タクシー運転手に、法律上の年齢の上限はありません。60代・70代から始める方も多く、80代の現役ドライバーも実際にいます。
ただし、法人タクシーは「65歳定年+75歳までの再雇用」が一般的で、個人タクシーは75歳以上になると1年ごとの更新が必要です。
本記事では、年齢制限の法的な根拠と、法人・個人それぞれの定年、シニアが安全に長く働くためのポイントを解説します。
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- タクシー運転手の年齢の上限と、法人・個人それぞれの定年
- 求人票に年齢制限を書けるケースと、実際の採用の目安
- 75歳以上の免許更新と、シニアが安全に長く働くためのポイント
1.タクシー運転手に法的な「年齢上限」はないが、実質的な「3つの壁」が存在する

結論から述べると、タクシー運転手として働くことについて、「何歳まで」という年齢の「上限」を直接定めた法律はありません。
しかし、実際には以下の3つの「法的な壁(あるいは基準)」が存在し、これらが実質的な制限として機能しています。
根拠(1):「何歳まで」を直接禁じる法律(道路交通法など)はない
日本の法律(道路交通法や旅客自動車運送事業に関する法令など)において、「〇歳になったら運転業務をしてはならない」といった、年齢の上限を定めた規定は存在しません。
これが、80代の現役ドライバーが実在する法的な理由です。
根拠(2):法律が求めるのは「安全に運転できる健康状態」
法律が年齢の上限を定めない代わりに厳しく求めているのが、「乗客の安全を守れる健康状態であること」です。
タクシー会社(事業者)は、法律に基づき、運転者に対して定期的な健康診断を実施する義務があります。
また、国土交通省もガイドラインを定め、健康管理の重要性を強く指導しています。
年齢に関わらず、医師の診断によって安全な運転が難しいと判断されれば、乗務することはできません。これが実質的な最大の「壁」となります。
根拠(3):法律が定めるのは「運転資格(二種免許)の年齢(下限)」
法律が明確に定めているのは「上限」ではなく「下限」です。
旅客運送に必要な「第二種運転免許(二種免許)」は、以前は21歳以上でなければ取得できませんでした。
しかし、人手不足への対策もあり、一定の条件を満たせば19歳からでも取得が可能になるよう、制度が変更されています。
【早見表】タクシー運転手の年齢の目安
| 区分 | 年齢の目安 |
|---|---|
| 法律上の上限 | なし |
| 二種免許の取得(下限) | 21歳以上(受験資格特例教習の修了で19歳以上) |
| 法人タクシーの定年 | 60〜65歳が一般的 |
| 法人タクシーの再雇用 | 70〜75歳まで |
| 個人タクシーの許可更新 | 75歳以上は1年ごと |
| 未経験での採用 | 会社によるが、60代前半までを目安とする求人が多い |
※あくまで一般的な目安です。会社ごとに制度は異なります。
2.タクシー運転手の平均年齢と高齢化の現状
タクシー業界はドライバーの高齢化が進んでいると言われます。厚生労働省の統計によると、平均年齢は60歳にも達し、他の多くの職業と比べても高い水準です。
ここでは、データに基づき、なぜ高齢化が進むのか、その背景にある人手不足の実態を解説します。
平均年齢は60歳前後?

タクシー業界が高齢化しているという話は、耳にしたことがあるかもしれません。
実際、厚生労働省の調査によれば、タクシードライバーの平均年齢は60歳と報告されています。これは、他の多くの職業と比較しても高い水準です。
なぜタクシー運転手の高齢化が進むのか(人手不足の背景)

