標を立てることが大切です。目標を達成したら、達成の度合いや課題などを振り返り、さらに次の目標の設定で成長を続けられます。
7.送迎ドライバーとして働くこと
送迎ドライバーは、利用者の安全を最優先にしながら、定時運行を心がけなければいけません。
長時間の拘束や不規則な勤務、道路状況への臨機応変な対応など、体力的にも精神的にも決して楽な仕事ではありません。また、利用者との円滑なコミュニケーションも必要です。
しかし、高齢化社会の進展や共働き家庭の増加により、送迎ドライバーの需要は高まる一方です。人との関わりを楽しめ、安全運転に自信がある方に適した職業と言えるでしょう。
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