この背景には、業界全体が抱える構造的な人手不足があります。
具体的には、「既存ドライバーの高齢化」と「新規参入者の減少」という2つの側面が同時に進行しているためです。
高齢・障害・求職者雇用支援機構の調査によれば、これまで業界を支えてきたドライバー層が定年退職の時期を迎えている一方で、新たに二種免許を取得してタクシー運転手になろうとする人の数が減少傾向にあると指摘されています。
つまり、「辞める人」は増えているのに、「新しく入る人」が減っているため、深刻な人手不足が続いているのです。
この状況において、タクシー会社側も「豊富な経験」や「真面目な勤務態度」といったシニアならではの利点に着目しており、元気で意欲のあるシニア層は貴重な労働力となっています。
実際の年齢分布は、8章の「80代の現役ドライバーは実在する?」で紹介します。
参考:高齢・障害・求職者雇用支援機構 (JEED)|高齢者雇用の実態調査
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タクシー運転手に必要な二種免許の取得条件、費用、期間について詳しく解説しています。会社の全額負担制度を活用すれば、初期投資なしでキャリアをスタートできます。
3.採用に年齢制限はある?求人票の年齢上限のルール
「法律で上限がないのは分かったけれど、実際に採用してもらえるのか」という点が気になる方も多いと思います。ここでは、求人の年齢制限のルールを整理します。
求人票に年齢制限を書くことは、原則として禁止されている
労働施策総合推進法により、事業主は労働者の募集・採用で年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならないとされています。つまり「◯歳まで」と書くことは、原則として認められていません。
ただし、例外にあたる場合は年齢制限を書けます。代表的なのが、定年年齢を下回ることを条件に、期間の定めのない労働契約で募集する場合です。定年が65歳の会社が「64歳以下」と書くのは、この例外にあたります。
タクシーの求人で年齢の上限を見かけるのは、多くがこのケースです。裏を返せば、上限の年齢は、その会社の定年がいくつかを示しているとも言えます。
定年を過ぎている場合は「嘱託・契約社員」での募集を探す
すでに定年年齢を超えている方の場合、正社員の募集では対象外になることがあります。
その場合は、次のような求人を探しましょう。
- 嘱託社員・契約社員としての募集
- 「定年後の方歓迎」「シニア歓迎」と明記された求人
- 定年を70歳以上に設定している会社の求人
高年齢者雇用安定法で「70歳まで」の環境整備が進んでいる
高年齢者雇用安定法では、企業に65歳までの雇用確保が義務づけられ、さらに70歳までの就業機会の確保が努力義務とされています。
この流れを受けて、定年を70歳に引き上げたり、再雇用の上限を75歳まで延ばしたりするタクシー会社も増えています。
ポイント
求人票の年齢上限は「その会社の定年」であることが多いため、上限を1〜2歳超えているだけなら、エージェント経由で相談すると受け入れてもらえる場合もあります。
4.年齢を重ねてもタクシー運転手が活躍できる3つの理由

平均年齢が高いということは、裏を返せば「高齢であっても、業界から必要とされている」ということです。
実際、多くの中高年・シニア世代が新たにタクシー運転手として転職しており、60代はもちろん、70代からでも採用されるケースは珍しくありません。
理由1:AIや自動運転でも代替されにくい業務
「AIや自動運転が普及すると仕事がなくなるのでは?」という懸念もあるかもしれません。
しかし、特にタクシーのような「ドアtoドア」のサービスは、荷物の積み下ろしを手伝ったり、お客様の要望に柔軟に応えたりと、単に運転する以外の業務が多くあります。
こうした人間ならではの細やかな対応はAIやロボットでは代替しにくく、ドライバーの仕事がすぐに無くなる可能性は低いと考えられています。
理由2:柔軟な勤務形態(隔日勤務・短時間など)
タクシー業界特有の「隔日勤務(1日働いて1日休む)」や、定年後の再雇用における短時間勤務など、体力に合わせて柔軟な働き方を選びやすい点も、シニア世代が活躍できる理由です。
理由3:「二種免許」の取得支援制度が充実
二種免許を持っていない未経験者でも、入社後に会社が費用を全額負担して免許取得をサポートする制度が充実している会社が多いため、初期投資なしで新しいキャリアを始めやすい環境が整っています。
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5.「何歳まで働ける?」法人・個人タクシーの定年と更新制度

「何歳まで」の具体的な目安は、会社に勤務する「法人タクシー」か、自営業である「個人タクシー」かで異なります。
(1) 法人タクシー:「65歳定年+75歳までの再雇用」が一般的
多くのタクシー会社では、一般企業と同様に60歳~65歳を「定年」として設定しています。
しかし、重要なのはその後の「再雇用(嘱託)制度」です。
健康状態などに問題がなければ、70歳、あるいは75歳頃まで働くことができる制度を設けている会社が一般的です。これが、法人タクシーで働く場合の一つの目安となります。
(2) 個人タクシー:「75歳以上は1年更新」が実質的なライン
自営業である個人タクシーには「定年」という概念がありません。
ただし、事業を続けるためには国の「許可」を更新し続ける必要があります。
この更新基準が年齢によって異なり、国土交通省の基準では、75歳以上になると「1年ごと」に許可の更新が必要とされています。
毎年、健康状態や違反の有無などをクリアし続ければ理論上は働き続けられますが、この「75歳」というのが一つの節目と見られています。
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6.75歳以上の免許更新と、65歳以上の適齢診断
年齢を重ねて働き続けるうえで、避けて通れないのが免許と適性の検査です。
制度を知っておくと、準備がしやすくなります。
70歳以上:免許更新時に高齢者講習
免許の更新時に70歳以上になる方は、高齢者講習の受講が必要です。
75歳以上:認知機能検査が加わる
75歳以上の方は、高齢者講習に加えて認知機能検査を受けます。結果によっては、医師の診断が必要になる場合があります。
一定の違反歴がある75歳以上:運転技能検査
更新前の3年間に一定の違反歴がある75歳以上の方は、運転技能検査(実車試験)を受ける必要があります。合格しなければ免許を更新できません。
65歳以上のドライバーは「適齢診断」を受ける
事業用自動車のドライバーには、年齢に応じた適性診断が義務づけられています。65歳以上の方が対象となる「適齢診断」は、65歳に達した後に1回、その後は3年ごとに受診します。
検査結果は、加齢による運転の変化を客観的に知る材料になります。会社が費用を負担し、勤務時間内に受けられるところもあるため、面接で確認しておくとよいでしょう。
7.なぜ「タクシー運転手はやめとけ」と言われる?リスクと対策のポイント
「タクシー運転手はやめとけ」という意見には、シニア世代が働く上での具体的なリスクが反映されている場合があります。
シニア世代がタクシー運転手になるリスク

リスク1:健康(視力・体力)と安全への懸念
長時間の運転は、視力や体力を消耗します。
特に夜間の運転は、加齢とともに見えづらさを感じることも増えるかもしれません。日々の体調管理や、自身の体力の限界を把握することが非常に重要です。
リスク2:事故率(統計データ)
残念ながら、統計データを見ると、高齢ドライバーによる事故の割合が高いことも事実として報告されています。
国土交通省が発表した最新の統計(令和5年版)によれば、タクシー運転手による事故のうち、65歳以上の運転者による事故の比率は、全国で約5割(51.4%)に達していることが示されています。
ドライバー全体に占める高齢者の割合が高いため、事故の件数に占める割合も高くなる傾向が見られます。
乗客の命を預かる仕事である以上、このリスクは客観的に認識し、人一倍の安全意識を持つ必要があります。
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【対策】シニアのタクシードライバー転職のポイントと準備

これらのリスクを理解した上で、安全に長く働くためには、次のような「準備」と「対策」が転職のポイントとなります。
(1) 自身の健康状態を客観的に把握する(健康診断)
まずは、自身の健康状態を客観的に知ることがスタートです。
転職活動を始める前に健康診断を受け、医師から長時間の運転業務に耐えうる健康状態であるか、客観的な意見をもらうことも有効です。
二種免許取得に必要な身体要件
視力
両眼で0.8以上、かつ片眼で各0.5以上。
深視力
三桿(さんかん)法検査での平均誤差が2センチメートル以下。
視力・深視力ともに、眼鏡やコンタクトレンズによる矯正可。
聴力
10メートルの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえること。
補聴器の使用可。
色彩識別
赤・青・黄の3色が識別できること。
運動能力
ハンドルやブレーキなど、運転に必要な操作が確実にできること。
(2) シニアが働きやすい会社を選ぶ(再雇用・勤務形態)
会社によって、再雇用制度の手厚さや、選択できる勤務形態は異なります。
「定年後のシニア採用実績が豊富か」
「体力に合わせた短時間勤務が可能か」
「日中だけの勤務(日勤)は選べるか」
など、無理なく働ける環境が整っている会社を選ぶことが重要です。
(3) 無理のない働き方を計画する(年金との併用など)
60代以降の働き方として、年金を受給しながら、タクシーの仕事で収入を補うという働き方も選択肢になります。
若い世代と同じように収入の最大化を目指すのではなく、「健康維持」を最優先とし、体力的な負担と収入のバランスが取れる働き方を計画することが、長く続ける秘訣です。
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■健康管理を重視する優良タクシー会社をご紹介
安全に長く働くためには、健康管理体制が整った会社選びが重要です。
カラフルエージェント ドライバーでは、定期健康診断の実施はもちろん、日勤専属勤務が可能な会社、短時間勤務制度がある会社など、シニア世代が無理なく働ける環境を提供する企業を厳選してご紹介しています。専門アドバイザーが丁寧にサポートいたします。
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8.80代の現役ドライバーは実在する?
| 年齢層 | 人数 | 構成比 |
|---|---|---|
| 25歳未満 | 326人 | 1.4% |
| 25〜29歳 | 951人 | 4.2% |
| 30〜34歳 | 983人 | 4.3% |
| 35〜39歳 | 922人 | 4.0% |
| 40〜44歳 | 1,157人 | 5.1% |
| 45〜49歳 | 1,574人 | 6.9% |
| 50〜54歳 | 2,617人 | 11.4% |
| 55〜59歳 | 3,044人 | 13.3% |
| 60〜64歳 | 3,160人 | 13.8%(最多) |
| 65〜69歳 | 2,535人 | 11.1% |
| 70〜74歳 | 2,455人 | 10.7% |
| 75〜79歳 | 2,505人 | 10.9% |
| 80〜84歳 | 616人 | 2.7% |
| 85歳以上 | 60人 | 0.3% |
| 合計 | 22,905人 | 100% |
※公益財団法人大阪タクシーセンター「年齢別運転者数及び運転者証交付数について」(令和7年11月4日時点)をもとに編集部が算出。大阪エリアのデータです。構成比は四捨五入のため、合計が100%にならない場合があります。
上の表は、大阪エリアのタクシードライバー22,905人の年齢分布です。
最も多いのは60〜64歳で3,160人(13.8%)、60歳以上が全体の約半数(49.5%)を占めています。65歳以上に絞っても8,171人(35.7%)と、3人に1人以上がいわゆる高齢者の年齢層です。
75歳以上も3,181人(13.9%)おり、80代のドライバーも676人が現役で乗務しています。
これは「健康であれば年齢に関わらず活躍できる」というタクシー業界の特性を、はっきり示す数字といえます。
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タクシー運転手に向いている人の特徴や必要なスキル、仕事内容を詳しく解説しています。未経験でも充実した研修制度で安心してスタートできる理由がわかります。
9.よくある質問
-
タクシー運転手は何歳まで働けますか?
-
法律上の上限はありません。法人タクシーは65歳前後を定年とし、再雇用で70〜75歳まで働ける会社が一般的です。個人タクシーは75歳以上になると1年ごとの許可更新が必要ですが、条件を満たせば続けられます。
-
70歳からでもタクシー運転手になれますか?
-
可能性はあります。ただし、正社員の募集は定年年齢が上限になることが多いため、嘱託・契約社員での募集や、シニア歓迎と明記された求人を探すのが近道です。
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タクシー会社の定年は何歳ですか?
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60〜65歳に設定している会社が一般的です。そのうえで、再雇用制度によって70〜75歳まで働けるようにしている会社が多くあります。
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二種免許は何歳から取れますか?
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原則21歳以上(普通免許などの経歴が通算3年以上)ですが、受験資格特例教習を修了すれば19歳以上・経歴1年以上で取得できます。
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年齢が高いと採用されにくいですか?
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業界全体が人手不足で、シニアの採用に積極的な会社は多くあります。採用で重視されるのは年齢よりも、健康状態と安全運転への意識です。
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年金を受け取りながら働けますか?
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働けます。ただし、給与と年金の合計額によっては年金の一部が支給停止になる場合があります(在職老齢年金)。詳しくは日本年金機構の案内をご確認ください。
10.タクシー運転手は年齢制限がなく、健康と働き方の計画が重要
タクシー運転手として働ける期間は、法律で定められた「年齢の数字」で決まるわけではありません。最も重要なのは、乗客の安全を守れる「健康状態」を維持できるか、という点です。
業界の人手不足を背景に、60代や70代からでもセカンドキャリアとして挑戦できる門戸は開かれています。
「やめとけ」と言われるリスクを正しく理解し、健康管理を徹底すること、そして何よりも自身の体力に合った無理のない働き方を計画し、それ(年金併用や短時間勤務など)を認めてくれる会社を選ぶことです。
これら「準備」と「計画」こそが、シニア世代がタクシー運転手として長く働き続けるための鍵となります。